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とうとう夏至を過ぎました。
冬至を迎えると、「もうこれ以上日は短くならないな」と安堵するものですが、夏至を過ぎると対場が逆転するので、ちょっと憂鬱。
あと、もうすぐ今年もあと半分、ですね。

さて今回も将棋ネタ。
先週上げそこねた話題も合わせて取り上げますね。

■佐藤名人、堂々の名人三連覇(名人戦七番勝負 第6局)

さてまずは名人戦から。
6月19日に名人戦七番勝負の第6局が、将棋駒の産地として知られる山形県天童市で行われ、勝った佐藤名人が4勝2敗で名人位の防衛に成功することとなりました。

さて将棋の方ですが、カド番に立たされていた羽生二冠がとっておきの戦法を披露。
なんと2手目△6二銀を敢行するとは。

羽生二冠が若いころ、谷川九段とかを相手に何度か試していた手ですが、その頃と違うのは、6手目の△7四歩。
本譜のように、後ほどこの歩は取られる運命となるのですが、その隙に銀を中央へニョロニョロと展開して、中央部の制空権を握ろう、というのが狙い。
山崎八段がたまに採用して成果を上げている戦法の応用、といえますが、山崎八段ご本人しか勝っていない印象が強いです。
なんといっても序盤に1歩損しますからね。
あと、構想力が相当ないと破綻する戦法でもあります。

とはいえ、奇襲戦法として使う分には有効で、羽生二冠であれば構想力も十分。
なかなかの勝負術といえます。

さてその後は、構想力の問われる難解な将棋に。
両者9時間もの長~い持ち時間をほとんど使い果たすことになりました。
ニコ生では、116手目の△1三同香に代えて△1三同玉なら羽生二冠の勝ち、という説が流れていましたが、読みにくい筋なだけに、1~2分で指せる筋ではなかったのが羽生二冠にとっては不運でした。
また局後の検討ではその後126手目の△2二飛に代えて△6七とで難しい、という結論が出されましたが、これも1分将棋では読むのは困難。
二十代の羽生二冠なら指したかもしれませんが、四十代後半ともなると、こういうところがどうしてもキツくなるんですよね(経験談含む)

羽生二冠はお疲れ様でした。
奥様のtwitterによると、6勝4敗で順位戦を終えた時点でまさかプレーオフにもつれこむとは思わず、講演会などの予定を入れたまま名人戦に臨んだようで、目の回るような忙しさの中での戦いだったとのこと。

それでもいつもの羽生二冠らしい切れ味は十分見せてくれたと思います。
相手が強かった。
それに尽きます。

さて名人位を防衛した佐藤名人。
直前までの成績は振るわなかったものの、やはりこの2日制持ち時間9時間という、名人戦独特の雰囲気を味方につけ、バランスや模様を重視する持ち味を存分に活かした戦いぶりが見事でした。

これで名人位三連覇を達成。
随分と貫禄もついたように思います。
この調子で永世名人確保といきたいですね。

■まあ、こんなこともあるよね(棋聖戦五番勝負 第2局)

さて今度は先週紹介できなかった棋聖戦。
6月16日に第2局が行われ、羽生棋聖が勝って対戦成績を1勝1敗のタイに戻してます。

将棋の方ですが、角換わり模様の序盤から、後手番の豊島八段が△4四歩と角交換を拒否する趣向に出ます。
角筋を止めた状態から相腰掛け銀に構え、捌き合いが終わったところでは豊島八段有利。

ところが終盤で豊島八段がいきなり乱れます。
68手目で△4二銀打と先手の飛車を捕獲すればよかったのですが、△4八銀と飛車金両取りをかけたところで事件発生。
以下、羽生棋聖が▲5二角と打ってからは急転直下で羽生棋聖ペースとなり、そのまま羽生棋聖が押し切りました。

羽生棋聖が間違えさせた、というよりは、豊島八段が勝手に転んだ印象。
これで開幕2連敗だったら目も当てられない状況でしたが、緒戦を勝っていたのが大きく、まだ1勝1敗というのは僥倖。

