2018年 11月 04日 ( 1 )

久々に週2回更新を、やってみたくなりました。
以前にも紹介した白鳥『りゅうおうのおしごと!』先生の叡王戦特別インタビューですが、とにかく丸山九段の回が出色の出来でしたので、この記事を改めて解体新書風味に紹介することとしましょう。
とはいえ本文もそれほど長くないのに、こちらの方がえらく長くなりそうで大丈夫かしら。

それにしても白鳥先生。
本線出場全棋士24人全員のインタビュー記事、完走お疲れ様でした。

まずは一応、元記事のリンクを↓に貼っておきましょうかね。

■なぜこの記事は素晴らしいのか

なぜこの記事は素晴らしいのか。
ポイントは3つあります。

1)将棋を知らなくても、わかる

丸山九段を含め、将棋界のことをまるで知らない方は世の中にごまんと居ます。
そんな人でも、
「なぜ唐揚げではなくヒレカツなのか?」
という質問は刺さるのではないでしょうか。

とにかく、わかりやすいのは、強い。

2)それでいて、内容は、深い

マンガ『将棋めし』など、将棋界の食事やおやつにスポットライトが当たる機会は増えてきましたが、ともすると好みや興味本位で捉えられることが多く、プロ棋士にとって重要な要素の一つである「プロの将棋を指す上での栄養補給」という観点で語られる記事は、ほとんどなかったように思います。
この記事では、この点に関しては世界でも指折りの権威である丸山九段が、その知見の主要な部分をわかりやすく詳細に語っております。

3)丸山九段の記事はSSR級のレアもの

名人2期・棋王1期など、数々の実績を誇る丸山九段ですが、観戦記者や将棋ライターに対して口が重いところがあり、その実績の割には、将棋メディアで取り上げる機会が極めて少ない棋士であります。
丸山九段がこれだけのロングインタビューに応じることは極めて異例であり、この記事が丸山九段を語る上での決定版、と言っても過言ではないかと。
何しろ丸山九段、とっても楽しそうですし。

ただ、最近ではTVやネット中継の解説をする機会も増え、その気さくな性格が一般の将棋ファンにもおなじみになりつつあるのは嬉しいことですね。

■「みろく庵」の若鶏唐揚げ定食(唐揚げ3つ増量)

これが、「丸山定食」としてあまりにも有名になった注文であります。
関東プロ棋士の食事を影で支える「みろく庵」は、土日の配達など色々と融通が効くことで知られておりますが、まさかおかずの増量まで効くとは。

ちなみに、本文にもあります通り、元々の唐揚げ定食についてくる唐揚げは3つ。
3つ増量ということは、唐揚げだけ2倍ということですね。
なおこの唐揚げの画像は「みろく庵の若鶏唐揚げ定食」でググれますが、骨付きの結構大ぶりなやつで、1個でもかなり満足感を得られそう。

だがしかし。
この唐揚げ、最新の情報によると、骨が無くなった普通の唐揚げに変わった模様。
かのチキンカツ教祖の千葉七段がニコ生で「骨が無くなったみたいなんで、試してみたい」と語ったほどの大変革。
これについては、現在まだ残念ながら情報を入手できず、続報を待っているところです。

■だが2014年を最後に、丸山は己の名を冠した『丸山定食』を捨てる。

そして「冷やし中華にチャーシュー追加」という新定跡も放ちつつ、『丸山定食』を採用し続けてきた丸山九段ですが、2015年より、かつて採用していた「ヒレカツ定食となめこ汁のセット」に回帰することとなります。

なぜ丸山九段は唐揚げを捨て、ヒレカツへ戻ったのか。
これが本記事最大のポイントとなります。

■すごい食にうるさい先輩棋士がいまして。

これは「序盤は村山に聞け」で有名な村山慈明七段の言。
割と思ったことをすぐ口に出しちゃうタイプなのですが、悪気は一切ないので愛される棋士ですねw

若手棋士3人を前に、「順位戦の夜にはヒレカツ定食だ」と力説する丸山九段。
それを聞いて、次の順位戦の夕食に3人ともヒレカツ定食を注文。
このようにして、丸山九段が切り拓いた食の新定跡を、若手棋士も追随していくのですね。

