将棋つめちゃいました(A級順位戦 決着)

雑誌までは追いかけてませんが、単行本は買ってます『3月のライオン』。
公式サイトや凝ったCMまでとえらくプッシュされております。
この分だとTVアニメ化も近そうですが、絵柄といい鬱展開といい将棋ネタといい、人を選ぶマンガなだけに、あっという間にブーム終了、という展開にもなりかねないのでやや心配なところ。
個人的には、細く長~く続いて欲しいマンガなのですが。

さて今回は、その『3月のライオン』の主人公、零くん(こう書くと別のイキモノを想像しそうだw)が目指す目標の一つ、A級順位戦です。
長いこと追っかけてきましたが、いよいよ今期もラストです。

A級順位戦の最終戦、いつものように3月3日のひな祭り、だと思っていたのですが、今年は2日だったのですね。当日に気づいて、慌ててBS2の録画予約を。ぬかってましたわw
というわけで、すっかり既報ですが、A級順位戦の最終戦の様子を。
ソースは、枕にも出ましたBS2の『将棋界の一番長い日』の深夜版とネット中継。
朝と夕方の中継を挟んで、23時~2時の時間帯に生中継というこの深夜版、去年は番組開始前に終わったのが1局、番組終了までに中継できなかったのが1局というNHK的にはイヤ~ンな展開になりましたが、今期は時間内に収まりますか。
なお、某ワークス内部でもenziセンセに続いて寝落ち率の高い私が生でこんな放送を見ていられるわけもなく、後日録画したのを見ながら書いておりますw

今期はさすがに番組開始前に終わることはなかったのですが、番組開始後にバタバタと進行してあっという間に終わったのが、「名人挑戦権キャンセル待ち決定戦」の谷川九段vs高橋九段戦。
高橋九段得意の横歩取りから、最終盤に谷川九段が▲2四角といつものように「光速の寄せ」を見せたのが、実は寄せになっていなかった、という最近残念ながらありがちの展開に。一手のミスが命取りとなるA級順位戦の最終盤でこんな見損じが許されるはずもなく、いくばくもなく谷川九段投了。まずは高橋九段がプレーオフの権利を獲得することに。
谷川九段は5勝1敗と一時は名人挑戦権争いの単独トップに立ちながら、そこから無念の3連敗。本人から”開幕4連勝は出来過ぎ”というやや寂しい発言も出てましたが、やはり40も半ばになるとどうしても終盤のミスが増えるだけに、もう一頑張りするためにはモデルチェンジが必要かも。
一方一足お先にモデルチェンジに成功した高橋九段。先手番での主力である矢倉の強さはそのままに、課題の後手番対策に横歩取りを習得。A級昇級だけでなく、名人挑戦権争いをにぎわす大活躍を果たす原動力となりました。兄弟子の米長名誉棋聖は「50歳名人」という記録を持っておりますが、高橋九段は来期、50歳となります。ひょっとしたら、ひょっとするかも?

続いて終わったのが佐藤(康)九段vs丸山九段戦。既に佐藤(康)九段の降級が決まっているということもあってか、NHKの中継では一番の過疎っぷり扱いを受けておりましたが、実は丸山九段は勝てばプレーオフの権利を獲得できる大一番でした。が、そういうときに限って、既に運命が決まって気楽な立場の佐藤(康)九段の手が伸びる展開に。佐藤(康)九段オリジナルの「角交換からいきなり向かい飛車」戦法を自在に操り、難解ながらも丸山九段に”優勢だと思ったことは一度もなかった”と嘆かせる一局を完結させました。
A級順位戦では不調をかこった佐藤(康)九段ですが、棋王戦で番勝負に進出するなど、決して実力が落ちたわけではありません。業界風に言うならば、”居座られるとB1のメンツが迷惑しますので、とっとと1期で復帰して下さい”てな感じでしょうか。
丸山九段は「開幕3連敗からの名人挑戦」の夢は残念ながらかないませんでしたが、それでも残留争いを覚悟しなければならないところからここまで盛り返したのは、名人2期の面目躍如といったところでしょう。来期は、開幕から堂々と挑戦権争いに加わってもらいたいものです。

