カテゴリ:将棋( 263 )

昨日はBS2で観戦三昧でした。
0時30分からの最後の中継を途中まで見逃してましたが(号泣)
一番いいとこだったのに・・・。
棋譜が有料サイトに掲載される毎日新聞が主催なので、図面なしのあっさり味でいきます。

○三浦八段vs×高橋九段
後手の高橋九段が横歩取りに誘導。
手数のかからない戦法なこともあってか22時19分と最も早い終局に。
この戦法は最近高橋九段もよく使っているが、三浦八段とはこの戦法の知識に差があったようだ。終始歩の枚数の少なさに苦しみ、いいところを見せられず。
これで三浦八段はA級残留確定。7戦目終了時点では降級やむなしかの情勢だったが、連勝しての残留は見事。高橋九段は今日最初の会場入りで気合を入れた策も実らず1勝のみでA級を後にすることに。

○久保八段vs×丸山九段
先手の久保八段がゴキゲン中飛車と和服(笑)を採用。銀色に輝く和服はよく似合ってた。
駒を捌きに出る久保八段と押さえ込もうとする丸山九段とのねじり合いになったが、進境著しい久保八段が絶妙の捌き方で丸山九段の押さえ込みをふりほどいて0時2分に勝利。
久保八段は3敗キープで数少ない名人挑戦の可能性に賭ける。丸山九段は7戦目まではわずかに名人挑戦の目もあったが、その後の連敗で負け越しで今季を終えることに。

○鈴木八段vs×谷川九段
先手の鈴木(大)八段が早石田(急戦三間飛車戦法の一つ)に出たが、香車を失なっていつも通りに序盤は不利に。そこからなんとかかんとか谷川九段の捌きを必死に封じているうちに、じれた谷川九段が疑問手を指す。以後は奪ったリードをぎりぎり保ったまま0時15分に勝利確定。鈴木(大)八段の勝ちパターンがこの土壇場で炸裂した。
鈴木(大)八段は4勝目を上げたが、A級残留は深浦vs羽生戦の結果待ち。谷川九段は順位が上だったため助かったものの、勝ち星は鈴木八段と同じ4勝のみ。不調の今季を象徴する結果となってしまった。

×深浦八段vs○羽生四冠
先手深浦八段の相がかり早繰り銀戦法で始まったこの将棋は、お互いに銀冠に組み合う超持久戦となり、一時は千日手もささやかれたが、羽生が思わぬところから局面の打開に成功。打開してからは一方的な羽生ペースとなり、深浦も0時23分まで粘る執念を見せたもののあえなく投了。
これで確率上では一番可能性が低かった深浦八段が降級することになってしまった。不運とはいえ、順位が悪い中ラス前から連敗するようでは降級もやむを得なかったかもしれない。
一方の羽生四冠はこれで7勝2敗となり、森内名人への挑戦権を確保。プレーオフになるかどうか、藤井vs佐藤戦の結果を待ちながら感想戦に入った。

×藤井九段vs○佐藤棋聖
後手の佐藤(康)棋聖が「藤井システムシフト(仮称)」を組む工夫を見せ、居飛車穴熊を目指す。一方藤井九段はそうはさせじと伝家の宝刀、藤井システムをこの大一番で採用し、居飛車穴熊に組もうとする隙を突いて断固仕掛ける。
この日屈指の名局となった本局は、この日最後まで激闘が続く大熱戦となる。
両者1分将棋が続く終盤戦。ここで間違えなければ藤井九段の勝ちだったのだが、最後の最後で玉の逃げ方を誤り、佐藤(康)棋聖の勝利。終了時刻は1時10分。
最後まで握っていたはずのプレーオフがするりと逃げていった藤井九段の悲しみはいかばかりか。無念の敗戦。一方の佐藤(康)棋聖は、前半戦を1勝3敗で終えたのが悔やまれるが、最後に帳尻を合わせてA級入りしてからの勝ち越し記録を継続することに。

というわけで、名人挑戦はすんなり羽生四冠に。
降級は深浦九段と、既に決まっていた高橋九段に決定。
もつれるかと思われた名人挑戦争いだが、下半期爆勝を続ける羽生四冠にあっさり決まった。タイトル戦が続く中でも、直近の成績が20勝2敗というバケモノペースを続ける羽生四冠。また七冠へ駆け上がる可能性も出てきた。

国会中継や再放送番組に苦しめられながらも、ロングラン中継は楽しかった。
この4月からBS1が完全にニュースチャンネルになるあおりを受け、BS2の番組が減るという恐ろしい改悪が待っている(BSマンガ夜話も危ないらしい)のだが、この年中行事はなんとしても続けて欲しいところだ

※三段リーグの結果を書き忘れたので追記。
広瀬(18歳)、長岡(19歳)が新四段に。新四段が2人とも10代というのはちと珍しい。
2回達成するとフリークラス(順位戦C2の下)入りが出来る次点は伊藤(真)三段(23歳)に。
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by mitsuboshi03 | 2005-03-05 20:01 | 将棋 | Comments(0)
順位戦。
本来は名人戦の予選なのだが、大半の棋士は自らの生活を守るために汲々とあがき続ける場でしかない。ほんの一握りのニュータイプ達だけが、名人位への挑戦権を賭けた戦いを許される。
A級順位戦。
大半の棋士がこの舞台に立つことを夢見ては、夢破れて棋士生活に別れを告げる。
この舞台に立てるニュータイプはたったの10人。
明日は、名人挑戦を、あるいはこの大舞台に残る権利を賭けての最後の戦い。
みすみす見過ごす手は無い。

というわけで、明日3月4日はA級順位戦の最終局が行われます。
BS2での生中継。
放映時刻は10時~11時・16時(午前の部は国会中継のため中止)17時~18時・20時~22時半・24時半~25時半の予定。
解説は渡辺明竜王・森下卓九段。


ここで順位戦の説明を軽く。
プロ棋士になると、C級2組(以下C2)へ編入されます(一部例外ありますが説明は省きます)
10戦程度のリーグ戦を戦い(B2までは対戦相手は抽選、B1とA級は総当り)上位2名(C2→C1のみ3名)がC2→C1→B2→B1→Aと1クラスずつ昇級し、A級では名人挑戦を賭けた争いとなります。
A級順位戦は総当りのリーグ戦で行われます。
成績トップは名人位に挑戦。下位2名はB1上位2名と入れ替わりとなります。
ここまでの結果はこちらに。

