カテゴリ:将棋( 286 )

サッカーW杯もようやく終わり、再び日常が。
それにしても、毎日暑くて困りますw
夏秋にかけては地区の行事が目白押しなので、淡々と過ごしたいのですが。

さて今回も将棋ネタ。
今週は大きな話題がありましたので、まずはそこから。

■無冠の帝王から、関西の帝王へ(棋聖戦五番勝負 最終局)

まずはクライマックスを迎えた棋聖戦から。
7月17日に行われた最終第5局に勝利した豊島八段が通算成績を3勝2敗とし、念願の初タイトルを獲得することとなりました。

さて将棋の方ですが、最終局ということで手番は改めて当日振り駒で決めることに。
そこで後手番を引いた豊島八段が、いつものように角換わり腰掛け銀に構えます。

最新定跡通り進むのか、と思いきや、豊島八段が序盤早々に△4一飛を決断。
先手が4筋から攻める常道の攻めを先受けする狙いですが、これでほぼ前例のない将棋に。
これに対し、膠着状態になるのを嫌った羽生棋聖は▲4七角と、こちらも早めに持ち駒の角を手放すことを決断。
この辺りの応酬には色々と変化がありそうですが、本局は豊島八段がペースを握ったようです。

中盤で羽生棋聖が3筋を攻めたあたりでは差が詰まったように思えましたが、そこから豊島八段の猛攻が炸裂。
最後は「羽生玉だけ終盤戦」の状態となり、豊島八段が快勝しました。

本局は豊島八段が、得意の角換わり腰掛け銀でとっておきの△4一飛が利いてリズムを掴み、羽生棋聖の3筋の攻めを絶妙のタイミングで手抜いて猛攻を仕掛けて仕留める、という将棋となりました。
ねじり合いから勝ちを拾うところも見てみたかったのですが、こういう先攻逃げ切りが豊島八段の生きる道、ということなんでしょう。
これからどれだけタイトルを積み重ねられるかどうかはまだわかりませんが、とにかく1つ壁を越えられたのは良かったんじゃないでしょうか。
まだ若いですし、鋭い斬れ味のある将棋でファンの多い豊島新棋聖。
これからの活躍に期待します。

一方敗れた羽生竜王ですが、これでまた竜王1冠に後退。
また当確と見られていたタイトル100期の偉業も、達成できるかどうか怪しくなってまいりました。
が、こういうところでしっかり勝つのが羽生竜王。
竜王防衛が最重要目標ですが、棋王戦でも本戦を勝ち進んでいるので、もしかするとこちらで達成、という線もありそうです。

それにしても。
豊島新棋聖の誕生により、将棋界は8大タイトルを8人で分け合う、空前の戦国時代となりました。
タイトルを1つずつ持ち合う時代は、なんでも1987年以来だそうな。
ちなみに、そのときのタイトルホルダーがこちらの面々です。

名人:中原 誠
十段:福崎 文吾
王将:中村 修
王座:塚田 泰明
棋王:高橋 道雄
王位:谷川 浩司
棋聖:南 芳一

ああ、懐かしい(涙)
「花の55年組」の全盛期ですね。
今や漫談解説でおなじみな福崎九段が十段、というのも時代を感じさせます。
(十段は後に竜王へ移行)

■きょうの藤井聡太(順位戦で森下九段を破る)

さて、きょうの藤井聡太。
昨日の7月20日に、関西地方を襲った地震の影響で延期となっていた順位戦の対局があり、森下九段を破って連勝スタートを飾っております。

森下九段といえば、今や藤井七段のライバルである増田六段の師匠として有名。
全盛期にはタイトル挑戦6回という偉業を成し遂げていますが、いずれもタイトル獲得を果たせず終わっています。
豊島八段がもし棋聖を獲得できなければ、危うくこの記録に並ぶところでした(汗)

普段は実直で明るく、気配りを欠かさない良い人。
しかし、この人の良さがタイトルに届かなかった原因かもしれません(涙)
とはいえ、大変魅力的な棋士の一人であります。

将棋の方ですが、先手番の森下九段が矢倉模様を選択。
それに対して後手番の藤井七段は、△6四銀と早繰り銀から速攻を仕掛ける最近おなじみの戦法で対応します。
最近よく出てくる戦法ゆえに、森下九段がどう対応するかが序盤の見どころでしたが、▲2五飛と、後手からの△7五歩からの仕掛けを直接封じる策を取りました。
ところがこれが良くなかったようで、後手から△4四角~△3三桂と肝心の飛車を追われる展開となっては先手不満な状況に。
森下九段にとっては、苦しい展開が続きます。

とはいえ藤井七段がそのまますんなり快勝したわけではなく、中盤では森下九段がかなり持ち直したのでは、という局面もありました。
そこで藤井七段が折れずに、渋い手でポイントを積み重ねていったのが勝ちを呼び込んだようです。
派手な手こそありませんでしたが、地味な手の積み重ねには観戦していたプロ棋士が感心するほど。
こういう勝ち方をすると、プロ棋士の信用が上がるんですよね。

これで藤井七段は順位戦での連勝スタートに成功。
とはいえC級1組の昇級条件はかなり過酷で、昨年度に佐々木勇気六段が「順位6位の9勝1敗で上がれない」という笑えない新記録を達成しているほど。
藤井七段の順位では、今期昇級のためには残り8戦をすべて勝ちきる必要があります。
まだまだこれから、ですね。

[PR]
by mitsuboshi03 | 2018-07-21 09:07 | 将棋 | Comments(0)
長きにわたったサッカーW杯も、いよいよ決勝戦を残すのみ。
地味に注目していた3位争いですが、順当にベルギーが勝った模様。
あとは決勝戦ですが、順当にいけばフランスが優勢で、クロアチアの一発が入るかどうか、という感じで予想しておきます。
それから日本代表の記事ですが、どうにも明るい記事が書けないため無期限延期の方向で(えー)

さて今回も将棋ネタ。
そろそろ将棋まつりなどのイベント目白押しになるころで、対局数は減り気味になるこの時期。
こういう時期でも対局がある棋士は、強いです。

■羽生棋聖、土俵際で堪える(棋聖戦五番勝負 第4局)

さてまずは、佳境を迎えつつある棋聖戦から。
7月10日に新潟市の老舗旅館である高島屋で第4局が行われ、羽生棋聖が勝利して対戦成績を2勝2敗とし、決着は最終第5局へ持ち込まれることとなりました。

将棋の方ですが、羽生棋聖の先手番でスラスラと最新の角換わり腰掛け銀に。
こうなったからには自分の土俵だと、後手の豊島八段が67手目の△6七歩と敵陣に歩を垂らして攻勢に出ます。
そのまま豊島八段が押し切るかに思えましたが、79手目に羽生棋聖が▲7五角と王手をかけたのに対して△5三桂としたのが疑問手で、83手目の▲6四銀を許してからは羽生棋聖ペースに。
以後はそのまま羽生棋聖が押し切りました。

土壇場ということもあり、最新定跡の将棋となりましたが、一手のミスが勝敗を分けることに。
こういうところを逃さないのは、やっぱり羽生棋聖の強さですか。
とはいえ、豊島八段もまだ全てを失ったわけではありません。
運命の第5局は、三連休明けの7月17日に東京の都市センターホテルで行われます。

それにしても。
こと将棋に関してはキリッとしたところを見せる羽生二冠も、家では。
(以下、羽生嫁こと羽生理恵さまのtwitterより抜粋)

羽生娘 「男友達から『LINE教えて』とか『2人で遊び行こ』とか言われて返事に困る~」
羽生二冠「そんな時はちゃんと、無理です!お断りします!とハッキリ言わなきゃダメ」(真顔)

なにこのかわいいいきもの。
ください(おいおい)

■きょうの藤井聡太(NHK杯戦で今泉四段に敗北)

