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因果応報(NHK杯 久保vs先崎戦)

はい、今年最初の将棋ネタでございます。
本当は棋王戦や王将戦の番勝負を先にやらなきゃならないとこですが・・・。
ま、おいおいやります。
ついでに書いときますと、王将戦第3局がウチのすぐそばでやるそうなんで、見に行きがてらレビューでも書いていこうかという野望を持っております。ま、期待せずお待ち下され(苦笑)

さて、今回の対戦はこの2名。
先手の久保八段は、昨年度のNHK杯優勝者にして現NHK将棋講座講師。
独特の感覚で捌く振り飛車にシビれる振り飛車党はあとをたたない。
タイトル挑戦経験もあり、順位戦でもA級に居座る実力者なだけに、もう一皮むければタイトルも見えてくるのだが。
後手の先崎八段は、以前にもこちら『浮いたり沈んだり』で取り上げた通り、棋界
屈指の文才の持ち主。将棋の実力も一流で、このNHK杯もすでに一度制している。

この日の解説は佐藤康光棋聖。
先崎八段とは長年の腐れ縁(爆)で、久保八段とは暇を見てはちょくちょくラウンドするゴルフ仲間。解説役としては適任かと。
いつもは指し手の解説に冴えを見せる棋聖も、この日は対局者がこの2人だったからか聞き手の千葉女流とブレーキのない暴走トークに終始(爆)
録画してなかったので、記憶に頼って書くだけでも、

棋聖「この2人は、ややそそっかしいところがありまして・・・」
千葉「それは生活面ですか?
棋聖「ははは・・・」

棋聖と千葉女流、原稿用紙2枚くらいで具体的に説明してください(核爆)

さて戦型の方は、先崎八段の方がすこし変化するかもと思っていたのだが、十八番の居飛車穴熊を選択。一方久保八段がどうしたかは、下の図1をご覧下さい。

因果応報(NHK杯 久保vs先崎戦)_b0017164_18242210.jpg(←図1)
少しばかり将棋をかじった方には、一見先手は王様もろくに囲わないで何してんだと見えるかもしれませんが、これは元竜王の藤井九段草案の藤井システムという立派な戦法の一つ。居飛車穴熊に組もうとする敵に王様ほっといていきなり敵を殴りにいくという大変漢らしい戦法で、居飛車穴熊にこっぴどく泣かされ続けた振り飛車党にとって福音となった戦法だったりします。

王様を囲わないのも実は理にかなっていて
この戦法は右側が主戦場なので、いつものように右側へ囲うのは銃弾飛び交う戦場に生身で飛びこむようなものゆえ却下
また飛車がいる左側に囲うのは玉飛車接近すべからずテストに出る大原則(違)に触れるためこれも却下
ならいっそのこと囲わないでとっとと攻めようぜと考えたあなた、正解です
んで、一度藤井システムでいくと決めたからには、居飛車側の玉が穴熊にもぐる前に殴りにいくのがセオリーなのですが、下の図2では・・・、

因果応報(NHK杯 久保vs先崎戦)_b0017164_18553514.jpg(←図2)
完璧に穴熊に囲ってますが、何か?(爆)
これでは藤井システム大失敗。先手も必死に抵抗しますが、後手は狙いの△4二角から△2四歩で桂得に成功。あとは△4四歩から△4五歩ゆっくり攻めるのが間に合ってはしゃれにならないので、先手も先に手を出しますが、後手にうまく対応され、そこで得した歩を△1七歩と端攻めに使われては先手大苦戦。

因果応報(NHK杯 久保vs先崎戦)_b0017164_19183387.jpg(←図3)
ここで先手はなりふりかまわず▲2七玉王様自ら火消しに走ります。ここで後手は的が自分からやってきたわい△3三桂でさらに端攻めを強化します。
今のように穴熊囲いの桂馬を跳ねるのをパンツを脱ぐと呼んでます(本当)
感覚としては禁断の秘技(爆)これが決めてになればいいんですが、決まらないと囲いが一気に弱体化するだけに終わります。

そういや後手の先崎八段は、そもそも序盤中盤で少々不利になったのを腕力でひっくり返すのが持ち味。ヘタに序盤でリードすると・・・。

逆転の予感がひしひしと(苦笑)

因果応報(NHK杯 久保vs先崎戦)_b0017164_19334616.jpg(←図4)
図4の▲1三歩でそんな不安がはっきり現実に。
どう対応するか悩ましい、いかにも振り飛車党らしい垂らしの歩です。
ここで後手が△6六桂と打ったのが、対局直後に後手の先崎八段が、
「かっこ良過ぎたか・・・」とうめいた通りの悪手だったようで、この後は後手が坂道を転げ落ちていくばかり。先手の久保八段が逆転勝ちをおさめました。

こういう対局を見ていると、居飛車党の私としては、
またなんとなく振り飛車にだまされたよ・・・orz
と言いたくなります(体験談)
こう書くと、振り飛車党がアコギに聞こえますが、
だまされる方が悪いんです(血涙)

さて対局後、妙にニコニコしながら感想戦に加わった解説の佐藤棋聖。
そういえば、ガッデム!(NHK杯 佐藤(康)-中井女流戦)のときは立場が逆でした。
このとき佐藤棋聖は冷や汗だらだら流しながら一応勝ちました。
今回は・・・佐藤棋聖は満面の笑みをたたえてました(ぉ
ま、長年の腐れ縁ですから、いいでしょう(待て)
Commented by hosokawa18272 at 2005-01-19 21:53
相変わらず、面白いのう。
いつもながら解かりやすく解説してくれてサンクス。
やっぱ、「居飛車ずき」と「振り飛車ずき」は性格で決まるんですか?(爆)
しかし将棋は、どこで逆転するか分からないですねー。
Commented by mitsuboshi03 at 2005-01-19 22:09
細川氏、いつもコメントありがとさん。

>「居飛車ずき」と「振り飛車ずき」は性格で決まるんですか?(爆)
ありますねえ(笑)
あと、「指しているうちに染まる」パターンもあります(爆)
by mitsuboshi03 | 2005-01-18 17:41 | 将棋 | Comments(2)

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