今度は本当です(竜王戦第7局)

さすがに今年のうちにはやっとこう、というわけで、
いまさらではありますが竜王戦第7局の模様を。

いつものように全体の棋譜はこちらをご覧下さい。

第7局の会場は、地震の爪痕がいまだ残る新潟は南魚沼郡にある『龍言』。
結果はともかくとして、今回この地でタイトル戦を戦うことができたのは良かったのではないでしょうか。将棋界からのささやかなプレゼントといったところです。

運命の振り駒は、森内竜王の先手。
となれば、戦型はこの7番勝負ではすっかりおなじみの△8五飛型横歩取り、またの名を中座飛車で決まり。
前にやりましたかんたん講座を見返しながらご覧あれ。

今回は31手目まで第2局といっしょ。
第2局で渡辺六段は△5四歩とここ五年ほど指されていなかった手を指しましたが、本人がみんなやらない理由がよおくわかった(一部誇張有り)と語った通り高い授業料を払う結果に
今回は無難に△7五歩。以下55手目の▲6六歩まで前例の通りに進みます。・・・前例を知っていないと冷や汗が出る展開ですが(笑)
56手目の△8八歩から封じ手の▲8八同銀を挟んでの△3六歩が渡辺六段今回の目玉。△8八歩▲同銀と先手の左にある銀を8八へおびき出すことによって、先手の玉の逃げ道をふさいでいるのが後手のメリット。この銀は壁銀と言って、一般的に悪い形とされています。ただ、先手にも貴重な一歩を渡すことになるので、どっちが得かは微妙なところ。ちなみに、渡辺六段のお話では単に△3六歩とするのは後手良くないとのことです。
ここから後手は、1九に閉じ込められていた馬が1八への脱出に成功。また2五にあった歩をぐんぐん伸ばしてと金も作り、着実に先手玉に迫ります。一方、動きが窮屈になっていた飛車を叩き切った先手も、後手に攻めを催促されながらも8八に動かされた銀を手順に活用しようとしますが、77手目の▲8六銀とさらに銀を活用した手がよくなかったよう。同じ手のようでも▲6六銀と中央に睨みを効かせる方がよかったようです。以下、後手が88手目に指した△1七馬と自陣に馬筋を利かす地味な好手で先手の攻めが頓挫し、さらにはさきほど出来たと金が先手の3八の銀と4九の金を奪う展開になってしまっては勝負あり。竜王位は渡辺六段の手にわたることになりました。

羽生世代が下の世代にタイトルを明け渡すのは初めてのこと。
また、渡辺六段の20歳8ヶ月のタイトル奪取は屋敷棋聖、羽生竜王(いずれも当時)に続く史上3位の快挙です。奇しくも、羽生が初めてのタイトルである竜王位を奪ったのは、渡辺竜王誕生のちょうど15年と1日前、1989年12月27日のことでした。
そのときは8戦目までもつれる大熱戦となりましたが、今回も、もし第7局が引き分けとなった場合は、1月3、4日に第8局を行うという、通常ではありえない日程が予定されておりました。

今回のタイトル戦は、森内前竜王が第1戦と第5戦で力戦型に持ちこもうとした以外は、互いの研究のどちらが勝るか、という展開になりました。そのためどちらかというと、終盤までのねじりあい、というよりは、序中盤にかけてどちらがポイントを奪って逃げ切る、というような将棋が多かったです。どきどきわくわく感には欠けますが、1日目から目の離せない緊張感ある7番勝負になったと思います。特に横歩取りになったときは、1日目で決着がついたらどうしようとか本気で考えそうになることもありましたね(笑)これは渡辺新竜王の前からの作戦だったようです。

ともあれ、この7番勝負が新時代の幕開けになるのは、ほぼ確実でしょう。
渡辺新竜王には、次の竜王戦の前に、何か一つはタイトル戦に挑戦して欲しいですね。
あと、渡辺新竜王の同世代の棋士たち(例えば山崎六段など)には今回の7番勝負が刺激になったはず。遅れをとらずに、がんがん羽生世代に挑戦して下さい。

ああ、あっという間に新年になってしまった。
二年越しの記事になって格好が悪いですが、今年もよろしくお願いします。
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Commented by hosokawa18272 at 2005-01-05 21:31
いまさらになってしまいましたが・・・・
渡辺パパ頑張ったねー。(笑)
毎回の事ですが、やはり棋譜を解説してもらえると、解かった気になります。(爆)
「横歩取り」ねー。理屈では解かったつもりでも、実戦じゃあ使えないんだろうなー。
Commented by mitsuboshi03 at 2005-01-07 21:25
こちらもいまさらのコメントでごめんなさい。
二年越しで必死になって書いた記憶がよみがえる(笑)
渡辺パパはさっそく年初のイベントから全力投球のようでなにより。

今度は「後手一手損角替わり戦法」の解説を早めにやっときたいです。
歴史を踏まえないとちっとも良さがわからない戦法なので、かんたんに書くのは難しいのですが、プロでは定着しつつある戦法なので。
by mitsuboshi03 | 2005-01-01 00:44 | 将棋 | Comments(2)

スポーツ、将棋、ミリタリー、オタクネタ、地元長野ネタなど節操なしに書きまくります


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