将棋つめちゃいました(年度末に向けて その2)

今年もアウグストゥスを呪う時期がやってきましたよ。
8月が30日でなぜ悪いんだ。
ただでさえ少ない2月から1日持っていくこたあねえじゃねえかコンチクショー!

それはさておき。
将棋界の3月といえばまさに年度の総決算。
プロ棋士にとって命より大事な順位戦の決着がつく月であります。
今回は、その順位戦の動向を中心にお送りします。
(こちら)←の表(将棋連盟HP)を見ながら読んでもらうとわかりやすいかと。

★A級【総勢10名 最終局 3月2日(水) 成績トップは羽生名人に挑戦 降級2名】

まずはA級から。
名人挑戦権争いは2人に絞られましたが、降級争いがいつにも増して熾烈。

まずは名人挑戦権争いからいきますと、谷川九段が前期と同様に開幕4連勝と抜け出したものの、その後も前期と同様に4連敗で失速。代わって森内九段が1敗でトップに立っていたのですが、2月2日に行われたラス前の対局で郷田九段に敗れ、2敗をキープしてきた渡辺竜王に追いつかれることとなりました。
この二人の最終局ですが、森内九段は先手番で久保二冠と対決。渡辺竜王は後手番で丸山九段に挑むことになってます。
これを踏まえて勝敗予想をしますと、まず森内九段は剣の切っ先が読みづらい上に切れ味抜群な久保二冠を相手に先手を持って戦える分、若干有利。対して渡辺竜王は、後手番で「2手目に△8四歩と指す」タイプの居飛車党なため、丸山九段得意の角替わり腰掛け銀をまともに受ける格好となります。
丸山九段はこの戦法で名人二期を獲得している上に、近年すさまじい勢いで研究が進み、「先手必勝戦法」に最も近い存在とされている角替わり腰掛け銀を凌ぐのは、渡辺竜王といえども容易なことではありません。渡辺竜王が勝ち上がれば名人奪取の可能性はそれなりにありそうですが、果たして肝心の挑戦権を取れるでしょうか。

順位戦は、このように先手後手があらかじめ決まっているのが大きなポイント。アマチュアほどではないですが、プロ棋士でも先手の方が勝率は高いんで、勝敗予想をするなら押さえておかなければなりません。なお最終局は直接対決でないため、名人挑戦権争いに限り、お互いに勝ち勝ち、あるいは負け負けの場合はプレーオフとなります。

なお普通の昇級降級争いは、前期までの勝敗によって決められた順位の良い順に有利となります。
とにかく、この順位が超重要。
数年前の1勝差でついた順位で、昇級降級争いに泣くことも多いです。

「順位戦に消化試合なし」

これ、覚えておきましょう。

一方の降級争いですが、2勝5敗でラス前を迎えた藤井九段と木村八段が共に勝ったため、挑戦権争いをしている2人を除く8名が3勝あるいは4勝にひしめく大混戦となりました。
状況をもう少し整理しますと、まず三浦八段vs木村八段の3勝5敗対決があるので、負けた方がまず脱落。三浦八段と木村八段は順位がいいんで、勝てば恐らく(三浦八段は必ず)残留決定。
次に苦しいのが藤井九段で、高橋九段に負ければそれまで。勝っても順位が悪いので降級の可能性あり。だが、まずは目の前の戦いに勝たなきゃ何も始まらない。
順位8位の2勝5敗から残り二戦を連勝で残留なら、奇跡の大脱出劇爆誕!となりますが、はたしてどうなるか。
個人的にはA級で独特の矢倉早囲いをまだ見たいのですが。

8名のうち2名が脱落するイス取りゲーム。
生き残るのは、誰か。

例によって例のごとく、3月2日(水)の最終局は「将棋界の一番長い日」としてBS2で随時生中継(お薦めは大詰めの深夜枠)されます。またネット中継や大盤解説会もありますので、お好きな方は是非是非。

★B級1組【総勢13名 最終局 3月11日(金) 昇級・降級2名】

将棋界で「鬼の住処」と呼ばれるB級1組。
A級クラスの実力者がひしめく激戦区であり、またこのB級1組から総当たり戦となるため、完全に実力勝負の世界であることからそう呼ばれています。

昇級争いですが、まず佐藤(康)九段が早々に抜け出して既に昇級を決めてます。いかにB級1組といえども、さすがに佐藤(康)九段は実力が違った模様。来期はまた名人挑戦権争いに顔を出してもらわないと困る存在。
残る1枠ですが、開幕3連敗から7連勝で抜け出した屋敷九段に、開幕3勝3敗から残る5戦で4勝を挙げた松尾七段が争う形となりました。最終局がこの2人の直接対決なため、勝った方が昇級という判りやすい構図に。
屋敷九段は既に棋聖位を獲得している実力者ですが、順位戦では苦労しました。昇級すれば初めてのA級となります。一方の松尾七段は、渡辺竜王・宮田六段という蒼々たるメンツを誇る所司一門の実力者。固さと組みやすさを兼ね備えた居飛車穴熊「松尾穴熊」の創始者であり、また△8五飛型横歩取りを早くから採用した研究家でもあります。

