このblogが誕生して早14年。
某モンゴル料理屋で生まれた「バター同盟」の一翼を長年守ってきました。
ここ最近までの「バター同盟」の動向は、細川氏のとこが週2~3回更新でトップ、続いて私んとこが週1更新で続き、次いで大つき(19)先生んとこが1~2ヶ月おきの更新、という状態。
それが、細川氏んとこが先月から更新をストップしたため、私んとこの更新がスライドしてトップということに。

なんだか不戦勝してもらっているようで、少々居たたまれない気がしているのでありますよ。
細川氏のblog更新、楽しみにしております。

さて今回も将棋ネタ。
とはいえ今週はどういうわけかネタが少ないため、縮小更新ということに。

■斎藤七段、中村王座を崖っぷちへ追い詰める(王座戦五番勝負 第2局)

今週唯一のネタとなった、王座戦五番勝負の第2局。
9月20日に京都市の「ウェスティン都ホテル京都」で行われました。
結果は挑戦者の斎藤七段が勝利。
連勝スタートで、早くも中村王座をカド番へ追い詰めることとなりました。

将棋の方ですが、角換わり模様の出だしから、先手番の中村王座が21手目に▲3五歩といきなり仕掛ける展開に。
後手の指し手によってはそのまま一気に終盤戦、ということもありえたようですが、本譜では斎藤七段が24手目に△4四銀と自重したため、再び駒組みへ戻る持久戦模様へ。
その後は中村王座が攻勢を見せるも斎藤七段が粘り強く対応し、やや中村王座良しの形勢に。
しかし、斎藤七段が70手目に△7六桂と王手した手に中村王座が▲7九玉としたのがまずかったようで、ここから斎藤七段の攻めがつながり、そのまま押し切りました。

中村王座としては、序盤からスッキリ攻め続けて快勝、というイメージでいたと思われますが、斎藤七段の粘り強い対応に手を焼いた、という感があります。
斎藤七段の見事な指し回しが光った一局といえるのではないでしょうか。

これで斎藤七段は連勝スタート。
他棋戦でも好調を維持しているだけに、このままスッキリ押し切ってタイトルを獲得できれば、二冠・三冠の目も十分あります。
イケメン棋士として知られる存在でしたが、実力もあるんだぞ、ということを示せる機会になるかどうか、今後が楽しみです。

一方の中村王座ですが、第1・2局と力は見せているものの、結果につながらないという展開。
調子自体は悪くはないと思われるだけに、とにかく結果が欲しいところ。
もう後がありませんが、思い切って指してもらいたいものです。

※きょうの藤井聡太は、今週対局が無いためお休みします。
 次の対局は、9月25日に行われる新人王戦準決勝の対青嶋五段戦となります。

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# by mitsuboshi03 | 2018-09-23 13:59 | 将棋 | Comments(0)
世間的には三連休だった先週末ですが、私は地域の秋祭りの準備から後片付けまでガッツリお付き合いするという苦行に、ただひたすら耐えておりました。

なんとかやりきったよ…。

というわけで、今日は臨時でお休みをもらったので、変則的に本日更新をば。
いつもの通り将棋ネタでございます。
先週は藤井聡太七段の対局が多かったので、そちらの話題が主になるかと。

■王位戦の結末は最終第7局で(王位戦七番勝負 第6局)

とはいえまずはタイトル戦の動向から。
王位戦七番勝負の第6局が9月10・11日に神奈川県秦野市の陣屋で行われ、挑戦者の豊島棋聖が勝って通算成績を3勝3敗とし、決着を最終第7局に持ちこしました。

さて将棋の方ですが、後手番の菅井王位が角道オープン四間飛車から穴熊へ囲う作戦を披露。
これに先手の豊島棋聖が居飛車穴熊で応じ、初秋にもかかわらず暑苦しい相穴熊対決となりました。
相穴熊戦ということで、中終盤は穴熊のリフォーム力が問われる、こってりした難解な展開に。
最後は豊島棋聖が勝利しましたが、千日手、あるいは菅井王位が勝ちそうな局面もあったようで、きわどい勝負となりました。

豊島棋聖は、兎にも角にもカド番を免れてまずはほっと一安心。
一方、菅井王位にとっては勝ちを拾うチャンスもあっただけに惜しい将棋となりましたが、苦戦している後手番でこれだけの将棋が指せたのは心強いのではないかと。

さて決着は最終第7局に持ち越し、ということに。
勝敗を語る上では振り駒が重要視されますが、好局を期待します。

そういえば。
第6局の舞台となった陣屋さんですが、こないだやった王座戦第1局からの連戦ということに。
1週間そこそこでタイトル戦を2局もてなす、というのは並々ならぬ苦労があるかと思いますが、それができちゃう陣屋のこの安心感。
さすがは将棋界屈指の対局場所と言えますね。

■きょうの藤井聡太(秋の藤井聡太祭り:王位戦予選、叡王戦予選、Abemaトーナメント)

さて、やってまいりました秋の藤井聡太祭り。
前回の記事から1週間ちょいの間に王位戦の予選と叡王戦の予選を戦い、なおかつ非公式戦なAbemaトーナメントの放映があるという豪華編成。
見ている方は楽しみでしょうがないのですが、本人は少々お疲れ気味のご様子。

まずは9月14日に行われた、王位戦予選での対山崎八段戦。
王様の囲いの固さよりバランス感覚を大事にする、独特の序盤センスが光る山崎八段。
本局ではその序盤センスが遺憾なく発揮されることとなります。
藤井七段が33手目に▲5八金とやや不用意に駒組みを進めたのを見逃さず、すかさず△6五歩から△6四角と先手の飛車を責める展開に。
こうなるとさすがの藤井七段も苦戦を免れず、序盤から持ち時間を使う苦しい将棋となります。
もちろん藤井七段もタダではすまさんぞと、苦しいながらも必死にヒタヒタと後を追いかけてはいたのですが、本局は山崎八段がさすが実力者という指し回しを見せ、快勝しました。

そして、昨日の9月17日に行われた叡王戦の七段予選。
2勝すればめでたく予選突破となるのですが、準決勝戦に立ちはだかったのは小林「デカコバ」裕士七段。
今年度はやや不調なものの、持ち時間がチェスクロック1時間というスピーディな決着が売り物な叡王戦予選がよほど水に合うようで、こと叡王戦予選に関しては抜群の強さを発揮します。
本局でも中盤以降の指し回しが見事で、小林七段の完勝譜で終わる…かと思われましたが、最後の最後で大どんでん返し。
最後の寄せで着地に失敗した小林七段に対し、藤井七段は1分将棋ながらも、107手目に▲5七玉と密かに「詰めろ逃れの詰めろ」をセット。
小林七段はこの最後の罠にあっさりと嵌ってしまい、藤井七段がまさかの大逆転勝利を収めました。

午後に行われた対小林七段戦の熱狂冷めやらぬ中、夜には決勝戦で千葉七段と対決。
最近はチキンカツ教祖としての活躍が主ですが(おい)、名うての研究家であり、今期はここまで12勝4敗という好成績を上げております。
あと、千葉(旧姓碓氷)女流の夫、ということでも有名ですね。
さて将棋の方ですが、ちょっと珍しい相掛かりの難解な戦いに。
しかし本局では序盤からジリジリと藤井七段がポイントを積み重ね、粘る千葉七段を振り切り、見事七段予選を勝ち抜きました。

そして今度は、ちょいと時間が巻き戻って、9月9日に初放映されたAbemaトーナメント。
チェスが趣味な羽生竜王の提言により実現したフィッシャールールでの非公式戦。
持ち時間は5分切れ負け制ですが、1手指すと5秒追加されるのがミソ。
あと、三番勝負で決着をつけるのもポイントですね。
いずれにしろ、ハイスピードでスリリングな戦いとなります。

トーナメント自体は前々から進んでおり、9月9日に行われたのは、佐々木勇気六段との決勝戦。
第1局を佐々木勇気六段が制しましたが、続く第2・3局を藤井七段が制し、トーナメント優勝を果たしております。