まあ、長い人生、こういうこともあります。
スパッと忘れて、第3局以降に集中してもらいたいものです。

■きょうの藤井聡太(王座戦本戦で深浦九段を破る。順位戦緒戦は地震のため延期)

さてきょうの藤井聡太。
今週は1局対局があり、王座戦本戦で深浦九段を破って準決勝に進出しています。

深浦九段といえば、最近は解説や立会人での出番が多いですが、元タイトルホルダーの重鎮であり、最近は雁木でガンガン押し通るのを得意としております。
また昨年の叡王戦では、この深浦九段を相手に本戦で悔しい逆転負けを喫していることもあり、リベンジの舞台としては申し分ない状況がやってきました。

将棋の方ですが、先手番の深浦九段がいつものように雁木でガンガン。
後手の藤井七段も雁木から右玉に構え、カウンターを狙います。

深浦九段が2筋から歩を絡めた細かい攻めでポイントを稼いだのですが、それに構わず端から深浦玉を強襲したのが好着想で、またたく間に優位を確保。
最後はそのまま藤井七段が押し切り、強豪を下して準決勝への進出を決めました。

挑戦者候補の深浦九段を下し、準決勝進出を決めたのは立派。
次の相手は、斎藤慎太郎七段。
棋聖戦挑戦の経験もある、伸び盛りのちょっと先輩格、で男前。
当然追い抜かれてはなるまいと、全力を尽くして立ち向かうことでしょう。
勝てばもちろんタイトル挑戦に大きくはずみがつきますが、今はこういう対局を積み重ねることが大事。
勝ち負けはともかく、こちらも全力で臨んでもらいたいものです。

それから、6月19日に予定されていた順位戦緒戦の対森下九段戦ですが、大阪北部を襲った直下型地震の影響を受け、対局が延期となりました。
代替日は後日発表されると思います。

思わぬところで影響がありました。
犠牲者のご冥福をお祈りします。

■渡部女流、女流王位に輝く!(女流王位戦五番勝負 第4局)

さて最後に女流棋界の話題を。

先週の6月13日に女流王位戦の第4局が行われ、勝利した渡部女流二段が通算成績を3勝1敗とし、女流王位の奪取に成功することとなりました。

戦前は正直、渡部女流が1勝できるかどうか、と思っていたのですが、里見女流四冠の失速が大きく、まさかの結末となりました。
また、これでLPSAにとっては久々のタイトルホルダー誕生となります。

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by mitsuboshi03 | 2018-06-23 17:03 | 将棋 | Comments(0)
本格的に梅雨っぽい天気になってきましたね。
頭痛持ちなんで、天気が悪いと気圧が低くなってちと辛いんですよ。

さて今回はbleem!さんからの宿題ネタ。
将棋会館建て替え問題をお送りします。

久々の将棋界政治ネタになりますね。
ネタがネタだけに、憶測や噂で書く要素が大きくなりますんで、いつもにも増して某細川氏のblogのように、「うそとかほんととかを適当に」のノリで書くことになりますのでご了承をば。

現在の東京・大阪の将棋会館が建ってほぼ40年ほど。
当然のことながら「そろそろ建て替えを」という話は出るものの、先立つもの(お金)を始めとして様々な問題に対応する必要があり、速攻で片付けられる話ではございません。

以前この問題に鋭く切り込んだのが、あの羽生二冠。
各棋士がそれぞれの収入の一定額の割合で建築資金を負担する、という案を棋士総会まで持ち込んだのですが、どうも根回しがそれほど十分でなく、かつ「将棋に負けて頭を下げるのは仕方ないが、それ以外の話であいつに頭を下げるのは御免こうむる」という反対派の棋士による票の切り崩しがあったようで、棋士総会ではあえなく否決。
これにショックを受けた羽生二冠は、これ以後、瀬川さんプロ入り問題のときに早々と瀬川さん支持を表明するなど、いくつかの例外を除き、基本的に将棋界の政治の話から遠ざかることになります。

