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今回は久々に前置き無しで。
ざっとここまでの棋戦の動きを。

■渡辺棋王、大激戦を制し棋王防衛!(棋王戦五番勝負)

まずはついさっき終わったばかりの棋王戦から。
第3局の後手番をまったりゴキゲン中飛車で凌いだ渡辺棋王は、今日の第4局では今や誰もが恐れる佐藤(天)八段の横歩取りを堂々と迎え撃ちます。
やや膠着状態となった序中盤の研究合戦は、若干渡辺棋王の模様が良かった模様。
ただそこからもつれる展開となり、最終盤ギリギリの1分将棋で佐藤(天)八段が優位に立ちますが、そこで渡辺棋王の勝負手△7七桂が炸裂。
対して▲8五金なら勝ってたようですが、佐藤(天)八段の次の一手は無情にも▲8五桂。
それでも最後まで手に汗握る大熱戦で楽しめました。

なお本局はヤマダ電機が主催のとちぎ将棋まつりとの共催ということで、数多くの将棋ファンが宇都宮に集結した模様。
ニコ動の中継も棋王戦と別口であって楽しめました。
なおニコ動の中継は、中盤戦たけなわの3時くらいに放送機材がお亡くなりになって一時中断の憂き目に(涙)
とちぎ将棋まつりがあって本当に良かった。

それにしても、解説の深浦九段の話がすべらな過ぎて困る。
普段の真剣に将棋指してるイメージとは真逆なんですよねえ。
ドラクエの話とか、娘のRPGのレベル上げに熱中する話しとか、恋愛に将棋の手筋を応用できるかな話しとか、楽しく聞けました。

■郷田王将、最強の挑戦者を退ける(王将戦七番勝負)

今度は先週終わった王将戦七番勝負。
第4局まで2勝2敗で五分だったのですが、続く第5・6局で郷田王将が連勝。
郷田王将が崩れず頑張ったのも大きかったのですが、気になるのが羽生四冠の戦型選択。
第5局がまさかの四間飛車穴熊、第6局が藤井流の矢倉早囲いといずれも変化球で勝負してきたのですが、変化球にしても熟成が足りない感じが。
佐藤(天)八段の挑戦を受ける名人戦に研究を取っておいたというのがもっぱらの噂なのですが、それにしてももう少しなんとかならなかったかなあという印象。

■村山七段、新人王戦以来の棋戦優勝!(NHK杯決勝)

最後は、昨日放送されたNHK杯の決勝戦。
一般棋戦ではあるものの、何しろNHKによる全国放送というのは今なお一般人にとっては威力絶大。
ここで活躍すると、下手に2、3個タイトル取るよりよっぽど世間体が良いというわけで、NHK杯を頑張らないプロ棋士は居ない、と言われるほどの棋戦となっております。

今年は大物棋士が早々に敗れたこともあり、決勝戦は村山七段vs千田五段というフレッシュな対決に。
二人とも持ち味は違いますが、ニコ動やtwitterなどで普及に務める姿に好感が持てます。
結果は順当に村山七段が勝利して、新人王戦以来の棋戦優勝となりました。

千田五段は敗れたとはいえ、初出場での決勝進出は見事。
これからの活躍に期待します。
twitterも楽しみにしてまっせ。

それにしても、NHK杯の重みはどうですか、と聞かれて、
いやあこの優勝カップってこんなに重かったんですねえ、と答える村山七段の天然っぷりが大好きですw
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by mitsuboshi03 | 2016-03-21 20:57 | 将棋 | Comments(0)
ネットのニュースを漁っていたら、こういうものを発見してしまうから世の中怖い。

・滋賀県作「石田三成CM」 (ねとらぼさんのリンクはこちら→

一見テキトーに作ったように見せかけて、実はキッチリ計算され尽くした動画というのが恐ろしい。
この21世紀にして驚きの低画質とか、「※故人の感想です」とか、「本CMは忠義心を保証するものではありません」とか(おい)

3/27に第2弾が出るそうな。
凄いな滋賀県。
これちゃんと県議会で予算通したんだよね?