王位戦予選で難敵の山崎八段に敗れたのは残念ですが、叡王戦予選で小林七段から辛くも勝利を拾えたのが大きく、予選突破を果たしたのは収穫でした。
苦しいながらも勝ちを拾えるのは強者の証明。
持ち時間が3時間と増える本戦でも、上位進出を果たしてもらいたいものです。
あと、Abemaトーナメントは面白い試みだったと思います。
メンツを変えて、またやって欲しいものです。
また女流をこのルールで対戦させてみるのも面白いかも。

■ドワンゴ、電王トーナメント終了を発表

そういえば、紹介していなかったこの話題を最後に。
コンピュータ将棋選手権と並ぶ、コンピュータ将棋の戦いの舞台であった電王トーナメントですが、先日電王トーナメントを終了し、その代わりに来年のコンピュータ将棋選手権からドワンゴが賞金を出す、ということが発表されました。

半年おきに大きな大会が2つ、というのがバランスが良かった気もしますが、コンピュータ将棋が十分発展したこともあり、大会の役割を終えた、という判断なのかもしれません。
個人的には残念ですが、まあしょうがないのかなと。

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# by mitsuboshi03 | 2018-09-18 14:09 | 将棋 | Comments(0)
地区の秋祭りデスマーチ、大絶賛進行中であります(涙)
それでも今週はまだ楽な方で、来週はいよいよ本番なのでさらにダメージドン!
…本業が忙しかったら詰んでましたねw

さて今週も将棋ネタ。
いよいよ9月ということで、色々と話題が増えてまいりました。

■斎藤七段、開幕局を勝利で飾る(王座戦五番勝負 第1局)

まずはタイトル戦の動向から。
中村王座に斎藤七段が挑戦する、イケメン棋士同士の対決となりました今年の王座戦五番勝負ですが、9月4日に第1局が神奈川県秦野市にある陣屋で行われ、挑戦者の斎藤七段が勝利しております。

陣屋といえば鶴巻温泉の老舗旅館であり、将棋界ではタイトル戦の舞台としておなじみ。
いつもは(たとえ対局が無くても文句を言われにくいこともあり)大詰めのところで使われることが多いのですが、今回は久々の開幕局での起用となりました。

さて将棋の方ですが、振り駒で斎藤七段が先手番となり、スラスラと角換わり腰掛け銀へ進行。
序盤で変わったところというと、後手番の中村王座が、右側の金を7二へ持っていったこと。
以前なら5二、最近ですと6二が定番ですが、中村王座は数手後に△6一飛として6筋から攻めかかる構想を持っていたようです。

後手から先行されてはかなわないと、斎藤七段が▲3五歩と開戦したところで中盤戦に突入。
そのしばらく後、昼食休憩明けに中村王座が△4四歩と先手の4五に居座る桂馬を取りにいったのが少々やりすぎだったようで、以下斎藤七段が2筋の防御網を突破してリードを築きます。

斎藤七段が激しい変化に突入すれば、早い勝ちもあったようですが、本局では腰を落としたやや慎重な指し回しを見せたために、形勢が接近。
夕食休憩後の夜戦では、中村王座が逆転したのではないか、という流れに見えましたが、それでもギリギリ薄皮一枚、斎藤七段の勝ちが残っていたようです。

夜戦を少しニコ生で見ましたが、両者の対局姿が迫力満点。
グラビア映えもするし、対局姿もバッチリ。
長く見ていたい対戦ですね。

■羽生竜王に挑むのは、広瀬八段に決定!(竜王戦挑戦者決定三番勝負 第3局)

お次は、竜王戦挑戦者決定戦の話題を。
深浦九段と広瀬八段との三番勝負の第3局が9月6日に行われ、広瀬八段が勝利を収め、羽生竜王に挑戦することとなりました。

将棋の方ですが、最終局ということで改めて振り駒が行われ、広瀬八段が先手番に。
実はこれ、微妙に勝敗を左右した感があります。

本局では後手番の深浦九段が、最近多用している雁木模様へ無理やり持っていったのですが、それに対して広瀬八段が3筋からの速攻に出たのが好着想で、ポイントを上げます。
とはいえ広瀬八段は速攻に出た分玉形も薄く、そこを突いて深浦九段が強気に反撃。
しかし広瀬八段も強気に応酬。
△8七歩成の角取りを放置して、▲7三歩成と踏み込みます。
この手が事実上の決め手で、以降は粘らせたら天下一品な深浦九段に粘る順を与えず、広瀬八段が快勝しました。

どちらが勝ってもおかしくない三番勝負でしたが、やはり第2局を粘りまくって勝利した広瀬八段がそのまま押し切った、という感が強いです。
振り駒で深浦九段が先手番だったらどうだったか、という気もしますが、そういう運も第2局の粘りで引き寄せたのかなと。
広瀬八段にとっては2015年の王位戦以来のタイトル挑戦となりますが、羽生竜王相手にどんな戦いぶりを見せられるか、楽しみです。

一方、羽生竜王にとっては正念場。
ほぼ確定と見られていたタイトル100期の大記録でしたが、棋聖戦でフルセットの末に敗れたのが大誤算で、ひょっとするとこの竜王戦がラストチャンスになる可能性すらあります。
毎度毎度こういう予想を覆すのがいつもの羽生竜王ではありますが、何しろ40歳後半という年齢が年齢だけに、この機会は逃したくないところです。

■きょうの藤井聡太(棋王戦本戦で菅井王位に敗れる)

今度はきょうの藤井聡太。
今週は棋王戦本戦で菅井王位との大一番がありましたが、残念ながら敗れております。

9月3日に行われたこの対局。
振り飛車党の菅井王位が振り駒で先手番を握り、振り飛車党にとっては先手番のエース格とも言える中飛車に構えます。
それに対して藤井七段は、早繰り銀からの超速という最新型で応戦。
序盤でポイントを上げます。
しかし菅井王位も決め手を与えない指し手で粘りを見せ、手順に王様の守りを固めてからは局面をリード。
以後は手堅く菅井王位が勝ち切りました。

藤井七段にとっては、まず振り駒でまたも後手番になったのが不運。
これで直近の振り駒では1勝11敗という結果に。
先手番を取っていれば、一発入れるチャンスは十分あったと思われます。
また、慣れない対振り飛車戦で持ち時間を浪費してしまったのも痛かった。
とはいえ、タイトル争いをする棋士とはまだ少し、差があるのかな、という印象です。

これで藤井七段は、今年中のタイトル挑戦への可能性が消滅。
直近での大一番は、青嶋五段との新人王戦準決勝になりますでしょうか。
あとは順位戦での連勝を続けることが重要になってきます。

■加藤奨励会初段、挑戦者に(女流王将戦 挑戦者決定戦)

最後に女流棋戦の話題を。
女流王将戦の挑戦者決定戦が加藤桃子奨励会初段と伊藤沙絵女流二段との間で行われ、勝った加藤桃子奨励会初段が里見女流王将への挑戦権を獲得しております。

強豪同士の対決となったこの対局。
将棋の方ですが、後手番の伊藤女流二段が、後手番でのエースである無理矢理矢倉へ。
これに対して加藤奨励会初段は、3筋の歩交換から果敢に打って出ます。
中盤以降は加藤奨励会初段の攻め、伊藤女流二段の受け、という展開となりますが、加藤奨励会初段の攻めが最後まで切れず、加藤奨励会初段が勝利を収めました。
伊藤女流二段は、飛車がなかなか攻めに使えなかったのが最後まで響いた感があります。

昨年女流王座を、今年女王を失った加藤奨励会初段。
主戦場は奨励会ではありますが、女流タイトルは1つでも取っておきたいところ。
とはいえ、里見女流王将はかなりの難敵。
直近では男性プロ棋士を何度も破っているだけに、タイトルを奪うのは容易なことではありません。
いずれにしろ実力者同士の対戦なだけに、どんな結果になるにせよ、ハイレベルな対局になることを期待しております。

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# by mitsuboshi03 | 2018-09-09 14:14 | 将棋 | Comments(0)
今日で9月になりました。
今年もあと3分の1ですか。過ぎてしまうと早いものですね。
しかし、今月は地区の秋祭りを何とか乗り切らないといけないという正念場が。
とほほ。

