将棋つめちゃいました(新緑の時期)

所用で久々に遠出。
といっても車で1時間足らずのところなんですが。
まあたまにはこういうのもいいか。

さて今回も将棋ネタ。
春のタイトル戦もいよいよ中盤戦、ということで話題満載のため、ざっくりとお送りします。

■羽生二冠が名人奪取へ一歩リード(名人戦七番勝負 第3局)

まずは名人戦の話題から。
名人戦七番勝負の第3局が5月8・9日に行われ、先手の羽生二冠が勝ち、名人奪取へ向けて一歩踏み出す形となりました。

将棋の方ですが、後手の佐藤名人がやや意表を突いて角換わりを採用。
序盤早々に△6五歩~△6四角を決めて、ゆったりした駒組み争いを志向します。
構想力が問われる難しい局面が続きますが、そんな中でも羽生二冠はすいすいと7筋と9筋の位を取り、大きく模様を張って盤面全体を押さえ込もうとします。
個人的には羽生二冠側の陣形がまとめづらいのでは思っていたのですが、そこは羽生二冠。
▲3四歩△同銀と後手陣の形を乱してから、▲2六桂~▲3四桂と銀を取りつつ急所に桂馬を据える構想が実現し、優位に立った羽生二冠がそのまま押し切りました。

すぐには争点が見えにくい難解な局面が続く中、きっちりとまとめ上げた羽生二冠はやはり流石としか言いようがありません。
こういう将棋をやらせたら、やはり当代右に出る者はいないでしょうね。

一方、切り札の横歩取りを温存した佐藤名人も、名人戦七番勝負全体の組み立てとしては悪くない選択だったと思います。
相手が強すぎただけで、並の相手なら普通に勝っていたんじゃないかという出来でした。
恐らく第5局の後手番では横歩取りを採用すると思われるので、そこが勝負になるでしょうね。

次の第4局は、羽生二冠が勝てば3勝1敗と大きなリードをつけられるチャンス。
一方佐藤名人が勝てば、2勝2敗で改めて三番勝負、ということになります。
終盤戦の動向を左右する重要な一局になると思われますが、後手の羽生二冠がどんな戦法を選ぶかが大きなカギを握りそうです。
角換わりか横歩取りを予想しますが、場合によってはゴキゲン中飛車や藤井システムといった振り飛車をもってくる可能性もあり。
相手に研究の的を絞らせないのが羽生将棋の憎いところであります。

第4局は、名人戦には珍しく5月19・20日の土日開催となります。
がっつり見るのは辛いんで、ニコ生を流し見程度にしとこうかなと(苦笑)

■高見六段、早くも金井六段をカド番へ追い込む(叡王戦七番勝負 第3局)

今度は昨日の5月12日に、あの独眼竜正宗の菩提寺である瑞巌寺で行われた叡王戦七番勝負の第3局について。

この局に敗れると後がなくなる金井六段。
後手の高見六段が、予想通り十八番の横歩取りへ誘導すると、第1・2局の反省を生かしてか、▲6八玉~▲4八銀~▲5九金という積極的な構えから▲1四歩からの速攻を決行。
その後も棋風に似合わず、終始積極的な指し回しで優位に立ちます。
このあたりの序盤は、この日現地解説担当で研究仲間の広瀬八段との研究通り、と広瀬八段が語っておりました。

このまま決まってしまうのか、と思われたのですが、高見六段も△6三銀など怪しい手を繰り出して対抗。
コンピュータ的には大差ながらも、人間が勝ち切るには容易ではない局面を作り上げ、最後は千日手に持ち込むことに成功しました。

休憩のあと、21時から行われた指し直し局は、矢倉の出だしから相掛かりへ移行し、ろくに王様を囲わないまま乱戦に突入するという最近よく見られる将棋に。
千日手指し直しのため後手番に回った金井六段は、9筋の端攻めに勝負をかけますが、高見六段は巧みにその攻めをいなして中央から殺到。
優位に立った高見六段が一気に攻勢をかけ、勝利をものにしました。

ここまで3連勝と優位に立つ高見六段。
全体的に見れば雑なところもありますが、不利になっても決め手を与えず、相手の読みを外す果敢な勝負手で接戦をものにするスタイルが、チェスクロック1時間や3時間という比較的短い持ち時間で行われる叡王戦に見事に適合していると言えます。

もっと持ち時間の長い順位戦のような対局では対応できても、この短時間でこういう組み立ての将棋相手に勝利するのは容易なことではありません。
一手も隙のない、コンピュータみたいな将棋を好む2chスレ住人みたいな手合いには受けが悪いスタイルですが、人間相手にはこういう指し回しも有効で、これはこれで味があって評価するに値するのではないかと個人的には思っております。
みんながみんなコンピュータや羽生二冠みたいに指す将棋界、ってのもそれはそれで味気ないですからね。

