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思い立ったが吉日で、ワイヤレスヘッドホンを導入。
bleem!さんが狙ってるものよりは文字通りケタ違いの安物ではありますが、コードがないと取り回しが劇的に楽になっていいですね。

これにより、私のPCはマウス・ゲームパッド・キーボード含め無線化を完了。
安物でよければ、合わせても1万かかりません。
いい時代になりましたわー。

さて今回は、今年最初の将棋ネタ。
明日は特別企画をやりたいので、まずは今週にかけての一般ネタをささっと。

■佳境を迎える順位戦

まずは順位戦の話題から。
新年を迎えると、昇級・降級争い共に重要な戦いが始まります。
普通の棋士にとっては、ここから春にかけてが正念場ですね。

それでは、各クラス別に状況をささっと整理してみます。

☆A級

まずは名人挑戦権争いから。
6戦全勝の豊島二冠を、1敗の広瀬竜王と羽生九段が追う展開、というのが年末までの状況。
新年からは、いよいよこの3名の直接対決が控えております。

その幕開けとして、1月11日にまずは豊島二冠と広瀬竜王との一戦が。
角換わりで、以前に両者が対決した局面の逆の手番を持つ、という、稀によくある展開となりましたが、広瀬竜王の攻めが最後まで途切れず、そのまま広瀬竜王が押し切りました。
また同日に行われた羽生九段vs三浦九段戦が羽生九段の勝利に終わったことにより、羽生九段・広瀬竜王・豊島二冠が6勝1敗で並ぶこととなりました。

2敗勢がいないことと、1敗勢には直接対決が残っていることもあり、挑戦権争いはこの3名に絞られたと思います。
いずれも実績十分の凄腕揃い。
すでに実質プレーオフ状態の中、勝ち残るのは、誰か。

なお降級争いですが、阿久津八段と深浦九段がかなり危うい状況。
こと阿久津八段に関しては、これまでA級での通算勝ち星ゼロ、という不名誉な記録を更新中なだけに、是が非でも1勝は上げたいところ。
また深浦九段もここまで1勝と厳しい星勘定。
阿久津八段が、次戦でここまで2勝の稲葉八段を下せば、僅かに残留の目もあるのです、が。

☆B級1組

別名「鬼の住処」とも呼ばれるクラス。
A級入りしていてもおかしくない面々による、壮絶な星の潰し合いが見もの。

とはいえ今期に限っては、渡辺棋王が本来の調子を取り戻して全勝をキープ。
年が開ける前に、A級復帰を確定させております。
調子さえ戻せば、さすがにここに居る人ではないので、まあ止むを得ないかと。

もう1枠は激戦。
自力だった木村九段が今週の対局で敗北を喫し、代わって斎藤王座が自力枠を確保することに。
とはいえ順位が悪いだけに、まだまだ気を抜けない戦いが続きます。
もし斎藤王座が敗れた場合は、木村九段や郷田九段のA級復帰の目が。

そして降級争い。
ここまで2勝8敗の野月八段は、残り2戦を連勝しても残留には奇跡が必要な状況。
現実的な降級争いはもう1枠の方で、菅井七段<橋本八段<畠山鎮七段の順に危うい状況。

☆B級2組

一般的な棋士にとっては、一つの到達点とも言えるクラス。
一方、ベテランの一流棋士にとっては、ここを落ちると坂道を転げ落ちるように引退までまっしぐら、という展開になりかねないため、是が非でも残留を果たしたいクラスでもあります。
なおこのクラスは年明けの対局が来週になるため、まだ年末時点での星勘定となります。

まず昇級争いですが、永瀬七段が全勝でトップ。
これを中村太七段・窪田七段・千田七段が1敗で追う展開。
まだ3戦残っておりますので、2枠の昇級争いはまだまだ予断を許さない状況。
これに続く2敗上位の横山六段は、とにかく3戦勝って、天命を待つしかありません。

降級点争いですが、順位上位で3勝なら一安心、という読み。
2勝止まりですと運が絡むかなあと。
なおこのクラスは、降級点2点で降級する仕組み。
今期降級の可能性があるのは、ここまで1勝の先崎九段と、2勝の田村七段。

☆C級1組

毎年生きの良い若手が3名下から上がってくるのに、ここから上がれるのはたったの2名。
「9勝1敗でも上がれない」悲劇がたびたび起こるクラスとしても知られております。

昇級争いですが、杉本七段・藤井七段の師弟コンビが8戦全勝で自力枠を確保。
同じく全勝だった近藤誠五段は年明けの対局で遂に1敗を喫し、大きく後退。
ただし次戦が対藤井七段戦なため、ここを勝てれば自力枠が復活します。
彼も若手の中では期待されている逸材なだけに、ここで一発入れられるでしょうか。

またこのクラスでは7名につく降級点争いですが、こちらも順位上位で3勝ならセーフかな、という読みをしていますが、今期は対象者が軒並み順位が低いだけに、残り2戦でも、まだまだ予断を許さない状況。
降級点持ちで1勝の富岡八段、2勝の福崎九段・泉八段には降級の危機が。

☆C級2組

若手はとにかく、ここを抜けないと始まらない。
50名を超すことも多い、大所帯のクラス。
またここを落ちると、地獄のフリークラス、または強制引退が待っています。

昇級争いは、ここまで今期勝率争いでもトップを争う及川六段が唯一の全勝をキープ。
これを1敗で石井五段と佐藤和六段が追う展開。
ここまでが自力枠で、彼らが敗れた場合、わらわら溢れているキャンセル待ちの順位上位2敗勢が息を吹き返すことになります。

そして、9名につく降級点争いは例年通り熾烈。
3勝ならぎりぎり助かるかなあ、という印象。

なお、このクラスは降級点3点でフリークラス行き。
今期該当しそうなのは、ここまで3勝の渡辺正五段。
残り全敗でも残留しそうな気はしますが、早いとこ1勝して楽になりたいところ。

■きょうの藤井聡太(新人王特別対局で豊島二冠に勝利。順位戦でも全勝キープ)

さて、きょうの藤井聡太。
まずは新人王になったご褒美の記念対局。
以前は相手は名人で固定でしたが、現在ではタイトル保持者の中からお好みで選べるとのこと。
藤井七段が選んだのは、今後タイトルを争う上で避けては通れない相手の一人である、豊島二冠でした。

記念対局の恒例で、藤井七段の先手番。
戦型はスラスラと角換わり腰掛け銀の最新型へ。
ジリジリしたねじり合いが続く将棋となりましたが、先に抜け出したのは藤井七段。
一旦抜け出してからは一気にアクセル全開。
見事に強敵相手に1勝を上げました。

本局は非公式戦ではありますが、このレベルの相手に勝てたのは大きい。
藤井七段にとっても、励みになる1勝だったのではないかと思います。

そして順位戦ですが、既報通り富岡八段相手に勝利。
いよいよ連続昇級が目前に迫って来ましたが、次の相手は強敵の近藤誠也五段。
気の抜けない展開は、まだまだ続きます。

by mitsuboshi03 | 2019-01-12 14:32 | 将棋 | Comments(0)
日に日に厳しさを増していく寒さ。
車に乗っても、温風だけじゃ中々温まりません。
そんな折、ふと座席を覗き込むと、「私をお忘れ?」とばかりに目につくボタンが。

シートヒーター。
燃費に少々響くのですが、暖かさには代えられません。

ちなみに、今日の最高気温は+1℃。
この時期としては、プラスになっただけマシ、といったところです(涙)

さて今回も将棋ネタ。
しばらく休みに入りますので、たまには別の記事を書きたい、ということもあり、年末にかけての将棋の話題をまとめてお送りいたします。

■無冠の羽生さん、九段を名乗ることに

まずは既報ではありますが、この話題から。
先日竜王を失い無冠となった羽生さんですが、これからの称号を「九段」とするとのこと。
まあ、まだまだタイトルたくさん取る気満々でしょうし、妥当な措置かと。

前回の記事では「前竜王」称号の新聞記事を紹介しましたが、これは読売系列の報知新聞が出した、願望に近い記事だったようです。
まーそりゃ読売としては「前竜王」の方が都合がいいでしょうが、本人の意向が九段なんだから、しょうがないよね、とw