さて今回も将棋ネタ。
夏も終わりかけということで、話題満載でお送りします。

■菅井王位、先手番での勝利を死守(王位戦七番勝負 第5局)

まずはタイトル戦の動向から。
王位戦七番勝負の第5局が8月28・29日に徳島市の「渭水苑」で行われ、菅井王位が勝ち、対戦成績を3勝2敗としております。

改めて三番勝負となって迎えたこの第5局。
注目された菅井王位の戦法選択ですが、第1・3局で勝っていた中飛車ではなく、まさかの向かい飛車。
中飛車は予想でも大本命とされていただけに、豊島棋聖も網を張って待ちかまえていたはず。
ヤマが当たってしまうと破壊力抜群な豊島棋聖の研究にあっさり嵌ってしまうことを恐れたんでしょうね、きっと。

思い切った戦法選択は、菅井王位にとって吉と出ます。
1日目の駒組みで豊島棋聖に圧力をかけたところ、2日目の封じ手から豊島棋聖が玉頭に手をつけてからの猛攻に出ます。
しかし、微差ながら中盤戦を制したのは菅井王位。
対抗型の豊富な経験を活かし、じわじわとポイントを重ねていきます。
大きく形勢が傾いたのは96手目の△4五馬で、代えて△2四桂ならまだまだ難しい形勢との見解が出されていますが、個人的にはそれでも豊島棋聖が苦しむ展開になったのでは、と思います。

本局では賭けに勝った菅井王位ですが、苦難の道はまだまだ続きます。
第6局は、対応に苦慮している後手番。
これに勝っても、最終第7局での振り駒を乗り越えなければなりません。
個人的には、やはり序盤の戦法選択が勝利の鍵を握りそうな気がしてます。
一方、王位挑戦失敗に王手をかけられた豊島棋聖ですが、第6局の先手番を落とさなければ、最終第7局を五分の条件で迎えることができます。

それにしても、なかなか相手の先手番をブレークできないこの七番勝負。
個人的には、第7局の振り駒で勝負が決まる展開は避けて欲しいのですが(苦笑)

■広瀬八段、大熱戦を制す!決着は最終第3局へ(竜王戦挑戦者決定戦 第2局)

お次は竜王戦の挑戦者決定戦。
第1局を深浦九段が制して迎えた第2局が8月27日に行われ、広瀬八段が大熱戦を制し、最終第3局に決着を持ち越すこととなりました。

力戦調の将棋から、先手の広瀬八段が雁木模様、後手の深浦九段が矢倉に構えるという、最近たまーに見かける将棋となった本局。
100手あたりで深浦九段が優勢となり、あとはどうやって決めるか、という雰囲気になりかけましたが、広瀬八段がとにかく自陣に手駒を貼りつけまくって粘りに出ます。
自分が普段やっていることを逆にやられて気が変になったのか、ここから深浦九段の手が乱れ、局面は混沌の渦に。
最後は広瀬八段が深浦九段を美しい即詰みに仕留め、ギリギリ日付が変わっての決着となりました。

とにかく広瀬八段の執念の粘りが見事。
相手のお株を奪う勝ち方だけに、この挑戦者決定戦だけでなく、今後においても大きな一勝となったのではないでしょうか。
とはいえ、こんなことでへこたれるわけがないのが深浦九段。
9月6日に行われる最終第3局が、今から楽しみでなりません。

■きょうの藤井聡太(順位戦・新人王戦 ともに勝利)

今度はきょうの藤井聡太を。
今週は久々に週2局のハードスケジュール。
8月28日にC級1組順位戦で青野九段と、昨日の8月31日に新人王戦で近藤誠也五段との対局があり、いずれも勝利しております。

まずは順位戦の対青野九段戦ですが、のっけから青野九段戦が遅刻。
しかも青野九段が、プロ間では対策が進んでいる歩越し棒銀に打って出た上に、藤井七段に冷静に受けられてそのまま失速、という展開に。
タイトル挑戦経験もあり、A級を長く保った一流棋士の青野九段にしては、なんとも不出来な一局になってしまいました。

そして新人王戦での対近藤誠也五段戦。
こちらは最新型の角換わり腰掛け銀から、均衡状態が続く難解な将棋に。
しかし、勝負どころで近藤誠也五段がまさかの暴走。
64手目の△8五飛に▲8八歩と受けるべきところを、▲1五香と香車を走らせてしまったばっかりに、先手陣ド急所の8七にと金が爆誕。
こうなってしまっては余命いくばくもなく、最後は藤井七段が念入りに逆転の芽を摘んでいく「友達をなくす一手」を重ねて勝利を収めました。

これで順位戦は4連勝スタート。
とはいえ全勝や3勝1敗勢はまだまだ多く、昇級に向けては苦難の道が続きます。
なんとなんと師匠の杉本七段が同じく4連勝スタートを切っておりますが、1988年に大内九段と塚田泰明九段が共にB級1組へ昇級して以来の師弟同組同時昇級、なんてことは果たしてあるんでしょうか。

そして新人王戦。
今回の勝利でベスト4への進出を決めております。
16歳にして最後の新人王戦となる今回。
ラストチャンスで新人王を獲得することはできるでしょうか。
準決勝戦では難敵の青嶋五段を迎えることとなります。

あと、9月3日には棋王戦本戦で菅井王位との大一番がありますね。
トッププロ相手に一泡吹かせることができるか。
こちらも楽しみです。

■女流王座戦 挑戦者決定戦 プレビュー

最後に女流棋戦の動向を。
里見女流王座への挑戦を賭けたトーナメントが準決勝戦まで進行し、挑戦者決定戦は清水女流六段と伊藤沙絵女流二段との間で争われることとなりました。

企業や団体による団体戦で争われる職員団体対抗戦、通称「職団戦」で猛威を振るう強豪将棋部を抱えるリコーがスポンサーとなって、最近創設されたのがこの女流王座戦。
長年女流棋戦の拡充が求められながらも、(先立つものがないため)なかなか実現できなかっただけに、この件は嬉しいニュースとなりました。
アマチュア枠に加え、海外選手や女性の奨励会員にも門戸を開く、意欲的な棋戦としても知られております。

さて、そんな戦いを勝ち抜いてきたのが、清水女流六段と伊藤沙絵女流二段。
清水女流六段は、長年女流棋界を牽引してきた実力者。
とはいえ最近は中々タイトル挑戦の機会がなかっただけに、このチャンスには期するものがあるでしょう。
一方、伊藤沙絵女流二段は最近売出し中の元奨励会員(1級で退会)
最近はタイトル挑戦経験も徐々に増やしてきており、ここでタイトル挑戦→タイトル奪取となればまた違う世界が見えてきそうな女流棋士であります。

挑戦者決定戦の日程はまだ決まっていないようですが、今から対局が楽しみです。

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# by mitsuboshi03 | 2018-09-01 15:01 | 将棋 | Comments(0)
あともうちょっとで8月が終わりますが、残暑はしばらく続きそう。
まあ、こちらはそのうち零下何度の世界になりますので(苦笑)

そういえば。
つい勢いで、買ってしまいました『将棋神 やねうら王』。
つい先日発売されたばかりの、市販将棋ソフトの最高峰ですね。
諭吉1枚分というお値段の価値は、私みたいな将棋blogを書く身としては、あるのかなと。
いつまでも『激指10』に頼っているわけにもいきませんし(おい)
まあ少々コンピュータの知識がある人(某ワークス員のコンピュータ寄り民の大半)であれば、ほとんどすべてをタダで揃えられる仕様ではあるのですが、私を含め、世の中の大半の将棋ファンにはそんな知識はないわけでありまして(苦笑)

とりあえず、大本営HPの説明通りに5種類の対戦相手から、たぬきさんを選択して対戦。
手加減抜きでやらせてもらっただけのことはあり、たぬきさんのパックマン戦法相手に完敗(涙)
さすがに、目一杯手加減してもらったら勝てました(おい)
これから、ハンデを徐々に減らせていければいいのですがね。

さて今回も将棋ネタ。
先週『りゅうおうのおしごと!』をやった分、紹介しきれなかったことも含めてお送りします。

■振り飛車党、後手番の苦悩(王位戦七番勝負 第4局)

