自由研究風味:天才棋士とプロ将棋の変遷

えー遅くなりましたが、佐藤琢磨さん、インディ500制覇おめでとうございます!
40歳だと正直参加するだけでも大変なのに、優勝とは!
それにしても、今回の最高齢ドライバーは49歳ですか…まだまだやれますね!(白目)

さてさて今回も将棋ネタ。
今回は多少毛色を変えまして、自由研究っぽくいってみようかと。

天才棋士が現れたから、それに対応してプロの将棋が変わるのか。
はたまた、プロ将棋の変化にいち早く対応したのが天才棋士なのか。
ニワトリが先か卵が先かみたいな議論ですが、私は両方だと思ってます。
その辺の流れを、近年の世代を代表する天才棋士4名を中心に語ってみようかなと。
天才棋士に上げるのは、谷川浩司・羽生善治・渡辺明・藤井聡太。
あまり異論はないんじゃないかと思いますが。

■谷川浩司九段(55歳)
■著名な戦績:最年少名人記録(21歳)、永世名人、四冠王
■同世代のライバル:花の55年組(高橋九段・中村修九段・南九段・塚田泰明九段など)
■ポイント:①寄せを見据えた序中盤②後回しにできる手は徹底的に後回しに

まずは「光速の寄せ」こと谷川九段。
詰将棋を解くのも作るのも得意で、終盤に絶対の自信を持つところは藤井聡太四段にも通じるところかと。
まだ何でもなさそうなところから、あっという間に敵玉を寄せきってしまう「光速の寄せ」は、当時のプロ棋士達を恐怖のどん底に陥れました。
このころ生まれたプロ将棋の潮流として、以下の2点を上げておきます。
①寄せを見据えた序中盤
序中盤のうちから終盤の寄せを見越した工夫をしておこうという考え。
これは対谷川九段研究で他のプロ棋士が徐々に取り入れていったのかなと。
分かりやすい例で言うと穴熊ですかね(谷川九段はあまりやりませんが)
終盤自陣を見なくて済むように固めておこうという発想です。
②後回しにできる手は徹底的に後回しに
この考えが普及するのはもう少し先のことになりますが、出始めということで取り上げておきます。
最初にこの考えが出てきたのは、飛車先不突矢倉や角換わり腰掛銀での▲2五歩保留から。
これまでは序盤で漫然と飛車先の歩を伸ばしていましたが、それに代えてプラスになる手がどんどん発見され、むしろ飛車先の歩を突くのをどこまで先延ばしにできるかで競争になるという時代に突入しました。
また、漫然と王様を囲う前に速攻、という潮流も出てきまして、塚田スペシャルとか中原流相掛かり、また米長流急戦矢倉や、矢倉模様で後手から急戦を仕掛ける順も流行しました。

■羽生善治三冠(46歳)
■著名な戦績:七冠王、永世六冠、タイトル在位97期、「人生の半分が王座」
■同世代のライバル:チャイルドブランド(森内九段・佐藤康光九段など)その他いっぱい
■ポイント:①常識を疑え②中終盤のパターン化③研究会

さて「鬼畜眼鏡」こと羽生三冠。
戦績に関しては今更言うまでもないでしょうね。
将棋界全体の歴史の中でも特筆すべき棋士でしょう。
森内九段に佐藤康光九段に丸山九段に郷田九段に藤井猛九段にと数多くの超一流のプロ棋士がひしめく中、これだけ卓越した戦績を上げるというのは恐るべきことです。
このころ生まれたプロ将棋の潮流として、以下の3点を上げておきます。
①常識を疑え
これまでプロ将棋で常識とされてきたことを、一つ一つ検証していったのがこの時代の大きな特徴だと思います。
羽生三冠にしても、谷川九段相手に2手目△6二銀のような手をよく試していました。
「強い人相手に試さないと、本当にダメかどうかわからないじゃないですか。」(羽生三冠談)
いやそうかもしれませんけど、本当にやらかすこたあないじゃないですか(苦笑)
またこれまで「また升田は妙な序盤を」という評価をされていた升田実力制第四代名人を、「升田先生の序盤は現代でも十分通用する」と再評価したのは羽生世代の大きな成果だと思ってます。
②中終盤のパターン化
序盤の研究はこの時代の前からも進められてきたのですが、中終盤もパターン化しようとしたのはこの時代からだと思います。
分かりやすい例で言えば、「Z」や「ゼ」(絶対詰まない)とかですね。
ちなみに、「将棋の終盤は800パターンに集約できる!」と断言したのは奨励会時代の羽生三冠でした。
③研究会
この時代のプロ将棋を語る上で外せない話題は、何と言っても研究会でしょう。
伝説の島研を始め数多くの研究会が組まれ、若手棋士は3つ4つの研究会をハシゴするのが当たり前、という時代でした。
また関西に対して関東の研究が進んでいたこともあり、村山聖九段など関西の一流棋士が関東へ多数移籍した、というのもこの時代の潮流でしたね。