今度はきょうの藤井聡太。
今週は、先ほど放映されたNHK杯戦で今泉四段との対局があり、残念ながら敗れております。

今泉四段といえば、奨励会~三段リーグ編入~プロ試験という苦難の道のりを経て、41歳にしてプロ入りを果たした遅咲きの棋士としてつとに有名。
また、さまざまな序盤戦術を駆使するタイプの振り飛車党であり、特に「2手目△3二飛」という画期的な戦法で升田賞を受賞しております。
Amebaチャンネルの解説にちょくちょく現れますので、そちらをチェックしてみるのもいいでしょう。
中々おもろいオッチャンですw

さて将棋の方ですが、先手番の今泉四段が位取り中飛車を選択。
これに対して藤井七段は、バランスの良い左美濃で迎え撃ちます。

中盤の攻防で藤井七段にミスが出て、今泉四段が優位に。
そのまま攻めきるかと思いきや、藤井七段も頑強に抵抗して今泉四段を誤らせ、今度は逆に藤井七段ペースに。
しかし藤井七段が、最後の最後でまさかの着地失敗。
それにより、今泉四段が勝ちを収めました。

短い持ち時間のNHK杯戦らしい、スリリングな将棋となりました。
お互いミスが出ましたが、1手30秒の秒読みの中では致し方なし。
二人の良いところが出た熱戦ではなかったかと思います。
しかしそれにしても、最後の最後で藤井七段が誤るとは思えなかったのですが、秒読みの将棋は怖いですねえ。

[PR]
by mitsuboshi03 | 2018-07-15 15:10 | 将棋 | Comments(0)
サッカーW杯も、いよいよベスト4が出揃いましたね。
フランス・ベルギー・イングランド・クロアチア。
フランスは行くかなーと思ってたのですが、残りはベスト8で消えるかと思ってた勢が一歩抜け出した感じ。
ロシアが謎の強さを見せ、もしかしたらここに食い込む可能性もあったのには流石に驚かされましたが。

あと、日本代表は残念ながら今回もベスト8の壁を越えられず。
これについては別件で記事にできるかなー、どうしようかなー、といった感じ。
今月忙しいのよね(涙)

さて今回も将棋ネタ。
濃いネタが2つほどありますので、数は少なめでお送りします。

■王位戦七番勝負開幕。開幕局は菅井王位が制す(王位戦七番勝負 第1局)

この時期のタイトル戦といえば、なんといっても王位戦。
七番勝負という長丁場もさることながら、高橋九段など、若手がビッグチャンスを掴みやすいタイトル戦というのも魅力的ですね。

そのビッグチャンスを去年掴んだ菅井王位に挑戦するのは、「無冠の帝王」こと豊島八段。
長らく羽生世代など年上勢とのタイトル戦で涙を飲んできましたが、同世代対決とあっては流石に負けられないところ。
初の平成生まれ対決を制するのは、果たしてどちらか。

さて開幕局ですが、7月4・5日に愛知県豊田市の「ホテルフォレスタ」で行われ、菅井王位が制しております。
将棋の方ですが、振り駒で先手番を握った菅井王位が、スラスラと先手中飛車へ誘導。
振り飛車党のプロ棋士が先手を持ったなら、今のところ大本命の戦法と言えます。
これに対して豊島八段は、角筋を保留しておいて右銀をニョロニョロと6四まで早めに進出し、菅井王位の左銀を6六に構えるよう強いてから、今度は左銀を4四へ進出させるという二枚銀戦法を採用。
私のような居飛車急戦党としては、胸が躍る展開といえます。
ただしこの戦法、序盤を居飛車側優位に進められることが多いのは長所ではありますが、中飛車側の美濃囲いに対し、ペラペラの船囲いで守らなければならないのは大きな弱点で、現実的には居飛車側を持ってると、苦労の多い将棋になることが多いです(涙)

中飛車側がじっくり好形に構える策もありましたが、鋭い攻めが信条の菅井王位は、そんなのかったるい、と言わんばかりに速攻を志向。
これに対し、一瞬の斬れ味が魅力の豊島八段も、逃げちゃだめだとその筋に乗っかります。
結果、準王手飛車が盤上で実現する派手な捌き合いとなりましたが、それが一段落してどう指すか、と見られていたときに豊島八段が54手目に指した△5四角が疑問の一手だったようで、そこからは豊島八段の勝ちにくい展開となってしまったようです。
最近はろくに王様を囲わずに速攻で勝負を決める将棋が多くなりましたが、こういう将棋だと、やっぱり王様の囲いが硬いのは正義ですね(涙)

菅井王位がエースの中飛車を立てて、快勝できたのはなにより。
七番勝負と長丁場ではありますが、やはり緒戦を勝てたのは大きいです。
あとは後手番をどのように凌ぐかが今後の課題となりますね。

一方敗れた豊島八段ですが、居飛車党との対戦が続く中、プロ棋士振り飛車党筆頭である菅井王位相手に対策を練らねばならないのは、かなりのハンデ。
限られた時間の中で、まったく違う将棋を研究しなければならないのは、辛い。
あの羽生二冠も去年結局克服できなかったことですが、豊島八段はこの苦境を乗り切ることができるでしょうか。

■きょうの藤井聡太(王座戦本戦準決勝で斎藤慎太郎七段に敗れる。順位戦は勝利)

さてきょうの藤井聡太。
今週はここ最近での鬼勝負といえる、王座戦本戦準決勝で斎藤慎太郎七段と戦い、残念ながら敗れております。

斎藤慎太郎七段といえば、25歳と藤井七段とは一回り年上に当たる、俊英揃いの関西若手の中でもトップクラスの実力の持ち主。
2015年にあのAperyを電王戦で下し、また昨年の棋聖戦で挑戦者になったことも記憶に新しいです。
藤井七段との共通点としては、彼も詰将棋選手権を二度制していること。
ただし詰将棋を作るのは得意ではないようです。
また特筆すべきは、一般紙のグラビアを飾っていても何らおかしくないほどのルックス。
普段はごっつい黒縁のメガネで素顔を隠しているのが残念でなりません(おい)

さて将棋の方ですが、後手番の藤井七段が角換わりを拒否して雁木模様に構える、最近よくある形に。
藤井七段が王様を囲わずに6四へ銀を進出させたのに対応してか、斎藤七段も王様の囲いより右四間飛車の攻撃形を築くことを優先。
その結果、30手ほどで斎藤七段の速攻が始まる、激しい将棋となりました。

中盤のねじり合いを制したのは斎藤七段。
しかし、藤井七段も王様を五段目まで進出させ、例によって怪しく最終盤でのワンチャンスを狙います。
しかしそこはこちらも終盤に持ち味のある実力者の斎藤七段。
難解な終盤戦をきっちりと読み切り、103手で斎藤七段が勝ちを収めました。

藤井七段も実力をつけてきましたが、それでも斎藤七段の牙城を崩すことはできませんでした。
勝てば渡辺棋王との挑戦者決定戦、という大一番を落としたのは残念ではありますが、とにかくこういう将棋を数多く指すのが今後につながると思います。
一番一番勝ちを重ねて、こうした大舞台へ出る機会を作っていくしかないですね。

あと、7月3日に行われたC級1組順位戦の第2局ですが、111手で豊川七段相手に勝ちを収めております。

豊川七段の裏芸といえる向かい飛車に対し、9筋の端歩を突き越して銀冠の大模様に構えた藤井七段。
中盤あたりは、形勢自体は藤井七段が良くても、玉の硬さで豊川七段が優位に立つため、勝つのは容易ではないと思いながらニコ生を見ていたのですが、自玉の安全度を正確に見切りつつ確実に攻める藤井七段の指し回しが抜群で、豊川七段に粘りを与えずに勝利しました。

