将棋つめちゃいました(もうすぐ梅雨ですよー)

今日は子供の運動会。
恒例の保護者綱引きは不参加の予定でしたが、
「人手が足りないんで、ネコの手でも欲しいんです!」
との悲痛な叫びに「しょうがにゃいにゃあ」と手を上げる。

そして1戦目を終えた時点で非情なアナウンスが。
「定員を6人オーバーしてましたんで、6人減らしてもう1戦やります」

おめーちゃんと数えろよこの(以下略)

と、面と向かっては言わないのが大人の処世術であります(おい)

さて今回も将棋ネタ。
将棋界の春シーズン総決算となりつつある週のため、またも詰め込みぎみのあっさり風味でお送りします。

■高見新叡王誕生!(叡王戦七番勝負 第4局)

さてまずはタイトルの行方が決まった叡王戦から。
昨日の5月26日にグンマー群馬県の富岡製糸場で叡王戦七番勝負の第4局が行われ、これに勝利した高見六段が4連勝で叡王位の奪取に成功しております。

なお棋譜は公式サイトから無料で読めますので、そちらを見ながらだと理解が早いかもしれません。
棋譜はこちら↓
さて将棋の方ですが、この七番勝負で数多く採用されている矢倉模様に。
とはいえ、私が子供のころ覚えたような昔ながらの相矢倉24手定跡みたいなガッチリ囲うスタイルではなく、先手番の高見六段が31手目に指した▲6七金左のように、相手からの角打ちに備えたバランスと広さ重視の駒組みに。

囲い自体はそれこそ江戸時代からやってそうなんですが、角を打たれるリスクを極力回避しようという発想ががまさしく流行最先端、というかコンピュータの発想ですね。
後手番の金井六段が5二に居る金を、例えば△4三金右のように玉側に引き付けなかったのも、この発想の応用といえます。

そんなこんなで、一足先に駒組みが完了した先手の高見六段がまず先攻。
金井六段も頑強に抵抗し、盤面ではリードを築くことに成功します。

だがしかし、盤面では攻めが切れたように見えた先手の高見六段でしたが、十八番の勝負手連発により、金井六段の持ち時間と精神力にダメージを与えることに成功。
これが、これまでの対局と同様、勝敗に大きく関わることとなります。
結論からいいますと、138手目の△4三金打がまずく、高見六段の逆転勝ち。
代えて△5四香ならまだ後手リードだったようですが、その先も中々難しかったとのこと。

まず敗れた金井六段ですが、実力自体は高見新叡王と遜色なく、こと盤面での勝負に関しては凌駕していたと思います。
敗れたのは、膨大な変化をきっちり読み切って勝つ、という郷田九段譲りの格調高い棋風が、高見六段による中終盤の逆転術にバッチリ嵌ってしまった、というところが大きいでしょう。
またタイトル初挑戦ながら、タイトル戦昇格による絡みで防衛側役をやらされたり、盤外でも色々と気を使わざるを得ない状況に追い込まれたのも不運でした。

とはいえ、まだまだ32才と前途は洋々。
本人も語っていた、32才の可能性を存分に示していただきたいと思います。

一方高見新叡王ですが、終わってみれば、叡王戦という特異なタイトル戦のシステムにいち早く順応できたのが勝因かな、と思います。
特に、チェスクロック制を採用したことによる持ち時間の短さを逆手に取り、中終盤で「相手が気が付きにくく、なおかつ解決が容易ではない手」を連発することにより、相手の持ち時間と精神力を奪う戦術が見事にハマりました。
こういう手法で勝つのを嫌う手合は少なからずおり、もし私も戦うこととなれば、極めて厄介な相手だと言わざるを得ないのですが、こと対人間戦に関しては極めて有効であり、ある意味まっとうな戦術だと言えるでしょう。
例えば持ち時間の長い対局で、羽生二冠や豊島八段といったトップクラスの棋士を相手にこのような指し回しが通用するか、といった問題はありますが、タイトル争いをする上では、極めてあなどれない棋士が現れたな、という印象を受けました。

大学を卒業して、将棋に専念できているのが好調の要因と思われます。
高見新叡王の今後の活躍に期待したいですね。

■羽生「宿題やった?」天彦「やったよ」(名人戦七番勝負 第4局)