降級争いですが、こちらもまず豊川七段が最終局を待たずに降級決定。残る1枠は唯一4勝7敗の杉本七段が候補者なのですが、もし杉本七段が勝ちますと、順位の悪い中田(宏)八段・中村九段・畠山(鎮)七段の順に危なくなります。
この3人が勝つと、杉本七段が最終局に勝っても落ちるのですが(涙)

★B級2組【総勢24名 最終局 3月4日(金) 昇級2名・降級点4名】

良くも悪くも将棋界の中堅クラスと言えるB級2組。
ここまで上がると賞金で大分稼げますし、なにより成績が悪くても1期では下に落ちない(2期でアウト)のが大きなポイント。ただ、もっと上にのし上がろうとするのであれば、ここでうかうかしていると後輩にしてやられるポジションでもあります。

まず昇級争いですが、ここまで8勝1敗の中川八段と橋本七段が自力。ただ2人とも最終局で後手番を引いているのが不安材料。かつ、橋本七段はいわゆる破滅型(爆)の棋士で、「安定感」という言葉から良くも悪くも遠いのが単勝馬券を買う意欲を失わせます(待て)
いくらなんでも、格から言って(非公式戦とはいえ)里見女流三冠に負けてはいけません。
というわけで、7勝2敗で続く阿久津七段・北浜七段・島九段にも十分チャンスはあります。いや、むしろ橋本七段の単勝よりは、とっくにA級でもおかしくない実力の阿久津七段や、このクラスであれば安定感抜群の北浜七段の単勝馬券を買いたい情勢かと(笑)

さて降級点争いの方ですが、ここまで1勝8敗の森下九段がまず決定。2勝7敗の田中(寅)九段や佐藤(秀)七段の降級点も濃厚で、残る1枠(田中(寅)九段が勝てば2枠)を6人の3勝6敗勢が争うこととなります。順位の良い先崎八段も安穏とはしていられません。

★C級1組【総勢32名 最終局 3月15日(火) 昇級2名・降級点6名】

大所帯のC級2組を抜けた若手に待ち受ける最初の関門が、ここC級1組。
C級2組から上がったばかりの活きの良い若手3名がまず潰し合う上に、実力はA級クラス、あるいはタイトルを獲ってもおかしくない棋士が昇級争いに加わります。
とにかく上がるのが大変なクラスで、ここで大分足止めを喰らった実力者も多いです。

「9勝1敗でも上がれない」悲劇がまま見られるこのクラス。
今年もそのジンクスが顕著に表れていて、広瀬王位・田村六段・村山五段・佐々木(慎)五段が9勝1敗で最終局を迎えることに。まず広瀬王位がまだここに居るのが信じがたいのですが、たとえタイトル保持者であっても上がるのが大変なのがこのC級1組の恐ろしいところ。幸い順位はこの中で1番良いので、とにかく最終局に勝つしかありません。秒読み将棋に滅法強い「マッハ」田村六段が自力なのですが、この人も安定感という言葉からほど遠いので(笑)、むしろトッププロに負けない研究家の村山五段を本命にしたいところ。

降級点争いですが、最終局を終えて1勝や2勝ではまず脱落決定。順位が下の3勝7敗勢が1人2人くらい喰われるかもしれません。降級点争いをしている中で、今期降級点を喰らうと降級してしまうのは、「息子も(人の良い)プロ棋士」西川七段・「データマン」勝又六段「教授」・高野五段・「大ベテラン」田中(魁)九段。

★C級2組【総勢42名 最終局 3月8日(火) 昇級3名・降級点8名】

フリークラスが出来るまでは50名を越える大所帯だったこともあるこのC級2組。
とはいえ、それでも42人の中からたった3人しか上がれないという狭き門であることに変わりはありません。なおかつ、最近ではプロ棋士になったばかりの活きの良い若手であっても降級点を喰らうほど競争が激化しております。C級2組の賞金では所帯持ちが暮らすのは難しいだけに、とにかく上がれるときに上に上がらないといけないクラスと言えます。

以前だと全勝、あるいは順位上位の9勝1敗が昇級のノルマでしたが、競争の激化に伴い、そこまで飛び抜けた成績を上げることが難しくなってきました。今期も渡辺竜王の研究相手である佐藤(天)五段が9戦全勝、「爆発したら実力A級」糸谷五段が8勝1敗で既に昇級を決めてますが、残る1枠は6名の7勝2敗勢が争うことになります。
この中では順位が最も良い横山五段が自力ですが、今期新人王戦を優勝した阿部(健)四段という難敵に勝つ必要があります。ちなみに、阿部(健)四段も7勝2敗なので、勝てば僅かながら昇級の可能性あり。
また、残るメンバーも棋聖戦挑戦権争いを演じた稲葉四段に遠山四段・「変則袖飛車使い」澤田四段・「トッププロも認める研究家」菅井四段といった若手実力者がひしめきます。たとえ今期上がれなくても、来期に向けて順位を少しでも上げるために、最終局には全力で挑みます。

一方降級点争いですが、順位下位の3勝7敗勢までが喰われそう。
なお、今期はフリークラスに落ちる棋士は出ない模様。
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Commented at 2011-02-27 21:32 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
by mitsuboshi03 | 2011-02-27 14:52 | 将棋 | Comments(1)

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