こうした事情と、「物事はすべて亀の歩みのごとく進む」将棋界の常識にどっぷり嵌っていた身としては、bleem!さんからネタフリをされたときも、
「ちょっと前に耐震工事をしたこともあるんで、しばらくはこのままじゃないですかねえ。」
などど、気の乗らない返事を返していたのです、

それでもまあ、一応記事にはまとめてみますか、と調べ物を始めたところ、いきなり大ネタが。

6月8日に行われた今年の棋士総会で、会館建設準備委員会の発足を可決。
建て替えの方法について、現状にこだわらず、ゼロベースでの検討を行うとのこと。
委員長には羽生二冠。委員には森内九段・久保王将・中村王座などが加わるとのこと。

いや、本当に驚きました。
まだ委員会が発足したばかりとはいえ、まさか羽生二冠が陣頭指揮を取るとは。
まだまだ予断を許さないところではありますが、とりあえず良い方向に進んだのではないでしょうか。

さて状況が変わった理由について、自分なりに仮設を述べてみますと。

1)そうは言っても、そろそろヤバイでしょ

耐震工事でお茶を濁したばかりはいえ、何しろ築40年。
また、デジタル化が進む将棋界への対応にも限界があります。
それから、「できれば24時間営業のコンビニが中に欲しい」という要望も根強くありますしね。

2)盤石の執行部

なんといっても、佐藤康光会長を始めとする執行部なくして、この案は通らなかったでしょう。

世間的には、竜王戦事件で早期退陣を迫られた谷川前会長の後を急遽リリーフ登板した、という印象が強いと思いますが、以前から棋士会長を長く務めているなど、次世代の切り札として大切に育てられてきたのがこの佐藤康光会長。
将棋界での人望が極めて厚いだけでなく、竜王戦事件の幕引きを早々にやってのけた後も、叡王戦のタイトル昇格など、すでに赫々たる戦果を上げている手腕も特筆すべき。
盟友であり、長年のライバルでもある森内九段が右腕として辣腕を振るっているのも大きい。
また関西には、これも今や名実ともに関西棋士の代表格である久保王将が居る。
さらに次世代への備えとして、早大政経学部卒・元ニュースキャスターと将棋界では極めて異質な経歴を持ち、厚い人望と将棋の実力を兼ね備える中村王座が控えているという盤石の体制。
彼らが会館建設準備委員会に名を連ねているというのも、まあ当然といえば当然ですね。

個人的に長年、「羽生二冠がアイディアを出して、佐藤九段が根回しすれば将棋界ももっとよくなるのになあ。」と思っていたのですが、いよいよそれが現実のものとなりつつあります。

3)空前の藤井聡太ブーム

そして空前の藤井聡太ブームが。
実力もさることながら、お茶の間の話題となることに関しては、将棋界空前絶後かも。

会館建設のためには何しろお金がかかるため、彼のような広告塔は必須。
今を逃したら、これだけお金がかかるプロジェクトの成功は困難を極める、という危機感が将棋界にはあったものと思われます。

それにしても、こんな日が来るとは思ってもみませんでしたよ。
また、羽生二冠がここまで各棋戦で好調を維持しているのにも説明がつきます。
何しろこれから忙しくなりますからね。
今が将棋に専念できる最後のチャンス、と思いながら指していることでしょう。

将棋会館建設にどれだけの情熱が必要だったか。
今の東京・大阪の将棋会館建設に全力で取り組んだ、大山十五世名人のエピソードを一つ紹介して、この記事の締めといたしましょう。

企業からの献金を求めて、各地を分刻みのスケジュールで飛び回っていた大山十五世名人。
厳寒期でもコートを着ず、背広一枚で居た理由を聞かれて、こう答えたそうな。

時間が惜しい。
脱いでまた着る時間を合わせたら、1人余分に会えるよ。

会館建設に加えて、将棋連盟会長でもあり、また普段の対局もある。
まーよくやってたもんですわ。

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by mitsuboshi03 | 2018-06-17 16:07 | 将棋 | Comments(2)
「フハハ、我が名はwindows update。
プログラムを更新して、貴様のPCのヘッドホン端子を潰しておいてやったぞ。」