それにしても、謀反や下克上が不安な主婦って居ねーよ!
と思っていたら。

・デレマスの画像を送ると似てるヒラリークリントンの画像が送られてくるらしい・・・
(アニメモリーさんのリンクはこちら→

そうだね、ヒラリーだね(おい)
それにしても。

な ぜ こ れ を 作 ろ う と 思 っ た w

と、珍しく前置きが長くなりましたので早速本編へ。
今回は先週投稿された盤上のシンデレラ第12局についてのお話を。
また例によってフットワークの軽い将棋グリモワールさんが記事を寄せているので、そちらにも軽く触れていく感じで。

・盤上のシンデレラ第12局のリンク → 
・将棋グリモワールさんの記事へのリンク → 

■本田未央(ちゃんみお)

島村卯月、渋谷凛とトリオを組むニュージェネレーションの一角。
3人の中では最もスタイルが良く、典型的なグラビアアイドルといった雰囲気。
当初は運営から雑な扱いを受けたせいか、かのグーグル大先生が真っ先に「本田未央 不人気」を検索候補として上げるほどの不憫な存在であったが、めげずに奮闘する健気さを良しとするプロデューサー諸兄も多いと聞く。

最近は王者の風格を漂わせる二次投稿も増えてきており、本作も卯月や凛より一枚も二枚も上手な若手アイドルの筆頭格、といった扱いになっている。
ニュージェネレーションの卯月が主人公なため、伝説の第4局など出番は多かったものの、対局者として登場するのは本局が初めて。
若手アイドルの筆頭格らしく、得意の研究で古豪の矢倉を潰しにかかります。

■安部菜々(ウサミン)

こちらは第7局で解説しましたので手短に。
第4局、第7局で解説役として登場し、本局はこちらも満を持しての対局者としての登場。
本局では、タイトル挑戦経験ありという中々衝撃的な設定が披露されることに。
とはいえ寄る年波(17歳)には勝てないのか、最近は予選突破もままならないとか。
世知辛いですなあ(ホロリ)
とはいえ、そうそう若手相手に斬られるわけにはいかないと、こちらも独自の研究をぶつけて対抗します。

■居角左美濃

第7局で軽く触れた戦法ですが、今回はお互いコレで真っ向勝負。
詳しくは元ネタの動画や記事をを見てもらうとして(おい)
特に動画の方を強力にオススメします。
何しろ、勝手に駒が動いてくれると一目で分かりやすいですから。
私が子供のころにこういうのがあったらなあ(おい)

発想としては、相振り飛車でさっさと美濃に囲い、居角を活かして矢倉を崩しに行くとこから着想したものと思われる。
これが人間じゃなくてコンピュータの発想ってんだから最近の将棋は怖いですなあ。
この戦法が一般的になるかどうかは今後の研究次第ですが、今のところは矢倉側がだいぶ工夫しないと苦しい印象。

とはいえ、この戦法を避けるのは比較的カンタン。
例えば5手目の▲6六歩を▲7七銀とする。
矢倉中飛車など他の急戦矢倉戦法が多少イヤですが、ちょっと昭和の香り漂う昔懐かしの矢倉に組むことが可能。
もしくは、アグレッシブに忍者銀という手も(屋敷九段、貴方だけですw)
あるいはいっそのこと、3手目の▲6八銀を▲7八金に変えて、
「角換わりを指したいのですが、何か?」
という身も蓋もない対策もあり。
個人的には、凄い研究が必要な割りには成果が見込めないかな、という印象が。
それでも、面白い戦法であることは確か。

■ちゃんみおの長考(02:52~10:23 計07'31")

ウサミンの研究が生み出した渾身の一手である▲7五歩への対応を考えるべく、長考に沈むちゃんみお。
何度か書いた気がしますが、仕掛けの辺りの手をしくじると、そのまま即死まっしぐら、ということが多々あるため、プロ棋士はよほどのことがない限り、じっくり時間をかけて手を読みます。
本局は、その辺りを丁寧に書いてくれたのが素晴らしい。