まずはタイトル戦の動向から。
王位戦の第4局が8月22・23日に博多にある「ホテル日航福岡」で行われ、豊島棋聖が勝利して対戦成績を2勝2敗のタイに戻しております。

さて将棋の中身の方ですが、これがまあ、終始一方的な豊島棋聖ペース。
後手番の菅井王位が角道オープン四間飛車を選択したのですが、豊島棋聖が乱戦にせず、足早に王様を固めにかかったのがまず好判断。
それを見た菅井王位は石田流に構えようとしますが、豊島棋聖が菅井王位の駒組みの隙を突き、一気に攻めかかります。

そして、1日目に菅井王位が手を封じた局面で、菅井陣のド急所である5三にと金が。
これはかなり、厳しい。
2日目に入り、一時は菅井王位が正確に指せば紛れるか、という局面もあったようですが、全般的には豊島棋聖が無難にまとめて勝ちきりました。

落としてはならない先手番で、持ち前の斬れ味抜群な攻めを炸裂させた豊島棋聖。
これで改めて三番勝負となりましたが、後手番となる第5局をブレークできれば、二冠達成が大きく近づくはず。

さて敗れた菅井王位ですが、昨年と比べて後手番での戦法選択に苦戦している模様。
最近振り飛車党から、「後手番対策に困っている」という話を聞いて、「そんなわきゃーないでしょ。居飛車党は後手番がきついから、後手なら振り飛車する人がいるくらいなのに。」と思っていたのですが、この王位戦での第2・4局を見る限り、この話も案外ホラじゃないなあ、と思った次第。
まあ、後手番絶対不利、と思われてきた相矢倉や角換わり腰掛け銀にしても、研究の末に形勢がまた互角に戻ってきましたから、振り飛車にもまた新たな道が開けてくるかもしれません。
それこそ、第二・第三の藤井システムや、ゴキゲン中飛車みたいなものが。

■YAMADAチャレンジ杯 大橋五段・中澤女流初段が栄光を掴む

今度は、新たな若手の登竜門として立ち上がったYAMADAチャレンジ杯。
8月19日にプロ棋士・女流の準決勝と決勝戦がヤマダ電機の本拠地「LABI1 LIFE SELECT高崎」で行われ、プロ棋士部門では大橋五段が、女流部門では中澤女流初段が優勝しました。

さてこのYAMADAチャレンジ杯。
若手棋士にターゲットを絞った棋戦は長年にわたり拡充が求められていながらも、折からのスポンサー不足により現状維持がやっと、という状況が続いておりましたが、近年ヤマダ電機がメインスポンサーに立っていただいたことにより、ようやく実現したのがこの棋戦、ということになります。

この棋戦、実はプロ棋士部門は参加条件がかなり厳しいのが特徴で、プロ入り15年未満の五段以下の棋士、というのが条件。
しかも、タイトル挑戦をすると参加資格を失うため、例えば藤井七段のようなとんでもない実力の新人棋士だと、かえって活躍が難しい棋戦と言えます。
一方、女流棋士の場合は、条件が女流二段以下(プロ入り15年未満とタイトル挑戦未経験者なのはプロ棋士部門と一緒)と大分条件が緩和されることもあり、若手女流棋士にとっては貴重な実戦の場となります。
あと、両部門ともにアマチュア枠があるのも、私のような将棋ファンにとってはうれしいですね。
歯ごたえのある若手と当たることが多いため、特にプロ棋士部門でアマチュアが活躍するのは中々大変なことですが。

なお今年の決勝戦ですが、プロ棋士部門では大橋五段と近藤誠也五段が対戦。
先手番の大橋五段が、近藤誠也五段の駒組みの一瞬の隙を突き、三間飛車から豪快に攻めきりました。
また女流棋士部門では、中澤女流初段と石本女流初段が対戦。
こちらの方は、先手番の石本女流初段が中飛車、後手番の中澤女流初段が居飛車の対抗型となりましたが、中盤の折衝で上回った中澤女流初段が勝ちを収めました。

大橋五段・中澤女流初段、おめでとうございます。

■きょうの藤井聡太(棋聖戦1次予選で里見女流四冠を破る)

さて今度はきょうの藤井聡太。
8月24日に棋聖戦1次予選で里見女流四冠との対戦があり、勝利を収めております。

里見女流四冠といえば、もうすっかりおなじみの女流第一人者。
残念ながら三段リーグの突破は成りませんでしたが、それでも女流棋戦のみならずプロ棋士棋戦の方でもたびたびプロ棋士を破っており、もしかするとプロ棋士試験経由でのプロ入りを達成できるかもしれない状況となりつつあります。
藤井七段にとっても、油断のならない相手と言えますね。

案の定、序盤は先手番の里見女流四冠が、得意の先手中飛車で優位を確立。
藤井七段にとっては苦しい時間帯が続きます。
それでも、中終盤の大半を秒読みで戦いながらも、里見女流四冠をねじふせたのは流石の一言。
里見女流四冠にとっては、序盤を優位に進めていただけに残念な結果となりました。

■420手を戦い抜いた棋士、去る(中尾五段 引退)

さて最後に、引退の話題を。
10年前に順位戦C級2組からフリークラスへ陥落した中尾五段が、10年間C級2組への復帰条件を果たすことができなかったため、規定により引退することとなりました。

こうした事例だと、同様の理由で引退した熊坂五段がまだ印象に残っておりますが、中尾五段も熊坂五段と同様に、引退がかかった最終年は驚異的な追い上げを見せ、C級2組への復帰まであと1勝、というところまで迫ってはいたのですが、残念ながらそのあと1勝が遠すぎました。
その激闘の中には、今年2月に行われたプロ棋士最長手数記録の420手という戦い(対牧野五段戦、持将棋)も含まれております。

熊坂五段は故郷の仙台に戻って子供に将棋を教える日々を送っていますが、中尾五段は今後将棋からは離れた人生を送るとのこと。
中尾五段、ひとまずお疲れ様でした。

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# by mitsuboshi03 | 2018-08-25 15:02 | 将棋 | Comments(0)
長かったお盆休みも今日まで。
この間、細川氏が精力的に日本の戦争直前の話をまとめていることもあり、私も一つくらいは追加で記事を上げてみようかと。
せっかくですので、こないだ届いたばかりの『りゅうおうのおしごと! 第9巻』を取り上げてみましょうかね。
7・8巻の記事がまだですが、出たばかりのところから押さえていった方が需要もあるでしょうしw

最近の『りゅうおうのおしごと!』の定跡通りに8巻の感想戦で予告された通り、9巻は天衣ちゃんと姉弟子との女流タイトル戦、がメインテーマとなります。
特に天衣ちゃんは、これまで脇に回っておりますので、満を持してのメイン回になりますね。
いつものように、個人的に「おっ」と思ったところを拾っていくスタイルで書いてみます。
例によって、ながーくなりますので、その辺はご了承をば。

■玉将戦第5局は二度目の持将棋が成立した(p10)

女流タイトル戦の前に、まずはひっそりと続いている玉将戦から。
挑戦者の於鬼頭帝位が3連勝して崖っぷちに立たされた生石「捌きのアーティスト」玉将でしたが、第4局で振り飛車を捨てて勝利。
また第5局は二度目の持将棋が成立して、指し直し局は後日、ということに。

九頭竜竜王のアドバイスでソフト将棋を取り入れた生石玉将の逆襲なるか、というところですが、残念ながら本筋ではないので今のところはこの先はなしよ、と。
とはいえ、伏線にはなりますので覚えておきましょう。

■そして一斉に下座に向かってシャッターを切る(p13)

そして玉将戦第5局と同じ日に行われたのが、マイナビ女子オープンの挑戦者決定戦。
タイトルホルダーの供御飯山城桜花を破り、わずか10歳の夜叉神天衣が挑戦権を獲得。
アマチュア(研修会)での参戦ながら、これで女流二段の資格も確保することに。
これは現実の規定通りですね(そこまで勝てればの話ですが)

それにしても。
こちらは傍から眺めているだけですが、相手側にスポットライトが当たっているのを黙って見ているというのは、相当しんどいのではないかと。
負けるということは辛いことなんです。