解説での軽妙なオヤジギャグで名高い豊川七段も、こと将棋では鬼のファイターと化します。
結果は幸いしませんでしたが、迫力ある対局姿を見られたのは良かったです。

さて順位戦では順調に白星発進を飾った藤井七段ですが、地震の影響で延期となった対森下九段戦の日程が7月20日に決まったようです。
高校はちょうど終業式のあたりですかね。
暑い夏休みですが、なにしろ高校は休みですので、この間に対局を重ねたいところ。


[PR]
by mitsuboshi03 | 2018-07-08 15:12 | 将棋 | Comments(2)
サッカーW杯の予選リーグが終わりました。
この時期はとにかく試合数が多いので、ざっと見てはデータを消す日々。
消すには惜しい試合もあるのですが、残念ながらデータの保管量が有限なので(涙)

さて日本ですが、色々批判を受けながらも16強へ進出。
コロンビア戦での奇襲で拾ったようなもんですが、塀の中へ落ちない限りは、勝った方が正義。
勝負事には勝たねばなりません。

それにしても西野監督。
ポーランド戦では大胆なターンオーバーを敢行。
のみならず、0-1で迎えた終盤で、悠々とボール回しを指示するとは。

ボール取られて2点目取られたらダメ。
イエローカードもらってもダメ。
またセネガルがコロンビア相手に点獲ってもダメ。
実は見た目以上にリスクの高い指示。
そんな肝っ玉の太い人だとは思ってもいませんでしたがw

さて今回も将棋ネタ。
名人戦は終わりましたが、来週から王位戦七番勝負が始まります。
史上最速で梅雨が明けましたが、将棋界でもいよいよ夏本番、ですね。

■豊島だってにんげんだもの(棋聖戦五番勝負 第3局)

さてまずは、6/30に静岡県の沼津倶楽部で行われた棋聖戦の第3局から。
近年おなじみの対局場所となったこの沼津倶楽部ですが、明治時代の建物だけあって、とにかく夏は暑いことで有名。
そんな中でも、羽織袴で戦う両対局者には頭が下がります。

さて将棋の方ですが、後手番の羽生棋聖が、またも驚きの序盤を披露。
相掛かりを指さない豊島八段が初手▲2六歩というのも意外でしたが、そこから羽生棋聖が2手目△3二金から△7二飛と袖飛車に構えたのが驚きの構想。

私なりの見立てですが、初手▲7六歩に△3二金とやると、振り飛車にされて不利。
初手▲2六歩と居飛車戦を表明したのを見てから△3二金とやるのがポイント。
また飛車を定位置から一つ左にずらす袖飛車は、7五に歩を伸ばすことによって、先手の角を不自由にさせるのが作戦上のメリット。
王様を固く囲えないのが弱点ではありますが、これも奇襲戦法として使う分には十分成算のある戦法と言えます。
それにしても羽生棋聖、引き出しがずいぶんと多いですなあ(ため息)

さて本局の序盤から中盤にかけてはというと、豊島八段が右銀を進出させたのが少々疑問の構想ではあったのですが、それに対して羽生棋聖が△1三角と角を活用させようとしたのがまた急ぎすぎだったようで、みるみるうちに形勢は豊島八段優勢の局面に。

コンピュータはここから激しく寄せに出て勝てる、と見てましたが、いつもならそういう筋に踏み込むであろう豊島八段の手が伸びない。
愚直に羽生棋聖の攻め筋を消し、確実に羽生玉へ迫ります。
羽生棋聖にも逆転の筋があったようですが、それを逃してしまってからは、豊島八段が一歩一歩着実に羽生棋聖を追い詰めていき、145手で豊島八段が勝利を収めました。

いつもならコンピュータのような派手な攻め筋へ踏み込む豊島八段ですが、本局は羽生棋聖の攻めを消しに行ったりといった地道な手が目立ちました。
決していつものようなかっこよさは無かったのですが、第2局での反省を生かしたのか、人間らしい愚直な指し回しを見せたのが結果的に功を奏したように見えます。
来週から王位戦も始まりますが、あと1勝、なんとか勝ち取りたいところです。

そしてカド番に追い込まれた羽生棋聖。
後手番らしく大胆な構想を見せ、途中までは勝つチャンスも十分あったと思いますが、そこを勝ちきれないのがやはり年齢による衰えなのかなあと思ってしまいます。

全盛期なら、こういう将棋は逃さなかったと思えてなりません。
でも40代後半になると、こういうのはどうしても出てくる。
とにかく次頑張るしかないですね。

■きょうの藤井聡太(増田六段に昨年のリベンジを果たされる)

さてきょうの藤井聡太。
今週は竜王戦本戦で増田六段と戦い、残念ながら破れております。

増田六段といえば、「矢倉は終わった」「詰将棋は意味ない」などの発言で有名。
ビッグマウスというよりは、思ったことがすぐ口に出てしまってるだけ、という気がしてますw
とはいえ、こちらもまだ20歳と現役二番目に若い棋士。
関東将棋界を背負って立つ逸材と評価されており、去年の同じ舞台で藤井七段にデビューからの29連勝を達成させられた屈辱のリベンジを果たそうと、爪を研いでおりました。

さて将棋の方ですが、先手の増田六段が矢倉を志向。
しかしもちろん昔ながらのじっくりした相矢倉ではなく、桂馬を早々に跳ねる、現代風の急戦矢倉に構えます。
以下、増田六段が攻め、藤井七段が受ける展開に。

中盤から終盤にかけてですが、藤井七段が先に飛車を成りこんだ時点では、藤井七段の方が良かったように思えます。
しかしそこから増田六段が▲9五角と、取られそうな角をタダ捨てしたのが藤井七段の意表を突いたようで主導権を奪回。
その後もお互いに勝ち目のある展開となりましたが、最後は増田六段が勝ち切りました。

藤井七段にとっては惜しまれる将棋となりましたが、後手番なので仕方がなかったとはいえ、中盤以降で持ち時間が常に少ない状況となり、それが結果的に祟った気がします。
竜王戦は終わりましたが、まだ王座戦があります。
また、順位戦も始まります。
頑張って欲しいですね。

あと、増田六段にとっては大きな1勝でした。
次は佐藤会長との一戦が控えてます。
こういう将棋を勝っていくのが、評価を上げる一番の近道。
こちらも頑張って欲しいですね。

[PR]
by mitsuboshi03 | 2018-07-01 11:27 | 将棋 | Comments(0)
とうとう夏至を過ぎました。
冬至を迎えると、「もうこれ以上日は短くならないな」と安堵するものですが、夏至を過ぎると対場が逆転するので、ちょっと憂鬱。
あと、もうすぐ今年もあと半分、ですね。

さて今回も将棋ネタ。
先週上げそこねた話題も合わせて取り上げますね。

■佐藤名人、堂々の名人三連覇(名人戦七番勝負 第6局)

さてまずは名人戦から。
6月19日に名人戦七番勝負の第6局が、将棋駒の産地として知られる山形県天童市で行われ、勝った佐藤名人が4勝2敗で名人位の防衛に成功することとなりました。

さて将棋の方ですが、カド番に立たされていた羽生二冠がとっておきの戦法を披露。
なんと2手目△6二銀を敢行するとは。

羽生二冠が若いころ、谷川九段とかを相手に何度か試していた手ですが、その頃と違うのは、6手目の△7四歩。
本譜のように、後ほどこの歩は取られる運命となるのですが、その隙に銀を中央へニョロニョロと展開して、中央部の制空権を握ろう、というのが狙い。
山崎八段がたまに採用して成果を上げている戦法の応用、といえますが、山崎八段ご本人しか勝っていない印象が強いです。
なんといっても序盤に1歩損しますからね。
あと、構想力が相当ないと破綻する戦法でもあります。