今回の長考では徹底的に△4五歩を読んだものの、結局は無難な△6三金に落ち着きました。
持ち時間の長い将棋だと、本局のように長時間読んだ手を捨てることがやりやすく、ぐっと深みのある将棋になりやすいのです。
一方で、持ち時間の少ないテレビ棋戦だと、こういったことがやりにくいため、雑な将棋になりやすいわけです。
とはいえ、持ち時間が短い分、思い切りよく決断するのが良い方向に転ぶこともよくあること。
だから持ち時間の長い将棋と短い将棋、両方必要だよ、と強く強く主張したいわけであります。
プロ棋士でも、持ち時間の長い短いで得意不得意が分かれたりしますし、ね。

■アイドルとプロ棋士の信用(22:51あたり)

プロ棋士にとって、信用はとてもとても大切。
特に本局のちゃんみおのように、「すべて見切ってるから指さなかった」といったたぐいの信用は、それだけで通算勝率が1割くらいは違ってきます。
「あ~、こうなっちゃったらマズいな、諦めよう」と相手の方から転んでくれますから。

その一方で、「あいつはすぐ投げるから」とか、
「あの人の終盤はちょっとねえ」といった逆の意味での信用が付くともう最悪。
だいぶ形勢が悪くても、相手は全然諦めてくれません。
たとえ勝ったとしても、消耗度がまるで違ってきますから。

こうした信用は、日頃の積み重ねがモノを言います。
将棋界最強の勝負師、大山十五世名人がこんな感じのことを言ってました。

対局後の飲みを断って、その晩に研究できるか。
グリーン車に乗りたいところを、我慢して普通車に乗れるか。
紛れが多くて間違えやすい局面でも、さっさと間違えずに指せるか。
苦しい局面でも、涼しい顔をして粘り勝ちできるか。
ちょっとした所に、差は出るよ。

■顔で抑える

控室の研究では、必ずしも最善手を指せなかった(とされる)ちゃんみお。
もちろんこれは、しょうがないよね、ダメ人間だもの、といった側面もありますが、
相手がオーラを発しているから間違える、といったことも多々あります。
こういうのが抜群に上手かったのが、先ほど名前を上げた大山十五世名人や、真剣師として名高い小池重明。
棋譜だけ見て、「なんだこんなの全然たいしたことないじゃーん」と無策で挑み、無残にも散っていった対戦相手のなんと多いことか。
こういうのは中々表現するのが難しいんで、できれば避けて通りたいところなのですが(おい)
例えば野球なんかだと、「元大リーガー」とか「通算400セーブ」といった肩書だけで抑えてしまう投手、ってのが比較的近い印象ですかね。

一つ言いたかったのは、ウサミンも研究以外はいいところ無く散った、というわけでは無かった、ということで。

■おまけ(追記)

盤デレラでは我らのチダショーこと千田五段、今日のNHK杯戦で久保九段を破り見事決勝進出!
初出場初優勝なんて夢を見ていいんでしょうか。
いいんでね?

そういや忘れてた。
千田五段がご自身の居角左美濃研究をdropboxに上げてますんで、見たい方はぜひぜひ。
それにしても、本当に時代が変わりましたなあ。
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by mitsuboshi03 | 2016-03-13 10:47 | 将棋 | Comments(0)
祭りの準備がそろそろ大詰め。
とはいえ体調が思わしくなかったんで、出られるとこだけ参加することに。
まあ、出来る範囲で、ね。

というわけで、今回はちょっと遅くなっちゃいましたが、先週の土曜日に行われました「将棋界の一番長い日」ことA級順位戦最終局についてのお話を。
最近取り上げることが増えた「将棋グリモワール」さんが、なんとなんとリアルタイム更新という暴挙恐るべき所業をかましているので、そちらの記事と対比しながら書いていくことにします。
こうすれば図面をあんまし用意しなくて済むし(おい)

肝心のリンクはこちら→

■開始前

今年は久々にニコ動での生中継が復活。
それも、棋士たちの出待ちからの中継という大盤振る舞い。
まあ、実態は将棋連盟玄関前の動画垂れ流しなわけですが。
こんなんで盛り上がるなんてよっぽどの変態マニアやでぇ。

だが、それがいい!(おい)