■注文していたヒレカツが届かない

これは、今年の1月に行われた叡王戦本戦での対高見六段(当時)での一コマ。
これに勝てば久々のタイトル挑戦、という重要な一局の夕食に、満を持してヒレカツ定食を注文したところ、なんとこの日に限って「みろく庵」が臨時休業のため注文できず。
やむなく親子丼の上で我慢した丸山九段でしたが、「将棋メシ」をとことん重視する丸山九段にとって、これはかなりの痛手となったはず。

もし、この日にヒレカツ定食を注文できていれば。
ひょっとすると、高見叡王ではなく、丸山叡王の世界線もあった、かも。

■カツは切れないんです。

なぜ丸山九段はヒレカツを選ぶのか。
それに対する、実にシンプルな回答が、これです。
栄養が長持ちするんで、夜戦でも頭が真っ白にならずに戦えるとか。

なおこの話、栄養学的にも理に適う話のようです。
将棋2chまとめサイトの「2ch名人」でのとあるコメントによると、プロ棋士が対局で酷使する脳が使う栄養は糖分だけで、これはヒレカツにはほぼ含まれないのですが、ヒレカツに極めて多く含まれる栄養分であるタンパク質は、血糖値を安定させるのに大きな役割を果たすとのこと。
そして血糖値が安定すると、脳も安定して働く、ということみたいですね。

それにしても。
有識者の知見って凄い。

■切れる前に補給する、早め早めの対処が重要なのですね。

カロリーメイトを対局場所へ山のように持ち込むことで知られる丸山九段。
その量の多さに驚いた製造元の大塚製薬が、丸山九段をカロリーメイトのCMに採用したほどです(実話)

しかしカロリーメイトに限らず、「お腹が空いた」からと食事やおやつを摂っても、消化して栄養になるまでには間があります。
なので、脳が「お腹が空いた」と認識する前に、あらかじめ食べておくのが重要、と力説する丸山九段。

この話、どこかで聞いたなあ、と思っていたら、そういや自転車レースで、選手がしょっちゅう水飲んだり、軽食を摂っているのを思い出しました。
自転車レースの世界では、脳が「お腹が空いた」と認識した時点で、すでに「ハンガーノック」と呼ばれる、いわゆる燃料切れ状態になってしまうので、特に長丁場のレースではこまめに食っておくのが重要、というのが常識となっております。

プロの将棋も、朝から晩までの長丁場。
燃料切れでは、頭もまともに働かないですもんね。

■丸山先生はカロリーメイトをブロック、ドリンク、ゼリーで使い分けておられるそうですが、

単にカロリーメイトを大量に準備するだけでなく、ブロック、ドリンク、ゼリーと種類別に細かく使い分けるのが丸山流。
定期的に腹持ちを長くさせるために、消化に時間のかかるブロックを。
短時間ですぐに効いてほしい場合はドリンクタイプを。
ゼリーは冷やせるので、暑い時期に食欲が沸かないときに。
またゼリーはタンパク質の含有量が多いので、ヒレカツの代わりにもなる。

将棋と同様に、食事の世界においても、独自の視点でありながら、極めて理論的に整理された中での戦いを好む丸山九段。
それはカロリーメイトにおいても変わりがないようです。

■しかも魚は昼に採用率が高い。

順位戦での戦いで重要なのは夕食、と力説する丸山九段ですが、昼メシも、夕食につなぐ意味では大事な要素、とのこと。
昼も肉、夜も肉だとさすがに胃がもたれるため、昼は魚など比較的さっぱりしたものを頼むそうです。

若いころならともかく、中年過ぎると身に染みる話ですなあ。

■対局中の食事は仕事と思っています

丸山語録の中でも、極めて重要な一言。
仕事に合わせて、適切な食事を摂る、というのも、社会人にとっては重要なことですね。
とはいえ、食事には気分転換という重要な要素もあるので、あまりに機能面を重視しすぎると、それはそれで心理的に響いてくるのでありますが。

■ソバ茶もよく飲まれるじゃないですか。あれはどういう……?