状況を整理します。
名人位の挑戦権を最終局に賭けるのはこの2名。

羽生四冠 6勝2敗 順位 1位 最終局 vs深浦八段
藤井九段 6勝2敗 順位 7位 最終局 vs佐藤棋聖

あっという間に王将、棋王の二冠を奪取した羽生四冠
四冠取ってもこの人だとようやく元に戻っただけなように見えるところがこの人の恐ろしいところです。他の棋士なら年末の10大ニューストップ確定なのですが(爆)
ダブルタイトルマッチは王将戦の途中まで取り上げていたのだが、その後の羽生四冠の勝ち方があまりに圧倒的だったんで取り上げる気が失せました(爆)羽生四冠ごめんなさい(汗)
当然名人挑戦の最右翼なのだが、最終戦の相手は朝日オープンでも決勝に勝ち残っている難敵深浦八段。深浦八段には後で述べますが負けられない深刻な事情あり。さてすんなりいきますか。以外と順位戦は勝っていない印象があるのも気になります。
藤井九段は竜王位を三期獲得するなど一世を風靡した革新的な四間飛車「藤井システム」の使い手。といっても最近はほとんど使っていないようですが(苦笑)タイトル戦は最近ごぶさたなだけに、ここらで久々に一旗上げたいところ。最終局の相手は棋界屈指のハードパンチャー、佐藤棋聖。
ちなみに、両者勝ち、または両者負け、の場合は勝ち数で並ぶことになり、名人位挑戦のときだけの例外事項が適用されて1番勝負のプレーオフが行われます。
極めて当てにならない私の予想ですが、両者負けてのプレーオフだけはなさそう。仮にこうなった場合、どちらが挑戦者になったとしても勢いがつかないので、恐らく森内名人が防衛するのではないかと。個人的には、やはり両者勝ってのプレーオフを希望します。

※訂正します。
羽生四冠、藤井九段両者負けの場合、久保八段(5勝3敗、順位8位)が勝てば共に6勝3敗で3者プレーオフとなります。もしこうなった場合は規定により、
①久保八段vs藤井九段の1番勝負
②①の勝者vs羽生四冠の1番勝負
を行い、②の勝者が名人挑戦者となります。
ご、ごめんなさい・・・。

さて、通はむしろこちらに注目する、地獄の降級争いはこのようになっとります。

高橋九段 1勝7敗 順位10位 最終局 vs三浦八段<降級決定済>
-----------------------------------------------------------------------
鈴木八段 3勝5敗 順位 6位 最終局 vs谷川九段
三浦八段 3勝5敗 順位 5位 最終局 vs高橋九段
深浦八段 4勝4敗 順位 9位 最終局 vs羽生四冠

今年はなんとまだ44歳にしてA級最年長者となってしまった高橋九段が、残念ながら昨年復帰したばかりのA級の座を守れず陥落決定。とはいえ、「タダでは死なん!」とラス前のvs鈴木八段戦で初勝利を上げ、「いっしょに幸せになろうよぉ」(爆)と鈴木(大)八段を道連れにする格好に。
残り1枠は大混戦。一番首筋が冷たいのは鈴木(大)八段で、最終局に負ければ降級確定。たとえ勝っても、三浦八段と深浦八段が共に勝てばやはり降級確定という苦しい立場に追いこまれてます。最終局の相手は関西の雄、谷川九段。
同じ3勝5敗で並ぶ三浦八段ですが、順位が鈴木(大)八段より1枚上なのが大きく、勝てば無条件で残留決定。ただ、負けると鈴木(大)八段の負けを祈らなければならなくなります。最終局の相手は降級も決まってもはや怖いものなしの高橋九段。
深浦八段は、勝てば自力で残留決定、負けても鈴木(大)八段か三浦八段のどちらかが負ければ残留が決定する一番楽な立場。ただし、最終局の相手は七冠時代の勢いが戻りつつある天下御免の羽生四冠
こういう状況だと、棋士はこんな風な考え方をするようです。
一番つらい立場なのは鈴木(大)八段ですが、勝てばほぼ残留が決まるので腹はくくりやすい。三浦八段と深浦八段が共に勝つことは全く考えていないと思います。そこまで敗北主義的な考え方をする人はそもそも棋士になれません(核爆)
三浦八段も鈴木(大)八段が負ければ残留が決まりますが、他人を当てにすると地獄を見るハメに陥るのが勝負の世界の鉄則。自分が勝つことしか頭に無いでしょう。
むしろ、一番楽な立場なはずの深浦八段の方が平静を保つのが難しいかも。自分が負けても候補の2人が片方でも負ければ残留、となるとどうしても他人を当てにしがちになるみたいですし、自力で勝つしかないと思おうにも相手はよりにもよって天下御免の羽生四冠。朝日オープンで決勝に進出している勢いをここでも見せられるでしょうか。
極めて当てにならない予想をまたさせてもらいますと、深浦八段にはいくら朝日オープンでの好成績があるとはいえ、今の羽生四冠とは勢いの差がありすぎる感あり。降級が既に決まっているので、順位のこととか生活のこととかよけいなことをすべてうっちゃってただ将棋のことだけ考えていればいい高橋九段を相手にしなければならない三浦八段もしんどそう。力戦派の鈴木(大)八段こそこういう土壇場で「火事場のクソ力」を発揮しそうな気がします。とすると、三浦八段が高橋九段と手に手を取って仲良く降級(我ながらなんて表現だorz)なことになりますが、さてどうなるか。

さて、名人挑戦や降級に絡まない棋士はのほほんと指していればよいのか。
甘い。甘過ぎます。
降級争いの表をもう一度ご覧下さい。
鈴木(大)八段と三浦八段の差はわずか順位1枚のみ。
だが、そのわずか順位1枚の差が生死を分けているわけです。
今年の順位は、前年の成績順に並べられてます。
ということは、今年頑張っておけば、来年得をすることもあるわけです。
名人挑戦の場合も、2人の星が同じならすんなりプレーオフですが、3人以上星が同じになった場合は、
<順位が一番下vsブービーが1番勝負>
→<勝者が順位上位者と1番勝負>
→<すべて勝ち抜いたら名人挑戦>
という流れになりますので、やはり順位が上のほうが有利です。
また、制度上では差がありませんが、A級5位までと、6位より下との間には目に見えない線があるようで、「A級の上」「A級の並」くらいの格付けをされるようです。
将棋界は以外と信用と格付けがものを言う世界で、同じような局面でも、
「こいつは強いからこの後は間違えないわ。あきらめよう
「ああ、こいつなら粘っていればなんとかなるから、もう少し頑張ろう
となることもままあるため、自分の格付けにはとことんこだわります
この辺のことを頭に入れながら中継を見ていると、より面白くなるのではないかと思います。