中継開始直後に、ネット観戦記者としてすっかりお馴染みとなった銀杏さんが登場してまず盛り上がる。
さて肝心の棋士はといいますと、最初に開始30分前に来たのが渡辺竜王。
最近入室は早めにしているという評判ではありましたが、それでも一番乗りというのは少々意外な感じ。
その後も続々と入室が続く中、最後に来たのが大本命の行方八段。
ま、まあ、10分前だったし、10分前に来れるように喫茶店とかで待ってるなんていう定跡もあるし(震え声)

■ニコ動中継

さて本番開始。
今年の解説は、男性棋士だらけの漢祭り解説。
以下の5名が持ち回りで解説を担当しておりました。

 ・千葉「奥さん(千葉女流)元気?」六段
 ・佐々木(慎)「タブレットが本体」 六段
 ・村山「じめこ聞き手7級」 七段
 ・田村「マッハ親方」七段
 ・藤井「てんてー」九段

濃いわー
女流棋士の聞き手が居ない分、段取り通りとはいきませんでしたが、ライブ感は良く出ていたかと。
解説も濃密かつ的確でした。

■佐藤康-渡辺戦

さてここから肝心の将棋について。
終わった順にやります。
将棋グリモワール流をパクる採用して、先に名前の出た方が先手ということで。

本局は、唯一昇級にも降級にも絡まない、いわゆる「順位戦」。
とはいえ、ここでの勝敗が後々の降級争いに響くことも多いので、手は抜けないところ。
渡辺二冠が後手ということで戦型が注目されましたが、やや予想が外れて横歩取りに。
棋王戦で当たる佐藤(天)八段に刺激を受けたのでしょうか。
解説では、康光先生に天彦流の対策を教わろうとしているのでは、という穿った見方が。

変態流で名高い(おい)康光先生。
でもでも、今回は両方の端歩を突いた以外は最新型に。
とはいえこの端歩が結構重要なようで、将棋グリモワールさんの記事にもある通り、後手が端攻めを受け止めやすい分やや先手が損とされている形。
が、先に攻めてしまえば問題ないぜと端攻めから飛車を打ち下ろす。
これで49手目に▲1五香と走るのかなあと思っていたら、なんと驚きの▲3一金。
右辺は確実に制圧できるものの、打った金が2一で確実に遊ぶので、一般的には重い、とされる一手。
この金がタダでもらった金ならまだしも、角金交換で得た金なので、実質角をタダであげたようなもん。
「竜王に角を渡して勝つ」な~んて出来たら最高ですが、やはりそうは問屋がおろさなかったようで、将棋グリモワールさんの記事でもりくぼぅ乃々が指摘した通りに74手目の△3三飛が決め手に。
ただ、この手を逃していたら結構難しい展開だったかも知れません。
夜10時半ころの、A級順位戦としては早めの決着となりました。

勝って6勝3敗フィニッシュの渡辺二冠。
とはいえ、挑戦権争いにあまり絡めなかったのは本人としても不満の残る展開だったでしょう。
竜王戦と真逆な日程のため勢いを持続させにくく、やや不本意な成績が続くA級順位戦ですが、もちろん大二冠の野望は捨てていないはず。

一方5勝4敗で今季を終えた佐藤(康)九段。
最初と最後の連敗が挑戦権争いに大きく響いてしまいました。
中盤が5連勝だけに勿体無い印象。
それでも5勝4敗で来季4位を確保するという望外の結果に。
来季は、始めから挑戦権を睨んだ戦い方ができるのでは。
まだまだ変態流で暴れ回って欲しいものです。

■屋敷-郷田戦

5勝3敗と良くも悪くも気楽な立場の屋敷九段に対し、ここまで僅か2勝の郷田王将は勝っても残留が決まらない厳しい状況。
タイトルホルダーといえども残留が厳しいのがA級順位戦の怖さ。

さて最近の屋敷九段の先手番といえば、言わずと知れた忍者銀。
二枚の銀がモリモリ前進して盤上を制圧するという痛快な戦法であります。
当然のことながら囲いは薄くなりますが、「固い・攻めてる・切れない」ばかりな現代将棋で食傷気味な身にはありがたい存在。
本局も忍者銀でバリバリ暴れ回る屋敷九段でしたが、今回は郷田王将の対策が旨かった。