■きょうの藤井聡太(棋聖戦予選・棋王戦予選で勝利)

続いて、きょうの藤井聡太。
今週は2局対局があり、棋聖戦予選で大石七段と、棋王戦予選で村田顕弘六段との対戦がありましたが、2局とも勝利を収めております。

まずは12月25日に行われた対大石七段戦。
将棋界ではよく「クリスマスに記録をする子は強くなる」などと言われますが、対局がつくとなるとまた別格。
すでにお正月気分な棋士も多い中、対局を重ねるのは一流棋士の証明であります。

さて対戦相手の大石七段。
関西将棋界最大勢力である森信雄門下の一翼を担う棋士であります。
成績にムラがあるのが弱点でもあり、魅力でもある棋士の一人。
また、こういう棋士につきものの爆発力が最大の長所。
2013年度には、
 ・四段昇格後100勝達成により五段へ昇段
 ・竜王戦ランキング戦連続昇級により六段へ昇段
 ・王位戦リーグ入り達成(当時2度目)
 ・NHK杯戦ベスト4入り(なお3回戦で、あの羽生九段を撃破)
 ・順位戦でC級1組へ昇級
という赫々たる戦果を上げ、見事新人賞を獲得しております。

将棋の方ですが、角換わりの出だしから、先手の大石七段と後手の藤井七段が共に早繰り銀を目指す、やや変わった将棋に。
先手の大石七段が手持ちの角を、また後手の藤井七段が交換した銀を早めに手放す展開になったため、どちらの駒が働くか、というのが争点になりました。

難しい局面もあったように思えましたが、藤井七段は冷静でした。
74手目の△3一金や、82手目の△7一銀打で相手の攻めを遅らせ、最後は118手目の△1三玉で大石七段の最後の追求をかわし、勝利を収めました。

そして暮れも押し詰まった12月28日に行われたのが対村田顕弘六段。
村田顕弘六段といえば、師匠である中田章道七段譲りの詰将棋作家としての一面。
将棋世界の詰将棋コーナーの担当も務めていたように思います。
なお、兄妹棋士として有名な村田智弘六段との血縁関係は、ありません(おい)

将棋の方ですが、オールラウンダーな村田顕弘六段が、なんと▲2五歩▲2七銀型から、おもむろに飛車を8筋へ振るという、驚きの陽動振り飛車を披露。
この戦法は、確か佐藤「会長」九段が得意としていたように思います。
この方が採用しているということでお気づきの方もいるかと思いますが、指しこなすには大変高度なバランス感覚が要求される、極めて難易度の高い戦法。
良い子は簡単にマネしないように(苦笑)

ゆっくりした展開になり、先手が悠々と銀冠、後手が矢倉模様に組み上げる将棋となると先手のペース。
というわけで藤井七段は、村田顕弘六段が駒組みを進めている隙を突き、猛攻を仕掛けます。
そしてそのまま押し切って勝利。
それにしても、棋譜を見ているだけでため息が出るほどの、豪快な斬れ味でした。

■ニコ生将棋企画 大井競馬全レース爆買いツアー(第3回)

最後はちょっと趣向を変えて。
12月27日のニコニコ生放送で放映された、第3回大井競馬全レース爆買いツアーの話題を。

将棋界と競馬は、割と切っても切れない関係。
羽生九段や先崎九段がデビューしたてのころは、対局中に馬券を買いに行かせるツワモノの棋士も居たとかいないとか。
今でも、競馬を趣味とする棋士は多いです。

というわけで早くも第3回となった、将棋棋士に大井競馬の全レースを買わせてみよう、というのがこの企画。
今回の出場者は高見叡王・渡辺棋王・田村「親方」七段・藤森「大井競馬民」五段。
いずれ劣らぬツワモノ揃いとあって、当初予算(意味深)5万円にも関わらず、第1レースから5千円単位の実弾が飛び交う熾烈な展開に。

まだ全部見切れていないのに紹介するのもアレなのですが、とにかく楽しい。
タイムシフトで全部見られますので、年末年始の暇つぶしにオススメしときます。

それにしても、第11レース(メインレース)で大井競馬場に鳴り響く『Transmission』は中々格好良かったです。
「世界一将棋の強いギタリスト」西尾六段、渾身の作品。

困惑する大井競馬民。
それを見て楽しむ将棋民。
いやー楽しかったw

by mitsuboshi03 | 2018-12-29 14:04 | 将棋 | Comments(0)
いやー、ついにやってまいりました、冬至。
毎年書いている気がしますが、日頃から日差しの少ない「半日村」に住んでいる身としては、「これ以上夜明けが遅くなることはない」冬至を迎えるのを楽しみにしながら、ここ数カ月あたりを生きておりますのでw
細川氏のblogも、この時期になると必ず冬至祭の話題になったのを懐かしく思います。

さて今回も将棋ネタ。
年末が迫ってきたこともあり、大ネタ満載。
ということもあり、なるだけあっさり風味でいきたいのですが。
まずは、すでに皆様ご存知のあの話題から。

■広瀬新竜王と、そして、羽生前竜王と(竜王戦七番勝負 第7局)

まずは、なんと昨日の町内忘年会でも話題となったこの話題から。
12月20・21日に山口県下関市で行われた、竜王戦七番勝負の第7局です。
対局場所は、あの巌流島に近い所のようですね。
あと下関のこの時期といえば、なんといってもふぐ。
地元では、ふぐ、ではなく、ふく、と濁らずに読むんだそうな。

とかく羽生竜王のタイトル100期か、無冠転落か、という切り口で語られることの多かったこの七番勝負。
とはいえ、個人的には、今年上半期の将棋界の話題を根こそぎかっさらっていった豊島二冠に続き、今年下半期の上り馬であった広瀬八段に、なんとかタイトルを取らせてあげたい、という思いも強かった。

しかしまあ、人が何を思おうが、とにかく決着は盤上でつく。
私にできることは、盤上での結末を、うまく表現することくらいかなと。
そう思いつつ、仕事に没頭した第7局の2日間でした。

さて将棋の方ですが、運命の振り駒は、と金が3枚。
広瀬八段の先手番に決まり、スラスラと角換わり腰掛け銀の最新型に進みます。
1日目は広瀬八段が先手有利とされる進行を選び、リードを奪ったかに思えました。
しかし、それに対する羽生竜王の対策が見事で、封じ手の局面では、むしろ羽生竜王側が有望なのでは、というのがウチのやねうら王の見立てで、私としても比較的納得のいく変化手順を示してくれていました。
このあたりの進行は、若手棋士たちの研究課題となりそうですね。

とはいえ、形勢は微差。
特にこの七番勝負では終盤戦に持ち味を発揮する広瀬八段ですので、ここから単純に羽生竜王が逃げ切るのは容易ではないな、と思いながら、2日目の昼休み中に棋譜を確認。
ざっと見て、「これは長い将棋になりそうですな」とスマホを閉じました。

勝敗を分けたのは、2日目の午後の進行。
どうも羽生竜王が悪い順を選択していたことが多く、少しずつ広瀬八段の指しやすい展開に。
そして、馬筋から王様を逃して当然の一手と見られていた117手の△2二玉が、結果的には敗着となったようです。
羽生竜王も必死に粘りの順に出たものの、こうなると今の広瀬八段には見逃してもらえません。

以下、167手までで羽生竜王が投了。
数々の話題をさらった平成最後の竜王戦七番勝負が、幕を閉じました。

まずは広瀬新竜王、おめでとうございます。
今年の下半期はとにかくどの棋戦でも勝ちまくっていただけに、どこかでタイトルを取らせてあげたい、と思わずにはいられない勢いを、そのままぶつけていきました。
特に第4局など、終盤まで悪かった将棋をひっくり返したのが印象に残ってます。
やはり終盤での逆転勝ちで1つ2つ拾っていかないと、七番勝負を勝つのは難しいですね。
なおインタビューでは、昨年末に結婚した奥さんを気遣うコメントもありました。
安心して将棋に打ち込める環境作り、大事です。