持ち時間が6時間と長丁場の対局になりますので、ゲームやネットをやりながらテレビを見ているといい按配かもしれません。
見られる環境の方は、ぜひ。
なお、より現場に近い感覚で見たいという方なら、東京・大阪・名古屋で行われる大盤解説がよろしいかと。特に東京や大阪の会場は、対局場と同じ将棋会館で行われますので、より臨場感が増すのではと。
詳しい情報は、こちらの将棋連盟HP内にある「大盤解説会 東京・大阪・名古屋」の部分をそのままクリックすると出てきますよ。

と書きながらふと将棋連盟HPを覗いて見ると、
しまったー、今日はプロ棋士昇格を決める三段リーグの最終戦だったー!
今年は例年になく10代の候補者が多いようですが、さて結果はどうなるか。
A級順位戦のレビューと共にお送りする予定です。
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by mitsuboshi03 | 2005-03-03 15:22 | 将棋 | Comments(2)
今日は久々にアフタヌーンで『しおんの王』を読む。
最近いらん付録があるんで買いづらいったらありゃしない(苦笑)
ほぉー、優勝賞金5000万の女流棋士・アマチュア込みの棋戦ですか。そりゃ剛毅な。
…と書いても、他の棋戦がどうなってるのか判らなければ比較の仕様が無い。
てなわけで、とりあえず現状のタイトル戦がどうなってるかを備忘録がわりに。

その前にちょこっとだけ棋戦のシステムについて。
棋戦は普通新聞社やテレビ局が主催し、棋譜などを独占的に自社で扱う(新聞の将棋欄や将棋番組のことね)かわりに、将棋連盟に一定のお金を支払う(ざっと年数億円くらい、らしい)。これが将棋連盟の大きな収入源となり、連盟の運営費や棋士への賞金や給料(あるのだよ、実は)に充てる。
棋戦によって予選や本選のやり方は大きく違うが、1年で完結するのはどこも同じ。
ちなみに、一般棋戦とタイトル戦の大きな違いは、タイトルマッチがあること。
一般棋戦なら優勝者が出てそれで終わりだが、タイトル戦は挑戦者とタイトル保持者が番勝負を戦うことになる。あとはお金を出すか出さないかくらいかな(爆)
7つあるタイトルの中でも、タイトルの格もさることながら、予選が棋士のランクを大きく左右することもあり、竜王戦と名人戦は別格として2大タイトルと呼ぶ。詳しくは個別に。

竜王戦

主催 読売新聞 
女流棋士枠2名 アマチュア枠4名
ランキング戦(予選) 持ち時間5時間(残留決定戦は3時間)
七番勝負 10~12月ころ 持ち時間8時間 2日制


元は九段戦から十段戦と続く歴史のある棋戦。これをあのナベツネがトップタイトル戦へと格上げするべくテコ入れを敢行し、竜王戦として生まれ変わった。七番勝負は秋冬にかけての将棋界のビッグイベントとしてすっかり定着した。優勝賞金、賞金総額ともに全棋戦中トップ。他の棋戦だと棋士のランクによって対局料や賞金が違うのだが(非公開)、この棋戦なら本選入りすればたとえアマチュアでも賞金はみんなと同じ。竜王になれば賞金3200万、対局料や本選の勝利分も含めれば5000万は下らない
てなわけで、特に若手棋士が目の色を変えて挑むこの棋戦。竜王戦になってからは、波に乗った若手棋士がそのまま番勝負まで上り詰めるパターンが多い。このパターンでタイトルを獲ったのは羽生と佐藤康と藤井。タイトルこそ奪えなかったが金髪で名を売った真田や力戦振り飛車の鈴木大、それに関西棋士の名を上げた困難阿部もこのパターンに入る。ちなみに、羽生の初タイトルはたしかこれ。
予選となるランキング戦は、全参加者を1~6組に分けたトーナメント戦。単なる予選ではなく、棋士のランク付けを決める重要な戦いとなる。トーナメント戦のため、特に初戦が重要。勝てば竜王挑戦または昇級のビッグチャンス。落とすとクラス残留を気にしながら戦うハメになる。
あ、そうそう。アマチュア枠はアマチュア竜王戦の上位入賞者から選ばれる(推薦枠もあったような…)。
力自慢はアマチュア竜王戦に参加してみては?

名人戦

主催 毎日新聞
順位戦(予選) 持ち時間6時間
七番勝負 4~7月ころ 持ち時間9時間 2日制


江戸時代の世襲名人位から連綿と続く歴史の重みをひしひしと感じる棋戦。トップタイトルの座こそ竜王戦に譲ったものの、名人の重みはいまだにゆらぐことはない。七番勝負は春から初夏にかけての風物詩。
ちなみに棋士ランクのトップは、名人と竜王で棋士番号(棋士になった順に連番でつく番号のこと)の少ない方になる。今だと森内名人(棋士番号183)、渡辺竜王(棋士番号235)の順。
予選となる順位戦は、棋士のランク付けに大きく関わる大一番。一番一番が棋士生活に直結するだけに、目を血走らせながらの真剣勝負となる。特に山場を迎える冬場は、昇級争いだけでなくクラス残留を懸けた深刻な戦いが繰り広げられる。
たとえ最下級のクラスからでもタイトル挑戦が可能な竜王戦とは異なり、C2→C1→B2→B1→Aと最後のA級まで上がらないと名人位には挑戦できない。勢いだけではなく、長い間高成績を上げられるだけの実力が必要。ちなみに、名人挑戦者を決めるA級への昇級は、それだけでも棋士のステータスシンボル。以前より威光は薄れたものの、「A級八段」はいまだに棋士の憧れの的。

え~、今や恒例となりましたが、3月4日に行われるA級順位戦の最終局を、BS1が追っかけることになっとります。お暇なかたはぜひ。
ニュータイプの修羅場が見れるぜ!