あと、「あれもこれも、好きなものみんな食べたい!」と言わんばかりの食事の頼み方など、初めてのタイトル戦を存分に楽しんでる姿勢も、ここまでの好成績を支えていると思います。
いい意味で我を通す、というのもタイトル戦の番勝負では重要なことですから。

一方の金井六段ですが、尊敬する郷田九段ばりの長考から、精緻に局面を読み込んで勝負を決めに行くスタイルが見事に狙い撃ちされている印象。
並の棋士相手なら決まっているはずが、土俵際で持ちこたえられているうちに持ち時間が切迫してミスを重ねる、という悪循環に陥っている印象があります。
またこちらも初のタイトル戦にもかかわらず、席次が上なために防衛戦のような立ち振舞を強いられている、というのも悪い方に働いているのかな、と。
とはいえ局面自体は優位に立っている場面が多いですし、こうなったからには開き直って戦うしかないでしょう。
本人も第3局が終わった後に語った通り、この後どうするかが大事ですから。

あと、本局はニコ生で中継があったのですが、木村九段の解説に里見女流五冠の聞き手という豪華な組み合わせ。
里見女流五冠はニコ生での聞き手が初めてということで、最初は緊張しておりましたが、徐々に硬さが取れてきてからは時に鋭い手の指摘もあって楽しめました。

■きょうの藤井聡太(王座戦本戦で屋敷九段を破る)

さて先週は対局がなかったのでしれっとお休みしてしまった、きょうの藤井聡太を。
先週は5月7日に王座戦本戦で屋敷九段と対戦し、勝利を収めております。

角換わりの出だしから、先手の屋敷九段が早繰り銀から先攻。
後手の藤井六段も、居玉ながらすぐさま強烈なカウンターで応じ、昼間っから華々しい戦いが繰り広げられます。
どちらの攻めが勝るのか、という展開になりましたが、藤井六段の攻めが的確に屋敷玉を捉えていたようで、最後は藤井六段が得意の終盤術で一手勝ちを読み切り、快勝しました。

もうすっかり驚かなくなりましたが、それでも本戦で元タイトルホルダーの屋敷九段を相手に堂々と勝利を収めたのは立派の一言。
次は羽生二冠と深浦九段との勝者と当たりますが、今から対局が楽しみです。

なお今週は5月18日に、竜王戦ランキング昇級と七段昇段を賭けた、船江六段との大一番が控えております。
恐らく報道陣も大挙して押しかけると思われる注目の一戦。
期待して待ちます。

■里見女流王位、まさかの着地失敗(女流王位戦五番勝負 第1局)

さて最後に女流の話題を2つ。
まずは5月9日に開幕した女流王位戦五番勝負の第1局。
里見女流王位(五冠)に挑むのは、初のタイトル戦挑戦となる渡辺女流二段。

振り駒で先手番を握った里見女流王位は、得意の先手中飛車を採用。
一方、渡辺女流二段は銀冠穴熊と持久戦を志向します。
すんなり銀冠穴熊を完成させると分が悪い里見女流王位は、囲いを完成させる前に仕掛けを敢行。
優劣不明の局面が続きますが、終盤の入り口でリードを奪った里見女流王位が、最短距離の攻めで一気に渡辺女流二段を倒しにかかります。

このまま押し切るか、と思われた里見女流王位でしたが、最後の最後でまさかの着地失敗。
即詰みを逃した里見女流王位が、渡辺女流二段に勝ちを譲る結果となりました。

まさかの結末となりましたが、まあこんなこともたまにはあります。
里見女流王位も、この後は切り替えていくんじゃないかと。

一方、渡辺女流二段は薄氷を踏む思いながらも、初のタイトル戦で緒戦を制することに成功しました。
タイトル戦を勝つ秘訣は、まず1つ勝つこと。
あと2つ勝つのが大変ですが、それでも3連敗を避けられたのは大きい。
この後は伸び伸びと戦えるのではないでしょうか。

■加藤女王、NHK杯戦で男性プロ棋士を破る

最後に、本日放映されたNHK杯戦の話題を。

本日放映されたNHK杯戦で、加藤女王が及川六段を破りました。
NHK戦では、中井女流以来14年ぶりの女流棋士の勝利となります。
最後は及川六段が着地に失敗したようですが、それでも勝ちは勝ち。
加藤女王、おめでとうございます。

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by mitsuboshi03 | 2018-05-13 17:08 | 将棋 | Comments(0)

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