そして、19歳での初タイトル(竜王)戴冠以来、27年ぶりの無冠となった羽生前竜王。
羽生九段の呼称説も根強いのですが、新聞報道では前竜王でいく、とのこと。
ぶっちゃけ永世七冠呼びでもいい気がしますが(おい)

残念ながら敗れはしたものの、序盤戦では広瀬八段を押し込む進行が多かったように思えます。
勝敗を分けたのは、やはり終盤。
衰えた衰えたと言われつつも、なんやかんやと工夫してトップクラスの実力を保ち続けてはきましたが、さすがに絶好調の広瀬八段相手には荷が重かったか。
特に第4局の好局を落としたのは、個人的に大変ショックを受けました。

とはいえ、まだ全てを失ったわけではありません。
「やられたら100倍にして返す」のがモットーの羽生前竜王。
リベンジの機会を、虎視眈々と狙ってくるでしょう。
個人的には、再来年あたりに叡王を取っての「生涯八冠&タイトル100期達成」を狙ってくるのではないかとw
なお今期の叡王戦では本戦1回戦で菅井七段に敗れたため、来年の叡王戴冠はありません。

時代が動いた。
そんな思いを感じさせられた、平成最後の竜王戦七番勝負でした。

■広瀬竜王、佐藤名人を破り、渡辺棋王に挑む(棋王戦 挑戦者決定戦)

さて今度は将棋界冬の風物詩の一つである棋王戦。
挑戦者決定戦の第1局が12月17日に行われ、広瀬竜王(この時点では八段)が佐藤名人を破り、渡辺棋王への挑戦権を獲得しました。

相変わらずどこの棋戦でも勝ちまくっている広瀬竜王ですが、佐藤名人も春の名人戦へ向けて調子を上げている最中。
佐藤名人は2連勝が必要とはいえ、そうなる可能性も十分考えられた、のです、が。

将棋の方ですが、振り駒で後手番となった佐藤名人が、序盤早々に5筋の歩を飛車で取らせ、先手の歩得vs後手の手得で対抗しよう、という力戦模様の展開を選びます。
しかしここで広瀬竜王が積極的な指し回しを見せ、いつの間にやら先手から攻勢をかける展開に。
どうも佐藤名人が無難にまとめすぎたようで、もっと手得を活かし、先手陣にプレッシャーをかける進行を目指さなければならなかったようです。

今の広瀬竜王を相手に、序盤でリードを奪われてしまっては、どんな棋士でも勝つのは難しい。
以下は広瀬竜王の猛攻が炸裂し、89手という短い手数で広瀬竜王が勝ちを収めました。

さて、今年下半期絶好調の広瀬竜王を待ち受けることとなった渡辺棋王。
渡辺棋王も、年内のA級復帰と、将棋日本シリーズ制覇という成果をすでに得ており、調子を上げてきてはいるのですが、今の広瀬竜王は間違いなく強敵。
終盤勝負となると、渡辺棋王といえども容易ではなさそうなだけに、渡辺棋王の序盤の選択が勝敗を大きく左右するかと思います。

渡辺棋王は、とにかく虎の子の棋王をなんとしても守りたいところ。
一方広瀬竜王は、ここで勝って二冠達成、と勢いを持続させたいですね。
棋王戦五番勝負の第1局は、2月2日(土)に石川県金沢市の「北國新聞会館」で行われます。

■きょうの藤井聡太(順位戦で門倉五段を撃破。全勝をキープ)

今度は、きょうの藤井聡太を。
今週は12月18日にC級1組順位戦で対門倉五段があり、勝利して順位戦全勝をキープしています。

門倉五段といえば、NHK杯戦での記録係が印象深いところ。
NHK杯戦での記録係には、奨励会でのそれなりの期待枠を持ってくることが多く、棋士になる確率も比較的高い気がします。

将棋の方ですが、門倉五段の先手ということで、棋風通りに四間飛車を選択。
藤井七段が当然のごとく居飛車穴熊を目指すと、門倉五段は藤井システムを見せて牽制。
これに対して藤井七段が妥協し、左美濃に囲いますが、門倉五段はさらに「許さん」と▲4七銀から▲3八金として、飛車を2筋に回して左美濃を上から直撃しようと図ります。
本局ではここから小競り合いからの開戦ということになりましたが、プロ棋士らしい、コクのある駆け引きが見られた序盤戦となりました。

中盤でポイントとなったのが、56手目の△2九飛。
門倉五段が飛車角交換をして攻勢に出たところへ、藤井七段がもらった飛車を敵陣深くに打ち込んだのですが、この一手で門倉五段の王様が急に危ない形となり、以下は藤井七段がよどみなくまとめて、88手にて藤井七段が勝利しました。

これで藤井七段はC級1組順位戦で7連勝を達成。
上に近藤誠也五段と杉本「師匠」七段がおりますが、全勝すれば無問題で昇級できます。
しかしこの他にも1敗こそしましたが、順位上位の船井六段も控えており、昇級争いはまだまだ予断を許さないところです。

藤井七段の順位戦最大の難所は、なんといってもラス前に組まれた対近藤誠也五段戦。
全勝対決ということも十分考えられる大一番。
このまま連勝を続ければ、師匠と揃ってのダブル昇級の可能性大。
果たして、達成できますでしょうか。

■来年度から王将戦に大阪王将が特別協賛。ヒューリックは女流タイトル戦に清麗戦を新設。

さて最後に、棋戦に絡むお話を2つ。

まずは歴史がありながらも、長年スポンサー不足に苦しむ貧乏棋戦ということで、存続が危ぶまれておりました王将戦ですが、大阪王将を運営するイートアンド株式会社が特別協賛となり、来期から正式名称を「大阪王将杯王将戦」として再出発することとなりました。

ネット将棋界隈では、冗談で「大阪王将か餃子の王将にスポンサーしてもらえばええやん」という声がちらほらあったのですが、まさかホントになるとはねえ。
それにしても、「餃子の王将」だとホントにネタにしかならないだけに、まだ「大阪王将」でよかったのかな、という気がします(おい)
あと大阪王将というと、将棋界では、明治から戦前にかけて関西将棋界で活躍された阪田三吉贈名人・王将(戯曲・映画『王将』で有名なあの方)をなんとなく連想させますね。

また、棋聖戦を特別協賛しているヒューリック株式会社(不動産の会社です)が、新たに清麗(せいれい)戦という女流タイトル戦を新設することに。
なんといっても、優勝賞金700万円という、女流棋戦最大の賞金が魅力。
またこれに伴い、タイトル「清麗」は女流タイトル序列1位ということになります。

女流棋士にとっては、大変励みになるのではないかと思われます。
またこれにより、女流棋界がますます活性化して、女流棋士を目指す方が増えるといいですね。

by mitsuboshi03 | 2018-12-23 13:54 | 将棋 | Comments(0)
最低気温がマイナス5度を割り込むようになってきました。
いよいよ本格的な寒さの到来です(涙)
まあ、最高気温がまだプラスなのでまだ温情ではありますが(おい)

昨日からの連投になりますが、将棋ネタを一応やっておこうかと。
これから年賀状を書かねばならんので、いつも通りあっさり風味で(おい)

■羽生竜王、昼休前にマットに沈む(竜王戦七番勝負 第6局)

まずはこれでしょう。
羽生竜王のタイトル100期がかかる大一番。
竜王戦七番勝負の第6局です。

将棋の方ですが、後手番の羽生竜王が横歩取りを採用。
対して広瀬八段は、現在横歩取りにとって天敵ともいえる青野流で対抗。
この青野流をどう凌ぐのかと思っていましたら、羽生竜王は変則的な相横歩取りを採用。
この指し方、一部の若手棋士で注目されているようでして、千田六段が将棋世界の連載記事で言及していたり、永瀬七段が実際に採用して勝利したりしております。
相横歩取りというと、比較的短い手数で終わる激しい将棋になることが多いのですが、本局も類例に漏れず、1日目の午後あたりから勝負どころを迎える将棋となりました。

局後の検討によると、どうも封じ手のあたりで先手がだいぶ良いらしく、羽生竜王はかなり形勢を悲観していたようです。
コンピュータによると、54手目の△1九角成が敗着で、代えて△4五桂ならまだまだ戦えた、という見解のようですが、その後の変化手順を見る限り、人間が羽生竜王側を持って指しこなすのは相当困難だったようです。