王将戦

主催 スポニチ、毎日新聞
予選 持ち時間3時間
王将リーグ 持ち時間4時間
七番勝負 1~3月ころ 持ち時間8時間 2日制


1950年に設立後、名人、竜王(九段、十段)、王将という三冠時代を築いたタイトル戦。主催がスポーツ紙なため、他のタイトル戦に比べどうしても賞金額で引けをとる分注目度が落ちてきているが、歴史的な事件の多いタイトル戦としての価値は高い。
七番勝負は真冬のビッグイベント。棋王戦の五番勝負と重なるため、年によっては同じ対局者同士のダブルタイトルマッチが実現することも。以前は3連敗または1勝4敗となると香落ちを指さなければならないという過酷な制度があった。ちなみに、名人に香を落としたのは「ヒゲの名人」升田実力制第四代名人ただ一人
予選を突破した2名と、前年度残留した4名がリーグ戦を戦い、そのトップがタイトルに挑戦する。以前は特に低段者にとって厳しい予選として有名で、リーグ入りしようものならそれだけでニュースになったくらいである。最近はやや条件が緩和されたが、それでも若手棋士にとってリーグ入りは大きな夢である。

これだけ書くだけでも以外と時間がかかる(汗)
続きは次回に。
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by mitsuboshi03 | 2005-03-02 22:32 | 将棋 | Comments(2)
将棋界最大のノンタイトルマッチな朝日オープン。
いよいよベスト8が出揃ったこともあり、今日の朝日朝刊には今後の展望記事が載ってました。それを踏まえた上で、今回はベスト8に生き残った勇者たちの紹介と今後の展望についていつも通りジコチューにカキコします。
なお、トーナメント表については、こちらの公式HPをご覧下さい。
※ちゃんと更新されてませんけどorzたのむぜasahi.comの中の人(涙)

山崎六段 vs 佐藤棋聖

山崎六段は新人王戦を2度制し、「東の渡辺(新竜王)、西の山崎」と評される関西若手のスーパーエース。朝日オープンとは相性が良く、昨年も挑戦者決定戦へ進出している。そのときは羽生二冠に敗れ名を上げられず。最大のライバルがビッグタイトルを獲得しただけに、本人にも期するものがあるだろう。最近の若手らしく最新の定跡に明るいが、研究だけで勝っていると見られるのは癪だ、と思っているのは渡辺竜王とよく似ている(笑)渡辺竜王と2人で隔月連載中な近代将棋の講座も好評。
佐藤棋聖はこないだのNHK杯戦でも書いた通り、羽生世代屈指のハードパンチャー。彼の強打をまともに食らえば命はない。個人的には、挑戦権争いの最右翼
佐藤棋聖という大きな壁を山崎六段が崩せるか。佐藤棋聖としても、伸び盛りな下の世代は徹底的に叩いておきたいところ。

谷川棋王 vs 近藤五段

谷川棋王は最年少名人位獲得記録を持つなど数々の栄光を誇る関西棋界の雄。10年前の阪神・淡路大震災に被災した直後の王将戦で、羽生の七冠を一度阻止したエピソードでも知られる。羽生はこの後六冠すべて防衛して七冠を達成したのだが(汗)今日から始まった羽生二冠との棋王防衛戦も無論重要だが、守ってばかりいるのも癪だろう。すんなり挑戦権を獲得して、反撃に出たい。挑戦権争いの対抗に推します
えと、棋王戦第1局については、後日改めてカキコしますんで、こちらもよろしく。
近藤五段は伝家の宝刀ゴキゲン中飛車を武器に今年度絶好調。この調子を維持すれば前人未到の年間勝率9割を達成しかねない勢いだ。
※普通の年だと、年間勝率8割を達成すれば勝率一位は堅いです。
とはいえ、その勝ち星の大半は予選でのもの。タイトルや棋戦優勝につながらなければ何にもならない。この2月3月にかけては、今後を占う上でも重要な2ヶ月となるだろう。挑戦権争いで大穴を開けるならこいつだ
こちらも大豪谷川に新鋭近藤が挑むという構図。序中盤では隙の少ない谷川が優位に立つと思われる。近藤五段はいつものように得意の終盤で巻き返したいところだが、相手は光速の寄せの使い手。近藤五段が、これまでの勢いの良さを発揮できるか。

深浦八段 vs 鈴木八段

深浦八段、というよりはここでは前朝日、と言うべきか。揃いも揃って魑魅魍魎な奴ばかりの羽生世代の中、それでも棋戦優勝を重ねているのはさすが。1972年2月14日生まれに親近感を持つ人も多かろう・・・ってこの誕生日は男として1回損した気分になりそうなのだが(笑)生真面目な研究派。歩武の駒とかのサンデーの将棋マンガにも一枚かんでいる。羽生二冠とのリターンマッチを虎視眈々と狙っている。
鈴木八段は力戦派振り飛車の雄。序中盤で不利になるのはしょっちゅうだが、それを力技で乗り越えるプロレスでよくありそうなパターンが持ち味。最近流行りの相振り飛車の名手としても有名。
この準々決勝唯一の(ほぼ)同世代対決。今の順位戦のクラスでは鈴木八段が上だが、棋戦優勝歴と朝日オープンの相性では深浦八段が上回る。
技の深浦か、力の鈴木か
好勝負を期待。

宮田五段 vs 三浦八段

宮田五段は同門の渡辺竜王、松尾五段と所司門下スーパートリオを形成する若手実力派。棋戦優勝経験はないものの、終盤の強さは上位棋士をも震え上がらせる。詰め将棋を解くスピードは棋界でも指折りで、スーパーあつし君の異名を持つ。去年の末には体調を崩し、這ってでもやるはずの順位戦すら欠場するほどの病状だったが既に回復とのことで将棋ファンを安心させた。
今日の朝日では、

A級棋士に山崎・近藤らが挑む

「ら」扱いされただけに、本人としても期するものがあるだろう(爆)
三浦八段は、無名の五段時代に棋聖戦で羽生の七冠を阻止したことで一躍時の人に。タイトル獲得はそのときの一期のみだが、いまや順位戦ではすっかりA級の常連に。NHK杯も一度獲得している。生まれ育った群馬からいまだに通っているという数少ない地方在住棋士の一人。
三浦八段は終盤に入るまでにリードを奪い、先行逃げ切りを果たしたい。宮田五段は得意の終盤での叩き合いに持ちこめるか。
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by mitsuboshi03 | 2005-02-04 11:10 | 将棋 | Comments(2)
昨日の予告通り、王将戦第3局の話題を。
いつもより長いので覚悟して読んでね(てへっ)
デジカメを持っていかなかったよorz
なので、あいかわらず文章と図面だけですが勘弁してくだされ。
え~、全体の棋譜については、毎日新聞かスポニチを買うか、2chの王将戦板(ゲーム→囲碁・将棋)から検索してください(汗)
あと、記事については今日放映の囲碁・将棋ジャーナルの解説を参考にしております。

会場となったのは諏訪湖畔のホテル 浜の湯
近隣のぬのはん、紅やと3強を形成する諏訪湖畔ではトップクラスの宿。
今回は、創立60周年の記念で王将戦を招致したとのこと。