「ぐぬぬ、micr○s○ftのクソッタレめ!
ウチの会社の業界でこんなのやったら『続きは法廷で』やぞ!
…ふむ、ソフト的な復旧は無理そうだが、ならばハード的に復旧を試みよう。」

「な、なにぃ!」

「PC背面のスピーカー端子は生きているな。
ならば、使っていなかった外付けスピーカーを中継して、ヘッドホンを繋げてやろう。
…やはりな。音質は下がったが、どうせ100均のヘッドホンで満足する身だ。
これで無事復旧だぞ。」

「フハハ、今回はしてやられたが、windows updateの残弾はまだまだあるぞ。
震えて眠れ。」

いやー、今回は中々の強敵でした(苦笑)

さて今回も将棋ネタ。
梅雨入りの時期になると、いよいよ大詰めを迎える名人戦に加え、棋聖戦や王位戦の開幕で大いに盛り上がる、というのが将棋界の常です。
というわけで、今回も話題満載ゆえ、さらっといけるところはさらっとやります。
いけるところは、ね。

■羽生「最近よく会いますね」豊島「はぁ」(王位戦 挑戦者決定戦)

さてまずは王位戦の挑戦者決定戦から。
6月4日に、恒例の紅白リーグ戦を勝ち抜いた棋士2人による頂上決戦が行われました。
今回のマッチアップは、紅組優勝者の羽生二冠と、白組プレーオフで澤田六段を下した豊島八段。
ここのところ、勝負どころでよく対戦が組まれる好カードとなりました。

将棋の方ですが、スラスラと角換わり腰掛銀の先後同型に。
先後同型といっても、長年定番だった▲5八金の形ではなく、自陣への角打ちに備えた▲4八金~▲2九飛の形にするのがここ最近のトレンド。
この状態から、バランス重視で王様を▲6八玉△4二玉のままにしておいて戦う、という将棋も最近多いのですが、本局では堅さ重視で▲7九玉△3一玉の形を両者が選びました。

さて開戦してからは、後手の豊島八段が少しリードしたのではないか、という評判。
しかしそこから先手の羽生二冠が巻き返し、逆にペースを握ります。
今までですと、このまま羽生二冠が押し切る、というのがお決まりの展開だったのですが、羽生二冠が91手目に▲6四飛と走ったのが危険な一手だったようで、ここから豊島八段が猛攻を仕掛け、そのまま一気に押し切りました。

羽生二冠が変にひねらずに、最新型の戦法に飛び込んでいった本局。
自分の土俵で戦えた豊島八段としては、不満のない流れだったのかも。
また羽生二冠の一失があったとはいえ、あの羽生二冠を相手にミスを誘えるまで耐え抜いたところは、今までとは一味違うというところを見せられたのではないでしょうか。

これで王位戦七番勝負は、菅井王位と豊島八段との間で行われることに。
これが将棋界史上初の、平成生まれ同士のタイトル戦とのこと。
長年羽生世代や渡辺棋王が君臨していたこともあり、とうとう、というか、ようやく、という印象を受けます。
これからはこの世代が将棋界の中心となっていくのでしょうか。
どちらが勝つにしろ、楽しみなタイトル戦となりそうです。

■羽生「また貴方ですか」豊島「」(棋聖戦五番勝負 第1局)

今度は棋聖戦五番勝負の第1局。
6月6日に淡路島の「ホテルニューアワジ」で行われました。

羽生棋聖に挑戦するのは、「またお前か」と言われても仕方のない豊島八段。
棋聖戦と王位戦は日程が重なるので、こうしたダブル挑戦とか、ダブル防衛戦といったことはちょくちょくあったりします。

「またお前か」と言われだしたら強者の証明。
とはいえ、同世代の棋士が続々とタイトル童貞を卒業しているだけに、「無冠の帝王」の称号からは早いとこ脱却しないといけませんが。

将棋の方ですが、王位戦挑戦者決定戦とは逆の手番であるにも関わらず、スラスラと角換わり腰掛銀の駒組みに。
やられたらやりかえす、100倍返しが信条の羽生二冠らしい戦型選択かと。
最近の若手らしく、角換わり系の将棋を好む豊島八段としてもそこに異論を挟む気はさらさらなく、堂々と受けて立ちます。

