A級順位戦 ラス前

書こうと思えばネタはたくさんあるけれど、今日も今日とてニコ動三昧…ではいけませんね、ハイ。
「今日こそは 真面目に 学校行くぜ」のノリで、今回は将棋のA級順位戦をごりごり書きます。

A級順位戦もいよいよ終盤戦、ということで、ラス前の第8回戦からは全局一斉対局となります。
史上希に見る大混戦だった今期のA級順位戦も、やっとゴールが見えてきました。
今回は、2月4日に行われたラス前の戦いをさらっと総ざらいします。
ちなみに、先に名前が挙がった棋士の先手番で、カッコ書きの勝敗は第7回戦までの勝敗を表しております。

☆佐藤康光棋王(4勝3敗)vs森内俊之九段(4勝3敗)

負けた方が名人挑戦権争いからほぼ脱落、という大一番。
ここで佐藤棋王が選んだ戦法は、ちょっと懐かしい矢倉の早囲い。▲7八金を一旦保留し、▲7九角から王様を入場させて矢倉囲いを完成させる指し方です。▲7八金から▲7九角→▲6八角と角をどかしてから王様を入場させる通常の矢倉の囲い方より一手早く矢倉に囲えるのが大きな魅力。
一時は矢倉の新定跡としてもてはやされましたが、後手の急戦を受けづらいという欠点が嫌われ、あっという間に衰退。ところが、つい最近になって振り飛車党の藤井九段が突如この戦法をひっさげて高い勝率を上げ、再び表舞台に立つようになりました。
後手の急戦を恐れず乱戦に持ち込むのがミソで、こと殴り合いに関しては将棋界屈指の実力者である佐藤棋王にはまさにうってつけの戦法。今ごろは、”なんで今までやらなかったんだろう”と思ってるんじゃないでしょうか。
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図の△8五歩までで森内九段が上手く局面を収めたのではないかと思われていたのですが、ここから▲7五歩!△同歩▲7三歩と強引に打開したのが佐藤イズム。△7三同桂なら▲5一角、はまだ判りますが、放置して例えば△2二玉とでもしておくとすかさず▲7二角と打たれ、そこで△5二角と受ければ▲8一角成!△同飛▲7二歩成と暴れてOK、というのを▲7五歩を打つ前に読み切るのは常人には無理でございますorz
ここで森内九段は△7三同桂でも△2二玉でもなくなんと△4二玉!と指し、以下ベルリンを火の海にされても徹底抗戦を続けるドイツ軍のように延々と必死の粘りを続けたのですが、先手玉を攻める手番はついに回ることなく、あえなく佐藤棋王の軍門に下ることとなりました。

☆鈴木大介八段(3勝4敗)vs藤井 猛九段(3勝4敗)

こちらは勝てばA級残留がほぼ濃厚となる「後ろ向きだけど大事な一戦」。
前述の通り、最近は「矢倉、はじめました」の看板もすっかり板についてきた藤井九段ですが、相手が振り飛車専科の鈴木八段とあってはそうなろうはずもなく、「アイツが振るなら俺も振る」勝手知ったる相振り飛車となりました。
藤井九段が序盤早々に2、3筋の位を取ったのが機敏な動き。鈴木八段に手をかけてもなかなか堅くならない囲いである金無双を強いて、序盤で大きなリードを稼ぎました。
でも、このリードを中終盤で使い果たすのが鰻屋クオリティ(爆)
先日のNHK杯戦でも佐々木(慎)五段を相手に同じ相振り飛車戦で、序盤にリードを重ねながら中終盤であっという間に失速し、2chの将棋・チェス板住人をまたもや狂喜乱舞させましたが(待て)今回は鈴木八段の追求をなんとか振り切り、A級残留を確定させました。
いつも通りの中終盤での追い込みがぎりぎり届かなかった鈴木八段。最終戦はA級残留を賭けての大一番となります。

☆木村一基八段(4勝3敗)vs深浦康市王位(3勝4敗)