とはいえ、奇襲戦法として使う分には有効で、羽生二冠であれば構想力も十分。
なかなかの勝負術といえます。

さてその後は、構想力の問われる難解な将棋に。
両者9時間もの長~い持ち時間をほとんど使い果たすことになりました。
ニコ生では、116手目の△1三同香に代えて△1三同玉なら羽生二冠の勝ち、という説が流れていましたが、読みにくい筋なだけに、1~2分で指せる筋ではなかったのが羽生二冠にとっては不運でした。
また局後の検討ではその後126手目の△2二飛に代えて△6七とで難しい、という結論が出されましたが、これも1分将棋では読むのは困難。
二十代の羽生二冠なら指したかもしれませんが、四十代後半ともなると、こういうところがどうしてもキツくなるんですよね(経験談含む)

羽生二冠はお疲れ様でした。
奥様のtwitterによると、6勝4敗で順位戦を終えた時点でまさかプレーオフにもつれこむとは思わず、講演会などの予定を入れたまま名人戦に臨んだようで、目の回るような忙しさの中での戦いだったとのこと。

それでもいつもの羽生二冠らしい切れ味は十分見せてくれたと思います。
相手が強かった。
それに尽きます。

さて名人位を防衛した佐藤名人。
直前までの成績は振るわなかったものの、やはりこの2日制持ち時間9時間という、名人戦独特の雰囲気を味方につけ、バランスや模様を重視する持ち味を存分に活かした戦いぶりが見事でした。

これで名人位三連覇を達成。
随分と貫禄もついたように思います。
この調子で永世名人確保といきたいですね。

■まあ、こんなこともあるよね(棋聖戦五番勝負 第2局)

さて今度は先週紹介できなかった棋聖戦。
6月16日に第2局が行われ、羽生棋聖が勝って対戦成績を1勝1敗のタイに戻してます。

将棋の方ですが、角換わり模様の序盤から、後手番の豊島八段が△4四歩と角交換を拒否する趣向に出ます。
角筋を止めた状態から相腰掛け銀に構え、捌き合いが終わったところでは豊島八段有利。

ところが終盤で豊島八段がいきなり乱れます。
68手目で△4二銀打と先手の飛車を捕獲すればよかったのですが、△4八銀と飛車金両取りをかけたところで事件発生。
以下、羽生棋聖が▲5二角と打ってからは急転直下で羽生棋聖ペースとなり、そのまま羽生棋聖が押し切りました。

羽生棋聖が間違えさせた、というよりは、豊島八段が勝手に転んだ印象。
これで開幕2連敗だったら目も当てられない状況でしたが、緒戦を勝っていたのが大きく、まだ1勝1敗というのは僥倖。

まあ、長い人生、こういうこともあります。
スパッと忘れて、第3局以降に集中してもらいたいものです。

■きょうの藤井聡太(王座戦本戦で深浦九段を破る。順位戦緒戦は地震のため延期)

さてきょうの藤井聡太。
今週は1局対局があり、王座戦本戦で深浦九段を破って準決勝に進出しています。

深浦九段といえば、最近は解説や立会人での出番が多いですが、元タイトルホルダーの重鎮であり、最近は雁木でガンガン押し通るのを得意としております。
また昨年の叡王戦では、この深浦九段を相手に本戦で悔しい逆転負けを喫していることもあり、リベンジの舞台としては申し分ない状況がやってきました。

将棋の方ですが、先手番の深浦九段がいつものように雁木でガンガン。
後手の藤井七段も雁木から右玉に構え、カウンターを狙います。

深浦九段が2筋から歩を絡めた細かい攻めでポイントを稼いだのですが、それに構わず端から深浦玉を強襲したのが好着想で、またたく間に優位を確保。
最後はそのまま藤井七段が押し切り、強豪を下して準決勝への進出を決めました。

挑戦者候補の深浦九段を下し、準決勝進出を決めたのは立派。
次の相手は、斎藤慎太郎七段。
棋聖戦挑戦の経験もある、伸び盛りのちょっと先輩格、で男前。
当然追い抜かれてはなるまいと、全力を尽くして立ち向かうことでしょう。
勝てばもちろんタイトル挑戦に大きくはずみがつきますが、今はこういう対局を積み重ねることが大事。
勝ち負けはともかく、こちらも全力で臨んでもらいたいものです。

それから、6月19日に予定されていた順位戦緒戦の対森下九段戦ですが、大阪北部を襲った直下型地震の影響を受け、対局が延期となりました。
代替日は後日発表されると思います。

思わぬところで影響がありました。
犠牲者のご冥福をお祈りします。

■渡部女流、女流王位に輝く!(女流王位戦五番勝負 第4局)

さて最後に女流棋界の話題を。

先週の6月13日に女流王位戦の第4局が行われ、勝利した渡部女流二段が通算成績を3勝1敗とし、女流王位の奪取に成功することとなりました。

戦前は正直、渡部女流が1勝できるかどうか、と思っていたのですが、里見女流四冠の失速が大きく、まさかの結末となりました。
また、これでLPSAにとっては久々のタイトルホルダー誕生となります。

[PR]
by mitsuboshi03 | 2018-06-23 17:03 | 将棋 | Comments(0)
本格的に梅雨っぽい天気になってきましたね。
頭痛持ちなんで、天気が悪いと気圧が低くなってちと辛いんですよ。

さて今回はbleem!さんからの宿題ネタ。
将棋会館建て替え問題をお送りします。

久々の将棋界政治ネタになりますね。
ネタがネタだけに、憶測や噂で書く要素が大きくなりますんで、いつもにも増して某細川氏のblogのように、「うそとかほんととかを適当に」のノリで書くことになりますのでご了承をば。

現在の東京・大阪の将棋会館が建ってほぼ40年ほど。
当然のことながら「そろそろ建て替えを」という話は出るものの、先立つもの(お金)を始めとして様々な問題に対応する必要があり、速攻で片付けられる話ではございません。

以前この問題に鋭く切り込んだのが、あの羽生二冠。
各棋士がそれぞれの収入の一定額の割合で建築資金を負担する、という案を棋士総会まで持ち込んだのですが、どうも根回しがそれほど十分でなく、かつ「将棋に負けて頭を下げるのは仕方ないが、それ以外の話であいつに頭を下げるのは御免こうむる」という反対派の棋士による票の切り崩しがあったようで、棋士総会ではあえなく否決。
これにショックを受けた羽生二冠は、これ以後、瀬川さんプロ入り問題のときに早々と瀬川さん支持を表明するなど、いくつかの例外を除き、基本的に将棋界の政治の話から遠ざかることになります。

こうした事情と、「物事はすべて亀の歩みのごとく進む」将棋界の常識にどっぷり嵌っていた身としては、bleem!さんからネタフリをされたときも、
「ちょっと前に耐震工事をしたこともあるんで、しばらくはこのままじゃないですかねえ。」
などど、気の乗らない返事を返していたのです、

それでもまあ、一応記事にはまとめてみますか、と調べ物を始めたところ、いきなり大ネタが。

6月8日に行われた今年の棋士総会で、会館建設準備委員会の発足を可決。
建て替えの方法について、現状にこだわらず、ゼロベースでの検討を行うとのこと。
委員長には羽生二冠。委員には森内九段・久保王将・中村王座などが加わるとのこと。

いや、本当に驚きました。
まだ委員会が発足したばかりとはいえ、まさか羽生二冠が陣頭指揮を取るとは。
まだまだ予断を許さないところではありますが、とりあえず良い方向に進んだのではないでしょうか。

さて状況が変わった理由について、自分なりに仮設を述べてみますと。

1)そうは言っても、そろそろヤバイでしょ

耐震工事でお茶を濁したばかりはいえ、何しろ築40年。
また、デジタル化が進む将棋界への対応にも限界があります。
それから、「できれば24時間営業のコンビニが中に欲しい」という要望も根強くありますしね。

