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羽生善治、1000勝の重み

昨日はバター同盟のメンツを中心に桜木町で忘年会。
その前に、真昼間からガソリン補給(爆)していた愚か者がいましたが(はーい、オレオレー)
京助さんとも久々に顔を合わせるなど、楽しい飲み会でした。
宿は大つき(19)さまの新居に。
いや、立派なオタク・・・もとい、邸宅でございました(enziさん風味)。

忘年会でも細川氏から「最近将棋ネタが少ない」と痛いところを突かれたので、今回は先日達成された大記録をネタに、久々に将棋ネタをいってみましょ。

12月20日に行われたA級順位戦で、羽生二冠が久保八段を破って1000勝を達成しました。
対局直後の合同記者会見の様子がニュースでも取り上げられるなど、久々に羽生二冠が世間の注目を浴びたわけですが、今回はこの大記録についての考察(いや、そんなたいしたもんじゃないですが)をしてみようかなと。

まず1000勝目を挙げた対局の様子から。
この対局までA級順位戦で4勝1敗と名人挑戦権争いのトップグループに居る羽生二冠。挑戦権争いに踏みとどまるには落とせない一番であると同時に、相手の久保八段とはもうすぐ始まる王将戦7番勝負を闘うこともあり、その前哨戦としても負けられない一番。
一方の久保八段は、負けたら感想戦の前に羽生二冠の記者会見をやるんで「よろしく」、と事前に言われていても、ここまでのA級順位戦の成績が1勝4敗と首筋が極めてお寒い状況とあっては空気なんか読んじゃいられないと必勝体制で臨みます。
後手番の久保八段がいつも通りのゴキゲン中飛車を繰り出せば、羽生二冠は▲5八金右型という一番過激な対抗策で応戦。ちなみに、羽生二冠はこの▲5八金右型で谷川九段に1000勝目をプレゼントしており、復讐してやるとこの対抗策を選んだ、とするとネタ的においしい(爆)んですが裏は取ってません(笑)でも羽生二冠の戦法選択は意外と強情、という説からすると、信憑性は高そうなのですが。
ちなみに、この対抗策については以前の名人戦での記事(こちら)を参考にしてくださいな。
開始20~30手ほどでなぐりあい宇宙(wとなるこの対抗策。ある程度定跡化はされているものの、なにぶん超急戦な分不運な一発を喰らって爆沈、というスリリングな戦いの連続となるため、みるみるうちに持ち時間が減っていきます。
終盤では久保玉に35手詰めがかかっていることが一部PCソフト上で確認され、2ch界隈では「そこで詰ましてこそ羽生」の声が上がっていたのですが、詰ましそこなうとほぼ負けが確定な状況とあってはさすがに羽生も踏み込めず、一手自陣に手を入れてから確実に寄せきりました。

さてこれからは、歴代の1000勝達成者7名との比較をいくつか。
(朝日新聞12月19日の記事を参考にしてます)

☆年齢、所要年月

37歳2ヶ月、所要年月22年での達成は、これまでの記録保持者だった谷川九段を上回る史上最短記録となります。
大山15世名人の若手時代には棋戦の数が今の半分以下だったとかそもそも戦争で将棋どころじゃなかったなど、昔との単純な比較はできないのですが、棋戦の数が多くなればそれだけ休みも減るわけで、20年以上もろくに休まず勝ち続けるのは至難の業。これだけでもとっても大変なのですが・・・。

☆勝率、勝敗数

今回の大記録のヘンタイ性wはこれ、と言っときます。
まずは、羽生二冠を除く歴代の1000勝達成者を、1000勝を達成した時点での勝率順に並べてみます。

1位 大山15世名人 勝率 .687
2位 中原16世名人 勝率 .673
3位 谷川九段    勝率 .653
-----------------------------------
(4位 米長永世棋聖 勝率 .604)
5位 加藤九段    勝率 .598
6位 内藤九段    勝率 .571
7位 有吉九段    勝率 .543

勝率.650で線を引いてみました。
大変おおざっぱに言うと、5位以下は晩年になっても弛まず将棋を指し続けて1000勝を達成した英雄たち。3位以上は時代の旗手として、一つの通過点として1000勝を達成した化け物(ぉ
米長永世棋聖はその中間ということでカッコ書きさせてもらいましたが、どちらかというと英雄寄りですね。
んで、羽生二冠はどうなのかといいますと。

羽生二冠 1000勝373敗 勝率 .728 

はい、人外決定(核爆)

年間で勝率7割を達成するのもかなり大変、というか年間ベスト10入りが濃厚。
年平均45勝、というのは立派な年間最多勝ペース。
これを20年続けてる、というのは異常としか言いようがありません。
勝率の話をもう少し続けますと、生涯勝率が7割を越える棋士は木村八段や渡辺竜王など全くいないわけではないですが、彼らに共通するのは「予選・本選を勝ち抜いて、準決勝あたりでコロリと負ける」こと(渡辺竜王は竜王などそれなりに優勝経験があるのでちと例外ですが)。見た目の勝率は上がるのですが、結局タイトルは得ていないので、

なんのために花を咲かせたのだ!? 実をつけるためではないのか!?