さて今度は、先週の土日(5月19・20日)に行われた名人戦第4局の話題を。
羽生二冠が第3局までで2勝1敗とリードしており、この第4局を制すれば名人復位に王手をかけられるところでしたが、佐藤名人がきっちりと勝ち切り、対戦成績を2勝2敗の五分に戻しております。

名人戦は棋譜中継がすべて有料のため、あまり手の解説をするのは気が引けるのですが、本局は棋譜の部分で結構面白いところがあるので、かいつまんで説明しますね。

さて出だしですが、先手の佐藤名人が、
「今日は相掛かりにしませんか?」と初手▲2六歩を指したところ、
いつもは相手の注文を受け止めるのが普通の羽生二冠が、
「いや、今日は別の戦法を指したいんだ」
と二手目を△3四歩で応じます。
では何を指したいのか、と思っていましたら、スラスラと横歩取りへ誘導。
しかも、先日の王位戦リーグで松尾八段をわずか55手で粉砕した将棋の松尾八段側を持つ、という趣向を見せます。

一昔前なら「ちょっと情報早すぎませんかねえ」と研究不足を露呈する棋士も少なからず居たのですが、そこは高度なコンピュータシステムが機能する現代社会。
佐藤名人はきっちりと回答を用意しておりました。
それが31手目の▲2三歩。
一見してこれといった狙いが感じられないため盲点となる一手で、羽生二冠も対応に苦慮せざるを得ませんでした。
なおコンピュータにかけると、この▲2三歩が最善手とのこと。
いやー、ちょっと人間には読みにくいですね、この手。

とはいえ、そこはさすがの羽生二冠。
ただ▲2三歩に手をこまねいてるわけはなく、△4四馬から何だかんだと手を作ります。
しかし、この後の佐藤名人の手も完璧。
▲1六角△4三香の交換を入れて、羽生二冠の虎の子の手駒を無駄に受けに使わせると、すぐさま▲8五飛から▲3八銀として、先手陣を引き締めにかかります。
後手の羽生二冠は先手陣に飛車を打ち込むのが楽しみだったのですが、佐藤名人の引き締め策が絶品で、この後羽生二冠が先手陣に飛車を打ち込むチャンスはついぞありませんでした。

以後は佐藤名人が鮮やかな完封リレーを見せ、あの羽生二冠を相手にパーフェクトゲームを達成。
実に見事な収束でした。

負けると防衛が危うくなる一戦でしたが、佐藤名人の対応が素晴らしかったですね。
佐藤名人の実家からわずか1kmほど、という福岡市のホテルでの一戦でしたが、地元に錦を飾る一勝を上げることができました。
これからは改めて三番勝負となりますが、あらかじめ先後が決まっている第5・6局に両者がどのような戦法を採用するかが勝敗の鍵を握ると思われます。
第4局までと同様、「これが名人戦」という濃厚かつ上質の将棋に期待します。

■西山奨励会三段、新女王に!(マイナビ女子オープン五番勝負 第4局)

さて今度は女流棋戦の話題を。
加藤女王(奨励会初段)に西山奨励会三段が挑んだマイナビ女子オープン五番勝負ですが、先週第4局が行われ、この対局に勝利した西山奨励会三段が、3勝1敗で新女王に輝くこととなりました。

西山奨励会三段は、現在三段リーグに所属する22才。
只今、女性初のプロ棋士に最も近い立場に居ます。
振り飛車から豪快に捌いて暴れるという、一昔前のプロ棋士のような指し回しが特徴で、「棍棒を持って暴れる野蛮人」のような棋風という評価が定着しております(おい)
今の世知辛い三段リーグでは、当然ヒドい目に遭うことも多いのですが、こういう型破りの新四段が出てきてもいいだろう、という声は少なからずあります。

奨励会では加藤奨励会初段より当然ながら格上。
なのですが、こと女流棋戦に限ってはこれまで部が悪く、ほぼ全くといっていいほど勝てていなかったのですが、今回初めて殻を破りました。
とはいえ、一番欲しいのはなんといっても新四段の座。
今期の三段リーグでは4勝2敗とまずまず良いスタートが切れているだけに、今期こそ猛ダッシュを決めてもらいたいところ。

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by mitsuboshi03 | 2018-05-27 21:30 | 将棋 | Comments(0)

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