準備して、相撲取って、雑用こなして、片付けするのは、老体には堪えますな(苦笑)
とりあえずこの仕事はひとまず今年まで、というのが救いですが。
というわけで、茶之介から来ていた
東ムラカム様派の決起集会はいつですか
のメールを完全スルーしていたわけですが(笑)
まあ、決起集会はともかく、近いうちにスケジュール合わせて東京に呑みに行きましょう。
ちょうど朝晩だけなら鍋の季節っぽくなってきたことですし(えー)
今回は将棋特番ということで、9/20に行われた王座戦五番勝負第2局の模様をお送りします。
いや、たまたま休みを取っていたらニコ動での中継があったんで。
そこ、計画的犯行とか言わない!(爆)
棋譜などの情報は公式サイトをご覧ください ※リンクはこちら⇒■
以下、箇条書きで。
いつも通り、「私の記憶が確かならば」方式でいきますので、間違いがあった場合は
にこやかに指摘して下され(苦笑)
★第2局開始前の両者の立ち位置
19連覇&五番勝負19連勝と、こと王座戦に限っては向かうところ敵ナシの羽生王座。
ところが、この五番勝負の連勝が今回の第1局でいきなり途切れることに。
振り駒で後手番となった羽生王座は、「どうせ(不利な)後手番だし」と考えたかどうかはともかく、渡辺竜王が長らく採用してきた角換わり腰掛銀を選択。これで勝てれば渡辺竜王の先手番をブレークできるだけでなく、相手の得意戦法で勝ちを拾うことで渡辺竜王に精神的な揺さぶりをかけられるところでしたが、渡辺竜王が冷静に受け止めて優勢に立ち、終盤の羽生王座の追い上げをかわして初戦を制しました。
五番勝負の連勝が途切れた羽生王座ですが、大事なのは連覇。
その意味では、先手番を持つこの第2局で勝つことが大きな意味を持ちます。
渡辺竜王は、羽生王座の連勝を止めてまずは一安心か。
ただ、この第2局で羽生王座の先手番をブレークできれば、かなり有利に戦えます。
★ニコ動の 豪華な 解説
午後からの中継となったニコ動の解説者は森内名人。
なんと時の名人の登場に、早くも観戦者のテンションは有頂天。
最初は聞き手なしの予定だったようですが、
「聞き手まだー?(チンチン)」
のコメント多数な状況にニコ動の運営が動きます。
急遽のサプライズゲストということで、時間を区切ってこの3人が交互に聞き手として登場。
・甲斐女流王位
・上田女王
・北尾まどか女流(どうぶつしょうぎの創始者)
現役タイトル保持者2人に、明るいキャラで人気の高い北尾まどか女流の参戦。
感謝・・・圧倒的、感謝・・・!
また森内名人の解説が非常に丁寧。
手の解説がほとんどだったんで、将棋全くわからん人にはつまんなかったかもしれませんが、ちょっとでも将棋を知っている方なら満足できたんじゃないかと思えるくらいの敷居の低い解説には頭が下がりました。
★羽生王座は驚きの相掛かりを選択
先手番の羽生王座が選択したのは、昔なつかしの相掛かり。
中原永世棋聖が、重厚な矢倉を中心とした組み立てでタイトルを奪取し続けた時期が過ぎ、衰えを見せ始めたときに「攻める中原」として復権し、名人復位を果たした立役者である戦法です。
薄い囲い(最近は今回のような中住まいが人気)から、後手の陣形が整備される前に「ガンガンいこうぜ」と攻めまくるのが特徴なのですが、後手の対策が進歩(これには羽生王座も一役買っている)したことにより、先手の薄い囲いが敬遠され、現在は下火となっています。
今回羽生王座がこれを採用したのは、渡辺竜王が得意とする現代将棋の合言葉
「(囲いが)固い、攻めてる、(攻めが)切れない」
という展開(具体的に言うと居飛車穴熊とか矢倉とか)にさせないのと、渡辺竜王の経験の薄い形に持っていこうという狙いがあったと思われます。
しかし特に後手番では「俺はどんな戦法でも苦にしないぜ」と相手の戦法に乗ることの多い渡辺竜王は、セオリー通りに素直に追随。独自の工夫を見せ、互角の分かれで中盤を迎えます。
★森内名人の黒歴史
聞き手の某女流(特に名を秘す)の一言。
「そういえば、渡辺竜王が初めて竜王になったときの相手って・・・」
真実は時に人を傷つけます(爆)
(森内名人は、森内前竜王でもある)
聞き手「そういえば、森内名人はクイズが得意なんですよねってコメントが多いようなのですが」
森内名人「昔は問題集を買って勉強したこともあるのですが、今は全く・・・」
聞き手「それではクイズのことは・・・」
森内名人「触れないでください(キッパリ)」
★桂損 vs 歩切れ 勝つのは どっち?