前夜祭から見に行こうという野望少しだけあったのだが、

入場料はっしぇんえんナリ

というディナーショー価格に敗北。
1日目には大盤解説がなかったため、渡辺「魔太郎」竜王じゃあるめえし、そんなに動きもあるめえとたかをくくってパソ観戦を決めこむ。

ところが、すでに一日目の時点でとんでもないことになっていようとは・・・。

だから、貴様は、あほなのじゃ~

す、すみません、師匠~(げふぅ)

戦型は、この王将戦中一貫して振り飛車を採用する先手の森内王将の誘導で、第1局同様の貴様が振るなら、俺も振る相振り飛車に進む。
b0017164_13282524.jpgまず図の▲7五歩欲張った手。狙いは後手の羽生二冠に相振り飛車現最強王者の囲いである矢倉に組ませないこと。前例もかなりある手ではあるが、このまままっとうに囲っては悪くなる後手もなんだてめ~と反撃してくるので勇気のいる一手。

この手はまだいいとして、この一局で森内王将はなんでも欲しがるマミちゃんのごとく欲張った手を連発する。

b0017164_13373477.jpg図の▲4六歩も欲張った手。次に▲4七金と指せれば矢倉に組めるのだが、後手もなめんなゴ゙ルァ(AA略)△3七歩成▲同銀△3六歩▲2六銀△6四歩と早くも出入りの支度完成。こうなってみると先手はいまだに玉もろくろく囲ってないツケが回りそうな格好に。一日目に森内王将が封じた▲2五銀(図面省略)も評判が悪かったが、ここまできたらいまさら後には引けなかったのかもしれない。

家の都合でちょい遅刻した私もこの辺で大盤解説の会場へ。
観客はおさーん連(笑)に若い子がぽちぽち、といったところ。
県外の人もかなりいました。
まあ、平日の真昼間だからしょうがあんめえ。
副立合人(将棋連盟側でタイトル戦の番勝負のサポートを行う人のこと。通常正副合わせて2名で担当する)の中田宏樹七段が解説役に。聞き手もなく一人でやっているのはなかなか話しを持たせるのも大変そう。
今回の王将戦7番勝負のような2日制の対局だと、2日目の午前中ってのはのんびりとお茶でも飲みながら解説役の雑談を楽しむ、というのも珍しくはないのですが、
この日はすでに確変入れ食い中(爆)
中田宏樹七段も手の解説でバタバタしているうちに午前の部終了、てな感じに。

b0017164_1357848.jpg図は午前中に指された▲5六歩の場面だが、ここで後手の羽生二冠が指した△3七歩成が好手。先手は▲同桂と指したいのだが、それには△4六銀と指して、飛車成りか金取り、どちらか受けてくださいよフフフ・・・となるので却下。先手は▲同金と取らざるを得ませんが、これで中央が薄くなった先手陣を、羽生二冠が△4四銀▲7四歩△5五歩と猛然と攻めたてます。この▲7四歩も森内王将の辛抱が足らない手だったようで、まだ▲4八玉と玉を囲っておくべきだったとのことでした。

この辺で昼食休憩。この日は対局者は二人とも天ぷらそばを注文。
大盤解説を見に来た私らは、別室に用意された弁当を食べる。
弁当なしも選べたのだが、浜の湯でメシを食べる機会もそうはあんめえと注文してみた。
中身は、焼き魚(キンメダイ?)・ぶり大根・刺身・かにの甲羅焼き・じゃこご飯・だし巻き卵・みそ汁・煮物・鳥の照り焼き・果物ってな感じ。
味は・・・コストパフォーマンスからすると微妙なところ(2300円ナリ)
周りからは、そば食いてぇの声あり。

午後になってからは、後手の羽生二冠の攻勢を見るばかり。
森内王将はいまだ居玉なのがつらい。

二時から正立合人の加藤一二三(ひふみ)九段登場。

大盤解説のスター登場(笑)

この人を語りだすとネタが多過ぎて話しが長くなるので、

神武以来の天才(18歳A級八段は不滅の大記録)
クリスチャン
大の甘党で大食い
鰻マンセー!
負けても負けても振り飛車には棒銀

くらいに抑えときます。
この日もひふみんトーク炸裂
なっがーい前置きから入りますが、
『加藤の勝つ次の一手』で勉強した私としては、
あの人の話しならどんな話しでも聞くぜ(爆)

持ちネタで一番笑えた話しとしては、
森内さんは今回の王将戦ではどうゆう訳か振り飛車しか指さない
なぜ矢倉にしないんですか

おそらく対局室まで聞こえるくらいの大声
気持ちは分かりますが(笑)

手の解説はほとんどなかったのですが、
盤面を見て皆意図を察する(涙)

この辺で次の一手クイズ(賞品つき)があったのだが、なにせ盤面が
危篤状態(核爆)
のため、手がどんどん進む。
加藤九段もころあいを見て問題を出そうとするのだが、
ノータイムで手が進むごとに

あぁーーー!

控え室までとどく悲鳴がとどろき叫ぶ(爆)
公式HPでもキッチリネタにされました(笑)
こんな状況なんで、問題はあっさりサービス問題に。
記念品として毎日新聞社内でまとめた王将戦の小冊子(非売品)をもらったよ(喜)

しかし、結構いるもんですね。
せっかくサイン色紙が当たった!のに
用紙に名前書いてないから却下とか(涙)

そうこうしているうちに、午後3時45分に72手で後手の羽生二冠勝利。
タイトル戦通じても歴史に残るくらいの早い終局に。
ある意味歴史的な対局に立ち合ったのは幸せだったかも。

この日森内王将は終始風邪ぎみ。
風邪ぎみだと将棋にどう悪いかというと
辛抱できない
のがつらいところ(経験談含む)
この第3局も、辛抱していればいつものような熱戦になったと思うのですが。
早く体調を戻して、また好局を指して欲しい。

これで今回の王将戦は羽生二冠の三連勝。
早くも三冠復帰へ王手。
しかし、この人は三冠復帰くらいだと
全然騒がれないってのが凄いところだとつくづく思う。
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by mitsuboshi03 | 2005-01-29 14:49 | 将棋 | Comments(2)
今回は、おのおのがた、戦いの準備は万全か(NHK杯戦 羽生vs橋本戦予告)の本編になります。あいかわらず手が遅くて済みません。
と、今回はいきなり本題に入ります。

