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大部分の地方ではとっくの昔に夏休みですが、何度も書いている通り長野の夏休みはとっても短くて、だいたい数日前からお盆過ぎまで。
昔は「その分田植えや稲刈りや寒中休みがあるじゃない」と言われたもんですが、結局トータルでも全国平均を大きく下回っていたらしいでつ。
しかし、攻守ところを変えた年齢になると、この短さが逆にありがたかったりするみたい。
パートの奥方様が「子供が家に居るからやること増えて大変なの~!」と嘆く季節がやってまいりました。

久々の更新と言うことで、今回は将棋のタイトル戦を中心に簡易版で。

☆名人戦の顛末

郷田挑戦者の3-2で迎えた第6局。
結果的には郷田名人に最も近づいた一局だったのですが、形勢は序盤の終わりくらいから羽生名人のリードが続く展開。郷田挑戦者の「相矢倉と見せて、おもむろに飛車を振る」陽動振り飛車に対して、羽生名人がこの戦法への特効薬とも言える「いったん矢倉に囲ってから、ゆっくり穴熊にこもる」対策を郷田挑戦者が速攻で潰そうとした構想がまずく、序盤は羽生名人が一本取った形に。
ところが郷田挑戦者が初志貫徹で攻勢に出たのが功を奏し、羽生名人が特に悪い手を指したわけでもないのに、終盤には極めて難解な局面に。ただ、ここまでの攻防で神経をすり減らした郷田挑戦者がここで力尽きて玉の逃げ場所を誤る痛恨のミス。さすがにこれを見逃す羽生名人ではなく、最後は羽生名人が確実にチャンスをものにしました。
最終決戦となった第7局は、振り駒で後手を引いた郷田挑戦者が、相矢倉から玉の囲いを省略する早囲いを採用して今回も積極策に出ますが、羽生名人の卓越した対応策に暴発してしまい、最後は大差がつく展開となってしまいました。郷田挑戦者は、”最後まで全力で戦えなかったのには悔いが残る”と無念の一言を残しましたが、ここまでの戦いぶりは見事でした。捲土重来に期待します。
一方の羽生名人は、久々の名人防衛に成功。他棋戦に比べあっさり失陥することの多い名人戦ですが、ここから長期政権を築けるでしょうか。

☆棋聖戦五番勝負 木村挑戦者の健闘光る

名人戦の次は棋聖戦。以前は年2回5番勝負があるという忙しい棋戦でしたが、すっかり初夏の風物詩となりました。
羽生棋聖のお相手は、「千駄ヶ谷の受け師」(ハチワンダイバーより)こと木村八段。
挑戦者決定戦の準決勝くらいまでは快調に勝ち進むんですが、その先になるとびっくりするほどよく負けるという「ブロンズコレクター」ぶりが目立つ棋士でしたが、今回はその原因となっていた”回りに気を遣いすぎる。関係者の多い大一番ではなおさら。”という欠点をふっきり、普段通りの将棋で2-1と先に王手をかけました。
が、”名人戦も終わったんで、今度は棋聖戦に本腰を入れるぜ”な羽生棋聖があっという間に実力発揮でこのピンチを連勝で切り抜け、またも棋聖防衛に成功。この精神力のずぶとさにはただただ頭を垂れるしかありません。そりゃオリンピック選手からの講演依頼も来ますわ。
とはいえ、いつもならこっぱみじんに吹っ飛ばされるのが常だった木村挑戦者が、ここで一皮むけたのは確か。これが次の機会に生きてきます。

☆今度は3-0! 木村は変わった!

今度は「真夏の決戦」王位戦七番勝負にやってきた木村挑戦者。棋聖戦で得た手応えを深浦王位に存分にぶつける展開で、あっというまに深浦王位を土俵際まで追い詰めております。木村八段の充実振りは素晴らしいのですが、”羽生以外にあんまし強くない”深浦王位の出来が気になるところ。

☆遅れてきた「王子」、初の大舞台へ

今度は竜王戦と並ぶ秋の風物詩な王座戦。
挑戦権争いの常連が次々に敗れる中、挑戦者決定戦に名乗りを上げたのは、奨励会幹事経験が長く、丁寧な解説にも定評がある中川七段と、長年「東の渡辺魔王、西の山崎王子」と呼ばれながら、実績では大きく水をあけられた山崎七段という穴馬券が的中という展開に。
終盤までもつれる難解なねじりあいを制したのは、準決勝で最大のライバル渡辺竜王を下していた山崎七段。28歳にして、ついに初のタイトル挑戦権を獲得しました。
山崎七段の強みは、対△8五飛横歩取り対策の決定版と言われた新山崎流といった序盤における鋭敏な嗅覚。長年関西の若手で一強状態だったのが仇となったか、実力に対して活躍度が低すぎると言わざるを得ない状況が続き、谷川九段からも公の場で叱咤(さすがに面と向かってではないですが)されることもままありましたが、ここで棋聖戦挑戦者決定戦まで登り詰めた稲葉四段といったニュータイプが次々と登場するに至り、ついに本気を出してきた、といったところでしょうか。
やっとつかんだタイトル挑戦権ですが、相手は羽生王座。
とはいえ、このチャンスを逃せば、はるか先を行く渡辺竜王はおろか、関西が誇る次世代の若手にあっという間に飲み込まれるのは必定。本人は重々承知のことでしょうが、初めてにして正念場の五番勝負と言えます。