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▲7二歩と飛車の横効きを止めたこの局面。
角銀交換が約束されている分後手が良さそうですが、後手の角が身動き取れない上、王様が矢倉に入城できないのが後手の悩み。
どうするのかと思っていたら、ここで△1四歩と悠々端歩を開ける郷田王将。
流石にのんびりしすぎでしょうと思っていたのですが、もう少し後の局面で狙いが判明。

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さっきの局面から、数手進んで△1三角としたのが郷田王将自慢の一着。
角を1三に逃がして王様の入城を可能とし、なおかつ先手の王様と飛車を角の睨みで制圧しようというのが狙い。
普通の矢倉なら、だいたい先手が端歩を突いていることが多いので、すぐさま1三に居る角を追われることになるのですが、本局では先手の端歩が1七のままなので、この角が大威張りするという仕掛け。
上手いもんですなあ。

終盤は屋敷九段の王様が単騎で盤の中央を宇宙遊泳。
打ち歩詰めでギリギリ逃れるかと思えた場面もあったのですが、残念ながら先手の攻めが一足届かず、日付が変わる直前に郷田王将の勝利となりました。

本局は負けてしまったとはいえ、独自の戦法で勝ち星を重ねる屋敷九段の快進撃には来季も注目。
一方、本局が終わった時点ではキャンセル待ちだった郷田王将でしたが、武運つたなく無念の降級。
勝って降級というのはやや理不尽ではあります。
ありますが、ならば去年のあの一局、一昨年のあの一局に勝っていればこんなことにはならなかった。
結局、負けた自分が悪いんです。
来年勝ってA級に戻ってきます。
格調高い郷田王将のこと、きっとこんな話をするんではないかと。
実力は折り紙つき。
期待してますよっ。

■深浦-広瀬戦

こちらは3勝の深浦九段と2勝の広瀬八段が戦う、お互い深刻な一戦。
広瀬八段は負ければアウト。深浦九段も負けると久保九段の結果次第では降級の憂き目に。
そんな切羽詰まった状況で、深浦九段が命運を託したのがこの戦法。

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矢倉▲3五歩早仕掛け。
いきなり3筋の歩を角で交換して、できれば角を2六へ引いて、しっかり王様を矢倉に囲って、右銀を3六へ出て、となればほぼ先手必勝形。
すんなりこの形にできるなら、▲3七銀戦法ではなくこの戦法が先手矢倉のメインストリームになるのだが、当然後手も△6四角から反発してゴチャゴチャした乱戦になるというのがよくある展開。
以前は先手が楽々と▲3七銀戦法に組めたためマイナー戦法と化していたが、「盤上のシンデレラ」第7局の解説にあった通り、やっぱり△6四角で先手が難しくなったことから、最近再び注目されつつある戦法である。
ちなみに、最初にこの戦法を指したのは25年前の郷田王将だったとか。


本局はA級の大一番らしい、どろり濃厚なねじり合いの将棋となり、ニコ動の解説も、ちょっと局面を覗いてはそっと閉じるというありさま(おい)
どちらかと言うと広瀬八段優位という形勢が続いたようだが、こういう局面を粘りに粘るのが深浦九段。
深浦九段より将棋の才能がある棋士はそれなりに居るが、深浦九段ほど根性のある棋士はまず居ない、と言われる棋士の本領発揮、と思われたのだが、広瀬八段も流石は元タイトルホルダー。
見事逃げ切りに成功しました。

昨年のプレーオフ進出から、今年は終盤まで僅かに1勝と崖っぷちに立たされた広瀬八段。
それでもラスト2局を連勝して自力残留を勝ち取ったのは立派の一言。
まだ若いんだし、来季は挑戦権を目指す方の戦いで頑張って欲しいものです。
一方、若い頃はA級でことごとくツキを逃してはたびたび降級の憂き目に遭った深浦九段でしたが、今季はギリギリ降級を回避。
それでも、まだまだA級から落ちるのは早すぎます。

