侮ってはならなかった・・・(『ハチワンダイバー』 その1)
2007年 04月 08日
こういうときには燃料補給。居酒屋にて、サッポロビール謹製のバイオエタノール(核爆)をたらふく補充(笑)
来週も元気に頑張るぞ、と。
さて今回は、ここって将棋ネタやるでしょ?マンガネタやるでしょ?なんで今までスルーすんねんと思ってた方も多かろう、今が旬の将棋マンガ『ハチワンダイバー』の話題を。
なんで今までスルーしていたかといいますと、理由はこれ↓
「ボクもおっぱいで」
「いいだろう」
(ctrl+Fなんかで「ハチワンダイバー」を検索すると記事が出てきます。
放蕩オペラハウスさん、いつも楽しく見ております。感謝)
・・・。
真剣師というと、小池重明さんとか、プロ入り前の花村九段とかの武勇伝を思い出して今も胸がときめく(笑)将棋指しの端くれとしては、
「ボクもおっぱいで」・・・じゃねーっつーの!
だったわけで。
が、こないだ地元で『ジャイアントロボ 地球の燃え尽きる日』の1巻なんかを買ったついでにハチワンダイバー2巻をついうっかり購入(爆)
「まぁ、とりあえず読んどくか」
と、あんまり期待しないで読み始めたところ・・・。
すいません私が悪うございました。
投了。
と、ジャイアントロボそっちのけで読みふけるありさま。
enziセンセ、大つき(19)センセ、ごめんなさい。相手が悪かったんです(爆)
前に『エアマスター』とかを描いてた方の作品なのですが、とにかく面白い。
久々に、マンガの世界に引きずりこまれる感覚を味あわせてもらいました。
そういや、将棋ファンの投げるオタク大リーガー(なんて ひどいw)こと井川が、この2巻を泣いて見たがった、なんて話もあったっけ。
あの男をそこまでさせたのだ。
侮ってはならなかった・・・。
ちなみに、上の放蕩オペラハウスさんの記事では、「そこかしこで強調される彼女のセクシャルなアピールの大部分が死に要素と化している」などと書かれてしまうそよちゃんですが、その後の文章の通り、要はルパンにとっての「おたから」のような存在でありさえすればよいわけで、話がバツグンに面白いのに変に萌えキャラを出されても、逆にそっちに気がそれてしまって、
邪魔をするなっ! シャアを討たせろ!
と叫ぶアムロのようになってしまうわけでして(笑)
と、いつまでも普通のマンガ紹介サイト風に話していてもちっともウチらしくないので、今回は世紀のおっぱいバトル(核爆)となったハチワンダイバーvs神野”二こ神”神太郎戦をもとに、図面を使って、『ハチワンダイバー』の将棋部分の骨太度合いをチェックしていこうと思います。
神野”二こ神”神太郎が得意とするのがこの雁木。江戸時代に在野の棋士・・・というかぶっちゃけ真剣師の檜垣是安が考案したとされるクラシカルな囲いで、上からの攻撃には滅法強いが、見てお分かりの通り横から飛車でも打たれた日にゃ目も当てられない(涙)
というわけで、切った張ったの大捌きを狙うのは厳禁。のらりくらりと相手のパンチをかわしながら細かくポイントを稼いでいくアマチュアボクサーのような戦い方をするのが望ましい。
なお、玉は4筋の他に、6筋方面に移して「右玉」にするのも有力である。
アマ強豪で将棋ライターの小暮克洋氏が、以前雁木でガンガン!! という本も出してはいるが、特定のスペシャリストを除いては今では滅多に見られない囲いとなっている。
神野”二こ神”神太郎の強さの源は、この雁木から入玉を目指す異様ともいえるそのスタイルにある。優秀な狙撃手による「ワンショット・ワンキル」にも似たその戦いぶりは、まさにプロの手口。ハチワンダイバーも引っかかりかけた通り、初見でこの狙いを見破ることはまず不可能で、たいていは気付いたときにはもう手遅れになるであろう。
上に上にと逃げ出した王様は、よほど駒数を投入しないと捕らえるのは困難を極める。
有名な格言である玉は下段に落とせは、こんな状態にならないように上から追い詰めなさいよ、という意味である。
また、後手の飛車角が封じ込められつつあることにも注目して欲しい。
窮地に陥りかけたハチワンダイバーが、狙いを秘めて放った次の一手がこの△1二香。
ここで二こ神が、「この局面で今さらの穴熊だと・・・ぬるい・・・ニヤリ」としてしまったのが、厳しく言えばこの将棋の敗因。ここでしっかりアンテナを張り巡らしていれば、この手の真の意味に気付いて例えば▲7四歩などと入玉を急いでいただろう。
△1二香からの一連の構想が実を結んだのがこの△1三角。先ほどの図では動きを封じ込まれていた角が、遠く敵陣を睨む大砲へと変貌を遂げた。狙いは先手の6八にいる金。「金を攻める」のは、囲いを破る大事な基本原則であることを教えてくれたのは先崎八段であった。日頃バカバカしいエッセイばっかり書いているように見えて本当にそんなんばっかりなのだが(爆)、たまには真面目なことも言うのである。
この角の睨みを振りほどくのは困難を極める。例えば▲7八金とでもかわそうとすれば△5七銀から食いつかれて後手有望。通常よりは弱いとはいえ、後手玉は穴熊に潜った分、囲いの固さと玉の遠さで先手玉をはるかにリードしており、多少大雑把でも攻めを切らさなければどうにかなってしまうのである。こういうとき、アンチ穴熊党はよく穴熊の暴力と言うのである(笑)