中盤戦たけなわの50手目に渡辺竜王が指した△3六歩で、渡辺竜王の桂得が確定。
しかし、これで渡辺竜王は歩切れに。
どっちが得をしているかはプロ棋士でも意見が分かれるところかと。
しかし、攻勢に立つのは羽生王座。
次々と駒を交換して攻撃態勢を整え、79手目に▲5四飛と飛車角交換を挑んで決めに出ます。
細い攻めながら、このまま攻めが途切れなければ羽生王座の勝ち。
ただし、後手の渡辺竜王に飛車を渡している上に、51手目に後手の角を取りに行った▲5六歩で中住まい玉の最大の弱点である5七の地点をぽっかり空けており、渡辺竜王に手番を渡せばほぼ受けナシ。
勝っているのは、どっち?
★解説者も夕食休憩
1日制で夕食休憩があるタイトル戦は王座戦だけ。
対局者が夕食を取る間、出ずっぱりの森内解説者も夕ご飯を取ります。
ニコ動中継ですっかりおなじみとなった「アンケートでご飯を決めよう」の候補は以下の通り。
1.上寿司(森内名人推奨。みんな大好き加藤九段の定番メニューのひとつ)
2.うな重肝吸い付き(みんな大好き加藤九段の定番メニュー+みんな大好き藤井九段のトレードマーク)
※藤井九段の名言「俺の四間飛車は鰻屋の鰻。スーパーやファミレスの鰻とは違う。」より
3.チーズバーガー(みんな大好き藤井九段の定番ギャグ「絶品チーズバーガー」より)
4.カロリーメイト(丸山九段定番の夜食。優勢な終盤戦でモリモリ食って敵の戦意を消滅させるw)
アンケートを前に、ニコ動運営のありがたい一言。
「おまいらの気持ちをまず知りたい。あの森内名人に何を食わせるつもりか?」
空気を読んだ人KYな人、いろいろ居ましたが結果は無難にうな重肝吸い付きに決定。
ああ、よかった(笑)
★で、結局どっちの勝ちなの?
先ほどお話した79手目の▲5四飛からラッシュをかける羽生王座。
最初は渡辺竜王持ちの変化を並べていた森内名人が、しだいに羽生王座勝ちの変化が多くなり、
「渡辺竜王側に何かないですかね」
と言い出す状況に。
しかし、ここまで終始羽生王座持ちの発言が多かった控え室が、94手目の△6三歩を発見してから今度は逆に渡辺竜王優勢のコメントを発す。
指されてみるとなるほどの一手で、本譜のように右側から攻められても△6二玉とかわして一手稼げるという仕掛け。
今度は逆に「羽生王座に何かないか」と手を探す局面となりましたが、103手目に羽生王座が指したのは▲7三歩。
一応詰めろにはなっているのですが、106手目の△9五角の王手がぴったりで勝負あり。
▲7七歩と受ければ受かるのですが、7三に歩があるので指せません。
感想戦では、79手目の▲5四飛がやりすぎで、代えてじっと▲1一飛成として以下△3七歩▲2八金なら先手優勢と結論付けられました。
とはいえ、「ここから▲5四飛とラッシュをかけて勝てる」と踏み込んだ羽生王座も凄ければ、△6三歩~△6二玉と凌いだ渡辺竜王も凄かった、と言うべき見ごたえある終盤戦でした。
こういう終盤戦をライブ観戦すると、シビれますね。楽しかった(笑)
これで王座戦五番勝負は渡辺竜王の2-0。
しかも第3局は渡辺竜王の先手で、3-0での王座奪取ということになれば羽生王座にとってショックは大きいはず。
羽生王座の戦法選択が将棋ファンとしては楽しみですが、本人にとっては大ピンチでしょう。
後輩に番勝負で、内容はともかく勝敗の点では全くいいところなく敗れるのはさすがに苦しい。
しかし、この第3局を凌げば第4局は羽生王座の先手番で今度は逆に優位に立てます。
次の第3局ががぜん楽しみになってきました。
次の第3局は、9/27に「将棋の町」山形県天童市で行われます。
残念ながら、ニコ動での中継は、ありません(苦笑)