ニュータイプ達のたそがれ(A級順位戦 プレビュー)

順位戦。
本来は名人戦の予選なのだが、大半の棋士は自らの生活を守るために汲々とあがき続ける場でしかない。ほんの一握りのニュータイプ達だけが、名人位への挑戦権を賭けた戦いを許される。
A級順位戦。
大半の棋士がこの舞台に立つことを夢見ては、夢破れて棋士生活に別れを告げる。
この舞台に立てるニュータイプはたったの10人。
明日は、名人挑戦を、あるいはこの大舞台に残る権利を賭けての最後の戦い。
みすみす見過ごす手は無い。

というわけで、明日3月4日はA級順位戦の最終局が行われます。
BS2での生中継。
放映時刻は10時~11時・16時(午前の部は国会中継のため中止)17時~18時・20時~22時半・24時半~25時半の予定。
解説は渡辺明竜王・森下卓九段。


ここで順位戦の説明を軽く。
プロ棋士になると、C級2組(以下C2)へ編入されます(一部例外ありますが説明は省きます)
10戦程度のリーグ戦を戦い(B2までは対戦相手は抽選、B1とA級は総当り)上位2名(C2→C1のみ3名)がC2→C1→B2→B1→Aと1クラスずつ昇級し、A級では名人挑戦を賭けた争いとなります。
A級順位戦は総当りのリーグ戦で行われます。
成績トップは名人位に挑戦。下位2名はB1上位2名と入れ替わりとなります。
ここまでの結果はこちらに。

状況を整理します。
名人位の挑戦権を最終局に賭けるのはこの2名。

羽生四冠 6勝2敗 順位 1位 最終局 vs深浦八段
藤井九段 6勝2敗 順位 7位 最終局 vs佐藤棋聖

あっという間に王将、棋王の二冠を奪取した羽生四冠
四冠取ってもこの人だとようやく元に戻っただけなように見えるところがこの人の恐ろしいところです。他の棋士なら年末の10大ニューストップ確定なのですが(爆)
ダブルタイトルマッチは王将戦の途中まで取り上げていたのだが、その後の羽生四冠の勝ち方があまりに圧倒的だったんで取り上げる気が失せました(爆)羽生四冠ごめんなさい(汗)
当然名人挑戦の最右翼なのだが、最終戦の相手は朝日オープンでも決勝に勝ち残っている難敵深浦八段。深浦八段には後で述べますが負けられない深刻な事情あり。さてすんなりいきますか。以外と順位戦は勝っていない印象があるのも気になります。
藤井九段は竜王位を三期獲得するなど一世を風靡した革新的な四間飛車「藤井システム」の使い手。といっても最近はほとんど使っていないようですが(苦笑)タイトル戦は最近ごぶさたなだけに、ここらで久々に一旗上げたいところ。最終局の相手は棋界屈指のハードパンチャー、佐藤棋聖。
ちなみに、両者勝ち、または両者負け、の場合は勝ち数で並ぶことになり、名人位挑戦のときだけの例外事項が適用されて1番勝負のプレーオフが行われます。
極めて当てにならない私の予想ですが、両者負けてのプレーオフだけはなさそう。仮にこうなった場合、どちらが挑戦者になったとしても勢いがつかないので、恐らく森内名人が防衛するのではないかと。個人的には、やはり両者勝ってのプレーオフを希望します。

※訂正します。
羽生四冠、藤井九段両者負けの場合、久保八段(5勝3敗、順位8位)が勝てば共に6勝3敗で3者プレーオフとなります。もしこうなった場合は規定により、
①久保八段vs藤井九段の1番勝負
②①の勝者vs羽生四冠の1番勝負
を行い、②の勝者が名人挑戦者となります。
ご、ごめんなさい・・・。

さて、通はむしろこちらに注目する、地獄の降級争いはこのようになっとります。

高橋九段 1勝7敗 順位10位 最終局 vs三浦八段<降級決定済>
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鈴木八段 3勝5敗 順位 6位 最終局 vs谷川九段
三浦八段 3勝5敗 順位 5位 最終局 vs高橋九段
深浦八段 4勝4敗 順位 9位 最終局 vs羽生四冠

