不可能を可能にする男(名人戦 第5&6局)

昨日書きこもうと思ったらブログメンテナンスの罠。
見ようとしてた方、ごめんなさいね~。
今日は溜まっていた名人戦第5&6局のレビューです。
事情により縮小版となっております~すみません~。

普通の対局に比べ、先手番勝利の比重が高まるタイトル戦。
となれば、後手番では戦法で冒険してみるのも一つの手。
第5局で森内名人が持ってきたのは、その中でもかなりの変化球の相横歩取りでありました。
この戦法を説明するには、とりあえず基本図を見てもらうのが手っ取り早い。
というわけで、まずは下の図をご覧下さい。

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たった22手にして飛車角総交換。
攻撃の味付けに欠かせない歩も3枚ずつ。
それでいて玉の囲いは皆無。
シャツ1枚でチェーンソーやロケットランチャー片手にどつき合うようなもんです。
横歩取りというか、まともな戦法の中でも屈指の激しさを誇る超急戦で、肉を斬らせて骨も斬らせるが座右の銘(爆)な私の大好きな戦法。高校時代は部活の練習試合でよく指したもんですが、激しい戦いの分一手間違うと取り返しがつかないんで、一手一手に細心の注意が必要。この対局でも手数は69手と大変少なかった割に時間の減り方はいつも通り。第一人者でも神経を使う戦法であります。
上の図から▲4六角△8二角▲同角成△同銀▲5五角(銀香両取り)△8五飛▲8六飛と進むのが定跡なのですが、後手の森内名人の秘策は▲4六角に対して△8六歩。ただ、結果的には本人も悔やんだ通りこの秘策が不発で羽生四冠がとりあえずカド番を一つ脱出。
森内名人は秘策こそ不発に終わったものの、棋聖戦挑戦者決定戦で激闘の末敗れた三浦八段が連採するなど密かに流行のきざしがある相横歩取りを、名人防衛のかかるこの大一番で試す心意気には脱帽。
本当に強い相手に試さないと、ホントに正しいのかどうかわからない
というのは真理とは思いますが、失うものがある状況で誰もがそれを貫けるかどうか。
羽生四冠もそうですが、進取の精神に長けた人が頂点に立つという今の将棋界はずいぶんと健全だな~とふと思うことがあります。

で、第5局を制したとはいえ、あいかわらず負けたら終わりの羽生四冠は第6局ではなんと後手番。この苦しい状況で最後にすがった戦法が相矢倉。
この戦法は、羽生世代(強さは雲泥の差がありますが、私も末席に含まれます(笑))がメキメキ実力をつけていった時代に大流行したもの。このころの居飛車党は極端な話し、矢倉を指さなければ人にあらずみたいな風潮があり、この世代にはもはやDNAにまで刷り込まれている戦法といってもいいくらいだったりします(笑)
この戦法、組み上げるまでは静かに進みますが、そこから先はノンストップのマッハオラオラ状態(爆)で、なぐりあい宇宙(笑)な前の組み上げの段階が滅茶苦茶重要で、端の歩の位置の違いだけでどっちか必勝なんてこともよくあります。事前の準備は必須事項。

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で、この局面から▲5五歩と仕掛けていった森内名人でしたが、今回も攻めが不発。見かけよりはるかに濃密な中終盤が展開された、というのが解説陣の見解のようですが、やはり先手が攻めを余されてそのまま敗れた、というのが私の第一感。
相矢倉の後手番というのは、漫然と指しているだけでは先手に死ぬまで殴られ続けるだけにかなり神経を使い、それもたいてい報われないというのが相場なのですが、そこをあの手この手でだまくらかす(笑)のが羽生四冠の強み。とても真似できません。今回は羽生四冠の快勝と言ってよいのでは。詳しい解説は、とりあえず明日お昼のBS2での囲碁将棋ジャーナルで(笑)

開幕するまでは混戦になって欲しいという淡い期待がありましたが、その願いがかない、戦いは再度の振り駒がある第7局まで持ち込まれました。
両者がどんな戦法を用意するのかも含め、大変楽しみな一番。
こうなったら私としては、第5局で相横歩取りを持ってきた森内名人の防衛に賭けたいのですが、結果はどうなりますでしょうか。
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by mitsuboshi03 | 2005-06-17 23:40 | 将棋 | Comments(0)

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