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将棋つめちゃいました(2019年GW後半戦)

長い休みも、今日でおしまい。
休み前に考えたことの半分もできない、とはよく言われることですが、今年もその例に漏れず。
まあ、そんなものですよねえ(苦笑)

さて将棋の方ですが、GW中とあって、対局数自体は少なめ。
とはいえ大ネタ満載ですので、ささっと取り上げますね。

■「遅れてきた新人」やねうら王がコンピュータ将棋選手権を制す!

タイトル戦をさしおいて、ではありますが、GWといえばこの話題ということで。
今年も5月3~5日に行われたコンピュータ将棋選手権ですが、初出場のやねうら王が優勝し、栄冠を手にしております。

事前に注目されていたのは、なんといってもガチDeep Learning勢。
特に、Bonanzaの保木さん・YSSの山下さん・囲碁のRayの作者でもある小林さんの3名が組んだ「Team Aoba Zero」と、AlphaZero方式をひっさげたフランスからの刺客「CrazyShogi」が注目を集めておりましたが、なんと揃って一次予選で敗退。

どうも定跡作成のための計算資源が、どちらも不足していた模様。
モノにできれば強いDeep Learningですが、コンピュータ将棋選手権レベルの資金力だと、どうも実現させるのは大変なようです。
ちなみに、コンピュータ将棋選手権に出るレベルの方々で、だいたい年間数十~数百万の負担。
これがコンピュータ囲碁となると、アメリカや中国企業の支援により億単位のお金が動く模様。

やっぱり最後は金、なようです。
世知辛いなあ(涙)

というわけで、今回の選手権を席巻したのは、相も変わらず従来型の評価関数ソフト。
従来型とはいえ、一部ニューラルネットワークの考え方を取り入れているらしく、数年前の評価関数よりは格段の進歩を遂げているようです。
このレベルになるとプログラミングのことはさっぱりなのですが、棋譜を見て納得。

今年は決勝トーナメントを中心に見たのですが、押したり引いたりの感覚が、格段に良くなっている感じがあります。
「うわここで手抜き」とか、「そこまでやって手を戻すのね」という局面が多々あり、フィッシャールールというごく短時間の将棋でありながら、プロトップレベルを凌駕する攻防が繰り広げられました。
こういう緩急自在の指し回しは、羽生九段なんかが上手かった気がしますが、これからの若手棋士は、コンピュータソフトのこういうコクのある指し方を参考にしていくんでしょうね。

優勝したのは、「遅れてきた新人」やねうら王。
賞金制度ができるや参戦を決める、現金なやねさん(おい)
最後は「千日手なら優勝」という条件になると、おもむろに「千日手上等」な設定にシフト。
狙い通りに序盤で千日手引き分けを達成し、逃げ切りに成功しました。

2位にはKristallweizen。
昨年優勝した「白ビール」ことHefeweizenの正当進化版。
昨年猛威をふるったMulti Ponderによる狙撃術は今年も健在。
昨年は東京リージョンのAWS(レンタルサーバー)をほぼ抑えるなど、事前準備に定評のあるチームで、おそらく実力自体は最強だったのでは、と思われましたが、PALに喫した敗戦があまりにも痛く、最後のやねうら王との直接対決では千日手引き分けで優勝を逃しました。

3位に狸王。
これで「たのキング」と読むそうです。
それおっさんアニメファンしかわからないネタですよタヌキさん!(おい)
しかしこんなお方が、今年のコンピュータ将棋選手権を席巻した評価関数であるNNUEの生みの親だというのだから世の中わからない。
天才と○○は紙一重というか(待て)

最後の電王戦覇者ですが、コンピュータ将棋選手権では最高成績とのこと。
おめでとうございます。

■永瀬七段、一方的に押し切って3連勝!(叡王戦七番勝負 第3局)

さて今度はタイトル戦。
叡王戦七番勝負の第3局が5月4日に長崎県長崎市の「史跡料亭 花月」で行われ、先手番の永瀬七段が勝ち、七番勝負を3連勝として、叡王奪取に王手をかけました。

さてこの花月さん、創業1642年という老舗中の老舗料亭。
かの坂本龍馬が刀傷をつけた、といわれる一室で対局が行われました。
なお窓からは、三菱財閥の元を築いた岩崎弥太郎が落ちた池を含めた庭園が一望できます。
もっとも対局者は気にする暇などなかったでしょうがw

さて将棋の方ですが、永瀬七段の注文で矢倉模様に。
高見叡王は、最近得意としている土居矢倉で応じ、永瀬七段も同じ土居矢倉に構えます。
金矢倉なら▲8八玉・▲7八金の形であるところを、土居矢倉は▲7八玉・▲5八金と構えます。
大正時代を中心に一時代を築いた土居市太郎名誉名人が得意としていた形で、囲いの硬さこそ金矢倉に劣るものの、最近流行りの攻め方である、角打ちや桂馬ぴょんのような攻めに強いバランスの良い囲いであることから、コンピュータソフト経由で若手棋士を中心に再評価されつつあります。

歴史ある対局場所で、昔ながらの陣形に構える両者。
なんとも風情を感じますが、将棋の方は高見叡王の手が伸びず、永瀬七段がノビノビ指し回す展開に。
終始永瀬七段のリードが続き、そのまま押し切りました。

本局もそうですが、本シリーズはどうも高見叡王が萎縮している印象。
永瀬七段が(ダイエット中ですが)いつも通りにたくさん食べ、バナナも頬張り、ノビノビ指している分、遅れをとっている印象を受けます。

昨年は自由闊達な指し回しが光った高見叡王。
結果はともかく、一局でもいいから、昨年のような指し回しを見せて欲しいところ。

■きょうの藤井聡太(銀河戦で畠山鎮七段を下し、決勝トーナメント出場を決める)

さて今週も対局がありましたので、きょうの藤井聡太を。
とはいえこちらは4月30日に放映された、テレビ棋戦の銀河戦ですが。
本戦Eブロック8回戦で畠山鎮七段を下し、Eブロック最多勝利(4勝)を決め、規定により決勝トーナメント出場を決めております。

関西奨励会で、鬼の幹事として恐れられた畠山鎮七段。
ファイターぶりは将棋の方でも遺憾なく発揮されます。
一方、関西棋界でも屈指のスイーツ通という、おちゃめな一面もあり。

将棋の方ですが、後手番となった畠山鎮七段の注文で後手無理やり矢倉に。
藤井七段は、ならばと雁木で対抗。
中盤では飛車金両取りを掛けられる展開となった藤井七段ですが、格言通り「両取り逃げるべからず」と、敵陣めがけて一直線。
そのまま後手玉を寄せ切り、勝利を収めました。

後手無理やり矢倉という、プロ間ではちょっと無理があるとされる戦法相手とはいえ、的確に仕留めるところはやはり流石というところ。
中堅以下の相手には、本局のように盤石の指し回しを見せているだけに、課題はトップレベルの棋士との対局。
高校というハンデはありますが、なんとか今年は壁を破ってほしいところ。


by mitsuboshi03 | 2019-05-06 16:56 | 将棋 | Comments(0)

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