NHK中継での解説役の一人、先崎八段が”谷川九段vs高橋九段戦の次に終わる”と語っていた森内九段vs藤井九段がここで終了。ただし、先崎八段が優勢だと言っていたのは藤井九段でしたが、実際に勝ったのは森内九段。ということで、中継を見た当初は「終盤の不安タジスタ」藤井九段がまたやらかしたのか、と思っていたのですが、ネット中継では難解な終盤戦だったよう。しかし、終盤の入り口で五分の分かれなら、森内九段としては悪くない展開だったのではないかと。ちなみに戦型は後手番の藤井九段が角交換型四間飛車を選択しております。
というわけで、大絶賛降級争い中の藤井九段は、首筋の冷たい思いをしながら感想戦を行う羽目に。
一方森内九段は、最終戦でギリギリ「A級在位中、すべて勝ち越し」という記録をクリア。しかし、最終戦で勝ち越しを決めるというのは永世名人にとっては不満なところ。来期は挑戦権争いをしながら、せめて新年あたりには勝ち越しを決めたいところか。

そのころ、降級争いのもう一方の主役の井上八段は、木村八段を相手に絶望的な戦いを挑んでおりました。
脇システム風の角が向かい合う相矢倉から、先手の井上八段が攻めに攻めたものの、木村八段得意の巧妙な受けに攻めを切らされてしまいました。せめてもの抵抗にと150手と手数を掛けて入玉だけは果たしたものの、引き分けとなる持将棋の条件には駒が5~6枚足りない。
さんざん粘って粘って粘り抜いたものの、勝利の女神は井上八段には微笑みませんでした。
というわけで、藤井九段は3勝6敗ながら冷や冷やもののA級残留が決定。この夜は、ホロ苦くも、おいしいお酒を呑んだんじゃないでしょうか。
最後は残念な結果になったとはいえ、口の悪い業界筋(この業界の住人は、概して口が悪いw)から「降級候補筆頭」の烙印を捺された井上八段の健闘は光りました。惜しむらくは、開幕3勝1敗で、少しながらも見えてしまった名人挑戦権争いに思いがいっちゃったのかなと。中盤からの5連敗はさすがに痛すぎました。

最後に残ったのは、挑戦権争いの主役、三浦八段。
棋界屈指の研究家として知られる三浦八段は、郷田九段を相手に、いつものように「指定局面」(今回は後手番のときの切り札である横歩取り)まで時間をかけずにさっさと指し、いつものようにおもむろに長考。一方、漢の浪漫回路がギュンギュン回る郷田九段は、いつものこととはいえそんな展開にムッときたのか、とにかく相手の主張を通させない意地の一手に徹することに。
こーなったら二人とも意地の張り合いです。ぐちゃぐちゃです。優劣不明の展開です。
まあ、そうなっちゃうと、長くなりますよね。

意地の張り合いを制したのは、三浦八段でした。
すっきりと、自力で初の名人挑戦権をたぐり寄せました。
本局は、その栄誉にふさわしい一局だったと思います。
おめでとう。でも、これからですね。

郷田九段はこれで4勝5敗と負け越しが決定。順位は下がりますが、去年のような大爆発があるのがこの男の怖いところ。来期は、爆発する、年?

とーいーうーわーけーでー。
来期のA級順位戦はこうなります。

 1位 羽生名人vs三浦八段の敗者
 2位 高橋九段
 3位 森内九段
 4位 丸山九段
 5位 木村八段
 6位 谷川九段
 7位 郷田九段
 8位 藤井九段
 9位 渡辺竜王
10位 久保棋王

高橋九段が2位に大躍進。一方3~5位は去年からそのままスライド。木村八段は、結果的には最終戦で業界用語的に「A1級」と呼ばれる5位を確保しました。一方降級した佐藤(康)九段と井上八段に代わり、渡辺竜王と久保棋王がA級にやってきます。久保棋王はすでにおなじみとして、A級初見参となる「次世代の旗手」渡辺竜王の活躍に期待ですね。

さて名人戦七番勝負ですが、奇しくも三浦八段が「七冠を阻んだ男」として躍進するきっかけとなった羽生名人との対決となりました。とはいえ、研究家で流行りの戦法や手に傾斜することが多いという三浦八段の特質が判ってしまえば、羽生名人としては対策はたやすいのか、ここ最近では羽生名人の10連勝となっている今回のマッチアップ。三浦八段は、とにかく1勝、特に先手番を落とさないことが当たり前とはいえ重要なこと。特に振り駒で先後が決まる第1局で先手になったときには要注意。
思い入れを抜きにした予想として、羽生名人があっさり防衛する確率が8割、苦しみながら三浦八段が名人を奪取する確率が2割と見ます。

あー、今年もA級順位戦は面白かった。
今年はNHK中継の時間内に収まったみたいで、NHK側としてもホクホクだったんじゃないかと。
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by mitsuboshi03 | 2010-03-06 21:05 | 将棋 | Comments(0)

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