というわけで、竜王戦史上最速の12時7分に羽生竜王が投了。
まさかの昼休み前の終局となりましたが、羽生竜王にとってはそれほどダメージの残らない将棋だったのではないかと。
もともと不利な後手番ですし、負けた原因は戦法選択の誤りということでハッキリしておりますし、下手に粘って体力や精神力を消耗するよりは、よかったんじゃないかと。
気持ちの切り替えは、十分できると思ってます。

それにしても、広瀬八段はうまく指しましたね。
一手のミスが命取りとなる激しい将棋でしたが、あの羽生竜王を相手に、一歩も引かない戦い方ができました。
最近の充実ぶりを見事に証明した一局といえるのではないでしょうか。

この結果、竜王の行方は、最終第7局に持ち越されることとなりました。
第7局は、12月20、21日に山口県下関市の「春帆楼」で行われます。
羽生竜王のタイトル100期達成か、あるいは初タイトルを獲得した19歳以来の無冠転落か。
将棋界の2018年最後の大一番となること必至。
絶対に目の離せない一番です。

■棋王戦挑戦者決定戦 展望

今度は将棋界冬の風物詩である棋王戦の話題を。
2敗失格方式の変則トーナメントで行われる棋王戦の挑戦者決定戦トーナメントですが、12月8日に敗者復活戦の最終局が行われ、佐藤名人が黒沢五段を下し、挑戦者決定戦に駒を進めることとなりました。
黒沢五段の驚異の快進撃を見たかったのですが、何しろ相手が名人だったので致し方なし。

さて佐藤名人のお相手は、もはや「またかよ」という感じの広瀬八段。
最近の充実ぶりは著しいだけに、この勢いで久々のタイトル奪取を決めたいところ。
とはいえ佐藤名人も、名人戦に向けて徐々に調子を上げてきているだけに、勝敗の行方は予断を許さないところです。

先ほども申し上げましたが、2敗失格方式の変則トーナメントのため、まだ負けていない広瀬八段には1敗する余裕があります。
というわけで、広瀬八段は1勝1敗までなら挑戦者決定。
佐藤名人は、広瀬八段相手に2連勝が必要となります。

注目の第1局は、12月17日に行われます。

■きょうの藤井聡太(史上最速の100勝達成!)

なぜか今回もやることになりました、きょうの藤井聡太。
すでに報道もたっぷりされておりますが、史上最速の100勝を達成しましたのでそれについて。

100勝目を決めたのは、12月12日に行われた銀河戦での対阿部健治郎七段戦。
テレビ棋戦のため、放映自体はまだ先なのですが、こういう話題のときは放映前でも結果を伝えるのが最近の傾向のようです。

ちなみにこの記録、達成日の年齢、四段昇段後からの期間、100勝達成時の勝率、このすべての記録を打ち破っての大記録達成となります。
詳細については、いつもお世話になっております「将棋のブログ」さんから転載しますと、

<100勝達成時の記録>
※左側から名前、達成日年齢、四段昇段後からの期間、100勝達成時の勝敗
藤井七段 16歳4ヶ月23日(2年2ヶ月11日) 100勝18敗
羽生竜王 17歳6ヶ月20日(2年3ヶ月29日) 100勝27敗
中原十六世名人 20歳10ヶ月7日(2年9ヶ月8日) 100勝21敗

記録といい、それまでの記録保持者の格の高さといい、文句のつけようがありません。
私個人としては、棋士全員が好きなタイプなので、「きょうの藤井聡太」のように棋士一人に焦点を当てる記事を作ることには結構葛藤があったのですが、これだけの大棋士を重点的に追いかける、ということには意味があるのかな、ということを改めて感じさせました。

いずれにしろ、これは通過点。
本人も重々承知していると思いますが、まずは順位戦昇級とタイトル奪取ですね。

最後になりますが、藤井七段、100勝達成、おめでとうございます。

by mitsuboshi03 | 2018-12-16 09:33 | 将棋 | Comments(0)
普段の3倍になった会社の仕事に加え、年末に向け加速する地区の行事ラッシュ。
…フフフ、キレてないっすよ。
俺をキレさせたら大したもんですよキヒヒヒ…(マジキチスマイル)

そんな中ではありますが、一応記事は更新します。
いつもの将棋ネタです。
まあこんな調子ではありますので、いつもながらのあっさり風味で。

■羽生竜王、夢のタイトル100期へ王手(竜王戦七番勝負 第5局)

まずはタイトル戦の番勝負から。
竜王戦七番勝負の第5局が、12月4日・5日に石川県七尾市の「和倉温泉 加賀屋」で行われ、羽生竜王が勝利して通算成績を3勝2敗とし、タイトル防衛へ王手をかけました。

さて将棋の方ですが、先手番の羽生竜王が矢倉模様を志向。
これに対し、後手の広瀬八段は早めの桂馬跳ねの仕掛けではなく、5筋の歩を角で交換するタイプの急戦で応じます。
私の記憶が確かならば、これは渡辺棋王が羽生竜王相手に、竜王戦七番勝負で3連敗4連勝を達成したときに使った戦法だと思われます。
基本的には後手から攻める戦法なのですが、重厚な棋風の広瀬八段は、6五歩から局面を落ち着かせて、じっくり攻めの体制を築く順を選びました。

勝敗を分けたのは、48手目の△8一飛。
これには次の▲2七角から、6三にある銀をいじめる順が想像以上に厳しく、以後は広瀬八段が防戦一方、という展開になります。
とはいえ、この後の広瀬八段の粘りに手を焼く、ということも多い今季の竜王戦なだけに、羽生竜王も気が抜けないところでしたが、本局は手堅くまとめ、127手目の▲3五歩と、広瀬八段の王様の上部脱出を阻む一手が決め手となりました。

第4局ではまさかの逆転劇に悲鳴が上がりましたが、勝負どころの本局を押さえたのはさすが羽生竜王、といったところ。
狙った獲物は逃さない、のが羽生竜王の真骨頂でありますが、夢のタイトル100期、果たして達成できますでしょうか。

次戦の第6局は、12月12日(水)・13日(木)に砂蒸し風呂で有名な鹿児島県指宿市で行われます。
3月のライオンでのタイトル戦の舞台となったことでも有名な場所ですね。
さてここでタイトル100期達成となるのか、最終第7局へ結末を持ち越すのか。
ますます目の離せない展開となってきました。

■王将戦プレーオフ、激闘を制したのは渡辺棋王

今度は久保王将への挑戦者を決める王将戦プレーオフの話題を。
リーグ戦成績上位の渡辺棋王と糸谷八段との最終決戦が12月3日に行われ、勝った渡辺棋王が久保王将への挑戦権を獲得することとなりました。

将棋の方ですが、角換わりの出だしから、振り駒で先手番を握った糸谷八段が、早繰り銀から早めに▲5六角と持ち駒の角を手放す将棋を選択。
そこから銀交換から第2次駒組み、という展開となったのですが、局後に糸谷八段が悔やんだのが、37手目の▲5八金。
手順に玉側へ金を寄せて自然の一手のように思えましたが、後手が角を手持ちにしていることを考えると、最近流行りの▲4八金~▲3七桂~▲2九飛に構える方が勝ったかも、とのことです。
以後は後手が手順に玉を2二まで入場させてから、先手陣の弱点である6筋の歩を伸ばしていく、というわかりやすい構想から、渡辺棋王が手堅くまとめて勝利しました。

秋冬シーズンに向け、しっかり調整してきた渡辺棋王。
将棋日本シリーズを制したのを皮切りに、王将奪取と棋王防衛ができれば文句なしですが、果たして達成できますでしょうか。
しかし久保王将も、振飛車党党首として、虎の子のタイトルは譲れないところ。

注目の王将戦第1局は、来年1月13・14日に静岡県掛川市の「掛川城 二の丸茶室」で行われます。
最近すっかりおなじみになった「お城対局」の拠点の一つですね。

by mitsuboshi03 | 2018-12-09 15:20 | 将棋 | Comments(0)
会社の仕事が3倍マシマシで忙しくなり、ついでとばかりに地区の行事も重なる羽目に。
まさにハチャメチャが押し寄せてくる状態。
泣きはしませんが、身体はめげそうです…。

