殴る男(王位戦 第5局)

しばらくお茶を濁しておりました夏休みをいただいた将棋ネタ、再開でございます。
いつものように「かんたん」モードでがつがつ書きますよー。
今回のお題は、本日終わったばかりの王位戦第5局。
佐藤(康)挑戦者が棋聖防衛の余勢を駆って連勝スタートしたものの、そこから急に風向きが変わって羽生王位が連勝。同時進行中の王座戦第1局も制し、防衛街道驀進中の羽生四冠の勢いを佐藤(康)棋聖が止められるか・・・というのがここまでの流れ。
はてさて今回はどうなったかというと・・・。

※全体の棋譜はこちらで。主催の徳島新聞社さんに、感謝。

羽生-佐藤(康)戦の勝敗を占うバロメーターのひとつが戦法の選択。
大ざっぱに言うと、既成の戦法だと羽生四冠ペースで、趣向を凝らした展開だと佐藤(康)棋聖ペース。結論から言うと、今回は後者の展開となりました。

b0017164_23563026.jpg図の▲7九角が2or3筋の歩交換を狙った虫のいい先手佐藤(康)棋聖の積極的な一手。このまま持久戦に移行すると歩交換の差が最後まで祟りかねない後手の羽生四冠は、2筋の歩交換を甘んじて受けるかわりに角の利きを通したまま△5五歩からの決戦を決断。


b0017164_084465.jpg図の△5二飛で1日目終了。昨日この図を眺めていた時点では、「先手の3七にいる桂馬が将来イジめられそうで不安だな~。後手の5筋からの攻めもキツそうだし。先手は歩がもう1枚あれば▲2四歩△同歩▲2五歩△同歩▲2四歩の継ぎ歩攻めができるんだけど。後手持ちかな?」と考えていたのですが、封じ手の▲1六歩しまった~!と金田一耕助ばりの大後悔時代状態(謎)
後手の囲いが4、5筋方面を隙間なく埋めていて、王様の逃げ道を塞いでいる今が端攻めのビッグチャンス、と考えなくてはいけませんでしたorz
羽生四冠も対局後の談話でこのあたりの作戦ミスを認めておりました。

この後先手の佐藤(康)棋聖は1筋からの紡錘陣形からの一点集中攻撃(違)でポイントを稼ぐものの、羽生四冠もあの手この手で佐藤陣にちょっかいをかけて形勢は微差。
ただ、互いに殴りあう今回のような展開は棋界屈指のハードパンチャーである佐藤(康)棋聖の独壇場。対局後の談話で攻めの細さを気にされていたのはある意味本音ではあるでしょうが、間違いなく手ごたえは感じていたはず。

b0017164_0342279.jpg名手同士の力のこもった対局ゆえ、いちいち好手の解説をしていったらきりがないのですが、個人的に印象に残ったのが次の一手の▲7九玉
歩でもあったらつい5六に打ってしまいがちですが、たとえ歩があったとしてもこういう「王の早逃げ」は見習うべき手筋。佐藤(康)棋聖はさすがにケンカ慣れしているだけあって、こうした相手の攻撃の見切り方も実に上手い。


b0017164_0423067.jpg羽生四冠も必死の抵抗を見せますが、逆に先手から飛車でも打たれたらそれまで、とはいえ、さすがに図の△1一金の辛抱はつらい一手。ここで虎の子の金を放出した分、後の追撃がどうしても力不足に。以下133手で佐藤(康)棋聖が勝利しました。


形勢は微差だったとはいえ、佐藤(康)棋聖が自分の土俵へ引きずり込んでここで連敗を止められたのは大きいかと。第6局は後手番になりますが、マジックのタネはまだ残っているでしょうか。一方の羽生四冠は、ここで敗れたとはいえ次は有利な先手番。順当に勝って最終決戦の第7局に持ち込みたいところ。今の2人の調子にはそれほど差がないと見ています。
「真夏の十七番勝負」も、いよいよ佳境。
最後に笑うのは、どっちだ。
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Commented by hosokawa18272 at 2005-09-09 22:10
いや。将棋ネタ面白いです。
将棋って「7大タイトル+1」がしっかりしてるから、もっと注目されてもいいような気がするんですが。スター性のあるヤツも多いし。
新聞社がスポンサーだし。
見せ方が上手ければもっと人気でると思うんですがねー。
Commented by mitsuboshi03 at 2005-09-09 23:39
うぃ、どうもです。
熟成に時間がかかるネタなので、コメントもらえるとありがたいです。

>見せ方が上手ければもっと人気でると思うんですがねー。
日本将棋連盟はプロ棋士の互助会組織なんで、商売へたくそなんすよ。
米長のおじさんが会長になったんで、少しは風通しよくなったようですが。
囲碁に比べてもだいぶ対応が後手に回っている感じであります(涙)
by mitsuboshi03 | 2005-09-07 00:53 | 将棋 | Comments(2)

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