羽生二冠、A級全勝で名人に挑む(A級順位戦 最終戦)

最近ちょこっと暖かくなってきました。
暖かいのはいいんですが、こうなってくると、
ああ、花粉が・・・(涙)
今年は史上最低レベルと医者が言っておりましたが、本当かしら。

今回はこないだの金曜日に行われた将棋のA級順位戦最終戦の模様をかんたんに。
細川氏のblogに遊びに行ったら、ちゃんと見てたようですので早めに更新しまつ。

いつもはBSプレミアムの中継を途中まで見て、耐え切れなくなったところで寝たあとで翌日に録画を見る、というのが私なりの定跡手順なのですが、今年は中継が深夜0時開始とのことで当初から生放送を見ることを断念。
代わりにニコ動の中継が夜9時からあったのでそちらを見ることに。
やっぱり順位戦は夕食休憩明けからが面白いところなので、せめてこれくらいの時間から中継していただけるとありがたいです。
ニコ動の解説は感覚派でややネタ系2chの将棋板では「・・・と力強く断言」のテンプレでお馴染みな行方八段に、研究派で知られ、あの渡辺二冠や宮田「スーパーあつし君」と同門(所司七段)の松尾七段と、詰将棋作成では今やプロ棋士第一人者では、との声もある北浜七段というマニアック実力派棋士トリオ。
「将棋界の一番長い日」ですので、こういう実績のある棋士の解説がいいですね!
夜戦に入り、やっぱりサーバが落ちた毎日の棋譜速報を投げ捨て(有料なんでそこは頼みます毎日とnifty)、ニコ動の中継を頼りに観戦していくと、早くも投了の声が・・・

○三浦八段(5勝4敗) - ✖屋敷九段(5勝4敗)

なんと夜10時前に投了となったのがこの一番。
地味ながら順位にかなり響く一番だっただけにやや意外でしたが、40手目に屋敷九段が指した△2四銀の疑問手を境に局面が急変。屋敷玉が露出してしまったのが痛く、さすがの屋敷九段をもってしても粘りきれなかったようです。三浦八段は持ち時間6時間のところわずか4時間しか使いませんでした。
横歩取りも定跡が大分整備されてきましたが、こういう落とし穴がいたる所にある戦法なので要注意。

✖佐藤九段(4勝5敗) - ○渡辺二冠(7勝2敗)

続いて夜10時に投了となったのがこの対戦。
佐藤九段が5筋を突き合う→ダイレクトで向かい飛車→11手目に▲4八金!という趣向を見せます。
「先手番なんだからそんな無理しなくても」と大多数の棋士は思うでしょうが、思いついたら”やるよ、やるよ、やっちゃうよ”と指しちゃうのが佐藤康光クオリティ(佐藤康光に代えて藤井猛でも可w)
結果的には渡辺二冠が佐藤九段の趣向を的確に咎めて勝利したわけですが、こういった前例のない将棋で冷静な指し回しが出来るのは実力のある証拠。
渡辺二冠は最終戦にしては珍しく、勝っても負けても順位が変わらない立場でしたが、きっちり勝ち切りました。

夜10時に2局終了。
A級順位戦の最終戦にしてはちょっと早過ぎますねー。
このままポンポン進むのかしらん。
と思って見てましたが流石にそんなことはなかった。

○高橋九段(2勝7敗) - ✖谷川九段(5勝4敗)

こちらは夜12時前とほぼ通常ペースで決着。
しみじみと相矢倉だとばっかり思ってましたが、高橋九段が先手番で横歩を取らせるという趣向に出ました。
先に竜を作った高橋九段がポイントを稼ぎましたが、谷川九段もしぶとく食らいついて決め手を与えません。
が、やっぱりそのポイントが大きかったようで谷川九段をもってしても局面を挽回するには至らず、高橋九段が大変貴重な2勝目をゲットしました。

高橋九段は緒戦と最終戦に関西所属棋士(久保二冠、谷川九段)を下した以外は全敗。
4勝5敗でも落ちることがある(深浦九段の得意技(涙))このA級では、いつもなら残留には全然届かないペースですが、今年はこれでも残留の目があります。
この運を、活かせるかどうか。