■久保-森内戦

こちらは勝てば残留、負ければ降級というシンプルな首筋の冷たい一戦。
この大事な一戦で、久保九段は初手▲5六歩に命運を託す。
後手が居飛車であれば、▲5五歩と中央を制して良し。
もちろん先手必勝とはいかないが、少なくとも気分はいい。
もしも相手が振り飛車党であれば、△3四歩から三間飛車にするのが有力。
先手は当然中飛車にするのだが、それに比べて後手の三間飛車は先手陣に近く、攻め合いに強い。
また、左の金を囲いに参加させにくいという中飛車の根本的な弱点も大きく響く。

ところで今回の相手は、元来△8四歩からの矢倉や角換わりを得意とする森内九段。
まあ普通は居飛車で来るだろうし、「理論上有利ですから」と相振り飛車で戦うのであればこっちの土俵だ。
鰻屋ならぬ、専門店の振り飛車を魅せてやる。
と、久保九段は考えて初手▲5六歩を指したと思われる。

果たして森内九段が選んだのは相振り飛車だった。
軽く捌くというよりは、ゴチャゴチャと盛り上がる感じで、いかにも居飛車党の指す振り飛車、という印象である。
先手は▲9五歩と突き込した端を軸に攻め立て、後手は右辺を制圧していく。
本局は、後手の理論上の有利と、専門家ではない弱みが拮抗した、形勢が二転三転する一局となる。

本局一番の見せ場となる最終盤の展開については、「将棋グリモワール」の記事を参照して欲しい(おい)
▲8六銀か、▲9六銀か、最後の二択。
久保九段は、賭けに敗れた。

昨年プレーオフに出場した久保九段でしたが、今季は無念の降級。
同じく降級争いを演じた広瀬八段に勝ったまでは良かったのですが、ラスト2戦を連敗では流石に残れませんでした。
振り飛車党筆頭の活躍を、将棋ファンは渇望しております。
来季の復権に期待。

森内九段も今季はやや苦しい成績に。
番勝負での強さには定評があるだけに、そこへたどり着くまでが重要。
やはり後手番対策が鍵を握りそう。

■佐藤天-行方戦

さて最後に終わったのが挑戦権争い。
割りとあっさり終わる傾向があるのですが、他にとんでもなく長い対局がなかったこともあってか、最後まで目の離せない一戦に。

プロ棋士最大派閥の佐藤派。
何か別のモノを想像させるが気にしないように
今や派閥のドンとして君臨する佐藤(天)八段の力の源は、ズバリ横歩取りにある。
誰もが苦労する後手番で、絶対的エースが居るというのはやはり大きい。
避ける手も無いこともないが、そこは受けて立つのが行方八段。
はなっから気合負けしていては、挑戦権争いもへったくれもない。
最近ではやや珍しい、若干古風な▲6八玉戦法で挑みます。

とはいえそこは流石の絶対的エース。
中盤を優位で乗り切った佐藤(天)八段ですが、行方八段も必死に食い下がり、一時は形勢逆転まで持って行く粘りを見せます。
が、ここまでに時間を使い過ぎたのが仇となり、最終盤で無念の失速。
佐藤(天)八段が、プレーオフ抜きで挑戦権を獲得しました。

A級1年目は、普通ならまず残留狙いがセオリー。
ところが、怒涛の開幕5連勝であっという間に首位を快走してしまった佐藤(天)八段。
年の瀬に深浦九段から1敗を喫したものの、最後まで首位を譲らず挑戦権を獲得したのは見事の一言。
絶対王者羽生相手に、王座戦での借りを、名人戦で返せるかどうか。
もちろん棋王戦での活躍にも期待。
今現在の瞬間最大風速は凄まじいものがあるだけに、兎にも角にもまずタイトルを取りたい。
世代交代という、将棋界から久しく失われた言葉が、ここで意味を持つ可能性すらあります。

当初はA級には荷が重いと思われていた行方八段。
しかし、A級定着以降は破竹の快進撃を続け、今季も最後までトップを脅かし続ける活躍を見せました。
実力はすでに折り紙つき。
目指すはもう名人しかないでしょう。
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by mitsuboshi03 | 2016-03-04 22:41 | 将棋 | Comments(0)

スポーツ、将棋、ミリタリー、オタクネタ、地元長野ネタなど節操なしに書きまくります


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