今回も懲りずに将棋ネタ。
タイトル戦の話題がないこともあり、あっさり風味でお送りします。

■久保王将に挑むのは、渡辺棋王か、糸谷八段か(王将戦挑戦者決定リーグ 最終局)

まずは大詰めを迎えている王将戦の挑戦者決定リーグから。
しばらく前にラス前の様子を紹介しましたが、11月26日に最終局が行われました。
それでは対戦結果とリーグ戦の結果をまず簡単にご紹介します。

☆最終局結果

●佐藤天彦名人 vs 〇糸谷哲郎八段
●豊島将之二冠 vs 〇渡辺明棋王
〇郷田真隆九段 vs ●中村太地七段

☆リーグ戦結果

糸谷八段:4勝2敗 プレーオフ進出
渡辺棋王:4勝2敗 プレーオフ進出
広瀬八段:4勝2敗 リーグ残留 ※順位の差により、規定によりプレーオフへは進出できず
豊島二冠:3勝3敗 リーグ残留
佐藤名人:3勝3敗 リーグ陥落 ※順位の差による
郷田九段:2勝4敗 リーグ陥落
中村七段:1勝5敗 リーグ陥落

王将戦のリーグ残留やプレーオフ進出の規定には、前年度のリーグ成績順につけられる順位の差が大きく関わっています。
同じ4勝2敗だった3名ですが、糸谷八段が順位3位、渡辺棋王が順位4位、そして予選上がりの広瀬八段が順位5位、ということで、順位上位の糸谷八段と渡辺棋王がプレーオフへ進出、ということに。
また同じ3勝3敗だった豊島二冠と佐藤名人ですが、前年度挑戦者の豊島二冠の方が順位が上、ということで、豊島二冠が来年度は順位4位でリーグ残留、ということになっております。

というわけで王将戦リーグは、まずはとにかくリーグに残って順位を上げることがまず大事。
予選上がりから挑戦権を確保したいなら、少なくとも5勝1敗以上の成績が必要になるかと。

さて挑戦権争いですが、渡辺棋王と糸谷八段とのプレーオフ、ということになりました。
糸谷八段の自由奔放な序盤に、渡辺棋王の事前研究がはまるのかはまらないのか、という勝負になりそうです。
個人的には、どうにもこうにも噛み合わずに泥仕合になることを期待しておきますが(おい)

■こちらも大詰め、棋王戦挑戦権争い

王将戦と同時期に五番勝負が行われる、棋王戦の挑戦権争いも佳境を迎えてきました。
準決勝以降は2敗失格方式の変則トーナメントとなるこの棋王戦。
肝心の挑戦権争いですが、本戦トーナメントを勝ち上がった広瀬八段が、敗者復活戦の佐藤名人-黒沢五段の勝者を待つ、という構図になっております。

なんといっても、棋王戦で近年大暴れする黒沢五段の活躍が特筆すべきところ。
挑戦者になるには、佐藤名人に勝ってから、広瀬八段相手に2勝するというかなりの無理ゲーを突破する必要があるのですが、こと棋王戦に限っては、この男ならなんとかしてしまいそうなのが怖いところ。
下剋上からのタイトル奪取、果たして成功するでしょうか。

■渡部女流王位、王位戦でまさかの快進撃

今度は(一応)女流棋界の話題を。
今年里見女流五冠の牙城を崩し、見事タイトルを奪取した渡部女流王位ですが、女流枠で進出したプロ棋戦の王位戦1次予選でも快進撃を続けております。
ここまで、木下七段・泉八段・門倉五段に勝利。
次の相手が難敵の佐藤秀司七段なのですが、ここを突破してしまえば、まさかの二次予選進出も視界良好、となってきます。

ここで勝ち星を稼げば、場合によってはプロ棋士編入試験への期待も高まってきます。
まだまだ先は長いですが、これからに期待したい女流棋士の一人であります。

■きょうの藤井聡太(ニコ生ではじめてのおしごと)

さて最後にきょうの藤井聡太を。
今週対局はありませんでしたが、ニコ生で解説デビューを果たすことに。
叡王戦本戦の羽生竜王-菅井七段戦というカードも良かったですが、解説のサポートをしたのが山崎八段と貞升南女流という超豪華編成。
多忙のためまだ中身はチェックできていないのですが、今から観るのが楽しみです。

by mitsuboshi03 | 2018-12-02 11:15 | 将棋 | Comments(0)
12月の初めころに初雪の降る我が家周辺。
それに備え、例年通りこの時期に車のタイヤをスタッドレスに交換しました。
業者に頼めば楽なのですが、考えることは皆同じ。
かなり前からの事前予約が必要なため、面倒ですが自力で交換してます。
早くもくそ寒い北風の中、1時間ほどで交換完了。
あぁ、今度は年賀状だ…(涙)

さて今回も将棋ネタ。
この3連休は重要な対局が目白押しで、がっつりネット観戦しましたので、その成果を中心にお送りします。

■羽生竜王、最終盤にまさかの失速(竜王戦七番勝負 第4局)

まずはタイトル戦の動向から。
11月24・25日に京都の福知山城で行われた竜王戦七番勝負の第4局ですが、先手番の稲葉八段が勝利し、通算成績を2勝2敗の五分に戻しました。

将棋の方ですが、またも角換わり腰掛銀の最新型に。
先手後手双方で複雑な手待ちをする駆け引きの末に、結局は▲6八玉△6二玉型の先後同型から、先手の稲葉八段が仕掛ける形となりました。
中盤から羽生竜王がリードを奪い、終盤では羽生竜王がどう決めるか、という状況にまでなったのですが、そこから羽生竜王がまさかの失速。
あっという間に形勢が入れ替わり、最後は稲葉八段が勝利を収めました。

盤面では稲葉八段が悪手を重ねて形勢を損ねていたように思えるのですが、羽生竜王の読みを外すことにはおそらく成功しており、羽生竜王にかかる負荷は並々ならぬものがあったようです。
また形勢が悪いとはいえ、そこからわかりやすい勝ち方があったわけではなかったのもポイント。
形勢が良いとわかっているのにも関わらず、具体的な勝ち方が見えない、というのは、想像以上に棋士の精神力を奪っていきます。
そして、みるみるうちに減っていく持ち時間。
最近の稲葉八段は形勢の悪い将棋を拾っていくことが多いのですが、その勝ちパターンに見事にハマった、といえるのではないでしょうか。

終盤での失速という、全盛期の羽生竜王を知る者としてはショッキングな結末となりましたが、そうはいってもまだ2勝2敗の五分。
実力自体はまだまだ挑戦者に引けをとるとは思えないだけに、うまく立て直しができれば、タイトル100期達成は十分可能でしょう。

そして、楽しかったネット観戦についても一言。
ニコ生では、1日目に佐藤秀司七段と高群女流という、昭和の香りただよう安定感抜群のセットを堪能。
そして2日目は、永瀬「軍曹」七段と佐々木勇気七段(先日見事に昇段されました)の、若手トップクラスの実力者によるハイレベルな研究と爆笑トークを楽しませてもらいました。
あまりのガチ解説ぶりには、ときに「試される視聴者」の一人として背筋の凍る思いをしましたが(汗)
またAmebaTVでは、木村「将棋の強いおじさん」九段と北浜「係長」八段による、こちらも鉄板編成の安定した解説があり、こちらも楽しませてもらいました。
それにしても、これだけの環境で将棋観戦を楽しめるとは、良い時代になったものです。

■きょうの藤井聡太(順位戦で増田六段に勝利。叡王戦本戦では斎藤慎太郎王座に敗北)

さて、きょうの藤井聡太を。
11月23日に叡王戦本戦で斎藤慎太郎王座との大一番の対局があり、残念ながら敗北しております。
将棋の方ですが、角換わり腰掛銀の最新型から斎藤王座が鋭く踏み込む変化を採用し、激しく抵抗する藤井七段を徐々に追い詰めていきます。
終盤まで斎藤王座の盤石の体制で勝負あった、と思われたのですが、最終盤での斎藤王座の一手の緩みを見逃さず、藤井七段が猛然と追い上げます。
ここまで何度も見せた逆転劇の再現なるか、と思われたのですが、勝利の女神が微笑んだのは斎藤王座。
藤井七段の挑戦は、あと一歩及びませんでした。