今回はこんなところで。
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by mitsuboshi03 | 2009-07-31 20:47 | 将棋 | Comments(2)
3週間ほどブログをお休みしました。
それもこれも仕事と戦国ランスで忙しかったせいですが、
本当に仕事で忙しかったんですか
のつっこみが来る前にとっとと本題に入ります。
…忙しかったんだよ。
今も忙しいんだよ。
ほんとだよ(屍)

既に羽生名人の防衛で幕を閉じた名人戦七番勝負ですが、第7局のフルセットまでもつれこむ激戦になったのは、負けた郷田九段の出来も素晴らしかったから。
というわけで、今回は郷田九段が連勝した第4、5局を「かんたんに」振り返ることにします。
…しかし、ブログの記事だっつーのに、参考にしているのが月刊誌の『将棋世界』というのは自分でもどうかと思います。遅すぎ。

b0017164_15465597.jpg高野山の金剛峯寺で行われた第4局は、先手の羽生名人が▲3六銀と歩越し銀に出る趣向に出たのに対し、後手の郷田九段が△7五歩で「▲7六歩は封じました。羽生さんの角筋は通させません。」、図の△3三桂で「▲2五銀と棒銀で攻めるのも許しません。」と目一杯わがままを通そうとしたのがこの局面。
対局後、羽生名人はここで指した▲4六歩を悔やんでいたようで、代わりに▲6六歩、もしくは▲4六歩△4二銀のところで▲4七銀と指していればまずまずの展開だったようです。
この▲3六銀と歩越し銀に出る戦法は、▲2五銀からの棒銀の攻めを見せておいて▲4六歩~▲4七銀とゆっくりした展開に持ち込むのが本筋であり、そういうマニアックなところが羽生名人ならずともプロに愛される戦法といえます。ところが本局では、羽生名人がもっと郷田九段に手を指させて形を決めさせてから▲4七銀を指そうとしたのに対し、郷田九段が3三にいる桂馬の頭を守ろうとせずにさっさと銀を進出させて攻勢に出る構想が勝り、3六の銀が取り残される羽目に。その後羽生名人も粘りを見せたのですが、この局面でのリードを郷田九段が最後まで守りきり、2勝2敗のタイに持ち込みました。
ちなみに、この第4局まで、すべて後手番の勝利。
相手の先手番をいかにブレークし、自分の先手番をいかにキープするかに汲々とする最近のタイトル戦の傾向からすればありえない展開。

b0017164_16233957.jpg続いて将棋のタイトル戦の開催は25年ぶりという秋田県で行われた第5局。地元出身の元プロ野球選手で将棋通として知られる石井浩郎氏も観戦に訪れていたそーです。
近鉄や巨人で活躍した名選手。ずいぶん懐かしい名前になっちまったもんだな。
横歩取りの展開から、後手の羽生名人が飛車先の歩を交換した手に対し、先手の郷田九段がこの図の通り▲8七歩と角の頭を守る一歩をけちって▲5八玉としたのが「今日は力勝負でいきますよ」と手袋を投げつける風雲急を告げる一手。
私レベルの将棋ならともかく、このトップレベルの将棋で序盤での無条件の一歩得が許されるはずもなく、△8四飛と2筋への飛車回りを見せて▲2六飛の受けを強要しておいてから△8八角成と大決戦に突入して後手が良い、というのが今までの定跡。

b0017164_16335156.jpgただ今絶賛大決戦中(爆)
この局面の直前に羽生名人が2七に飛車を打ったところで、つい2八に歩を打ちそうなところ。
ところが歩を打った場所は2三。
実はこれが絶妙手で、羽生名人は飛車を打ったからには当然△2九飛成といきたいところなのですが、次の▲2二歩成が厳しく、これを喰らっては立ち直るのは絶望的。

羽生名人はここで長考。
一日目の区切りとなる封じ手時刻が迫る。
いつもなら淡々と封じるはずの羽生名人が動かない。
いや、動けないのか。
実際に封じたのは、定刻の午後6時半を1時間近く超過した午後7時26分。
やはりこの一手、相当厳しかったようです。
この後郷田九段に疑問手が出て差が詰まり、一時は千日手成立直前まで追い上げを見せた羽生名人でしたが、辛くもこのリードを守りきった郷田九段が3勝2敗と名人獲得に王手をかけました。

今回はここまで。
次回は、ここから羽生名人がどうやって逆境を挽回したかのお話を。
(だいなしや)
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by mitsuboshi03 | 2009-07-04 16:49 | 将棋 | Comments(1)

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