■渡辺明二冠(33歳)
■著名な戦績:初代永世竜王、三冠王
■同世代のライバル:佐藤天彦名人、豊島八段など
■ポイント:①徹底的な合理化②固い、攻めてる、切れない

さて「魔太郎」渡辺二冠。
竜王戦だけの棋士、の評はありますが、賞金などの面でも最高の棋戦で誰もが獲得を狙っている中、11期という圧倒的な獲得数を誇っているのは流石としか言いようがありません。
またこの世代のプロ棋士が軒並み羽生世代に苦戦している中、互角以上の成績を上げている数少ない棋士の一人でもあります。
このころ(といってもつい最近のことですが)生まれたプロ将棋の潮流としては、以下の2点を上げておきます。
①徹底的な合理化
渡辺二冠の最大の特徴は、「自分の将棋に必要なことしかやらない」徹底的な合理化。
自分が指さない戦法は一切研究しない。長い詰将棋を考えるのは時間の無駄。大昔の将棋なんか意味がない。
徹底的に無駄を切り捨て、勝利への最短距離のルートを追求する。
とはいえ、これに特化していった同世代のプロ棋士が軒並み羽生世代相手に敗れていく中、多少は長い詰将棋や大昔の将棋などを取り入れていった渡辺二冠がタイトルを獲得していったのは皮肉なことですが。
②固い、攻めてる、切れない
自陣の囲いが固い。ずっと攻めてる。自分の攻めは切れない。
この時代の必勝パターンがこれでした。
金銀を徹底的に自陣へ引きつけ、飛車角桂歩で相手の弱点を軽快に破っていく。
攻めは細いながらも途切れることなく、要所では巧みに自陣のリフォームを。
安定して勝ち星を上げるには有効な手段ではあるのですが、研究が加熱したこともあり指す戦法が極めて限定されてしまい(事実上横歩取りか角換わり腰掛銀の二者一択、たまにゴキゲン中飛車)、特に後手番で指す戦法に苦労する棋士が増大したのもこの時代の特徴と言えます。
この閉塞感がいつまで続くかと思っていたのです、が。

■藤井聡太四段(14歳)
■著名な戦績:最年少四段記録、デビュー以来の連勝記録(20連勝、継続中)
■同世代のライバル:千田六段、佐々木勇気五段など
■ポイント:①コンピュータ将棋②居玉って意外と固いんですよ

さて最後になります藤井聡太四段。
前に上げた3人の系譜に連なるかどうかは今後の活躍次第ではありますが、今のところどう考えても外れていくビジョンが見えない、ということで取り上げました。
前人未踏のデビュー以来の連勝記録を未だ継続中ではありますが、その記録よりも内容がまた素晴らしいというのが恐ろしいところ。
序盤中盤ソツがなく、そこをかいくぐってからが本番という絶望。
詰将棋で鍛え上げた無敵の終盤力は、詰将棋選手権や炎の七番勝負などでも遺憾なく発揮されております。
この時代、というか近未来の話しになりますが、ポイントになりそうなことを2点上げておきます。
①コンピュータ将棋
やはり飛躍的な進歩を遂げたコンピュータ将棋を避けては通れないでしょう。
これまで人間が見通せなかった将棋の新しい領域をどんどん広げつつあります。
プロ棋士が最強でなくなったのは残念ではありますが、これまでの常識がどんどん塗り替えられていくのを見ていくのはとてもワクワクします。
またこれまでの研究会に代わり、コンピュータを上手に使いこなした一人研究が主流になりつつあります。
こうなると、今までとかく大都市に集中しがちだったプロ棋士が地方からも出現する可能性が広がりつつあるのかなと。
一地方在住者としては楽しくなりますね。
②居玉って意外と固いんですよ
固めてドカン、という将棋は、とかく先手有利になりがちでしたが、特に後手番から囲いを居玉、または中住まい程度にとどめて先攻する将棋が増えたように思います。
コンピュータによる研究が進んだことにより、薄い囲いでも恐れず戦えるようになったのが大きいのかと。
急戦好きな私としてはありがたい時代になったものです。
将棋は勝てませんが(涙)
あと、今まで感じていたプロ将棋から感じる閉塞感が無くなったのは大きいですね。
序盤から目が離せない、見ていてワクワクする将棋が増えて楽しいです。

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by mitsuboshi03 | 2017-06-04 10:58 | 将棋 | Comments(0)

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