残念ながら勝利は得られなかった藤井七段ですが、斎藤王座に完勝を許さなかった粘りは見事。
斎藤王座も反省しきりでしたが、トッププロをここまで追い詰めた、という実績は今後の藤井七段にとって大きな財産となるはず。
これまで何度も書いてきましたが、こういう勝負を積み重ねることが、今後の大きな成長につながります。
こういう相手との戦いを、どんどん積み重ねてほしいですね。

そして順序が逆になりましたが、11月20日にC級1組順位戦での大一番である、対増田六段戦が行われ、勝利を収めております。
増田六段といえば、関東期待の若手の筆頭格。
順位戦ではここまで2敗とはいえ、昇級するためには最大の難敵といってよいでしょう。

将棋の方ですが、先手の増田六段がまさかのツノ銀中飛車を採用。
竜王戦本戦では急戦矢倉を採用して勝利した増田六段ですが、ここでも序盤で工夫してきました。
とはいえここは藤井七段も冷静に対応し、俗に「elmo囲い」と呼ばれる対振り飛車最新型の囲いから鋭い攻めで一気に勝利をものにしております。

最大の目標である順位戦連続昇級にむけて、見事難敵を下すことができました。
まだまだ先は長いですが、大きな山を一つ越えたといってよいでしょう。
また師匠の杉本七段も揃って全勝をキープ。
史上二度目となる師弟同時昇級、果たして達成できるでしょうか。

by mitsuboshi03 | 2018-11-26 19:33 | 将棋 | Comments(0)
秋も終わりに近づいてきました。
いよいよ冬支度の準備の時期ですね。
とりあえず来週は、スタッドレスタイヤに交換かな。

さて今回も将棋ネタ。
とはいえ、今週は将棋の日に当たるため、大きな対局がありません。
というわけで今回は、いつもとはちょっと違う切り口でお送りします。

■将棋の日とは

さてまずは、「将棋の日」について。
江戸時代に年1回、時の将軍の御前で対局を行う日があり、これを御城将棋と呼んでおりました。
この日が11月17日だったということで、将棋連盟でもこの日を「将棋の日」として制定。
こうして「将棋の日」が生まれたわけです。

この日の近辺では、主に土日を使って将棋連盟主催のイベントが数多く行われます。
一番のメインのイベントは、毎年Eテレで放送されることもあり、もしかすると見かけた方もいらっしゃるかもしれませんね。

■『師弟 棋士たち魂の伝承』、読みました

プロカメラマンの野澤亘伸さんが書いた話題の本、『師弟 棋士たち魂の伝承』を遅ればせながら読みましたのでちょいと紹介。
プロ棋士たちの師弟関係に注目して書かれたインタビュー記事をまとめたもので、ハードカバーな分お値段お高めなのですが、プロ将棋界に関心の高い方にはぜひともオススメしたい本です。

取り上げた師弟関係は6組。
その筆頭格は、なんと言っても杉本師匠-藤井七段かと思いますが、個人的には石田師匠-佐々木勇気六段編をオススメ。
師匠の石田九段がまた味のある方なんですよねえ。
かつてのA級八段棋士で、解説名人として評判の高かった方です。
筋の良い手がパッと見える上に、立て板に水が流れるような名調子。
石田九段が解説するNHK杯の中継は、欠かさず見ていた気がします。
それとこの方、なんとなくbleem!さんに一脈通じるところがあるような(おい)

■きょうの藤井聡太(朝日新聞の連載記事、そして11月23日は叡王戦)

最後に、きょうの藤井聡太を。
今週対局はありませんでしたので、朝日新聞の連載記事『大志』をちょっと紹介。

『大志』は、藤井七段の半生を手堅くまとめた連載記事で、おそらく近いうちに本にまとまると思われます。
今は日曜日発刊の朝日新聞本紙か、有料のweb記事で全部読むことができます。
連載自体はもう終盤戦、というか特別編に進んでいて、主に藤井七段のライバルとなりそうな棋士たちの話題を取り上げております。

今日は増田六段編。
今年の竜王戦決勝トーナメントで、増田六段が藤井七段を破ったときの話が中心。
肝心の朝日新聞を親父に取り上げられたため詳細は書けませんが(おい)、増田六段得意の急戦調矢倉をぶつけられて、常に先手先手を取られて防戦一方の将棋になってしまった、という話を、藤井七段流の難しい言い回しで表現していたのが印象に残りました。
最近の高校生の言葉、難しいですね(彼だけだと思いますが)

さて来週ですが、11月23日に叡王戦本戦で斎藤慎太郎王座との決戦が控えております。
いつもなら全裸待機でニコ生最前列余裕、という展開ですが、ことこの一戦に限っては、最前列争いが熾烈を極めるものと予想されます。
震えて待て(俺が)

あと、12月1日に行われる叡王戦本戦の羽生竜王-菅井七段戦を、藤井七段が解説することが決まっております。
こちらもガッツリ見たいのですが、残念ながら地区の行事ががが。

なお、まだ聞き手が決まっていないのですが、姉弟子の室田伊緒女流二段の登場を待望する勢が多数。
この時期は、他に将棋イベントなどもあって、女流棋士は引っ張りだこ。
どういう展開になるかは、予断を許さないところ。
場合によっては、男性プロ棋士とのダブル解説もあり、かなあ。

by mitsuboshi03 | 2018-11-18 14:58 | 将棋 | Comments(0)
朝晩めっきり冷えて、自転車や徒歩で出かけるのに着るものが増えてきた今日このごろ。
今週末は幸いにも特に何もなかったので、ちょっと神社を散歩したり、TVを見たり。
日米野球での柳田の一発攻勢に、「そうか、その手があったか」と思ってみたり。
はたまた、フィギュアのNHK杯での紀平梨花の演技に心底驚いたり。
この子、しれっとトリプルアクセルを2回(うち1回はコンビネーション)跳ぶんですが。
「若者の人間離れ」カテゴリに、また1人入会者が。
ちなみにこのネタ、あとでまた取り上げます(えー)

さて今週は人間将棋などイベント満載のため、将棋界の本業はちとネタ枯れ的。
そんなわけで、ここもネタ少なめです。

■里見女流、女流王座&倉敷藤花防衛まで、あと1つに

というわけで、なんと女流棋界の動きをトップに。
今週は里見女流のタイトル防衛戦が2局あり、11月6日に行われた倉敷藤花戦の第1局と、11月8日に行われた女流王座戦の第2局に、いずれも勝利しております。
これにより、どちらのタイトルも防衛まであと1勝、ということに。
いいところまではいくのですが、里見女流の今の実力からすると、ちょっと女流相手では止まらないな、と思わせる勝利でありました。

■大詰めを迎える王将戦リーグ

さてプロ棋士の話題も少しは拾おうと、いつもは取り上げないこんな話題を。
将棋界の冬の風物詩の1つ、トンデモ写真の罰ゲーム王将戦の挑戦者決定リーグ戦が佳境を迎えております。

合計7名の総当たりで行われる王将戦の挑戦者決定リーグ戦。
成績により上位4名がリーグ戦に残留し、下位3名が予選突破者と入れ替えとなります。
そして最上位者は挑戦者として、時の王将と戦うわけですね。
歴史のある棋戦なせいか、順位戦での成績上位者に有利な予選形式となっているため、若手がのしあがっていくのは大変厳しいリーグ戦であります。
あと、ぶっちゃけ主催がスポニチなんで賞金が少な(以下の文言は読み取れない)

挑戦者争いの方ですが、まずは広瀬八段が4勝2敗で一足お先にリーグ戦を終え、他の上位勢を待つことに。
一方挑戦者争いのトップに立っているのは、3勝1敗で並ぶ糸谷八段と佐藤名人。
この2人のどちらかが残り2戦を連勝すれば、めでたく挑戦権をゲットできます。
なおこの2人、ご丁寧にも最終戦で当たります。

