きょうの藤井聡太 特別編 叡王戦本戦1回戦 vs深浦九段

子供を遠くの小学校に通わせている関係で、毎朝6時過ぎに子供を起こし、着替えさせて朝ごはんを食べさせ、6時45分には嫁にバス停まで車で送ってもらうことにしております。
当然ながらこの時期だと、夜明け前にこれをこなさなければならず、起きるのもさることながら、とにかく朝ごはんを食べさせるのが難しい。

というわけで、私が一計を案じて、起き抜けに娘と二人でストレッチと体操をすることにしました。
ビートたけしの番組でイチローがやっていると言っていたストレッチの一部と、妹が寝ながらやってる体操を組み合わせてやってます。
体操をして、神棚に手を合わせた後、カレンダーにマジックで○をつけるのが娘にとっては楽しいようでなにより。
本来の目的である、朝ごはんもきちんと食べられるようになってホッとしております。
まだ始めて数日ですが、とにかく続けていきたいですね。

さて今回は「きょうの藤井聡太」の特別編として、昨日の12月23日に行われた、叡王戦本戦1回戦での対深浦九段戦について、ちょろっと書いてみることにします。
詳しい棋譜解析なんかは他でやっていると思うので、ちょっと別の角度からこの将棋について書いてみることにしますね。
なお、この後に書かれていることはあくまで私の仮説であり、真実であるとは限らないことは最初に述べておきます。
あと、この対局の棋譜は叡王戦公式サイトにありますので、よろしければそちらも一緒に見ながらこの記事を読んでいただけると、より分かりやすいかと思います。

深浦九段。
王位を3期獲得し、今なお順位戦A級で活躍を続ける超一流棋士である。
彼の将棋の本質は、何と言っても粘りと根性。
粘りと根性、と書いて深浦将棋と読む、と言っていいくらいのものである。
粘りと根性を出すには気力体力の充実が不可欠で、40代後半にもなってこれをやり続けるのは大変難しいのだが、未だにこれをやり続けているという稀有な棋士である。
また強豪棋士相手になればなるほど実力を発揮するのも特徴の一つで、あの羽生永世七冠相手にもそこそこの成果を上げているという数少ない棋士の一人でもある。
この叡王戦でも九段戦予選決勝で、羽生ファンの期待を裏切る勝利を収めて本戦入りを果たしている。

さて今回の対局の話に移ることにしよう。
将棋には二つの勝ち方がある。
盤面だけで勝負をつけるパターンと、相手の心をへし折って、悪手を指させて勝つパターンである。
現役A級棋士である深浦九段でも、盤面だけで藤井四段に勝つのは困難である。
対局前からそれを悟っていた深浦九段は、はなっから藤井四段の心をへし折ることに徹することにした。

まず序盤。
振り駒で後手番を引いた深浦九段は、最近得意にしている雁木ではなく、△3二金~△6二銀~△7四歩の形を選択する。
こうすると本譜の通り、序盤早々から先手に▲2四歩から飛車先を交換され、▲7四飛と1歩得を許す展開となるのだが、その分△7三銀から△6四銀と銀を早めに中央に繰り出して盤面を制圧することができ、おまけに先手は飛車しか動いていない上にその飛車の動きも制限できる、というのが後手の主張で、特に若手棋士の間では水面下で盛んに研究されている戦法とのことである。
まだ定跡が整備されていないこともあり、力戦調の将棋になるというのも魅力の一つで、この戦法自体は知っていても、まさか自分にぶつけてくるとは思わなかったであろう藤井四段へ、まずは軽くジャブを繰り出した格好となった。

こういう力戦調の将棋となると、王様の囲いが薄くなることもあり、序盤からどうしても時間も神経も使う将棋となる。
局面自体はジリジリと藤井四段がリードを広げていたものの、消費時間は藤井四段の方が1時間ほど多いという展開のまま終盤を迎えていく。

さて終盤戦。
深浦九段の飛車と角と金1枚は盤面の左上に押し込められた格好。
飛車と角と金1枚落として藤井四段に勝て、というのはかなりの無理ゲーであるが、そこは粘りとド根性が信条の深浦九段。
92手目の△3一歩などという平謝りの手を平然と指すという、私から見れば泣きそう展開ながら、とにかくノンストップで藤井四段の持ち時間を削りつつ、自分も持ち時間を使わずに、藤井四段に考えさせない展開を強いる。

盤面は、自玉さえ詰まなければそれでいい。
とにかく、藤井四段の心さえ折れればいいのだ。

すでに1分将棋の状態が続く藤井四段。
それでもここまで正確な指し回しを見せてはいたのだが、最終盤になって突如指し手が乱れ始める。
千日手や持将棋も視野に入る泥沼の展開となり、解説の中村王座や聞き手の塚田「えりぽん」恵梨花女流は完全にナチュラルハイに。
対局日がクリスマスイブイブなこともあり、ニコ生運営も、「メリー千日手ですか?」と終局が日付変更線を越えることを恐れだす。

これが、これこそが深浦ワールドだ。
深浦九段の執念は、ついに藤井四段を捉えたのだ。

局面自体は二転三転の状態となったのだが、こうなってしまうと、どうしてもキャリアと持ち味の差が出てしまう。
最後は深浦九段が、藤井四段の王様を鮮やかに即詰みへと追いやった。

とにかく、とにかく密度の濃い一戦でした。
終局時に涙を見せた藤井四段ですが、本気の深浦九段を相手にこういう将棋を指せたことは、将来のための貴重な財産となることでしょう。
ただ勝つだけなら終盤に時間を残すべきだったでしょうが、難解な力戦調の将棋でしたし、トップ棋士相手の対局の経験値が足りない若手だと、どうしても経験で読みの枝刈りをするのが難しいですから。

今回は藤井四段にとっては残念な結果となりましたが、強くなるためにはこういう将棋をどんどん指していくことが重要なこと。
とにかく、トップ棋士と戦えるように、勝ち続けていくしかないですね。

あと、深浦九段の粘りとド根性には改めて唸らされざるを得ませんでした。
あの将棋を逆転するとはねえ、驚きました。
脱帽。
タイトル戦としては初代叡王の座も、もしかして視界に入ってきたかも?

さて今日の叡王戦は佐藤名人(叡王)と金井六段戦ですか。
他にやらなきゃいけないこともあるから、ながら見程度でちょろっとコメント入れるくらいの気持ちでいきますか。
でないと明日の仕事に差し支えるので(切実)

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by mitsuboshi03 | 2017-12-24 08:39 | 将棋 | Comments(0)

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