と炎尾燃風味に一喝されてしまいます(待て)
というか当の本人が一番悲しい(涙)
タイトル戦の番勝負を戦っていけば、普通どうしたって勝率は下がります。
番勝負に出た上で勝率.728を維持するには、敗退は論外として、さらに1敗かストレートでの勝利が必要になります。
サラリと書いてますが、やる立場からすれば無茶言うななレベルですよ、これ。
1年だけとかならまだともかく、羽生二冠は15年くらい年中こんなことしてるわけですから。

このハイペースがどれだけ続けられるかにもよりますが、次の目標となるであろう大山15世名人の歴代最多勝記録1433勝の達成は「できる・できない」ではなく「いつ破るか」の領域に入ったといってよいでしょう。このペースが続けられるのであれば10年以内に達成、となるのですが、私は少しペースが落ちると見て12~3年くらいかかるかな、と思ってます。 
もし大山15世名人のように60歳過ぎても現役A級棋士、のレベルを維持できるのであれば夢の2000勝も不可能とは言い切れなくなってきますが、そこまで要求するのはさすがに羽生二冠が気の毒になってきます(爆)

よっぽど制度が変わらない限り、恐らく空前絶後となるであろうこの記録。
そんな大記録も単なる一つの通過点としてしまうところが、羽生二冠の凄さなのかなと。
Commented by bleem! at 2007-12-26 07:40 x
騎手の武豊なんかとかぶりますよね。今年150勝もしてるのに不調やったなあ、とかいわれますもんね。

え?今二冠少なくなったねえとか、6個くらい持ってなかった?とか・・・。いや、あのね・・ノンタイトルで終わる人がどんだけ・・・・。

関西在住としましては光速の寄せの方に頑張っていただきたいんですけどね。

将棋ネタされるとコメントしないわけにはいかないわけですよ、ええ。
Commented by ひとこと at 2007-12-26 19:40 x
水を差すようですが、大山の時代はデビューの頃は年に20程度の
対局しかなく全盛期でも年にせいぜい30勝ちょっとしか稼げない時代
でした。今の時代羽生さんは多い時には年に68勝も稼げるんです。
若い時は勝率もいいし試合数も稼げるのですから現代の方がはるかに
条件が恵まれてるわけです
単純に史上最速で大山を超えたと言っていいのか疑問が残ります
Commented by bleem! at 2007-12-26 20:30 x
ひとことさん、みつぼしさんもご指摘のことに関しては触れてはるし、ここに遊びに来る人はちゃんとわかってる方ばっかりなんでご心配はいらないか?と思いますよ。

まあそれはさておき、今のトップの人が老年と呼ばれる年齢になって大山十五世名人のように第一線でバリバリやれるか?で大山十五世名人の凄さが再び語られるようになるかもしれませんね。

しかし、今の人は「若い」からなあ。俺の子供の時のオッチャン、お爺ちゃんと今のおっちゃん、お爺ちゃんの「若さ」の違いって凄いですよね。俺も昔「大人やなあ」と感心させられた人と同じかそれ以上の年齢になっとる訳ですが、どう考えてもガキですよ。う~ん。



Commented by mitsuboshi03 at 2008-01-04 19:46
あいかわらずレスが遅くてすみません。

☆ひとこと様
本文中でも単純な比較はできないが、と一言断っておりますが、あえて述べさせていただきます。
個人的なスタンスとして、記録は記録として尊重したいと考えております。
なるほど現在は大山時代には不可能であった年間70勝以上を挙げることは理論上可能ではありますが、それを現実にやりとげるのは別問題であり、あまつさえ1、2年に限らず20年近くもこれに近い成績を挙げていることは賞賛に値すると思ってます。

とはいえ、私も調べてみて大山15世名人の高い勝率に改めて驚かされたのも事実です。羽生二冠の偉業によって、先人の足跡をたどる機会を与えられたのは喜ばしいことなのかな、と感じております。
Commented by mitsuboshi03 at 2008-01-04 19:56
コメント続きます。

☆bleem!さま
いつもいつもコメントありがとうございます。
今年もよろしくお願いします。

>関西在住としましては光速の寄せの方に頑張っていただきたいんですけどね。
この間深浦新王位が久々に九州にタイトルを持ち帰りましたが、西日本勢はあいかわらず苦戦してますね。
兵庫出身の久保八段が今度羽生王将に挑戦しますので、そちらを楽しみにされてはいかがでしょうか。
谷川九段は先日A級順位戦でようやく両目(2勝目)を開けました。
A級残留を賭けての苦しい戦いが続きます。

>どう考えてもガキですよ。う~ん。
私もです(笑)
将棋業界用語的には「同歩」(爆)
by mitsuboshi03 | 2007-12-23 20:06 | 将棋 | Comments(5)

スポーツ、将棋、ミリタリー、オタクネタ、地元長野ネタなど節操なしに書きまくります


by mitsuboshi03