2)盤石の執行部

なんといっても、佐藤康光会長を始めとする執行部なくして、この案は通らなかったでしょう。

世間的には、竜王戦事件で早期退陣を迫られた谷川前会長の後を急遽リリーフ登板した、という印象が強いと思いますが、以前から棋士会長を長く務めているなど、次世代の切り札として大切に育てられてきたのがこの佐藤康光会長。
将棋界での人望が極めて厚いだけでなく、竜王戦事件の幕引きを早々にやってのけた後も、叡王戦のタイトル昇格など、すでに赫々たる戦果を上げている手腕も特筆すべき。
盟友であり、長年のライバルでもある森内九段が右腕として辣腕を振るっているのも大きい。
また関西には、これも今や名実ともに関西棋士の代表格である久保王将が居る。
さらに次世代への備えとして、早大政経学部卒・元ニュースキャスターと将棋界では極めて異質な経歴を持ち、厚い人望と将棋の実力を兼ね備える中村王座が控えているという盤石の体制。
彼らが会館建設準備委員会に名を連ねているというのも、まあ当然といえば当然ですね。

個人的に長年、「羽生二冠がアイディアを出して、佐藤九段が根回しすれば将棋界ももっとよくなるのになあ。」と思っていたのですが、いよいよそれが現実のものとなりつつあります。

3)空前の藤井聡太ブーム

そして空前の藤井聡太ブームが。
実力もさることながら、お茶の間の話題となることに関しては、将棋界空前絶後かも。

会館建設のためには何しろお金がかかるため、彼のような広告塔は必須。
今を逃したら、これだけお金がかかるプロジェクトの成功は困難を極める、という危機感が将棋界にはあったものと思われます。

それにしても、こんな日が来るとは思ってもみませんでしたよ。
また、羽生二冠がここまで各棋戦で好調を維持しているのにも説明がつきます。
何しろこれから忙しくなりますからね。
今が将棋に専念できる最後のチャンス、と思いながら指していることでしょう。

将棋会館建設にどれだけの情熱が必要だったか。
今の東京・大阪の将棋会館建設に全力で取り組んだ、大山十五世名人のエピソードを一つ紹介して、この記事の締めといたしましょう。

企業からの献金を求めて、各地を分刻みのスケジュールで飛び回っていた大山十五世名人。
厳寒期でもコートを着ず、背広一枚で居た理由を聞かれて、こう答えたそうな。

時間が惜しい。
脱いでまた着る時間を合わせたら、1人余分に会えるよ。

会館建設に加えて、将棋連盟会長でもあり、また普段の対局もある。
まーよくやってたもんですわ。

[PR]
by mitsuboshi03 | 2018-06-17 16:07 | 将棋 | Comments(2)
「フハハ、我が名はwindows update。
プログラムを更新して、貴様のPCのヘッドホン端子を潰しておいてやったぞ。」

「ぐぬぬ、micr○s○ftのクソッタレめ!
ウチの会社の業界でこんなのやったら『続きは法廷で』やぞ!
…ふむ、ソフト的な復旧は無理そうだが、ならばハード的に復旧を試みよう。」

「な、なにぃ!」

「PC背面のスピーカー端子は生きているな。
ならば、使っていなかった外付けスピーカーを中継して、ヘッドホンを繋げてやろう。
…やはりな。音質は下がったが、どうせ100均のヘッドホンで満足する身だ。
これで無事復旧だぞ。」

「フハハ、今回はしてやられたが、windows updateの残弾はまだまだあるぞ。
震えて眠れ。」

いやー、今回は中々の強敵でした(苦笑)

さて今回も将棋ネタ。
梅雨入りの時期になると、いよいよ大詰めを迎える名人戦に加え、棋聖戦や王位戦の開幕で大いに盛り上がる、というのが将棋界の常です。
というわけで、今回も話題満載ゆえ、さらっといけるところはさらっとやります。
いけるところは、ね。

■羽生「最近よく会いますね」豊島「はぁ」(王位戦 挑戦者決定戦)

さてまずは王位戦の挑戦者決定戦から。
6月4日に、恒例の紅白リーグ戦を勝ち抜いた棋士2人による頂上決戦が行われました。
今回のマッチアップは、紅組優勝者の羽生二冠と、白組プレーオフで澤田六段を下した豊島八段。
ここのところ、勝負どころでよく対戦が組まれる好カードとなりました。

将棋の方ですが、スラスラと角換わり腰掛銀の先後同型に。
先後同型といっても、長年定番だった▲5八金の形ではなく、自陣への角打ちに備えた▲4八金~▲2九飛の形にするのがここ最近のトレンド。
この状態から、バランス重視で王様を▲6八玉△4二玉のままにしておいて戦う、という将棋も最近多いのですが、本局では堅さ重視で▲7九玉△3一玉の形を両者が選びました。

さて開戦してからは、後手の豊島八段が少しリードしたのではないか、という評判。
しかしそこから先手の羽生二冠が巻き返し、逆にペースを握ります。
今までですと、このまま羽生二冠が押し切る、というのがお決まりの展開だったのですが、羽生二冠が91手目に▲6四飛と走ったのが危険な一手だったようで、ここから豊島八段が猛攻を仕掛け、そのまま一気に押し切りました。

羽生二冠が変にひねらずに、最新型の戦法に飛び込んでいった本局。
自分の土俵で戦えた豊島八段としては、不満のない流れだったのかも。
また羽生二冠の一失があったとはいえ、あの羽生二冠を相手にミスを誘えるまで耐え抜いたところは、今までとは一味違うというところを見せられたのではないでしょうか。

これで王位戦七番勝負は、菅井王位と豊島八段との間で行われることに。
これが将棋界史上初の、平成生まれ同士のタイトル戦とのこと。
長年羽生世代や渡辺棋王が君臨していたこともあり、とうとう、というか、ようやく、という印象を受けます。
これからはこの世代が将棋界の中心となっていくのでしょうか。
どちらが勝つにしろ、楽しみなタイトル戦となりそうです。

■羽生「また貴方ですか」豊島「」(棋聖戦五番勝負 第1局)

今度は棋聖戦五番勝負の第1局。
6月6日に淡路島の「ホテルニューアワジ」で行われました。

羽生棋聖に挑戦するのは、「またお前か」と言われても仕方のない豊島八段。
棋聖戦と王位戦は日程が重なるので、こうしたダブル挑戦とか、ダブル防衛戦といったことはちょくちょくあったりします。

「またお前か」と言われだしたら強者の証明。
とはいえ、同世代の棋士が続々とタイトル童貞を卒業しているだけに、「無冠の帝王」の称号からは早いとこ脱却しないといけませんが。

将棋の方ですが、王位戦挑戦者決定戦とは逆の手番であるにも関わらず、スラスラと角換わり腰掛銀の駒組みに。
やられたらやりかえす、100倍返しが信条の羽生二冠らしい戦型選択かと。
最近の若手らしく、角換わり系の将棋を好む豊島八段としてもそこに異論を挟む気はさらさらなく、堂々と受けて立ちます。

とはいえ、羽生棋聖が王位戦挑戦者決定戦と全く同じではつまらないと思ったかどうかは定かではありませんが、本局では王様を▲7九玉△3一玉の形にするのではなく、▲6八玉△4二玉のままにしておいて、おもむろに△6五歩と開戦。
最新型の形から、羽生棋聖が猛攻を仕掛けます。

しかし、この猛攻が少々空回りだったようで、形勢は徐々に豊島八段の方へ傾きます。
羽生棋聖も必死に食い下がったものの、豊島八段がギリギリで踏み止まり、豊島八段が勝利を収めました。

この二人の対戦ですと、勝負どころで豊島八段がポッキリ折れてしまい、そのまま羽生二冠の勝利、というのがよくある展開でしたが、この棋聖戦第1局でも豊島八段がしぶとく戦えてるな、という印象を受けました。
さすがの羽生二冠も、去年の竜王戦以降の好調ぶりを維持するのは難しいと思われるだけに、この棋聖戦は是が非でも獲っておきたいところでしょう。
とはいえ、こういうところで強さを見せるのがいつもの羽生二冠ではあるのですが。