■「将棋界において、特に清滝一門にとって師弟の絆は本物の親兄弟以上のものなんです!」(p29)

接点こそ相撲などに比べれば少ないものの、将棋界の師弟の絆は概ね強固なものがあります。
師弟もそうですが、兄弟弟子の絆もそうですね。

ここで思い出す史実のエピソードが一つ。
升田先生が亡くなられたとき、本人の遺志により香典は一切受け取らず、葬儀も出来る限り質素にすることとされた。
そんな中、真っ先に香典を持って通夜の席に現れたのが大山先生。
遺族は「故人の遺志なので受け取れません」と一度は断ったものの、
「升田さんとは(修行時代の)5年間六畳一間で一緒に寝起きした兄弟以上の間柄なので、ぜひ納めていただきたい」と譲らなかったという。
長年ライバルとして確執を続けていた両雄でしたが、やはり心の底では通じ合うものがあったのでしょうね。
なお、当の大山先生も、その翌年にA級在位のまま69歳で亡くなられました。

■「とにかく一刻も早く銀子ちゃんに会って。そして何かプレゼントを渡しなさい。」(p39)

さて、天衣ちゃんの挑戦を受けるのは姉弟子の銀子ちゃん。
そして、いくら姉弟子とはいえ、どちらかと言えば弟子の方が気にかかるであろう八一に釘を刺しておく桂香さん。
やはり清滝一門は、桂香さんが支えているんですなあ(ホロリ)

■姉弟子の表情はこっちからは見えないけど、声から察するに特に何も感じてないっぽい(p47)

そしてアパートの合鍵を渡そうとしたら、逆に姉弟子のマンションの合鍵を渡されたでござる。
確かにアパートはあいちゃんなど強敵揃いのアウェーなだけに、二人っきりで会えるホームを確保しておくほうがいいに決まっている。
なんという策士…!
だがしかし、相手は永世鈍感王の八一なのでありました(涙)

さて。
実際の姉弟子がどんなことになっているかは、ぜひとも9巻を買って挿絵を確かめていただきたい!
姉弟子ファンなら、この挿絵だけでも9巻を買う価値は十分にありますぜ。

■「シャルちゃんはこの前、学校で書いた作文が新聞に載って、文章に自信を持ってるです」(p68)

そしてあいちゃんの観戦記デビューに湧くJS研。
その中でもとびきり幼いシャルちゃんの作文が新聞に載った、らしい、のです、が。

「およめたんに してあげりゅよ」
「しんこんりょこーは はわいにいこう」
「まんしょんを かってあげりゅ」

…八一先生、これは言い逃れできないと思うのですが(冷徹に)
なお、これを知ったあいちゃんは、とってもにこにこしていたそうな。
氷の微笑みって奴ですね。
コワイ!

■『私が蠅なら、あんたは蠅がたかるゴミってとこね』(p89)

そして始まるマイナビ女子オープン第1局。
その前夜祭から、早くも火花をバチバチ散らす空女王と夜叉神挑戦者。
これは、将棋界で有名な「ゴミハエ問答」を下敷きにしたものですね。

木村vs升田の戦いとなった、昭和24年の第2回全日本選手権(後の九段戦→十段戦→竜王戦)でのひとコマ。
豆腐の話でウンチクを傾ける木村義雄名人(当時)に升田先生がちょっかいを入れたところから話がこじれて、最後はこんな感じに。

木村:「名人がゴミなら君はなんだ」
升田:「さあね、ゴミにたかる蝿(ハエ)ですか」

それにしても。
台本なしでこれだけ盛り上がる前夜祭。
今では考えられませんなあ。

■「対局場やその周辺についても書くのが観戦記の作法だよ。特に、タイトル戦はね」(p105)

観戦記デビューのあいちゃんに、観戦記の作法を説く八一師匠。
本文でも語られておりますが、特にタイトル戦の会場は、旅館などの宣伝を兼ねて対局場所を提供してくれておりますので、観戦記で取り上げるのは重要な意味を持ちます。
また最近話題の食レポも、地域の特産品や名物料理を取り上げる意味でも重要なポジションを占めつつありますからね。
もちろん、一般ファンからの食いつきが良いという事情もありますが(笑)

■「右の香が盤から落ちて、駒台の上に載ってるんですよ!」(p115)

天衣ちゃんの着物の袖が当たって右の香が盤から落ちて、駒台の上に載ってしまった図。
その後、この香車を打ってしまって反則負けしてしまった天衣ちゃんですが、実は、女流対局初の反則がこれだったりします。
やっちゃったのは、女流棋界の草分け的存在の一人、関根紀代子女流六段。
1974年に行われた、第1回女流名人戦での対寺下紀子初段(段位は当時)戦でのひとコマだったそうです。
9巻と違うところは、関根女流六段が着ていたのが厚手のセーターだったことですがw

それにしても大変レアな反則負けですが、現実でもこんなことあるんですねえ。

■『俺なんかでいいんですか?』『竜王がいいんです』(p128)

京都のデートスポットを取材する、という名目で八一を連れ出す供御飯山城桜花…もとい、鵠記者。

それにしても。
カップル満載の喫茶店なんかで『あ~ん♡』とかされて、なんとも思わない八一竜王の鈍感さたるや…(涙)

■「……銀子ちゃんと一度でも指したことのある女流は、誰もがその壁にぶつかるんどす」(p129)

さて今度は真面目な供御飯山城桜花。

女流棋士と50局以上を戦い、そのすべてに勝利している姉弟子。
まあ所詮フィクションとはいえ、2つの要因から考えるに、それもありうるかな、と。

1)圧倒的な力量差

何しろ銀子ちゃんは15歳三段である。
たとえ男性棋士であっても、これほどの逸材は歴史上であってもそうそう居ない。
ちなみに、瀬川五段のプロ入り試験の試験官を務めていたときの佐藤名人が、当時17歳三段でありました。
まあ14歳でプロ入りした藤井七段がおりますが、あれはそれこそ人類最速ですのでw

こういう人になると、「プロになれるかどうか」ではなく、「いつプロになるか」「いつタイトルを取るか」という目で見られる。
そういう相手にまともに立ち向かうのは、そう簡単にできることでは、ない。
ましてや対象は、奨励会にすら入れない、または入れたとしても概ね級位で退会しているという、相対的に棋力が劣る女流棋士である。
ちょっとこれは、しんどい。

2)タイトル戦の雰囲気

タイトル戦の雰囲気に飲まれる、あるいは気を使いすぎて将棋に集中できないプロ棋士は、案外多い。
木村九段や森下九段がその典型的な事例で、タイトル6度挑戦で無冠、というのは将棋界の(不名誉な)記録となっている。
一方、羽生竜王のように長年にわたりタイトル戦を戦う一部のトッププロは、大抵の対局場所をホームのようにして戦うことができる。
これを覆すことは、容易なことではない。

■約束を破った主人は地下で反省しておりますので(p159)

マイナビ女子オープン第2局の対局場所は、あいちゃんの実家である雛月温泉屈指の老舗旅館『ひな鶴』。
あいちゃんは修行中の身ということで、本局では対局場には姿を見せず。
そして第7巻で偶然あいちゃんに会ってしまった料理長のお父さんは、お母さんの女将により地下へ幽閉…。

老舗旅館って、座敷牢とかあるんでしょうかねえ。
コワイ!