そしてキャンセル待ちの立場なのが、ここまで2勝2敗の豊島二冠と渡辺棋王。
次戦が渡辺棋王vs糸谷八段、豊島二冠vs佐藤名人となっておりますので、挑戦権争いに踏み止まるか、はたまたリーグ陥落か、のボーダーラインに立っております。

最後にリーグ残留争いですが、ここまで1勝4敗の広瀬八段が順位の差(リーグ残留の上位勢の成績順に1~4位、予選突破者は5位)もあり陥落決定。
また、同じく1勝4敗の郷田九段もリーグ残留が極めて危うい状況。
残り1枠を引きそうなのが、2勝2敗ながら順位の悪い渡辺棋王。
おそらく、残る2戦を連勝しないとリーグ残留は無理っぽい。

いよいよ大詰めの王将戦リーグを制するのは、果たして、誰か。

それからスポニチの公式発言より。
去年は罰ゲーム写真が手ぬるいとの批判を受けましたので、今年は気合を入れるそうな。
…今頃震え上がっている棋士もいるとか、いないとか。

なお罰ゲーム写真がいかなるものであるのかは、「王将戦 罰ゲーム」でググれます。
簡単でいいけどひでぇw

■きょうの藤井聡太(今週・来週は対局なし 若者の人間離れについて)

さて、今週は対局ないですが、きょうの藤井聡太やります。
例の白鳥先生による叡王戦本戦出場者へのインタビュー企画の話を。

ぶっちゃけ私も滅茶苦茶衝撃を受けました。
藤井七段は、まだるっこしいから脳内将棋盤を使わないんだとか。

脳内将棋盤。
それは、本格的に将棋で強くなろうという者にとっての必須アイテム。
といっても形になるものではなく、文字通り脳内に将棋盤を作って、駒を動かしながら読みを入れるわけです。

私のようなヘボアマチュアレベルですと、1手1手ヒーコラいいながら、7手くらい進めるのがやっとですが、奨励会入りするレベルになりますと、瞬時に数十手進み、また数手戻る、というようなランダムアクセスができるようになるとか。
しかしこの脳内将棋盤、トッププロであっても毎度毎度正確なわけではないらしく、例えば疲れてきたり、体調が悪かったりすると、歩が数枚どっかいったり、形がおぼろげになったりすることもあるそうな。
んで、それで読みが狂うと、例の菅井七段の角ワープのような大事故を引き起こす、というわけです。
それから一歩千金、二歩厳禁。
最近将棋界で流行ってるので(おい)

それを踏まえて藤井七段。
脳内将棋盤を使わずに読みを入れるっていったい。
本人もうまく説明できないようで、インタビューでは終始ニコニコしているばかりだったとのことですが、それを見て凍りつく白鳥先生とニコ生将棋運営班。

あれですか。
いきなりコンピュータに例えますけど、C++やVisual Basicなんぞで悠長にコード書いてるのがまだるっこしいから、0と1で直接コンピュータと会話するわ、とかそういうやつですか。
ぜったい人間やめてるよね、それ。
かろうじて人の形は保っていてくれてますが(おい)

藤井七段のことを、今まで半ば冗談で「将棋星人」とか書いてきましたが、これではっきりしました。
これ、明らかに「若者の人間離れ」ですよ。
もう将棋星から来た将棋星人だと思って、酒飲んで寝ます(待て)

by mitsuboshi03 | 2018-11-11 15:25 | 将棋 | Comments(0)
久々に週2回更新を、やってみたくなりました。
以前にも紹介した白鳥『りゅうおうのおしごと!』先生の叡王戦特別インタビューですが、とにかく丸山九段の回が出色の出来でしたので、この記事を改めて解体新書風味に紹介することとしましょう。
とはいえ本文もそれほど長くないのに、こちらの方がえらく長くなりそうで大丈夫かしら。

それにしても白鳥先生。
本線出場全棋士24人全員のインタビュー記事、完走お疲れ様でした。

まずは一応、元記事のリンクを↓に貼っておきましょうかね。

■なぜこの記事は素晴らしいのか

なぜこの記事は素晴らしいのか。
ポイントは3つあります。

1)将棋を知らなくても、わかる

丸山九段を含め、将棋界のことをまるで知らない方は世の中にごまんと居ます。
そんな人でも、
「なぜ唐揚げではなくヒレカツなのか?」
という質問は刺さるのではないでしょうか。

とにかく、わかりやすいのは、強い。

2)それでいて、内容は、深い

マンガ『将棋めし』など、将棋界の食事やおやつにスポットライトが当たる機会は増えてきましたが、ともすると好みや興味本位で捉えられることが多く、プロ棋士にとって重要な要素の一つである「プロの将棋を指す上での栄養補給」という観点で語られる記事は、ほとんどなかったように思います。
この記事では、この点に関しては世界でも指折りの権威である丸山九段が、その知見の主要な部分をわかりやすく詳細に語っております。

3)丸山九段の記事はSSR級のレアもの

名人2期・棋王1期など、数々の実績を誇る丸山九段ですが、観戦記者や将棋ライターに対して口が重いところがあり、その実績の割には、将棋メディアで取り上げる機会が極めて少ない棋士であります。
丸山九段がこれだけのロングインタビューに応じることは極めて異例であり、この記事が丸山九段を語る上での決定版、と言っても過言ではないかと。
何しろ丸山九段、とっても楽しそうですし。

ただ、最近ではTVやネット中継の解説をする機会も増え、その気さくな性格が一般の将棋ファンにもおなじみになりつつあるのは嬉しいことですね。

■「みろく庵」の若鶏唐揚げ定食(唐揚げ3つ増量)

これが、「丸山定食」としてあまりにも有名になった注文であります。
関東プロ棋士の食事を影で支える「みろく庵」は、土日の配達など色々と融通が効くことで知られておりますが、まさかおかずの増量まで効くとは。

ちなみに、本文にもあります通り、元々の唐揚げ定食についてくる唐揚げは3つ。
3つ増量ということは、唐揚げだけ2倍ということですね。
なおこの唐揚げの画像は「みろく庵の若鶏唐揚げ定食」でググれますが、骨付きの結構大ぶりなやつで、1個でもかなり満足感を得られそう。

だがしかし。
この唐揚げ、最新の情報によると、骨が無くなった普通の唐揚げに変わった模様。
かのチキンカツ教祖の千葉七段がニコ生で「骨が無くなったみたいなんで、試してみたい」と語ったほどの大変革。
これについては、現在まだ残念ながら情報を入手できず、続報を待っているところです。

■だが2014年を最後に、丸山は己の名を冠した『丸山定食』を捨てる。

そして「冷やし中華にチャーシュー追加」という新定跡も放ちつつ、『丸山定食』を採用し続けてきた丸山九段ですが、2015年より、かつて採用していた「ヒレカツ定食となめこ汁のセット」に回帰することとなります。

なぜ丸山九段は唐揚げを捨て、ヒレカツへ戻ったのか。
これが本記事最大のポイントとなります。

■すごい食にうるさい先輩棋士がいまして。

これは「序盤は村山に聞け」で有名な村山慈明七段の言。
割と思ったことをすぐ口に出しちゃうタイプなのですが、悪気は一切ないので愛される棋士ですねw

若手棋士3人を前に、「順位戦の夜にはヒレカツ定食だ」と力説する丸山九段。
それを聞いて、次の順位戦の夕食に3人ともヒレカツ定食を注文。
このようにして、丸山九段が切り拓いた食の新定跡を、若手棋士も追随していくのですね。

■注文していたヒレカツが届かない

これは、今年の1月に行われた叡王戦本戦での対高見六段(当時)での一コマ。
これに勝てば久々のタイトル挑戦、という重要な一局の夕食に、満を持してヒレカツ定食を注文したところ、なんとこの日に限って「みろく庵」が臨時休業のため注文できず。
やむなく親子丼の上で我慢した丸山九段でしたが、「将棋メシ」をとことん重視する丸山九段にとって、これはかなりの痛手となったはず。