それにしても。
本局の対局場所である「ホテルニューアワジ」では、必ず昼食にきつねうどんを頼む羽生二冠。
そんなにおいしいのでしょうかw
当の本人は、「関西ではうどんがおいしいので」とサラリとかわしてましたが。

■きょうの藤井聡太(竜王戦ランキング5組決勝 驚愕の踏み込みで石田五段を下す)

さて最後にきょうの藤井聡太を。
先週は6月5日に竜王戦ランキング5組決勝戦で石田五段を下し、2年連続で本戦入りを果たしています。

2年連続での竜王戦本戦入りも素晴らしいのですが、さらに凄かったのは将棋の内容。
終盤戦をニコ生や囲碁将棋チャンネルで生観戦できたのですが、一番濃いところを見られてラッキーでした。

石田五段の先手番で、戦型はここでも角換わり腰掛銀。
散々研究され尽くしている戦型なだけに、特別な才能がなくても、定跡を覚えてしまえば強敵相手にも戦える、ということで、プロ棋士間では横歩取りと共に大人気の戦型であります。
逆に言うと、定跡を覚えていないと、実力に関わらずすぐ負ける、ある意味恐ろしい戦型ではあるのですが。

クライマックスの始まりは、石田五段が67手目に指した▲6三歩。
本局でこの3手後に指された▲7二銀が飛車金両取りで、金を取れればほぼ詰めろ、という狙いが見え見えなだけに、「まあ△6三同金だけはないな」というのが大方の予想で、ここからまた長い戦いが繰り広げられるものと思い込んでいました。

たった一人、藤井聡太を除いては。

藤井七段が、わずか7分の考慮で「ない」と思われていた△6三同金を着手。
「おいおい大丈夫か」と、どよめく我々。
当然のごとく▲7二銀が指され、どうするのかと思っていたところへ、ようやくカラクリを解いた検討陣が、驚愕の研究手順を披露。
確かにその手順が指せれば強すぎるが、あまりにも怖すぎる。
…まさか、△6三同金からその手順を読み切って指していた、なんてことは、ないよな。

果たして藤井七段は、涼しい顔をしてその研究手順へあっさりと踏み込む。
▲7二銀以下は、△8六飛▲8七歩△7六飛▲7七歩に△7七同飛成!
飛車を歩と刺し違え、当然の▲7七同金に△8五桂と自陣の桂馬を躍動させる。
ここで石田五段に手番が回るが、さすがに飛車と桂馬だけでは戦力不足で、藤井七段陣へ迫るすべがない。
また、▲7二銀と打ったからには▲6三銀成と金を取りたいのは山々だが、それでは藤井七段が豊富な持ち駒を生かして△6八銀から石田五段の玉を詰めてしまう。

泣く泣く▲7六金と指さざるを得ないとあっては勝負あり。
最後も藤井七段が、いつもながらの気付きにくい手順で石田五段の玉を即詰みに仕留めた。

それにしても。
この藤井七段の踏み込みはどうだ。
この手順しか勝ちがないのであれば、まだわからなくもないが、他にもお茶を濁すような指し手があったにも関わらず、この手順に踏み込んだのは驚異としか言いようがない。
この手順に踏み込むためには、本局の展開のみならず、恐ろしく難解かつ膨大な枝葉の手順をすべて正確に読み切ることが絶対条件で、そうでなければ怖くて恐ろしくて、とてもこんな手順には踏み込めない。
少なくとも数百手は読み込んで、すべての読みが正確であることが求められる。

99%ではダメだ。
1手でも読み抜けがあれば、その場で破綻する。

この踏み込みが毎回できれば、藤井七段に対抗できる人類はまず居ない。
電王トーナメント優勝ソフトであるぽんぽこさんでさえ、この手順にはたどり着けなかったのだから。
私のような将棋ファンであれば、ただただ喝采を上げていればよいが、実際に対戦するプロ棋士にとっては恐怖以外の何物でもないだろう。
こういう踏み込みをいつ食らうのかという恐怖と戦い、リスクを織り込みながら戦わなくてはならないのは、辛すぎる。
石田五段も必死に戦ったが、今回は相手が強すぎた。

それにしても、藤井聡太よ。
君は、どこまで強くなれるのかい?

[PR]
by mitsuboshi03 | 2018-06-09 21:17 | 将棋 | Comments(3)
そういやもうすぐ、サッカーのW杯ですか。
以前は当blogでも毎日更新とか熱心に追いかけていたものですが、今回はまあ静かなもんです。

…ぶっちゃけ、日本はもうサッカーにリソース割かない方がいいのかも(ぼそ)

さて今回も将棋ネタ。
そろそろ、名人戦から棋聖戦へとタイトル戦の主役が交代する時期ですな。

■王様の位置の違いが…(名人戦七番勝負 第5局)

まずは名人戦から。
第5局が5月29・30日に名古屋の大須にある万松寺で行われ、佐藤名人が勝って名人防衛に王手をかけております。

今回の対局場所である万松寺といえば、織田家の菩提寺として有名。
なんでも、将棋好きのお坊さんが会場として名乗りを上げたことにより、今回の対局が実現したそうな。
個人的に大須は何度か行ったので、そういや一回りくらいはしたことがあるようなないような。
大須特有の活気のある雑踏の中に、どどーんとそびえ立っているお寺です。

さて将棋の方ですが、後手番の佐藤名人が、得意戦法である横歩取りを採用。
第5局と大詰めに来たこともあり、ここでエースを投入してきました。
これに対し、羽生二冠は流行りの青野流といった速攻策ではなく、昔ながらの中住まいを採用。
現地に訪れていた、青野流創始者の青野九段はガックリしたとかしなかったとかw

序盤戦を終えたところでは、割とよくある形で落ち着くことに。
ただし、いつものと違うのは、先手の羽生二冠の王様の位置。
王様が6八に居るなら先手が良いとされているのですが、本局の王様の位置は5八。

もちろん先手の王様が6八に居るのであれば、佐藤名人は別の対策をしてきたはずなので、当然こうはならないのですが、さて王様の位置が5八でも、この形は先手が良いのか悪いのか。
「わからないときは、強い相手にぶつけてみよう」というのが羽生二冠のセオリー。
タイトル100期がかかるこの大一番でも、羽生二冠の旺盛な探究心は衰えを知りません。

結論から言いますと、今のところはこの局面は後手が良かったようで、43手目の▲3五歩以降は羽生二冠に勝つチャンスは無かったようです。
とはいえ、常に様々な局面に問題意識を持ち、大一番なのに、いや、大一番だからこそ、疑問があったら相手にぶつけてみる、という羽生二冠のこの積極的な姿勢が、通算1400勝やタイトル99期といった大記録の源ではないかと思います。

30年以上、ずーっとこうですからね。
頭が下がりますよ、ほんと。

これで名人防衛に王手をかけた佐藤名人。
しかし、ここからのあと1勝が遠いのは、重々承知のはず。
一方、タイトル100期を名人復位で飾りたい羽生二冠としても、まだまだ諦めるには早すぎる。

名人戦第6局は、少し日程が空いて、6月19・20日に、将棋駒の産地である、山形県天童市にある「天童ホテル」で行われます。

■きょうの藤井聡太(棋王戦予選決勝で中村亮介六段を下す)

最近不定期連載のきょうの藤井聡太。
七段に昇段し、新人向けの棋戦に出られなくなったりとか、予選を少~し免除されるようになったこともあり、以前のように毎週毎週対局がある、という状態が少し緩和されつつあります。
若いからまだ無理は効くとはいえ、高校生活もありますからね。
あまり無理はしすぎないように。