■「沼津から出てきたばかりの頃は、あそこに居る登龍クンみたいに初々しかったんだけど」(p166)

場を盛り上げて仕切る、ベテラン(禁句)女流棋士の鹿路庭女流二段を暖かく見守る山刀伐八段。
鹿路庭女流二段の記述を見るに、デレマスの佐藤「しゅがーはーと」心さんが脳裏によぎるのですが。
巨乳だし、発言に☆があるし、作者はどう見てもデレマスにハマってるし(笑)

だがしかし。
こういう女流棋士によって、将棋界のイベントは支えられていると言えます。
こと普及に関しては、男性棋士よりよほど頼りになりますし。
何しろ、女性に優しく教えてもらえるというのは、いい(語彙力が低下してます)

■「気にしないでくれ。布、借りていいかい?」(p215)

帝位戦(現実の王位戦に相当)挑戦者決定リーグ最終局の大一番。
紅組優勝を賭けて、全勝同士で当たる八一と生石玉将。
上座は譲れなくても、研究などでもお世話になっている生石玉将に敬意を払い、自ら将棋盤を磨く八一。

普通は記録係が駒と一緒に磨く将棋盤。
力をこめる必要はありませんが、丁寧に拭いてあげると輝きが増します。
現実のプロ棋士でこれをやるのが菅井王位。
なお、囲碁だとこういう棋士はそれなりに居るそうな。

■ゴキゲン……三間飛車ぁッ!?(p221)

振り飛車を捨てた生石玉将相手に、真っ向勝負で八一がぶつけてきたのがこのゴキゲン三間飛車。
史実では菅井王位が羽生王位(当時)に挑戦した王位戦で採用しており、王位奪取の原動力となりました。

なお当の菅井王位は、ゴキゲン三間飛車という呼称を好んでいない様子。
しかし、この戦法の出現当初に名が上がっていた「うっかり三間飛車」よりはだいぶんマシだと思うのですがw
しっくりくる戦法名って、なかなか難しいんですよねえ。

■振り飛車は不利なんかじゃない(p233)

ゴキゲン三間飛車で勝利した八一が、生石玉将に語った言葉。
現状のコンピュータソフトだと、どうしても序盤で評価値が下がるのですが、普通に指していくうちに互角に近い評価値に戻っていきます。
こと構想力という点では、まだまだ人間が将棋に果たす役割は大きいようです。

■「今日はあなたのために指した」って(p245)

八一がゴキゲン三間飛車を採用したのは生石玉将のためでもありますが、天衣ちゃんのためでもありました。

「序盤はもっと自由に指していいんだよ」と。

あーこれはダメです。
美少女ゲームやエロゲなら、完全に天衣ちゃんルートまっしぐらです。
しかし、当の八一には全くその気がないという。
それでいいのか(力をこめて)

■まさか結婚式場とは……(p249)

さてマイナビ女子オープン第2局の対局場所は、天衣ちゃんホームの神戸…はいいとして、まさかの結婚式場。
これも史実で事例がありまして、2013年に渡辺竜王対森内名人(肩書きは当時)で行われた竜王戦第4局が、香川県の結婚式場「サン・アンジェリーナ」で行われております。
…白鳥先生、もうちょい名前ひねりましょうよ(ボソ)

ええと、対局場も史実通りの展望室。
大盤解説も史実通りのチャペルですね。
なお史実の結果は…渡辺棋王の嫁マンガの通り、沈む夕日を見ながら渡辺棋王が投了しております。

■『これ、いいでしょ?』『あの人にもらったの』(p265)

さて対局開始。
天衣ちゃんの角頭歩戦法から少々の応酬があり、天衣ちゃんの角交換型向かい飛車で落ち着いた序盤に。
その時に天衣ちゃんが銀子ちゃんに語ったのがこのセリフ。

シチュエーション的には、完全に昼ドラの世界です本当にあり(以下略)
語る天衣ちゃんが10歳。
言われる銀子ちゃんが15歳。
そして二人が取り合う八一が17、8歳くらい。
こええよ!
ちなみに、個人的にはこのセリフだけでも9巻を買ったかいがありましたw

■最後に勝つのはこの私。竜王の心を手に入れるのは。(p332)

いろいろあった第3局の結果については9巻を買って読んでもらうとして(えー)

さて本格的に攻略ルートに乗っかってしまった天衣ちゃん。
しかし相手は絶望的に強すぎる。

あいちゃん?
姉弟子?
あー、そのへんはぶっちゃけ何とかなるかもしれない。
天衣ちゃんの前には、そんなものよりどうしようもないものが待ち構えている。

だって八一、三度の飯より将棋が好きな将棋星人だよ?
女の子なんかが入る隙間なんて、ないよ?

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# by mitsuboshi03 | 2018-08-16 12:34 | 将棋 | Comments(0)
気分的にはお盆休み真っ只中。
そして、これを書き終わるころにはコミケ終了でしょうか。
暑い中お疲れ様ですw

さて今回も将棋ネタ。
さすがにお盆ということで、いよいよネタが無くなってきましたw

■羽生竜王に挑む、二人の実力者(竜王戦挑戦者決定戦 プレビュー)

将棋界の真夏といえば。
将棋祭り!イベント!叡王戦予選!終わり!
…となってしまうため、今回はこんなネタで。
将棋界秋冬にかけてのメインイベントである、竜王戦七番勝負への挑戦権を賭けた三番勝負が、もう間もなく開幕となります。

挑戦者決定戦の舞台へ名乗りを上げたのは、広瀬八段と深浦九段という、二人の実力者。
広瀬八段は、ランキング1組優勝という恵まれた枠から順当に久保王将を下しての進出。
一方、深浦九段はランキング2組2位から千葉七段・豊島棋聖・三浦九段を下しての進出。
特に、滅法相性の悪かった三浦九段を下せた、というのは大きいですね。

世代は違いますが、共にA級・王位経験者という実力の持ち主。
お互い腰が重く、粘りのある棋風が持ち味とあって、濃厚な三番勝負が展開されるのではないかと期待しております。
戦法的には、深浦九段が最近多用している雁木模様をめぐる争いとなりそう。
また、広瀬八段がとっておきの振り飛車穴熊をここで採用するかも、見ものです。

竜王戦挑戦者決定戦三番勝負の第1局は、8月14日に東京将棋会館で行われます。

■きょうの藤井聡太(叡王戦予選で木下七段を破る)

さて、きょうの藤井聡太。
普通の棋士なら対局のないこの時期でも、ちゃんと対局がありました。
昨日の8月11日に叡王戦七段予選で木下七段との対局があり、勝利を収めております。

木下七段は、私よりちょいと歳上な50歳。
中学選抜大会で優勝してから、という今からすると遅めの奨励会入りながら、四段昇段を果たした方であります。
現在はフリークラスに在籍。
また私としたことがすっかり忘れておりましたが、数少ない長野県出身のプロ棋士の一人であり、現在も長野から将棋会館まで通って対局を行っているとのこと。
それから当日のニコ生でお見かけした限りでは、かなりのお洒落さんみたいですね。
夏らしく、爽やかでダンディな対局姿が印象的でした。

さて将棋の方ですが、叡王戦なので公式サイトに無料で棋譜がありますので、そちらをご覧になりながらというのがよろしいかと。

オールラウンダーな木下七段が後手番で向かい飛車を志向。
それを察知した藤井七段は、▲2五歩を保留して駒組みを進めます。
木下七段もノーマル振り飛車で戦う展開もあったかと思いますが、本局では居飛車で雁木模様を選択。
個人的には「木下七段、やや無理気味かなー」と思えた駒組みを見てか、藤井七段が機敏に動き、▲4四歩と敵陣をえぐる拠点の歩を放ちます。

これで優位に立った藤井七段でしたが、その直後に▲4七銀と銀を出た手がやや疑問手で、木下七段に△6四角と出られた時点では、ほぼ五分五分な展開に。
しかし、木下七段の△3八歩からと金を作って桂香を拾いにいった構想がまた疑問手で、▲1六歩~▲1七桂~▲2五桂と取りたい桂馬を攻めに使われては再び藤井七段ペースに。
最後は藤井七段が飛車切りの強襲から後手玉を寄り筋に追いやり、短手数で快勝しました。

木下七段は滅多にないネット中継での対局でしたが、やや不完全燃焼の一局に。
△6四角など光る手もあったのですが、数手良い手を指したくらいでは、藤井七段の牙城を崩すには及ばなかったようです。
それでも、ベテランの元気な姿を見られたのは良かったです。

一方の藤井七段ですが、少々ムラのあるところは見せたものの、鋭い一撃は健在。
とはいえ、上位勢にぶつかるにはもう少し読みの精度を上げないと、苦しむのではないかと。

藤井七段は、来週は久々に対局なし。
再来週の8月24日に、棋聖戦の一次予選で里見女流四冠との対局があります。
これも多くの注目を集めることになるんでしょうね。
今から楽しみです。