今年はなんとまだ44歳にしてA級最年長者となってしまった高橋九段が、残念ながら昨年復帰したばかりのA級の座を守れず陥落決定。とはいえ、「タダでは死なん!」とラス前のvs鈴木八段戦で初勝利を上げ、「いっしょに幸せになろうよぉ」(爆)と鈴木(大)八段を道連れにする格好に。
残り1枠は大混戦。一番首筋が冷たいのは鈴木(大)八段で、最終局に負ければ降級確定。たとえ勝っても、三浦八段と深浦八段が共に勝てばやはり降級確定という苦しい立場に追いこまれてます。最終局の相手は関西の雄、谷川九段。
同じ3勝5敗で並ぶ三浦八段ですが、順位が鈴木(大)八段より1枚上なのが大きく、勝てば無条件で残留決定。ただ、負けると鈴木(大)八段の負けを祈らなければならなくなります。最終局の相手は降級も決まってもはや怖いものなしの高橋九段。
深浦八段は、勝てば自力で残留決定、負けても鈴木(大)八段か三浦八段のどちらかが負ければ残留が決定する一番楽な立場。ただし、最終局の相手は七冠時代の勢いが戻りつつある天下御免の羽生四冠
こういう状況だと、棋士はこんな風な考え方をするようです。
一番つらい立場なのは鈴木(大)八段ですが、勝てばほぼ残留が決まるので腹はくくりやすい。三浦八段と深浦八段が共に勝つことは全く考えていないと思います。そこまで敗北主義的な考え方をする人はそもそも棋士になれません(核爆)
三浦八段も鈴木(大)八段が負ければ残留が決まりますが、他人を当てにすると地獄を見るハメに陥るのが勝負の世界の鉄則。自分が勝つことしか頭に無いでしょう。
むしろ、一番楽な立場なはずの深浦八段の方が平静を保つのが難しいかも。自分が負けても候補の2人が片方でも負ければ残留、となるとどうしても他人を当てにしがちになるみたいですし、自力で勝つしかないと思おうにも相手はよりにもよって天下御免の羽生四冠。朝日オープンで決勝に進出している勢いをここでも見せられるでしょうか。
極めて当てにならない予想をまたさせてもらいますと、深浦八段にはいくら朝日オープンでの好成績があるとはいえ、今の羽生四冠とは勢いの差がありすぎる感あり。降級が既に決まっているので、順位のこととか生活のこととかよけいなことをすべてうっちゃってただ将棋のことだけ考えていればいい高橋九段を相手にしなければならない三浦八段もしんどそう。力戦派の鈴木(大)八段こそこういう土壇場で「火事場のクソ力」を発揮しそうな気がします。とすると、三浦八段が高橋九段と手に手を取って仲良く降級(我ながらなんて表現だorz)なことになりますが、さてどうなるか。

さて、名人挑戦や降級に絡まない棋士はのほほんと指していればよいのか。
甘い。甘過ぎます。
降級争いの表をもう一度ご覧下さい。
鈴木(大)八段と三浦八段の差はわずか順位1枚のみ。
だが、そのわずか順位1枚の差が生死を分けているわけです。
今年の順位は、前年の成績順に並べられてます。
ということは、今年頑張っておけば、来年得をすることもあるわけです。
名人挑戦の場合も、2人の星が同じならすんなりプレーオフですが、3人以上星が同じになった場合は、
<順位が一番下vsブービーが1番勝負>
→<勝者が順位上位者と1番勝負>
→<すべて勝ち抜いたら名人挑戦>
という流れになりますので、やはり順位が上のほうが有利です。
また、制度上では差がありませんが、A級5位までと、6位より下との間には目に見えない線があるようで、「A級の上」「A級の並」くらいの格付けをされるようです。
将棋界は以外と信用と格付けがものを言う世界で、同じような局面でも、
「こいつは強いからこの後は間違えないわ。あきらめよう
「ああ、こいつなら粘っていればなんとかなるから、もう少し頑張ろう
となることもままあるため、自分の格付けにはとことんこだわります
この辺のことを頭に入れながら中継を見ていると、より面白くなるのではないかと思います。

持ち時間が6時間と長丁場の対局になりますので、ゲームやネットをやりながらテレビを見ているといい按配かもしれません。
見られる環境の方は、ぜひ。
なお、より現場に近い感覚で見たいという方なら、東京・大阪・名古屋で行われる大盤解説がよろしいかと。特に東京や大阪の会場は、対局場と同じ将棋会館で行われますので、より臨場感が増すのではと。
詳しい情報は、こちらの将棋連盟HP内にある「大盤解説会 東京・大阪・名古屋」の部分をそのままクリックすると出てきますよ。

と書きながらふと将棋連盟HPを覗いて見ると、
しまったー、今日はプロ棋士昇格を決める三段リーグの最終戦だったー!
今年は例年になく10代の候補者が多いようですが、さて結果はどうなるか。
A級順位戦のレビューと共にお送りする予定です。
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Commented by hosokawa18272 at 2005-03-04 23:04
A級って10人しかいないのね。
棋士の世界も厳しそうですねー。
にしても、やっぱ羽生ニイはバケモンだ。(爆)
Commented by mitsuboshi03 at 2005-03-05 08:36
おう、こちらも。
うpもうちょい待っとくれー。
by mitsuboshi03 | 2005-03-03 15:22 | 将棋 | Comments(2)

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