さて、ある意味将棋自体より注目の的だった(爆)橋本四段のファッションですが、これがなんと、

黒いネクタイだったよ!(がーん)
それもキオスクで売ってそうなorz

なんかどっかから圧力でもか(ryな感じでしたが、
これでは全く意味がありません(核爆)
てゆうか、今回こんな配慮するのは前回の対松尾戦ですでに手遅れでありますから、橋本四段には最後まで貫いて欲しかったというのが偽らざる一ファンの声であります。
『近代将棋』2月号の記事で、

好きな色はピンク

という話しが出てましたので、

次はそれでお願いします(核爆)

さて肝心の将棋は、私の予告でも取り上げた先手番の橋本四段の十八番な振り飛車穴熊に、後手番の羽生二冠が堂々と居飛車穴熊で応じるというがっぷり四つの戦いに。
戦いを仕掛けるまでは互いにほぼノーミス。互いに駒がぶつかり、これからどう自らの駒を捌いていくのかと思った矢先、羽生二冠に好手が出ます。

b0017164_2210866.jpg図の▲3六歩がその一手。△同飛なら▲3七香で飛車が死ぬし、放置すれば▲3五香が厳しい。橋本四段も△4六歩と抵抗しますが、やはり▲3五香での橋本四段の飛車が窮屈になり、逆に羽生二冠の駒はのびのびと躍動。ここまでははっきり羽生優勢。


b0017164_22301622.jpgしかし、図の△7二金打に対して▲8二銀△同金▲6二竜△7二銀打▲7一金と安全策を取ったのはやや手ぬるかったよう。この日の解説役の藤井九段は▲6二竜△同金▲7一銀△7二金▲6二金と棋風通りガジガジ行くのを推奨しておりました。
橋本四段も見た目だけでここまでのしあがったわけじゃない。仕掛けて不利になっても自慢の粘りでひっくり返す。前回の対松尾戦でも見せた持ち味を存分に発揮し始めます。
ところが、粘りだったらこっちが専売特許だと羽生もここからはつけいる隙を与えず、手数は159手とかかりましたが逆転ならず羽生勝利に終わりました。

負けたとはいえ、四段で羽生二冠に挑戦できたのは快挙。
地上波で全国中継されたこともあり、2chでは10もの実況スレが立つ祭りっぷりとなりました(笑)
おそらく将棋界ではある意味空前絶後だと思います(爆)
橋本四段はこのイロモノ色のまま(さらに爆)さらに実力をつけて欲しいと思います。とりあえずは、タイトル戦のリーグ入りあたりが狙いでしょうか。

あー面白かった(笑)
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by mitsuboshi03 | 2005-01-26 21:55 | 将棋 | Comments(2)
君は覚えているか。
橋本四段のことを。

昨年対松尾五段戦でNHK杯戦デビューを果たすや、
そのあまりの風貌に(元資料はこちら)
2ちゃんを中心に祭りを引き起こした将棋界の風雲児だ。
もちろん当ブログでもこちらで取り上げている。
ここで勝利した橋本四段の対局が、いよいよ明後日公開されることとなった。
対戦相手は、泣く子も黙る羽生二冠
切り札の振り飛車穴熊は、将棋界のスーパーエースにも通用するのか。
あの奇抜なファッションにさらなるサプライズはあるのか(爆)

注目の一戦は1月23日(日)午前10時20分よりNHK教育にて完全中継
TVとビデオと2ちゃん実況板の準備は万全か(笑)
2ちゃん的には世紀の一戦を見逃すな

なお、私はその時間はこちらにお世話になった帰りと思われるが、
録画はしますんで(汗)記事は問題なく書けると思うので、そちらもよろしく。
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by mitsuboshi03 | 2005-01-21 22:09 | 将棋 | Comments(0)
はい、今年最初の将棋ネタでございます。
本当は棋王戦や王将戦の番勝負を先にやらなきゃならないとこですが・・・。
ま、おいおいやります。
ついでに書いときますと、王将戦第3局がウチのすぐそばでやるそうなんで、見に行きがてらレビューでも書いていこうかという野望を持っております。ま、期待せずお待ち下され(苦笑)

さて、今回の対戦はこの2名。
先手の久保八段は、昨年度のNHK杯優勝者にして現NHK将棋講座講師。
独特の感覚で捌く振り飛車にシビれる振り飛車党はあとをたたない。
タイトル挑戦経験もあり、順位戦でもA級に居座る実力者なだけに、もう一皮むければタイトルも見えてくるのだが。
後手の先崎八段は、以前にもこちら『浮いたり沈んだり』で取り上げた通り、棋界
屈指の文才の持ち主。将棋の実力も一流で、このNHK杯もすでに一度制している。

この日の解説は佐藤康光棋聖。
先崎八段とは長年の腐れ縁(爆)で、久保八段とは暇を見てはちょくちょくラウンドするゴルフ仲間。解説役としては適任かと。
いつもは指し手の解説に冴えを見せる棋聖も、この日は対局者がこの2人だったからか聞き手の千葉女流とブレーキのない暴走トークに終始(爆)
録画してなかったので、記憶に頼って書くだけでも、

棋聖「この2人は、ややそそっかしいところがありまして・・・」
千葉「それは生活面ですか?
棋聖「ははは・・・」

棋聖と千葉女流、原稿用紙2枚くらいで具体的に説明してください(核爆)

さて戦型の方は、先崎八段の方がすこし変化するかもと思っていたのだが、十八番の居飛車穴熊を選択。一方久保八段がどうしたかは、下の図1をご覧下さい。

b0017164_18242210.jpg(←図1)
少しばかり将棋をかじった方には、一見先手は王様もろくに囲わないで何してんだと見えるかもしれませんが、これは元竜王の藤井九段草案の藤井システムという立派な戦法の一つ。居飛車穴熊に組もうとする敵に王様ほっといていきなり敵を殴りにいくという大変漢らしい戦法で、居飛車穴熊にこっぴどく泣かされ続けた振り飛車党にとって福音となった戦法だったりします。