○羽生二冠(9戦全勝!) - ✖郷田九段(4勝5敗)

先ほどの高橋-谷川戦が終わった直後にこちらも終了。
正統派居飛車流の使い手ながら、ここ一番で奇策を放つ郷田九段が選んだのは一手損角換わり。
普通は奇策じゃないんですが、郷田九段は「棋理に反する」とこれまでこっちを指したことがなく、一貫して普通の角換わりを指してきただけに、十分奇策となります。
郷田九段もやはりここを大一番と見て、とっておきを用意してましたね。
燃える展開です。

互角の中盤戦となりましたが、夕食休憩後に郷田九段が48手目に指した△6三銀と腰掛銀を右辺に使う発想がどうも良くなかったようで、羽生二冠に▲4六角を許してからは羽生ペース。終盤もきっちりまとめて9戦全勝を達成しました。とはいえ、郷田九段が△6三銀と指すまではむしろ郷田九段持ちの声もあり、長い序中盤で見ごたえのある、A級順位戦最終戦らしい濃厚な一局となりました。

羽生二冠は、今回史上初となる「10人全員タイトル保持経験者」となったA級順位戦で9戦全勝を達成。
このメンツを相手に9戦全勝というのは、やはり凄い。
名人戦もこの調子で突き抜けたいところ。

んで、残ったのがやっぱりこの対戦。
ここで耐え切れず生中継観戦を断念しました(涙)

○丸山九段(2勝7敗) - ✖久保二冠(2勝7敗)

負けたらA級陥落決定。
丸山九段は勝ってもダメな目がありますが、とにかく勝つしかない。

久保二冠はゴキゲン中飛車から△4四銀として穴熊を目指す最新流行系に。
丸山九段も研究派で流行には敏感なだけに、こちらも流行の「超速」からの穴熊で応じます。
お互い寒い立場なので、せめて玉の囲いだけでも暖かくしたいようです(笑)
降級がかかった大一番とあって、控室の研究にも熱が篭ります。

途中難解な局面もありましたが、どうも丸山九段の模様が良かったよう。
相穴熊は、お互いの玉の安全度を読み切りやすい分、ちょっと差がつくとお互い間違えにくいので逆転が難しい戦法。プロではうちらの穴熊のように「おーざっぱに捌いて、あとは野となれ(ry」なことをやってるとすぐ負けます。
とはいえ、どこで差がついたのかはちょっと分からない。
流行系だけに、今後研究が進むものと思われます。

というわけで、結果が出揃いました。

 1 羽生二冠 9戦全勝 名人挑戦
 2 渡辺二冠 7勝2敗
 3 三浦八段 5勝4敗
 4 谷川九段 5勝4敗
 5 屋敷九段 5勝4敗
 6 郷田九段 4勝5敗
 7 佐藤九段 4勝5敗
 8 高橋九段 2勝7敗
 9 丸山九段 2勝7敗 B1へ降級
10 久保二冠 2勝7敗 B1へ降級

名人挑戦権は9戦全勝で羽生二冠がゲット。
注目の降級争いは高橋九段が最後の椅子ゲットに成功。
久保二冠はタイトル保持者ながら、また丸山九段は名人経験者ながら降級の憂き目に。
密かに注目されていた3位争いは三浦八段が直接対決を制してゲット。
これで落ちる心配をあまりしなくて済みますので、大きな1勝でした。

例年に比べあっさり終わった感の強いA級順位戦でしたが、羽生二冠の9戦全勝とか、激しい残留争いとか、見どころも多く楽しめました。
来年もまた楽しめるとよいですな。

最後に名人戦の行方ですが、森内名人が今期通算勝率が僅か3割と絶不調。
対して羽生二冠は9戦全勝で名人挑戦権をゲット。
現時点での勢いの差は明白ですが、持ち時間の長い名人戦に強い森内名人ということもあり、序盤で羽生二冠が後手番をブレークできないと森内名人が調子をグングン上げて防衛、ということも十分考えられます。
序盤戦の攻防が最後まで響きそうな名人戦となりそうですね。 
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by mitsuboshi03 | 2012-03-04 10:40 | 将棋 | Comments(0)

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