だからと言って、いまさら▲4六歩と角筋を止めるわけにもいかない。もともと歩を手持ちにし、飛車を働かせやすくするために飛車先の歩を交換したのに、「ごめんなさい」とまた歩を打ってしまったのでは何の意味もない。将棋指しならたとえ死んでもこんな手は指さないし、指してはならない。
図の▲5五歩を見て二こ神が「あるのかそんな手っ」と叫ぶのだが、本人が言うとおりこの手は「あり」。▲同歩なら△5六歩▲4六銀△4五歩で金銀どちらかが助からないし、▲同馬なら思い切って△同飛と切って捨ててから▲同歩△5六歩と以下先ほどと同様の手順が効く。
この局面は、後手が現代将棋の合言葉である(囲いが)固い、攻めてる、(攻めが)切れないを体言している場面。
やっぱり、こういうときの穴熊ってズルい!(爆)
図は▲3二飛成と金を取った場面。ついつい受けてしまいがちになるが、今の後手玉は業界用語wで「ゼ」あるいは「Z」と呼ばれる状態。
将棋の「ゼ」は、「ぜったい詰まない」の「ゼ」!(本当)
二こ神が全盛期だったころと違い、今のプロ将棋は、こうした中終盤の部分部分ごとのパターン化が急速に進んでいるのである。昔なら、持ち時間20分切れ負けルールなこともあり、二こ神の言うとおりここからドロドロの混戦になることもままあったろうが、腐っても元は奨励会員だったハチワンダイバー。次の一手で二こ神を土俵下へ投げ飛ばす。
「この局面は すでに 見た」と△9五銀打が決め手。「金はナナメに誘え」の定跡通りの一手である。
後手玉はどうしようがぜったい詰まないので、あとは必至狙いで真綿で首を締めるように着実に先手玉を追い詰めていけばよいのである。
実際にこんな手で勝とうものなら、私のようなヘボなら3日間くらいは手の感触が残るでしょうな。ちょー気持ちいいー!
ちなみに、将棋部分を監修しているのは元A級の鈴木大介八段。少々形勢が悪くても、なんのかんのと粘ったすえに腕力でひっくり返すという戦いぶりが魅力の「力の振り飛車党」党首である。前年度は棋聖挑戦→三連敗で永世棋聖誕生(涙)や、順位戦で最終戦に勝てばA級返り咲き→だめでしたorzとなんて ついて ないんだwな一年でしたが、ここまでたどり着くのも大変なこと。その実力を、この『ハチワンダイバー』でも遺憾なく発揮しているといえます。
いや、こんなに将棋部分がしっかりしているとは思わなかった。
2巻では「以下次号」扱いになっているvs文字山ジロー戦では、今回は味方だった「穴熊の暴力」が今度は敵に回ります(えー)
藤井システムなどで狙い打たずに、まともに居飛車穴熊に組ませたハチワンダイバー。
そこに勝算はあるのか。
マンガ自体の面白さはおっぱいバトルで頂点を極めた(核爆)感もありますが、3巻も楽しみ。
ところで。
藤井システムの紹介部分で本物の藤井九段が登場するのだが、個々の顔のパーツはあっているんだがも少し美形に描いてあげてもよかったんじゃないでしょうか(爆)
明日は、気力が残っていれば、実際にいた真剣師についてのお話を。
※今回の将棋解説部分は、かなりイー加減(笑)ですので、あまりうのみにしないよーに(苦笑)
ファミレスで「いけ!僕のかわいい香車!」とか言って将棋指してるヤツは追い出していいと思います。
☆bleem!さま
>わかりません・・・・。
『ヒカルの碁』は、はっきり言って突然変異でしょう。
どちらかというと、マンガ界は将棋優勢なのかな、と。
面白い将棋マンガがたくさん出てきてほしいな、と、日々紹介に励むわけであるのですよ(笑)
>追い出していいと思います。
私もそう思います(笑)
というか、ここでこそ「キモ~い!」スペルの使い時ではと(爆)
☆細川氏
blog絶好調のようで。あやかりたい・・・。
>「アキバの受け師」か~。よし。今度買ってみましょう。w
そうきたか!w
「ヒカルの碁」は少年にブームを起こしたじゃないですが、将棋漫画でしょういうの欲しいなと・・・。おっぱいブームを起こされても困るわけなのですが・・・・。う~ん、掲載誌の違いかな?
院生時代のvs和谷戦なんかは比較的わかりやすかったですね。
和谷が大石を取りに行こうとしたところをヒカルがうまく切り返して、取りにいった大石を取り逃がすor和谷の大石をぶんどるの2択をさせて競り勝ったんですが、囲碁初心者の私にも分かりやすかったです。
あれは上手かったなーと。
>将棋漫画でしょういうの欲しいなと・・・。
確かに欲しいですね。
囲碁では「ヒカルの碁」に続く囲碁マンガを公募したみたいですし、そういう試みも面白いかもしれません。
みつぼし先生のブログで、将棋界のコトは多少理解してたので、なおさら面白かった。
VS「二こ神」戦の解説はとてもよく解かりました。こうして解説してくれるとありがたい。
漫画の巻末に載せて欲しいぐらいですよ。変な短編じゃなくて(爆)
3巻が出たら、VS「漫画家」戦の解説もよろ。
なんかいろいろ忙しそうですが、お互い頑張りましょう。
>VS「二こ神」戦の解説はとてもよく解かりました。こうして解説してくれるとありがたい。
うし、次もやりますよ。
というか、そろそろ真剣師の話をやらないとだな・・・。