とはいえ、羽生棋聖が王位戦挑戦者決定戦と全く同じではつまらないと思ったかどうかは定かではありませんが、本局では王様を▲7九玉△3一玉の形にするのではなく、▲6八玉△4二玉のままにしておいて、おもむろに△6五歩と開戦。
最新型の形から、羽生棋聖が猛攻を仕掛けます。

しかし、この猛攻が少々空回りだったようで、形勢は徐々に豊島八段の方へ傾きます。
羽生棋聖も必死に食い下がったものの、豊島八段がギリギリで踏み止まり、豊島八段が勝利を収めました。

この二人の対戦ですと、勝負どころで豊島八段がポッキリ折れてしまい、そのまま羽生二冠の勝利、というのがよくある展開でしたが、この棋聖戦第1局でも豊島八段がしぶとく戦えてるな、という印象を受けました。
さすがの羽生二冠も、去年の竜王戦以降の好調ぶりを維持するのは難しいと思われるだけに、この棋聖戦は是が非でも獲っておきたいところでしょう。
とはいえ、こういうところで強さを見せるのがいつもの羽生二冠ではあるのですが。

それにしても。
本局の対局場所である「ホテルニューアワジ」では、必ず昼食にきつねうどんを頼む羽生二冠。
そんなにおいしいのでしょうかw
当の本人は、「関西ではうどんがおいしいので」とサラリとかわしてましたが。

■きょうの藤井聡太(竜王戦ランキング5組決勝 驚愕の踏み込みで石田五段を下す)

さて最後にきょうの藤井聡太を。
先週は6月5日に竜王戦ランキング5組決勝戦で石田五段を下し、2年連続で本戦入りを果たしています。

2年連続での竜王戦本戦入りも素晴らしいのですが、さらに凄かったのは将棋の内容。
終盤戦をニコ生や囲碁将棋チャンネルで生観戦できたのですが、一番濃いところを見られてラッキーでした。

石田五段の先手番で、戦型はここでも角換わり腰掛銀。
散々研究され尽くしている戦型なだけに、特別な才能がなくても、定跡を覚えてしまえば強敵相手にも戦える、ということで、プロ棋士間では横歩取りと共に大人気の戦型であります。
逆に言うと、定跡を覚えていないと、実力に関わらずすぐ負ける、ある意味恐ろしい戦型ではあるのですが。

クライマックスの始まりは、石田五段が67手目に指した▲6三歩。
本局でこの3手後に指された▲7二銀が飛車金両取りで、金を取れればほぼ詰めろ、という狙いが見え見えなだけに、「まあ△6三同金だけはないな」というのが大方の予想で、ここからまた長い戦いが繰り広げられるものと思い込んでいました。

たった一人、藤井聡太を除いては。

藤井七段が、わずか7分の考慮で「ない」と思われていた△6三同金を着手。
「おいおい大丈夫か」と、どよめく我々。
当然のごとく▲7二銀が指され、どうするのかと思っていたところへ、ようやくカラクリを解いた検討陣が、驚愕の研究手順を披露。
確かにその手順が指せれば強すぎるが、あまりにも怖すぎる。
…まさか、△6三同金からその手順を読み切って指していた、なんてことは、ないよな。

果たして藤井七段は、涼しい顔をしてその研究手順へあっさりと踏み込む。
▲7二銀以下は、△8六飛▲8七歩△7六飛▲7七歩に△7七同飛成!
飛車を歩と刺し違え、当然の▲7七同金に△8五桂と自陣の桂馬を躍動させる。
ここで石田五段に手番が回るが、さすがに飛車と桂馬だけでは戦力不足で、藤井七段陣へ迫るすべがない。
また、▲7二銀と打ったからには▲6三銀成と金を取りたいのは山々だが、それでは藤井七段が豊富な持ち駒を生かして△6八銀から石田五段の玉を詰めてしまう。