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# by mitsuboshi03 | 2018-08-12 15:53 | 将棋 | Comments(0)
連日暑い日が続きますが、皆様お元気でしょうか。
毎年暑い暑い言っている気がしますが、今年は特に身に堪える思いがします。

私が子供のころは、このあたりは標高が高いこともあり30度を超えることなど稀で、それこそエアコンどころか扇風機を数日動かすかどうか、という夏でしたが、今年は35度にも届こうという勢い。
そりゃ学校にもエアコン必要ですわw
避暑地なはずの軽井沢でさえ連日30度超えですからね。
果たして避暑になるのかと(苦笑)

さて今回も将棋ネタ。
午前中に地区のソフトボール大会へ出て消耗していることもあり、あっさり風味で。

■菅井王位、薄氷を踏む思いで何とか先手番勝利をキープ(王位戦七番勝負 第3局)

さてまずはタイトル戦。
王位戦の第3局が8月1・2日に札幌市の「ホテルエミシア札幌」で行われ、菅井王位が勝って対戦成績を2勝1敗としております。

菅井王位の先手番ということで戦型が注目されましたが、本局も大本命の中飛車。
豊島棋聖も予想の範疇ということか、得意の超速で迎え撃ちます。
そして銀交換から菅井王位が穴熊、豊島棋聖が高美濃に構えて第二次駒組み終了、というところで指された48手目の△6四歩がまずかったらしく、中盤戦では菅井王位がペースを握ります。

とはいえそこは豊島棋聖。
菅井王位の攻めを駒を惜しまぬ受けで凌ぎつつ、端攻め一発で菅井王位の穴熊を崩しにかかります。
そのまま豊島棋聖の鋭い攻めが決まるか、と思われた場面もありましたが、菅井王位がギリギリこの攻めを凌ぎ、最後は形勢が二転三転する大熱戦の末、菅井王位が勝利を掴みました。

お互い油の乗った棋士同士による大熱戦となった本局。
最後は菅井王位が勝ちを収めましたが、豊島棋聖の踏み込みも鋭かったですね。
お互い力を出し合っているだけに、決着は第6・7局あたりまでもつれるのではないかと。

王位戦第4局は、8月22・23日に福岡市の「ホテル日航福岡」で行われます。

■きょうの藤井聡太(順位戦で西尾六段を破る)

さてきょうの藤井聡太。
今週は7月31日に順位戦で西尾六段との対戦があり、勝利を収めております。

西尾六段といえば、なんといってもコンピュータ将棋への造詣の深さで有名。
また「世界一将棋の強いミュージシャン(ロック・メタル系)」という一面も持ちます。
コンピュータ選手権などニコ生にもたびたび顔を出すこともあり、私にとっては馴染み深い棋士の一人ですね。

さて将棋の方ですが、後手番の西尾六段が横歩取りを志向。
このところの横歩取りは、先手番が青野流から一気に攻めることが多く、後手番にとっては苦労の多い展開が続きますが、西尾六段は序盤早々に△6二玉と指す構想で臨みます。

20時ころまで36手しか進まず、一見すると超スローペースに見えますが、手数の短い横歩取りでは中盤の重要な山場であり、かなーり難解で先の見えない展開が続きます。
平日開催ということもあり、翌日の仕事に備えて私はこのあたりでニコ生を離脱したのですが、このあとの藤井七段の指し回しが素晴らしかったようですね。

西尾六段の攻めを紙一重でいなし、自らはプロでも気づきにくい妙手で寄せ切る。
当代一の終盤力は、本局でも健在だったようです。

これで藤井七段は順位戦を3連勝スタート。
とはいえ、連続昇級のためには残り7戦の全勝がほぼ必須。
昇級に向けては、まだまだ茨の道が続きます。

藤井七段の次の対局は、8月11日に行われる叡王戦七段予選の対木下七段戦。
叡王戦ということで、ニコ生での中継があります。
土曜日ということもありますので、ご都合がつくならぜひともご観戦を。

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# by mitsuboshi03 | 2018-08-05 13:26 | 将棋 | Comments(0)
いつもとは逆のルートから現れた台風も過ぎ、ほっと一安心。
近所の夏祭りはいつものように酷い目に遭ったようですが(汗)

さて今回も将棋ネタ。
ちょっと前までなら対局は少なめで、プロ棋士は将棋祭りなどのイベント活動に精を出すことが多かったのですが、叡王戦の段位別予選なんかが増えたおかげで、他の月と対局数はそれほど変わらなくなってきたのかな、という印象です。
そういえば、昨日は台風の中、九段予選で木村九段が千日手含め三局を戦い、勝利していました。
大変だったと思います。
お疲れ様でした。

■斬れ味爽快、豊島棋聖が1勝を上げる(王位戦七番勝負 第2局)

さてまずはタイトル戦の動向から。
7月24・25日に王位戦七番勝負の第2局が行われ、豊島棋聖が勝ち、対戦成績を1勝1敗の五分に戻しております。

神戸市の奥座敷であり、タイトル戦でもおなじみの「中の坊瑞苑」で行われたこの第2局。
肝心の将棋の内容ですが、後手番の菅井王位が角筋を止めての向かい飛車を選択。
現代将棋としては古典的ともいえるこの戦法に対し、豊島棋聖はバランスよく固める最近流行の銀冠穴熊を選択。
銀冠から穴熊に囲うというこの戦法。
手数こそかかりますが、組む途中の隙が比較的少なく、しかも固く囲えるというのが売り。
菅井王位が特に策を弄することもなかったため、すんなり銀冠穴熊に囲えた序盤戦は豊島棋聖ペースかな、という印象でした。

勝敗のポイントとなったのは、65手目に豊島棋聖が指した▲4四歩打。
その一手前に菅井王位が期待をこめて指した△5五歩を逆用する秀逸な一手で、これ以降菅井王位に粘る隙を与えず、豊島棋聖が見事に勝ちきりました。

序盤で優位に立ち、斬れ味抜群の一撃で一気にケリをつける、という豊島棋聖の勝ちパターンで終わったこの一局。
逆に序盤巧者の菅井王位にしてはちょーっと工夫なく敗れた、という印象が強いですが、また何かひねり出してくるんでしょう、たぶん。
いずれにせよ、これで改めての五番勝負となりましたので、またがっぷり四つの戦いとなるのではないでしょうか。

次の第3局は、8月1・2日に札幌市で行われます。

■王座戦でイケメン対決が実現(王座戦 挑戦者決定戦)

真夏のタイトル戦といえば王座戦。
長年「人生の半分以上が王座」な羽生竜王が毎年毎年登場しておりましたが、今年はすでに敗退が確定。
中村王座への挑戦者決定戦に登場したのは、久々のタイトル戦挑戦となる渡辺棋王と、最近急成長を遂げつつある斎藤慎太郎七段です。

さて将棋の方ですが、最近定番の角換わり腰掛け銀に。
一口に角換わり腰掛け銀といっても、細かいところで色々と形が分かれるのですが、本局では両者が2九飛・4八金・6八玉型という最新型に構えることに。
そして最近の傾向通りに、後手番の渡辺棋王が△4四歩を手抜き、△6五歩から攻めかかる展開となりました。

終盤戦の入り口ぐらいまでは渡辺棋王の鋭い攻めが決まって優位に立っていたようですが、斎藤慎太郎七段も勝負手連発で頑強に抵抗します。
そして最後は形勢が二転三転する混沌の中、斎藤慎太郎七段が抜け出して勝ちを収めました。

これで斎藤慎太郎七段は、昨年の棋聖戦に続き2回目のタイトル挑戦権を獲得。
前回は惜しくも羽生(当時)棋聖に敗れましたが、「好きを通り越して愛してる」と公言している詰将棋で鍛え抜いた終盤力を武器に、他棋戦でもたびたび挑戦権争いに絡むなど充実しております。
25歳とまだ若いこともあり、ここでタイトル獲得となれば、すぐに2冠3冠を取ってもおかしくない逸材。
また何度か書いてますように、かなりのイケメン、というか、男前。
こちらも見栄えのよい中村王座との戦いは、特に女性ファンが注目するんじゃないでしょうかね。