王様を囲わないのも実は理にかなっていて
この戦法は右側が主戦場なので、いつものように右側へ囲うのは銃弾飛び交う戦場に生身で飛びこむようなものゆえ却下
また飛車がいる左側に囲うのは玉飛車接近すべからずテストに出る大原則(違)に触れるためこれも却下
ならいっそのこと囲わないでとっとと攻めようぜと考えたあなた、正解です
んで、一度藤井システムでいくと決めたからには、居飛車側の玉が穴熊にもぐる前に殴りにいくのがセオリーなのですが、下の図2では・・・、

b0017164_18553514.jpg(←図2)
完璧に穴熊に囲ってますが、何か?(爆)
これでは藤井システム大失敗。先手も必死に抵抗しますが、後手は狙いの△4二角から△2四歩で桂得に成功。あとは△4四歩から△4五歩ゆっくり攻めるのが間に合ってはしゃれにならないので、先手も先に手を出しますが、後手にうまく対応され、そこで得した歩を△1七歩と端攻めに使われては先手大苦戦。

b0017164_19183387.jpg(←図3)
ここで先手はなりふりかまわず▲2七玉王様自ら火消しに走ります。ここで後手は的が自分からやってきたわい△3三桂でさらに端攻めを強化します。
今のように穴熊囲いの桂馬を跳ねるのをパンツを脱ぐと呼んでます(本当)
感覚としては禁断の秘技(爆)これが決めてになればいいんですが、決まらないと囲いが一気に弱体化するだけに終わります。

そういや後手の先崎八段は、そもそも序盤中盤で少々不利になったのを腕力でひっくり返すのが持ち味。ヘタに序盤でリードすると・・・。

逆転の予感がひしひしと(苦笑)

b0017164_19334616.jpg(←図4)
図4の▲1三歩でそんな不安がはっきり現実に。
どう対応するか悩ましい、いかにも振り飛車党らしい垂らしの歩です。
ここで後手が△6六桂と打ったのが、対局直後に後手の先崎八段が、
「かっこ良過ぎたか・・・」とうめいた通りの悪手だったようで、この後は後手が坂道を転げ落ちていくばかり。先手の久保八段が逆転勝ちをおさめました。

こういう対局を見ていると、居飛車党の私としては、
またなんとなく振り飛車にだまされたよ・・・orz
と言いたくなります(体験談)
こう書くと、振り飛車党がアコギに聞こえますが、
だまされる方が悪いんです(血涙)

さて対局後、妙にニコニコしながら感想戦に加わった解説の佐藤棋聖。
そういえば、ガッデム!(NHK杯 佐藤(康)-中井女流戦)のときは立場が逆でした。
このとき佐藤棋聖は冷や汗だらだら流しながら一応勝ちました。
今回は・・・佐藤棋聖は満面の笑みをたたえてました(ぉ
ま、長年の腐れ縁ですから、いいでしょう(待て)
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by mitsuboshi03 | 2005-01-18 17:41 | 将棋 | Comments(2)
さすがに今年のうちにはやっとこう、というわけで、
いまさらではありますが竜王戦第7局の模様を。

いつものように全体の棋譜はこちらをご覧下さい。

第7局の会場は、地震の爪痕がいまだ残る新潟は南魚沼郡にある『龍言』。
結果はともかくとして、今回この地でタイトル戦を戦うことができたのは良かったのではないでしょうか。将棋界からのささやかなプレゼントといったところです。

運命の振り駒は、森内竜王の先手。
となれば、戦型はこの7番勝負ではすっかりおなじみの△8五飛型横歩取り、またの名を中座飛車で決まり。
前にやりましたかんたん講座を見返しながらご覧あれ。

今回は31手目まで第2局といっしょ。
第2局で渡辺六段は△5四歩とここ五年ほど指されていなかった手を指しましたが、本人がみんなやらない理由がよおくわかった(一部誇張有り)と語った通り高い授業料を払う結果に
今回は無難に△7五歩。以下55手目の▲6六歩まで前例の通りに進みます。・・・前例を知っていないと冷や汗が出る展開ですが(笑)
56手目の△8八歩から封じ手の▲8八同銀を挟んでの△3六歩が渡辺六段今回の目玉。△8八歩▲同銀と先手の左にある銀を8八へおびき出すことによって、先手の玉の逃げ道をふさいでいるのが後手のメリット。この銀は壁銀と言って、一般的に悪い形とされています。ただ、先手にも貴重な一歩を渡すことになるので、どっちが得かは微妙なところ。ちなみに、渡辺六段のお話では単に△3六歩とするのは後手良くないとのことです。
ここから後手は、1九に閉じ込められていた馬が1八への脱出に成功。また2五にあった歩をぐんぐん伸ばしてと金も作り、着実に先手玉に迫ります。一方、動きが窮屈になっていた飛車を叩き切った先手も、後手に攻めを催促されながらも8八に動かされた銀を手順に活用しようとしますが、77手目の▲8六銀とさらに銀を活用した手がよくなかったよう。同じ手のようでも▲6六銀と中央に睨みを効かせる方がよかったようです。以下、後手が88手目に指した△1七馬と自陣に馬筋を利かす地味な好手で先手の攻めが頓挫し、さらにはさきほど出来たと金が先手の3八の銀と4九の金を奪う展開になってしまっては勝負あり。竜王位は渡辺六段の手にわたることになりました。

羽生世代が下の世代にタイトルを明け渡すのは初めてのこと。
また、渡辺六段の20歳8ヶ月のタイトル奪取は屋敷棋聖、羽生竜王(いずれも当時)に続く史上3位の快挙です。奇しくも、羽生が初めてのタイトルである竜王位を奪ったのは、渡辺竜王誕生のちょうど15年と1日前、1989年12月27日のことでした。
そのときは8戦目までもつれる大熱戦となりましたが、今回も、もし第7局が引き分けとなった場合は、1月3、4日に第8局を行うという、通常ではありえない日程が予定されておりました。

今回のタイトル戦は、森内前竜王が第1戦と第5戦で力戦型に持ちこもうとした以外は、互いの研究のどちらが勝るか、という展開になりました。そのためどちらかというと、終盤までのねじりあい、というよりは、序中盤にかけてどちらがポイントを奪って逃げ切る、というような将棋が多かったです。どきどきわくわく感には欠けますが、1日目から目の離せない緊張感ある7番勝負になったと思います。特に横歩取りになったときは、1日目で決着がついたらどうしようとか本気で考えそうになることもありましたね(笑)これは渡辺新竜王の前からの作戦だったようです。

ともあれ、この7番勝負が新時代の幕開けになるのは、ほぼ確実でしょう。
渡辺新竜王には、次の竜王戦の前に、何か一つはタイトル戦に挑戦して欲しいですね。
あと、渡辺新竜王の同世代の棋士たち(例えば山崎六段など)には今回の7番勝負が刺激になったはず。遅れをとらずに、がんがん羽生世代に挑戦して下さい。