泣く泣く▲7六金と指さざるを得ないとあっては勝負あり。
最後も藤井七段が、いつもながらの気付きにくい手順で石田五段の玉を即詰みに仕留めた。

それにしても。
この藤井七段の踏み込みはどうだ。
この手順しか勝ちがないのであれば、まだわからなくもないが、他にもお茶を濁すような指し手があったにも関わらず、この手順に踏み込んだのは驚異としか言いようがない。
この手順に踏み込むためには、本局の展開のみならず、恐ろしく難解かつ膨大な枝葉の手順をすべて正確に読み切ることが絶対条件で、そうでなければ怖くて恐ろしくて、とてもこんな手順には踏み込めない。
少なくとも数百手は読み込んで、すべての読みが正確であることが求められる。

99%ではダメだ。
1手でも読み抜けがあれば、その場で破綻する。

この踏み込みが毎回できれば、藤井七段に対抗できる人類はまず居ない。
電王トーナメント優勝ソフトであるぽんぽこさんでさえ、この手順にはたどり着けなかったのだから。
私のような将棋ファンであれば、ただただ喝采を上げていればよいが、実際に対戦するプロ棋士にとっては恐怖以外の何物でもないだろう。
こういう踏み込みをいつ食らうのかという恐怖と戦い、リスクを織り込みながら戦わなくてはならないのは、辛すぎる。
石田五段も必死に戦ったが、今回は相手が強すぎた。

それにしても、藤井聡太よ。
君は、どこまで強くなれるのかい?

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by mitsuboshi03 | 2018-06-09 21:17 | 将棋 | Comments(3)
そういやもうすぐ、サッカーのW杯ですか。
以前は当blogでも毎日更新とか熱心に追いかけていたものですが、今回はまあ静かなもんです。

…ぶっちゃけ、日本はもうサッカーにリソース割かない方がいいのかも(ぼそ)

さて今回も将棋ネタ。
そろそろ、名人戦から棋聖戦へとタイトル戦の主役が交代する時期ですな。

■王様の位置の違いが…(名人戦七番勝負 第5局)

まずは名人戦から。
第5局が5月29・30日に名古屋の大須にある万松寺で行われ、佐藤名人が勝って名人防衛に王手をかけております。

今回の対局場所である万松寺といえば、織田家の菩提寺として有名。
なんでも、将棋好きのお坊さんが会場として名乗りを上げたことにより、今回の対局が実現したそうな。
個人的に大須は何度か行ったので、そういや一回りくらいはしたことがあるようなないような。
大須特有の活気のある雑踏の中に、どどーんとそびえ立っているお寺です。

さて将棋の方ですが、後手番の佐藤名人が、得意戦法である横歩取りを採用。
第5局と大詰めに来たこともあり、ここでエースを投入してきました。
これに対し、羽生二冠は流行りの青野流といった速攻策ではなく、昔ながらの中住まいを採用。
現地に訪れていた、青野流創始者の青野九段はガックリしたとかしなかったとかw

序盤戦を終えたところでは、割とよくある形で落ち着くことに。
ただし、いつものと違うのは、先手の羽生二冠の王様の位置。
王様が6八に居るなら先手が良いとされているのですが、本局の王様の位置は5八。

もちろん先手の王様が6八に居るのであれば、佐藤名人は別の対策をしてきたはずなので、当然こうはならないのですが、さて王様の位置が5八でも、この形は先手が良いのか悪いのか。
「わからないときは、強い相手にぶつけてみよう」というのが羽生二冠のセオリー。
タイトル100期がかかるこの大一番でも、羽生二冠の旺盛な探究心は衰えを知りません。

結論から言いますと、今のところはこの局面は後手が良かったようで、43手目の▲3五歩以降は羽生二冠に勝つチャンスは無かったようです。
とはいえ、常に様々な局面に問題意識を持ち、大一番なのに、いや、大一番だからこそ、疑問があったら相手にぶつけてみる、という羽生二冠のこの積極的な姿勢が、通算1400勝やタイトル99期といった大記録の源ではないかと思います。