先週は棋王戦予選決勝の対局があり、中村亮介六段を下して本戦出場を決めています。

中村亮介六段というと、史上2組目の兄妹棋士ということで有名な方(妹は中村桃子女流)
あとは…。
棋士にとっては命より大事な順位戦で、制限時間ギリギリの大遅刻をやらかし、本来6時間の持ち時間を9分に減らされて対局をしたことでも有名だったりします。
将棋界では、対局に遅刻すると、遅刻時間の3倍を持ち時間から減らされるという厳しい掟があり、そのため大抵の棋士は待ち合わせの時間にも正確だったりする、の、です、が。

さて将棋の方ですが、後手番の中村亮介六段が得意のノーマル四間飛車へ誘導。
これに対し、藤井七段が序盤早々に居飛車穴熊へ組もうと香車を上げたことから、華々しく角を交換する、やや乱戦模様の将棋に。

そんな中でも、藤井七段は粛々と居飛車穴熊の堅陣を完成。
対する中村亮介六段も銀冠へ組んだものの、囲いの硬さで言えばどうしても居飛車穴熊には劣り、なおかつ中村亮介六段側の左銀が僻地で遊び駒と化したのが痛く、以下は藤井七段が順当に勝利を上げました。

さてもう一々驚かなくなりましたが、これで棋王戦でも本戦進出を決定。
一回戦ではいきなり菅井王位と戦いますが、本戦ともなればこのクラスの対戦相手はゴロゴロ居ます。
もう予選突破はノルマで、本戦をどれだけ戦えるかという領域へ入ってきましたね。

あと最後ですが、上で紹介した名人戦第5局の現地にも顔を出してたみたい。
近所でやってるタイトル戦なんてめったにないですからね、いいことです。

■渡部女流二段、里見女流王位を追い詰める(女流王位戦五番勝負 第3局)

最後に女流の話題を。
渡部女流二段が里見女流王位に挑戦する、女流王位戦の第3局が先週福岡県飯塚市で行われ、渡部女流二段が勝利し、対戦成績を2勝1敗として、女流王位奪取へ王手を掛けることとなりました。

将棋の方ですが、先手の里見女流王位が中飛車から石田流三間飛車へ組み替える戦法を採用。
これに対し、渡部女流二段はじっくりと銀冠穴熊へ構えます。
里見女流王位側の両方の桂馬が中央に跳ね出したところまではまずまずの展開と思われたのですが、その後有効手を逃してからは、やはり銀冠穴熊の硬さが勝り、渡部女流二段が勝利を上げました。

近年の女流棋界では、里見女流・西山奨励会三段・加藤奨励会初段・伊藤女流といった、奨励会で腕を磨いた面々がタイトル戦を戦っていますが、奨励会を経験していない渡部女流がタイトルを取れば一つの事件といえます。
また所属する女流棋士団体のLPSAにとっても、久しぶりのタイトルとなります。

新星が花開くのか、里見女流が踏みとどまるのか。
注目の第4局は、6月13日に徳島市の「JRホテルクレメント徳島」で行われます。

[PR]
by mitsuboshi03 | 2018-06-02 16:10 | 将棋 | Comments(0)
今日は子供の運動会。
恒例の保護者綱引きは不参加の予定でしたが、
「人手が足りないんで、ネコの手でも欲しいんです!」
との悲痛な叫びに「しょうがにゃいにゃあ」と手を上げる。

そして1戦目を終えた時点で非情なアナウンスが。
「定員を6人オーバーしてましたんで、6人減らしてもう1戦やります」

おめーちゃんと数えろよこの(以下略)

と、面と向かっては言わないのが大人の処世術であります(おい)

さて今回も将棋ネタ。
将棋界の春シーズン総決算となりつつある週のため、またも詰め込みぎみのあっさり風味でお送りします。

■高見新叡王誕生!(叡王戦七番勝負 第4局)

さてまずはタイトルの行方が決まった叡王戦から。
昨日の5月26日にグンマー群馬県の富岡製糸場で叡王戦七番勝負の第4局が行われ、これに勝利した高見六段が4連勝で叡王位の奪取に成功しております。

なお棋譜は公式サイトから無料で読めますので、そちらを見ながらだと理解が早いかもしれません。
棋譜はこちら↓
さて将棋の方ですが、この七番勝負で数多く採用されている矢倉模様に。
とはいえ、私が子供のころ覚えたような昔ながらの相矢倉24手定跡みたいなガッチリ囲うスタイルではなく、先手番の高見六段が31手目に指した▲6七金左のように、相手からの角打ちに備えたバランスと広さ重視の駒組みに。

囲い自体はそれこそ江戸時代からやってそうなんですが、角を打たれるリスクを極力回避しようという発想ががまさしく流行最先端、というかコンピュータの発想ですね。
後手番の金井六段が5二に居る金を、例えば△4三金右のように玉側に引き付けなかったのも、この発想の応用といえます。

そんなこんなで、一足先に駒組みが完了した先手の高見六段がまず先攻。
金井六段も頑強に抵抗し、盤面ではリードを築くことに成功します。

だがしかし、盤面では攻めが切れたように見えた先手の高見六段でしたが、十八番の勝負手連発により、金井六段の持ち時間と精神力にダメージを与えることに成功。
これが、これまでの対局と同様、勝敗に大きく関わることとなります。
結論からいいますと、138手目の△4三金打がまずく、高見六段の逆転勝ち。
代えて△5四香ならまだ後手リードだったようですが、その先も中々難しかったとのこと。

まず敗れた金井六段ですが、実力自体は高見新叡王と遜色なく、こと盤面での勝負に関しては凌駕していたと思います。
敗れたのは、膨大な変化をきっちり読み切って勝つ、という郷田九段譲りの格調高い棋風が、高見六段による中終盤の逆転術にバッチリ嵌ってしまった、というところが大きいでしょう。
またタイトル初挑戦ながら、タイトル戦昇格による絡みで防衛側役をやらされたり、盤外でも色々と気を使わざるを得ない状況に追い込まれたのも不運でした。

とはいえ、まだまだ32才と前途は洋々。
本人も語っていた、32才の可能性を存分に示していただきたいと思います。

一方高見新叡王ですが、終わってみれば、叡王戦という特異なタイトル戦のシステムにいち早く順応できたのが勝因かな、と思います。
特に、チェスクロック制を採用したことによる持ち時間の短さを逆手に取り、中終盤で「相手が気が付きにくく、なおかつ解決が容易ではない手」を連発することにより、相手の持ち時間と精神力を奪う戦術が見事にハマりました。
こういう手法で勝つのを嫌う手合は少なからずおり、もし私も戦うこととなれば、極めて厄介な相手だと言わざるを得ないのですが、こと対人間戦に関しては極めて有効であり、ある意味まっとうな戦術だと言えるでしょう。
例えば持ち時間の長い対局で、羽生二冠や豊島八段といったトップクラスの棋士を相手にこのような指し回しが通用するか、といった問題はありますが、タイトル争いをする上では、極めてあなどれない棋士が現れたな、という印象を受けました。

大学を卒業して、将棋に専念できているのが好調の要因と思われます。
高見新叡王の今後の活躍に期待したいですね。

■羽生「宿題やった?」天彦「やったよ」(名人戦七番勝負 第4局)

さて今度は、先週の土日(5月19・20日)に行われた名人戦第4局の話題を。
羽生二冠が第3局までで2勝1敗とリードしており、この第4局を制すれば名人復位に王手をかけられるところでしたが、佐藤名人がきっちりと勝ち切り、対戦成績を2勝2敗の五分に戻しております。

名人戦は棋譜中継がすべて有料のため、あまり手の解説をするのは気が引けるのですが、本局は棋譜の部分で結構面白いところがあるので、かいつまんで説明しますね。

さて出だしですが、先手の佐藤名人が、
「今日は相掛かりにしませんか?」と初手▲2六歩を指したところ、
いつもは相手の注文を受け止めるのが普通の羽生二冠が、
「いや、今日は別の戦法を指したいんだ」
と二手目を△3四歩で応じます。
では何を指したいのか、と思っていましたら、スラスラと横歩取りへ誘導。
しかも、先日の王位戦リーグで松尾八段をわずか55手で粉砕した将棋の松尾八段側を持つ、という趣向を見せます。

