瀬川四段、緒戦を飾る(竜王戦ランキング戦第6組 vs清水上アマ竜王)




前オリックス監督の仰木さんが亡くなっちゃいましたね。
70歳だから十分天寿を全うしたとは思いますが、やはり残念です。
西鉄黄金期のメンバーが、また一人伝説になってしまいました。

そんな前書きから一変して今回は将棋の話。
めでたくプロ試験を突破した瀬川アマ四段の緒戦の模様を。
12日のことなんでえらく気がひけますがorz

緒戦の相手はNEC時代の元同僚、清水上アマ竜王。
因果なカードをぶち当てられ、注目の緒戦がさらに注目度を増すことに。
それでも、もう慣れっこなのか、落ち着いた様子の瀬川四段。
清水上アマ竜王は瀬川四段のプロ試験にはよく顔を出しておりましたが、いざ自分が当事者になってしまったら特盛の報道陣には落ち着かなかったんではないかと。

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局面はすらすらと進んで図の▲8八玉まで。
先手の瀬川四段が居飛車穴熊に囲おうとするところを、後手の清水上アマ竜王が藤井システムで迎撃しようという構図になります。
この藤井システムとは、こないだ日本シリーズ(将棋公式戦の一つ。タイトル保持者と順位戦A級上位が参加するトーナメント戦)を制した藤井九段が考案した戦法で、居飛車穴熊に囲おうとするところをろくに王様も囲わずに殴りかかるという大変漢らしい戦法。
この戦法で羽生竜王(当時)から竜王を奪い取ったことで、居飛車穴熊に苦しむ振り飛車党の福音となった戦法ですが、最近は居飛車側の対策が進歩したせいで沈滞ぎみ。
図から△6二飛と四間に振った飛車を6筋に振り直すのがいかにも振り飛車らしい柔軟な一手。飛車や桂馬を援護に2二の角で先手玉を睨み倒すのが狙いです。

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先ほどの△6二飛からの狙いをどう凌ぐかというのが最近の居飛車側の課題の一つでしたが、これに対する瀬川四段の回答が図の▲5五歩
いままで公式戦での前例はないとのことでしたが、狙いは実に単純。5五の位を制することで後手の角筋を封じ、先ほどの△6二飛からの狙いを頓挫させようというもの。
これに△5四歩と反発したらどうするんかな~と思いながら見ておりましたが、清水上アマ竜王の次の一手はその隣の歩をつまんで△6四歩

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以下図の△4一玉から玉を囲いに入ります。
一旦飛車を振ったからには後手玉は8筋方面に囲いたくなるのが振り飛車党心理ではありますが、現状後手の主戦場は6~9筋。となれば、玉は主戦場から遠ざける方が流れ弾が当たらなくてよろしいというのが将棋の大原則でございます。
これ、四間試験に出ますよ?

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さっきの図からちょっとだけ進んで清水上アマ竜王が図の△2二金を指したところ。
ホントは金の代わりに王様を入れたいところ。それだと▲2五桂からの端攻めが怖かったようですが、金が中央の守りから離れた上に、王様の逃げ道も塞いでいる。こういう金は壁金と言って一般的にはよくない形とされてます。ちなみに、これが銀だと壁銀と言ってこれもよくない形。こっちの方が実戦ではよく出てきますね。
清水上アマ竜王がこういう手に走ったのはもともと形勢が良くないんで変な手を指して相手を惑わす(爆)意味もあります。囲いは先手の方が堅い上に、歩が2枚も手持ち。一方の後手は歩切れで、それゆえに後手からの有望な攻め筋が見当たらず。その代償が6筋の位くらいでは割りに合いません。

b0017164_0211100.jpgそんな後手を見透かすように瀬川四段は図のように渋く▲6七歩と6筋のキズを消してじっと手を渡します。後手が暴れてくるところにカウンターを合わせようというプロ好みの一手。
これに対して清水上アマ竜王は△3二玉と悠然と構えて「やってこい」と挑発。不利なときにはどんどん変な手を指して場を混乱させるというのが清水上流とのことですが、不利なときには戦線拡大という将棋の格言はまさにコレのことです。

b0017164_0121526.jpgそんな後手のことなんかおら知らねーだと瀬川四段は図の▲4八飛。以下△3三桂▲4六歩△2四歩▲4五歩と4筋へ一直線に殺到しにかかります。当然の△同歩に▲3五歩が当然とはいえついつい忘れがちな歩の突き捨て。以下△同歩▲4五桂△4四歩▲3三桂成△同金▲4五歩と続きます。

b0017164_0215476.jpg図で△4五同歩▲同金△4四歩と打つ手には▲3四歩が利きます。この▲3四歩を打てるのが先に▲3五歩と突き捨てておいた効果。▲3五歩を忘れて、先ほどの△4四歩と打たれた場面で肝心の▲3四歩が打てずにしまった~!と叫ぶのが私のよくあるパターン(号泣)なのですが、この突き捨てた歩で相手の攻めを誘発してしまうこともままあるので難しいところ。一度突いたら最後、ボクは取り返しのつかないことをしてしまった~!と某アムロのごとく男泣きしても遅い(爆)ため、プロでもかなり神経を使います。プロ同士の戦いで、本格的な戦いが始まる直前で長考が入ることが多いのは主にこのため。
NHK杯を見るときにでも参考にしてくださいな。

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今回清水上アマ竜王はさっきの図で△3七角とクリンチをかけてきましたが、瀬川四段はかまわず▲4四歩。△同銀には▲4四飛!と飛車を叩き切り、△同金▲4五歩△4三金▲4四桂となったのが図となります。
飛車は渡しましたが、4五に拠点ができた上、持ち駒も豊富な先手の攻めは途切れそうにありません。先手玉の囲いは万全で、なおかつ後手の8二の飛車はほぼ完全な遊び駒。こうなっては残念ながら形勢は大差。以下順当に瀬川四段がプロ緒戦を飾りました。


清水上アマ竜王は、今回は瀬川四段の序盤の▲5五歩の新手に屈した結果になりましたが、それでも相手を迷わせようとする不可思議な手を見せるなど見せ場は作れたと思います。
一方の瀬川四段は好調なスタートを切りました。実力をつけるのも当然大事ですが、プロ試験からの注目度の高さを今後どう持続的なものにしていくかというのも大事な要素ではないかと思います。ま、これは将棋連盟も考えなきゃならんことですが。
せっかく久々に将棋界が注目されている機会を逃す手はないと思うのですがね。
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Commented by hosokawa18272 at 2005-12-20 22:52
将棋の記事、ちゃんと読んでますよー。
瀬川プロは一安心ってとこですかね。羽生に続く新たなスターになればいいのにねえ。
Commented by mitsuboshi03 at 2005-12-27 22:22
どもー。コメントありがとさん。

>瀬川プロは一安心ってとこですかね。
実はそうでもなかったりする(苦笑)
瀬川プロが入ったのは通常の四段のC級2組ではなく、その下のフリークラス(略してフリクラ)。
独身男性が一人暮らすのも苦しい生活レベル。
勝率6割以上を上げて、やっとC級2組へレベルアップ。
これからがまた大変なんですよね。
でも、頑張って欲しいです。
by mitsuboshi03 | 2005-12-17 00:54 | 将棋 | Comments(2)

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