30年以上、ずーっとこうですからね。
頭が下がりますよ、ほんと。

これで名人防衛に王手をかけた佐藤名人。
しかし、ここからのあと1勝が遠いのは、重々承知のはず。
一方、タイトル100期を名人復位で飾りたい羽生二冠としても、まだまだ諦めるには早すぎる。

名人戦第6局は、少し日程が空いて、6月19・20日に、将棋駒の産地である、山形県天童市にある「天童ホテル」で行われます。

■きょうの藤井聡太(棋王戦予選決勝で中村亮介六段を下す)

最近不定期連載のきょうの藤井聡太。
七段に昇段し、新人向けの棋戦に出られなくなったりとか、予選を少~し免除されるようになったこともあり、以前のように毎週毎週対局がある、という状態が少し緩和されつつあります。
若いからまだ無理は効くとはいえ、高校生活もありますからね。
あまり無理はしすぎないように。

先週は棋王戦予選決勝の対局があり、中村亮介六段を下して本戦出場を決めています。

中村亮介六段というと、史上2組目の兄妹棋士ということで有名な方(妹は中村桃子女流)
あとは…。
棋士にとっては命より大事な順位戦で、制限時間ギリギリの大遅刻をやらかし、本来6時間の持ち時間を9分に減らされて対局をしたことでも有名だったりします。
将棋界では、対局に遅刻すると、遅刻時間の3倍を持ち時間から減らされるという厳しい掟があり、そのため大抵の棋士は待ち合わせの時間にも正確だったりする、の、です、が。

さて将棋の方ですが、後手番の中村亮介六段が得意のノーマル四間飛車へ誘導。
これに対し、藤井七段が序盤早々に居飛車穴熊へ組もうと香車を上げたことから、華々しく角を交換する、やや乱戦模様の将棋に。

そんな中でも、藤井七段は粛々と居飛車穴熊の堅陣を完成。
対する中村亮介六段も銀冠へ組んだものの、囲いの硬さで言えばどうしても居飛車穴熊には劣り、なおかつ中村亮介六段側の左銀が僻地で遊び駒と化したのが痛く、以下は藤井七段が順当に勝利を上げました。

さてもう一々驚かなくなりましたが、これで棋王戦でも本戦進出を決定。
一回戦ではいきなり菅井王位と戦いますが、本戦ともなればこのクラスの対戦相手はゴロゴロ居ます。
もう予選突破はノルマで、本戦をどれだけ戦えるかという領域へ入ってきましたね。

あと最後ですが、上で紹介した名人戦第5局の現地にも顔を出してたみたい。
近所でやってるタイトル戦なんてめったにないですからね、いいことです。

■渡部女流二段、里見女流王位を追い詰める(女流王位戦五番勝負 第3局)

最後に女流の話題を。
渡部女流二段が里見女流王位に挑戦する、女流王位戦の第3局が先週福岡県飯塚市で行われ、渡部女流二段が勝利し、対戦成績を2勝1敗として、女流王位奪取へ王手を掛けることとなりました。

将棋の方ですが、先手の里見女流王位が中飛車から石田流三間飛車へ組み替える戦法を採用。
これに対し、渡部女流二段はじっくりと銀冠穴熊へ構えます。
里見女流王位側の両方の桂馬が中央に跳ね出したところまではまずまずの展開と思われたのですが、その後有効手を逃してからは、やはり銀冠穴熊の硬さが勝り、渡部女流二段が勝利を上げました。

近年の女流棋界では、里見女流・西山奨励会三段・加藤奨励会初段・伊藤女流といった、奨励会で腕を磨いた面々がタイトル戦を戦っていますが、奨励会を経験していない渡部女流がタイトルを取れば一つの事件といえます。
また所属する女流棋士団体のLPSAにとっても、久しぶりのタイトルとなります。

新星が花開くのか、里見女流が踏みとどまるのか。
注目の第4局は、6月13日に徳島市の「JRホテルクレメント徳島」で行われます。

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by mitsuboshi03 | 2018-06-02 16:10 | 将棋 | Comments(0)

スポーツ、将棋、ミリタリー、オタクネタ、地元長野ネタなど節操なしに書きまくります


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