さて残念ながら敗れた渡辺棋王ですが、御本人のblogにある通り、久々のタイトル挑戦ということで、どうしても最後の詰めが甘くなってしまったようです。
挑戦権争いの場に出続けていないと、失われてしまう感覚もあるようですね。
それでも、昨年苦手にしていた後手番でこれだけ戦えたのは収穫ではないでしょうか。
まだまだ老け込むには早すぎます。
また2冠目指して、頑張ってほしいものです。

■きょうの藤井聡太(新人王戦で八代六段を破る)

さて最後にきょうの藤井聡太。
今週は昨日の7月28日に新人王戦での対局があり、八代六段を破ってベスト8へ進出しております。

八代六段といえば、なんといっても昨年朝日杯を制した実績で有名な伸び盛りの若手。
またあの高見叡王とは親友でありライバルの間柄。
お互い切磋琢磨しながら、好成績を上げつつあります。

さて将棋の方ですが、こちらもじっくりと角換わり腰掛け銀に。
先ほど取り上げた王座戦挑戦権決定戦に似た最新型の将棋となりましたが、違ったのは後手番の藤井七段が、△6五歩と6筋の位を取りにいったこと。
そのまま放っておくと、△6四角と角を好点に据えて、角の睨みを利かすこととなります。
まあそれはそれで一局なのですが、本局は先手の八代六段が「許さん」と、すぐに▲6六歩と反撃に転じ、そこから長い長い中盤戦に突入します。

いつもの藤井シフトということで、本局はニコ生・AbemaTV・囲碁将棋チャンネルという三元中継が実現。
私は主にニコ生の中継で楽しんだのですが、西尾六段の懇切丁寧な解説を聞いた上でも、とーんーでーもーなーくー難解な中盤戦でございました。
そんな中、終盤戦に至るまでほぼ拮抗した展開を演じた両者の実力には脱帽、といったところです。

最後に勝敗を分けたのは、107手目に八代六段が指した▲3五歩でしょうか。
代えて▲5二金と王手で迫れば、まだまだわからない状況だったようです。
とはいえ、ここまで両者ともよく戦ったと思います。
それくらい、難解な将棋でした。

勝った藤井七段は、これでベスト8へ進出。
七段へ昇段したということで、今回が新人王獲得のラストチャンスとなるだけに、負けられない戦いが続きます。
それにしても、16歳にして新人王戦の資格を失うってのは、異例中の異例ですよ、ホント。

さて来週は順位戦が控えております。
相手は、本局の解説をニコ生で務めた西尾六段。
コンピュータ将棋に造詣が深い強敵。
また、「世界一将棋の強いミュージシャン」の一面もありますw
こちらも楽しみですね。

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# by mitsuboshi03 | 2018-07-29 17:25 | 将棋 | Comments(0)
サッカーW杯もようやく終わり、再び日常が。
それにしても、毎日暑くて困りますw
夏秋にかけては地区の行事が目白押しなので、淡々と過ごしたいのですが。

さて今回も将棋ネタ。
今週は大きな話題がありましたので、まずはそこから。

■無冠の帝王から、関西の帝王へ(棋聖戦五番勝負 最終局)

まずはクライマックスを迎えた棋聖戦から。
7月17日に行われた最終第5局に勝利した豊島八段が通算成績を3勝2敗とし、念願の初タイトルを獲得することとなりました。

さて将棋の方ですが、最終局ということで手番は改めて当日振り駒で決めることに。
そこで後手番を引いた豊島八段が、いつものように角換わり腰掛け銀に構えます。

最新定跡通り進むのか、と思いきや、豊島八段が序盤早々に△4一飛を決断。
先手が4筋から攻める常道の攻めを先受けする狙いですが、これでほぼ前例のない将棋に。
これに対し、膠着状態になるのを嫌った羽生棋聖は▲4七角と、こちらも早めに持ち駒の角を手放すことを決断。
この辺りの応酬には色々と変化がありそうですが、本局は豊島八段がペースを握ったようです。

中盤で羽生棋聖が3筋を攻めたあたりでは差が詰まったように思えましたが、そこから豊島八段の猛攻が炸裂。
最後は「羽生玉だけ終盤戦」の状態となり、豊島八段が快勝しました。

本局は豊島八段が、得意の角換わり腰掛け銀でとっておきの△4一飛が利いてリズムを掴み、羽生棋聖の3筋の攻めを絶妙のタイミングで手抜いて猛攻を仕掛けて仕留める、という将棋となりました。
ねじり合いから勝ちを拾うところも見てみたかったのですが、こういう先攻逃げ切りが豊島八段の生きる道、ということなんでしょう。
これからどれだけタイトルを積み重ねられるかどうかはまだわかりませんが、とにかく1つ壁を越えられたのは良かったんじゃないでしょうか。
まだ若いですし、鋭い斬れ味のある将棋でファンの多い豊島新棋聖。
これからの活躍に期待します。

一方敗れた羽生竜王ですが、これでまた竜王1冠に後退。
また当確と見られていたタイトル100期の偉業も、達成できるかどうか怪しくなってまいりました。
が、こういうところでしっかり勝つのが羽生竜王。
竜王防衛が最重要目標ですが、棋王戦でも本戦を勝ち進んでいるので、もしかするとこちらで達成、という線もありそうです。

それにしても。
豊島新棋聖の誕生により、将棋界は8大タイトルを8人で分け合う、空前の戦国時代となりました。
タイトルを1つずつ持ち合う時代は、なんでも1987年以来だそうな。
ちなみに、そのときのタイトルホルダーがこちらの面々です。

名人:中原 誠
十段:福崎 文吾
王将:中村 修
王座:塚田 泰明
棋王:高橋 道雄
王位:谷川 浩司
棋聖:南 芳一

ああ、懐かしい(涙)
「花の55年組」の全盛期ですね。
今や漫談解説でおなじみな福崎九段が十段、というのも時代を感じさせます。
(十段は後に竜王へ移行)

■きょうの藤井聡太(順位戦で森下九段を破る)

さて、きょうの藤井聡太。
昨日の7月20日に、関西地方を襲った地震の影響で延期となっていた順位戦の対局があり、森下九段を破って連勝スタートを飾っております。

森下九段といえば、今や藤井七段のライバルである増田六段の師匠として有名。
全盛期にはタイトル挑戦6回という偉業を成し遂げていますが、いずれもタイトル獲得を果たせず終わっています。
豊島八段がもし棋聖を獲得できなければ、危うくこの記録に並ぶところでした(汗)

普段は実直で明るく、気配りを欠かさない良い人。
しかし、この人の良さがタイトルに届かなかった原因かもしれません(涙)
とはいえ、大変魅力的な棋士の一人であります。

将棋の方ですが、先手番の森下九段が矢倉模様を選択。
それに対して後手番の藤井七段は、△6四銀と早繰り銀から速攻を仕掛ける最近おなじみの戦法で対応します。
最近よく出てくる戦法ゆえに、森下九段がどう対応するかが序盤の見どころでしたが、▲2五飛と、後手からの△7五歩からの仕掛けを直接封じる策を取りました。
ところがこれが良くなかったようで、後手から△4四角~△3三桂と肝心の飛車を追われる展開となっては先手不満な状況に。
森下九段にとっては、苦しい展開が続きます。

とはいえ藤井七段がそのまますんなり快勝したわけではなく、中盤では森下九段がかなり持ち直したのでは、という局面もありました。
そこで藤井七段が折れずに、渋い手でポイントを積み重ねていったのが勝ちを呼び込んだようです。
派手な手こそありませんでしたが、地味な手の積み重ねには観戦していたプロ棋士が感心するほど。
こういう勝ち方をすると、プロ棋士の信用が上がるんですよね。

これで藤井七段は順位戦での連勝スタートに成功。
とはいえC級1組の昇級条件はかなり過酷で、昨年度に佐々木勇気六段が「順位6位の9勝1敗で上がれない」という笑えない新記録を達成しているほど。
藤井七段の順位では、今期昇級のためには残り8戦をすべて勝ちきる必要があります。
まだまだこれから、ですね。

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# by mitsuboshi03 | 2018-07-21 09:07 | 将棋 | Comments(0)

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