ああ、あっという間に新年になってしまった。
二年越しの記事になって格好が悪いですが、今年もよろしくお願いします。
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by mitsuboshi03 | 2005-01-01 00:44 | 将棋 | Comments(2)
えー、今回のお題は、こちらの方からリクエストのありました『かんたん△8五飛型横歩取り講座』でございます。
なお、この『かんたん△8五飛型横歩取り講座』の「かんたん」は、「サルでも判る」という意味ではなく、私が書くのがとっても、簡単という意味ですので(爆)

以前竜王戦第2局を書いたときに、こんなのとか、こんなのを書きましたが、今回は先手側・後手側からどんな方針で手を進めていくのか、という点について書くことにします。
まずは図をご覧下さい。

b0017164_17274470.jpg左の図は△8五飛型横歩取りの基本形の1つです。これを叩き台にして、先手側・後手側の方針を書いていきます。

☆後手番の方針
なんだよー、先手番から話をするのが普通だろー。
という声もあるかと思いますが、これにはちゃんと理由があります。
なぜなら、この形で主導権を握っているのは後手番だから。
後手番より一手早く指せるはずの先手番ではなく、後手番が主導権を持って指せるというのがこの戦法最大のメリット。
なぜ主導権を握っているかといいますと、この局面は先手番の陣形にはまだまだ発展の余地があるが、後手番はすでに戦闘準備が整っているからです。
したがって、後手番はせっかく取った主導権をなるだけ先手番に渡さないよう、攻めて攻めて攻めまくるようにすることが重要なポイントとなります。
また、先手番と後手番で各々の王様の囲いを比べてみると、後手番の方が飛車の打ちこみに強いのも後手番にとっては心強いところ。
さて、これらのメリットを生かした狙いは・・・。

①飛車交換
先ほど申し上げた通り、後手番の方が飛車の打ち込みに対して強い囲いをしています。
となれば、さっさと飛車交換して例えば△2九飛と打ちこむような攻め合いに持ちこみたいところ。
飛車交換と書きましたが、他の駒で相手の飛車が取れるならなおさらグッドです(笑)

②駒損覚悟の攻め
①とダブる要素もありますが、今の王様の囲いならば、攻め合いは後手番有利。
もっと固い王様の囲いは他に穴熊や美濃囲いなどいくらでもありますが、この戦法は大駒を交換しての攻め合いがすぐにおきるため、固く囲う暇や隙がありません
相対的な王様の囲いの固さに、これほどはっきり差が出る戦法はそうそうないです。
王様の囲いの固さは、相手との差がどれだけあるかが重要なのです
固さに差があるうちは、駒損してもかまいませんからとにかく攻めをつなげることたとえ角損でも飛車損でも、先手玉を追い詰められれば文句無しです。
考え方は、穴熊戦法に似てますね。

③両桂+飛車での中央からの攻め
後手番からの有力な攻めの一つが、盤の中央、5筋からの攻め
この後先手番から▲3三角成△同桂と角交換することが多いですが(先手番の狙いはあとで述べます)、このときまず3三に上がった桂馬を4五へ、7三にある桂馬を6五へそれぞれ跳ね、飛車を5筋へ振ります。

b0017164_18171596.jpgそうすると、たとえばこんな形になりますね。あとは桂馬を成ればいいだけです。
まあ、こんなにうまくいくことはまずないですが、一応の狙い筋ということで覚えていただければ幸いです。


☆先手番の方針
さて、今度は先手番の考え方です。
先ほど、先手番の陣形にはまだまだ発展の余地があるが、後手番はすでに戦闘準備が整っている。よって、後手番が主導権を持って指せる
と書きましたが、先手番もアホではないので、そんなことを無条件で許しているわけではありません。後手番が主導権を握ったのにはちゃんと代償を払ってます。その代償をいかにうまく活用するか。そこに勝利の鍵があります。
代償は、先手番の陣形にはまだまだ発展の余地があるが、後手番はすでに戦闘準備が整っているの中にあります。この言葉、裏を返せば先手番の陣形にはまだ良くなる可能性があるが、後手番の陣形にその可能性はないということです。
よって、先手番の方針は・・・。

①ゆっくり指す
王様の囲いに差があるので、今からドンパチするのは後手番有利
となれば、戦いはせいぜい小競り合いにとどめ、ゆっくり指すのが得策。
ゆっくり陣形を整えて待ちに徹すれば、陣形の発展の余地がない後手番はムリヤリ攻めるしか手がありません。
最初の図からだと、たとえば▲4六歩から▲4七銀を目指すのが有力な手の一つです。これがこないだの竜王戦第6局で取り上げた『世田谷南部システム』ですね。
後手番の無理攻めを上手く受け止めてやれば、あとは豊富な持ち駒でのカウンターが火を吹きます

②飛車交換は避ける
これをやると後手番が有利なのは上で書いた通り。
先手番の方針の①ゆっくり指すにも反します。
ゆっくり指して、後手番を待ちハメしてあげましょう。

③挟み撃ち
また一番最初の図に戻りますが、先手は飛車が居る2筋3筋を軸に攻めるのが基本ですが、そうすると後手番の王様が△5二玉から6筋7筋方面へ逃走することがよくあります。したがって、先手の持ち駒などで事前に逃走経路をふさいでおくことはとても重要です。
これを『待ち駒』と呼んで批判する方もいらっしゃいますが、本当は『縛り』という立派な手筋の一つですので、しっかりマスターしておきましょう。

④後手の桂頭
先ほど後手番の方針③で、先手番から▲3三角成△同桂と角交換することが多いと書きましたが、そうすることによって3三に動いた桂馬の頭を狙うのが先手番の有力な攻めの一つです。一例を上げるとこんな図になります。

b0017164_1845488.jpgここから先手が▲3四歩と突けば桂馬が死にます。これもこんなにうまくいくことは少ないですが、これも一応の狙い筋ということで覚えていただければ幸いです。


以上、私のできる限りで両者の狙いについて書かせてもらいました。
あと、この戦法のポイントを一つ上げるとすれば、

50~60手くらいで山場を迎える

ことが上げられます。
今回の竜王戦だとちょうど一日目の終わりから、二日目の午前中にかけてくらいでしょうか。
ちなみに、最初の図でちょうど31手目です。
この辺りの指し手が勝敗の分かれ目になりますので、自然と対局者の消費時間も長くなります。そういったところにも注目して見てもらえればと思います。

『かんたん』と書いた割には、いつも通り長くなってすみません。
今後のタイトル戦などの記事を見るときに、これがお役に立てればと思います。
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by mitsuboshi03 | 2004-12-24 19:03 | 将棋 | Comments(2)

スポーツ、将棋、ミリタリー、オタクネタ、地元長野ネタなど節操なしに書きまくります


by mitsuboshi03