もし、この日にヒレカツ定食を注文できていれば。
ひょっとすると、高見叡王ではなく、丸山叡王の世界線もあった、かも。

■カツは切れないんです。

なぜ丸山九段はヒレカツを選ぶのか。
それに対する、実にシンプルな回答が、これです。
栄養が長持ちするんで、夜戦でも頭が真っ白にならずに戦えるとか。

なおこの話、栄養学的にも理に適う話のようです。
将棋2chまとめサイトの「2ch名人」でのとあるコメントによると、プロ棋士が対局で酷使する脳が使う栄養は糖分だけで、これはヒレカツにはほぼ含まれないのですが、ヒレカツに極めて多く含まれる栄養分であるタンパク質は、血糖値を安定させるのに大きな役割を果たすとのこと。
そして血糖値が安定すると、脳も安定して働く、ということみたいですね。

それにしても。
有識者の知見って凄い。

■切れる前に補給する、早め早めの対処が重要なのですね。

カロリーメイトを対局場所へ山のように持ち込むことで知られる丸山九段。
その量の多さに驚いた製造元の大塚製薬が、丸山九段をカロリーメイトのCMに採用したほどです(実話)

しかしカロリーメイトに限らず、「お腹が空いた」からと食事やおやつを摂っても、消化して栄養になるまでには間があります。
なので、脳が「お腹が空いた」と認識する前に、あらかじめ食べておくのが重要、と力説する丸山九段。

この話、どこかで聞いたなあ、と思っていたら、そういや自転車レースで、選手がしょっちゅう水飲んだり、軽食を摂っているのを思い出しました。
自転車レースの世界では、脳が「お腹が空いた」と認識した時点で、すでに「ハンガーノック」と呼ばれる、いわゆる燃料切れ状態になってしまうので、特に長丁場のレースではこまめに食っておくのが重要、というのが常識となっております。

プロの将棋も、朝から晩までの長丁場。
燃料切れでは、頭もまともに働かないですもんね。

■丸山先生はカロリーメイトをブロック、ドリンク、ゼリーで使い分けておられるそうですが、

単にカロリーメイトを大量に準備するだけでなく、ブロック、ドリンク、ゼリーと種類別に細かく使い分けるのが丸山流。
定期的に腹持ちを長くさせるために、消化に時間のかかるブロックを。
短時間ですぐに効いてほしい場合はドリンクタイプを。
ゼリーは冷やせるので、暑い時期に食欲が沸かないときに。
またゼリーはタンパク質の含有量が多いので、ヒレカツの代わりにもなる。

将棋と同様に、食事の世界においても、独自の視点でありながら、極めて理論的に整理された中での戦いを好む丸山九段。
それはカロリーメイトにおいても変わりがないようです。

■しかも魚は昼に採用率が高い。

順位戦での戦いで重要なのは夕食、と力説する丸山九段ですが、昼メシも、夕食につなぐ意味では大事な要素、とのこと。
昼も肉、夜も肉だとさすがに胃がもたれるため、昼は魚など比較的さっぱりしたものを頼むそうです。

若いころならともかく、中年過ぎると身に染みる話ですなあ。

■対局中の食事は仕事と思っています

丸山語録の中でも、極めて重要な一言。
仕事に合わせて、適切な食事を摂る、というのも、社会人にとっては重要なことですね。
とはいえ、食事には気分転換という重要な要素もあるので、あまりに機能面を重視しすぎると、それはそれで心理的に響いてくるのでありますが。

■ソバ茶もよく飲まれるじゃないですか。あれはどういう……?

飲み物も大事。
プロの将棋においてそれを軽視してしまうと、「秒読みの中でのトイレ」という大ピンチを招いてしまいます。
これを防ぐために、丸山九段が採用しているのが、あえてトイレが近くなるカフェイン入りの飲み物を飲むことで、土壇場で爆発してしまうことを避ける、という手筋。
丸山九段は「早期レーダーが働く」と語っておられましたね。
確かにこれは有力な手筋です。

なお、囲碁界ではトイレ休憩が認められているとのこと。
将棋界でこれが認められることは…しばらくなさそうですw

■実戦派なんですね丸山先生は。

とはいえ、これだけの量の栄養を摂る!という考えではない、と語る丸山九段。
実際に色々と試してみて、結果の出たものを採用する、とのこと。
将棋は割と理論派のように見えますが、食事は実戦派のようですねw

■筋トレは自分のペースでできますからね。

先輩の豊川「マンモス」七段に誘われて始めた筋トレを、今も続ける丸山九段。
筋トレして、たくさん食べて、栄養を切らさず戦う、というのが丸山流とのこと。

なお疲れたときはダラダラやって、あんまり気合を入れすぎないのが筋トレを続けるコツ、のようです。
この一言で、私も筋トレ(というか腕立て伏せ少し)を復活させました。
疲れたらダラダラでいい、というのは気が楽になりますw

■おやつとか栄養素とか、そういうのを意識する若手が増えたなってのは思います。

先にも述べましたが、将棋界での食における新定跡を切り拓き続ける丸山九段。
それに若手棋士が次々と追随する、というのは将棋の定跡にも繋がる話で面白いです。

将棋に勝つためなら、(ルールの範囲内で)どんなことでも、とにかくやってみる。
勝ちに繋がらないことは、止める。
というのは、丸山九段を含めた羽生世代が切り拓いた世界でしたね。

■見てる方にとってわかりやすくていいんじゃないですかね?

一転して今度は将棋の話題。
特にネット上の解説では、将棋ソフトを使った解説がすっかり一般的になりました。
これを良しとしない棋士も多いのですが、丸山九段はわかりやすくていいじゃない、と語ります。

「見ている人にとって非常にわかりやすくなったというのが、すごくいいことだったと思います。」
とトップ棋士が語ってくれるのは、観る将棋ファンの一人として、ありがたいことですね。

■私はけっこう食事とかの制度を見て『これはこういう体型の人が有利だな』と思ったりするんで。

これも丸山九段の一言。
私なりに簡単に整理しますと。

・短い持ち時間(TV棋戦~1時間くらい)→関係ない
・そこそこの持ち時間(3時間程度)、食事なし→痩せてる棋士有利(燃費がいい?)
・長~い持ち時間(5時間以上)、夕食あり→筋肉質の棋士有利(燃料タンクが大きい?)

みたいな感じで。
まあ、一つの参考にしてみてはいかがでしょうか。

■いや、私ってけっこう食べるのが早いんで。だからもう休憩中にパッとお願いして。

足りなければ、追加すればいいじゃない。
こういうところは意外と柔軟な丸山九段。
まあ確かに、特にタイトル戦ともなると、「思っていたのと違う」ご飯なこともありますでしょうしね。

■できるだけ消化に時間がかかるような……お腹の中でグツグツとやるようなものが、切れないんです。

特に順位戦のような、長い持ち時間での夕食に最適のごはんはこれ、とのこと。
先ほども出てきましたが、血糖値を安定させて、思考も安定させたい、というわけですね。

なお鰻も一時期試していたとのことですが、ヒレカツの方が1~2時間保つとのこと。
確かに消化が良さそうですもんね、うなぎ。

■とにかくムラが出るんですよ。ヒレカツはムラがないんですよ。

そして。
冒頭の質問に対する回答が、ようやくやってきました。

骨付きの大ぶりなのが魅力な「みろく庵」の唐揚げ。
骨付きなので味は良さそうに思えますが、その代償として、肉たっぷりのこともあれば、皮と骨が多いこともある、と出来栄えにムラが生じる。
一方、ヒレカツは毎回ほぼ同じものが出てくる。
というのが、丸山九段をして『丸山定食』を捨てた理由、とのことでした。

なるほど、確かに一理あります。
しかしそうなると、骨付きでなくなった「みろく庵」の唐揚げが、丸山九段にとってどういう判断をされるのか、私、気になります!

■丸山先生って、食べ物を残すことってあるんですか?

いつもたくさん食べてる印象の丸山九段。
しかし、普段はそんなにたくさん食べてるわけではなく、対局のときは仕事としてたくさん食べる、とのこと。
さすがに40度くらい熱があったときは、全部は食えずに残したそうです。

さ、さすがに不戦敗にしませんかね(震え声)

by mitsuboshi03 | 2018-11-04 16:16 | 将棋 | Comments(0)

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