一昔前なら「ちょっと情報早すぎませんかねえ」と研究不足を露呈する棋士も少なからず居たのですが、そこは高度なコンピュータシステムが機能する現代社会。
佐藤名人はきっちりと回答を用意しておりました。
それが31手目の▲2三歩。
一見してこれといった狙いが感じられないため盲点となる一手で、羽生二冠も対応に苦慮せざるを得ませんでした。
なおコンピュータにかけると、この▲2三歩が最善手とのこと。
いやー、ちょっと人間には読みにくいですね、この手。

とはいえ、そこはさすがの羽生二冠。
ただ▲2三歩に手をこまねいてるわけはなく、△4四馬から何だかんだと手を作ります。
しかし、この後の佐藤名人の手も完璧。
▲1六角△4三香の交換を入れて、羽生二冠の虎の子の手駒を無駄に受けに使わせると、すぐさま▲8五飛から▲3八銀として、先手陣を引き締めにかかります。
後手の羽生二冠は先手陣に飛車を打ち込むのが楽しみだったのですが、佐藤名人の引き締め策が絶品で、この後羽生二冠が先手陣に飛車を打ち込むチャンスはついぞありませんでした。

以後は佐藤名人が鮮やかな完封リレーを見せ、あの羽生二冠を相手にパーフェクトゲームを達成。
実に見事な収束でした。

負けると防衛が危うくなる一戦でしたが、佐藤名人の対応が素晴らしかったですね。
佐藤名人の実家からわずか1kmほど、という福岡市のホテルでの一戦でしたが、地元に錦を飾る一勝を上げることができました。
これからは改めて三番勝負となりますが、あらかじめ先後が決まっている第5・6局に両者がどのような戦法を採用するかが勝敗の鍵を握ると思われます。
第4局までと同様、「これが名人戦」という濃厚かつ上質の将棋に期待します。

■西山奨励会三段、新女王に!(マイナビ女子オープン五番勝負 第4局)

さて今度は女流棋戦の話題を。
加藤女王(奨励会初段)に西山奨励会三段が挑んだマイナビ女子オープン五番勝負ですが、先週第4局が行われ、この対局に勝利した西山奨励会三段が、3勝1敗で新女王に輝くこととなりました。

西山奨励会三段は、現在三段リーグに所属する22才。
只今、女性初のプロ棋士に最も近い立場に居ます。
振り飛車から豪快に捌いて暴れるという、一昔前のプロ棋士のような指し回しが特徴で、「棍棒を持って暴れる野蛮人」のような棋風という評価が定着しております(おい)
今の世知辛い三段リーグでは、当然ヒドい目に遭うことも多いのですが、こういう型破りの新四段が出てきてもいいだろう、という声は少なからずあります。

奨励会では加藤奨励会初段より当然ながら格上。
なのですが、こと女流棋戦に限ってはこれまで部が悪く、ほぼ全くといっていいほど勝てていなかったのですが、今回初めて殻を破りました。
とはいえ、一番欲しいのはなんといっても新四段の座。
今期の三段リーグでは4勝2敗とまずまず良いスタートが切れているだけに、今期こそ猛ダッシュを決めてもらいたいところ。

[PR]
by mitsuboshi03 | 2018-05-27 21:30 | 将棋 | Comments(0)
予定が空いたので、金曜日にお休みをもらう。
今週がいろいろ予定があるので、しばしの休息を。
ま、たまにはこういうのもいいよね。

さて今回も将棋ネタ。
先週も話題満載のため、あっさり風味でお送りします。
あと、只今名人戦第4局が絶賛開催中ですが、いつ終わるかわからないため、結果は来週に回します。

■藤井聡太、史上最速での七段昇段(竜王戦5組ランキング戦)

まずは大きな注目を集めたこの話題から。
藤井聡太六段が、5月18日に行われた竜王戦5組ランキング戦で船江六段を破り、ランキング戦での昇級を確定。
これによりランキング戦連続昇級の規定を満たしたため、七段へ昇段することとなりました。
15歳9ヶ月での七段昇段は、加藤「ひふみん」九段の記録を上回る新記録。
またデビュー2年目での七段昇段、ってのも今後まず現れないであろう大記録に。
それにしても、こういうチャンスを逃さないってところは、さすがです。

さて対船江六段戦はどうなったかと言いますと。
船江六段が、本局に向けてとっておきの戦法を披露。
今や現代プロ将棋では絶滅危惧種となりつつある、角換わり棒銀を採用しました。
もちろん船江六段なりの工夫もあり、それが▲7八金を保留したこと。
通常ですと▲7八金と守りを整備してから棒銀に出るのですが、そうするとほぼ先手不利の定跡が既に確立してしまっております。
▲7八金を保留すると、いきなり終盤戦に突入する怖い変化が多く危険ではあるのですが、後手もその変化に飛び込むのは勇気がいるため、たまーに試す分には十分勝算のある戦法といえます。

本局の藤井七段は、怖い変化には踏み込まず、銀交換を受け入れるやや妥協した手順を選択。
持ち時間に1時間以上差がついたこともあり、序盤の分かれは船江六段がポイントを上げたように思えました。
しかし、藤井七段が△2八銀とやや露骨に銀を打ち込んだのが意外に利いていたようで、中盤以降は藤井七段が優位を確立。
船江六段も必死の追い上げを見せたのですが、最後は藤井七段が23手詰を見切った華麗な寄せを見せての勝利を収めました。

最後の局面で、船江六段がもう少し指すのではないかと思いましたが、23手詰めをかけられた
ところで投了したところに美学を感じました。
藤井七段と同じく、詰将棋作家であり、詰将棋選手権での優勝経験のある船江六段。
もしかすると、ちょっと前の局面からこうなることを想定していたのかもしれませんね。

■王位挑戦者の行方は3人に絞られる

さて次は王位戦。
リーグ戦が5月17日に全日程を終了し、挑戦権の行方は3人に絞られることとなりました。

王位戦リーグは、紅組と白組に各6名が入り、各組でトップに立った2名が挑戦者決定戦を戦うというシステムになっております。
まず紅組ですが、トップ争いは3勝1敗で並んでいた羽生二冠と村山七段に権利が。
羽生二冠は55手で松尾八段の研究していた横歩取りを打ち砕いたのに対し、村山七段は大激戦の末に木村九段に敗れたため、羽生二冠が勝ち抜けることに。
一方白組は、4連勝でトップを走っていた澤田六段が阿久津八段に敗れて一歩後退。
その隙に、佐々木大地四段に勝った豊島八段が4勝1敗で追いつきました。

というわけで王位戦挑戦者は、まず澤田六段と豊島八段が戦い、その勝者が羽生二冠と戦って挑戦者を決める、という展開になります。
まんべんなく勝っている人がやっぱり出てきたか、という感じになりましたね。

■マイナビ女子オープン五番勝負 第1~3局 

さて最後に女流の話題を。
女流棋界最高額の賞金がかかるマイナビ女子オープン五番勝負が現在第3局まで進行中で、ここまで挑戦者の西山奨励会三段が、2勝1敗で加藤女王をリードしております。
奨励会の段位で言うと、西山三段vs加藤初段で西山奨励会三段優位ですが、女流棋戦での成績は加藤女王の方に分があるだけに、ここからどう転がるかはまだまだ予断を許さない状況かなと思います。

第4局は5月24日(木)に東京の将棋会館で行われます。

[PR]
by mitsuboshi03 | 2018-05-20 10:52 | 将棋 | Comments(0)

スポーツ、将棋、ミリタリー、オタクネタ、地元長野ネタなど節操なしに書きまくります


by mitsuboshi03