飲み物も大事。
プロの将棋においてそれを軽視してしまうと、「秒読みの中でのトイレ」という大ピンチを招いてしまいます。
これを防ぐために、丸山九段が採用しているのが、あえてトイレが近くなるカフェイン入りの飲み物を飲むことで、土壇場で爆発してしまうことを避ける、という手筋。
丸山九段は「早期レーダーが働く」と語っておられましたね。
確かにこれは有力な手筋です。

なお、囲碁界ではトイレ休憩が認められているとのこと。
将棋界でこれが認められることは…しばらくなさそうですw

■実戦派なんですね丸山先生は。

とはいえ、これだけの量の栄養を摂る!という考えではない、と語る丸山九段。
実際に色々と試してみて、結果の出たものを採用する、とのこと。
将棋は割と理論派のように見えますが、食事は実戦派のようですねw

■筋トレは自分のペースでできますからね。

先輩の豊川「マンモス」七段に誘われて始めた筋トレを、今も続ける丸山九段。
筋トレして、たくさん食べて、栄養を切らさず戦う、というのが丸山流とのこと。

なお疲れたときはダラダラやって、あんまり気合を入れすぎないのが筋トレを続けるコツ、のようです。
この一言で、私も筋トレ(というか腕立て伏せ少し)を復活させました。
疲れたらダラダラでいい、というのは気が楽になりますw

■おやつとか栄養素とか、そういうのを意識する若手が増えたなってのは思います。

先にも述べましたが、将棋界での食における新定跡を切り拓き続ける丸山九段。
それに若手棋士が次々と追随する、というのは将棋の定跡にも繋がる話で面白いです。

将棋に勝つためなら、(ルールの範囲内で)どんなことでも、とにかくやってみる。
勝ちに繋がらないことは、止める。
というのは、丸山九段を含めた羽生世代が切り拓いた世界でしたね。

■見てる方にとってわかりやすくていいんじゃないですかね?

一転して今度は将棋の話題。
特にネット上の解説では、将棋ソフトを使った解説がすっかり一般的になりました。
これを良しとしない棋士も多いのですが、丸山九段はわかりやすくていいじゃない、と語ります。

「見ている人にとって非常にわかりやすくなったというのが、すごくいいことだったと思います。」
とトップ棋士が語ってくれるのは、観る将棋ファンの一人として、ありがたいことですね。

■私はけっこう食事とかの制度を見て『これはこういう体型の人が有利だな』と思ったりするんで。

これも丸山九段の一言。
私なりに簡単に整理しますと。

・短い持ち時間(TV棋戦~1時間くらい)→関係ない
・そこそこの持ち時間(3時間程度)、食事なし→痩せてる棋士有利(燃費がいい?)
・長~い持ち時間(5時間以上)、夕食あり→筋肉質の棋士有利(燃料タンクが大きい?)

みたいな感じで。
まあ、一つの参考にしてみてはいかがでしょうか。

■いや、私ってけっこう食べるのが早いんで。だからもう休憩中にパッとお願いして。

足りなければ、追加すればいいじゃない。
こういうところは意外と柔軟な丸山九段。
まあ確かに、特にタイトル戦ともなると、「思っていたのと違う」ご飯なこともありますでしょうしね。

■できるだけ消化に時間がかかるような……お腹の中でグツグツとやるようなものが、切れないんです。

特に順位戦のような、長い持ち時間での夕食に最適のごはんはこれ、とのこと。
先ほども出てきましたが、血糖値を安定させて、思考も安定させたい、というわけですね。

なお鰻も一時期試していたとのことですが、ヒレカツの方が1~2時間保つとのこと。
確かに消化が良さそうですもんね、うなぎ。

■とにかくムラが出るんですよ。ヒレカツはムラがないんですよ。

そして。
冒頭の質問に対する回答が、ようやくやってきました。

骨付きの大ぶりなのが魅力な「みろく庵」の唐揚げ。
骨付きなので味は良さそうに思えますが、その代償として、肉たっぷりのこともあれば、皮と骨が多いこともある、と出来栄えにムラが生じる。
一方、ヒレカツは毎回ほぼ同じものが出てくる。
というのが、丸山九段をして『丸山定食』を捨てた理由、とのことでした。

なるほど、確かに一理あります。
しかしそうなると、骨付きでなくなった「みろく庵」の唐揚げが、丸山九段にとってどういう判断をされるのか、私、気になります!

■丸山先生って、食べ物を残すことってあるんですか?

いつもたくさん食べてる印象の丸山九段。
しかし、普段はそんなにたくさん食べてるわけではなく、対局のときは仕事としてたくさん食べる、とのこと。
さすがに40度くらい熱があったときは、全部は食えずに残したそうです。

さ、さすがに不戦敗にしませんかね(震え声)

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by mitsuboshi03 | 2018-11-04 16:16 | 将棋 | Comments(0)

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