共に秋口までは1勝3敗と不調でしたが、その後持ち直してA級順位戦を大混戦に導いた両者の対決。ここまでの両者の成績は星の差一つ違いですが、木村八段は勝てば名人挑戦権争いに踏みとどまることが可能。一方順位が最下位の深浦王位は、残り2戦を連勝しないと自力でA級残留を決められないという厳しい状況。
順位一つが運命を分ける。これが順位戦の怖さ。
戦型は佐藤-森内戦と同じ相矢倉ですが、先手番の木村八段が選択したのは▲4六銀戦法。私が将棋を始めた20うん年前よりちょっと前から指され始めたと記憶している戦法で、現代の相矢倉戦では本命といって良いかと。本局は先手が▲4六銀~▲3七桂~▲3八飛と一旦攻撃態勢を整えてから穴熊に囲おうとするのを後手が阻止する、という最新型の流れになりました。
後手の対策も進歩し、これをやられるのがイヤで居飛車党が後手番のときだけゴキゲン中飛車に走った一時期に比べれば微差にこそなりましたが、互いにほぼノーミスで進めば先手有利か、という一般常識通りに木村八段が順当に勝利。名人挑戦権争いに踏みとどまりました。
一方負けた深浦王位は、最終戦に勝っても他局の結果次第でA級陥落となる厳しい立場に。

☆丸山忠久九段(3勝4敗)vs谷川浩司九段(3勝4敗)

名人経験者同士の対戦ながら、これが残留決定戦とは。
ここまでの両者の年間成績が5割そこそこという状況ではそれもまあやむなしではありますが、やはり、寂しい。
後手番の谷川九段が一手損角換わり戦法を選択。居玉のまま丸山陣にちょっかいをかけるという展開になりましたが、丸山九段の的確な受けに決定打を放てず、逆に後手の居玉があっという間に追い詰められて67手という短手数での敗戦となりました。
この戦法のスペシャリストの一人である丸山九段の経験が勝った一局。これでA級残留が決まりました。
谷川九段は、後手番対策に苦しんでいるのかなという印象。後手番からでも得意の攻勢を見せられる戦法を見いだせるかが今後の活躍に大きく影響してくるでしょう。
ちなみに、A級残留を賭けた鈴木八段との最終戦は、谷川九段の先手番。

☆三浦弘行八段(3勝4敗)vs郷田真隆九段(5勝2敗)

昨年度は最終戦のキャンセル待ちまで名人挑戦権争いに踏みとどまった三浦八段。今期も前半戦を3勝1敗と好発進して期待を持たせたのですが、なんとそこから3連敗。早く1勝してA級残留を確定させたいところ。対する郷田九段は、2勝2敗のイーブンスタートから逆に3連勝で名人挑戦権争いの主役に。一昨年の森内名人(当時)とのフルセットに及ぶ死闘は記憶にまだ新しいところ。本人も期するところ大でしょう。
本局は、後手番の郷田九段がなんと4手目△3三角戦法を採用。初手から並べると▲7六歩△3四歩▲2六歩△3三角という進行になります。放置すると△2二銀と角に銀でヒモをつけられるのが先手にとっては不満なので、▲3三同角成△同桂とやるのが今のセオリーですが、ここから乱戦に持ち込んで勝負、というのが後手の主張。日頃は居飛車正統派な郷田九段ですが、一昨年の名人戦七番勝負でも相振り飛車を狙うなど、ここ一番で奇襲をかけるので油断がなりません。とはいえ、この4手目△3三角戦法自体は最近爆発的に流行している有望な戦法なのですが。
本局は郷田九段が袖尾車からちょっかいをかけようとしたのですが、三浦八段に冷静に銀冠に受け止められて攻勢が頓挫。郷田陣の立ち後れだけが目立つところに三浦八段の的確な攻めがヒット。三浦八段が優位に立ちます。
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ところがこの将棋をひっくり返すのが今の郷田九段の勢い。図の▲4三歩という鋭い効かしを手抜いて△5七角を効かしたのが大きなポイント。一手勝ちを見切ったはずの三浦八段の寄せは不発に終わり、後手の郷田九段が大きな一勝を挙げました。
これで郷田九段は最終戦に勝てば名人挑戦権が確定。最終戦に負けてもプレーオフに勝てば確定と名人挑戦が濃厚になってきました。本局の勝ちっぷりを見ても、う~ん時代はやっぱり郷田なのか、と。それでも名人奪取のためには、最終戦に勝ってすっきり挑戦権を勝ち取りたいですね。
一方好局を落とした三浦八段は、最終戦にA級残留を賭けることになります。

A級順位戦最終戦は、例年通り3月3日のひな祭りの日に行われます。
当日は、ネットだけでなくこれまた例年通りBS2での深夜に及ぶ生中継がありますので、ぜひぜひ。私は仕事があるんで録画して見ますが(屍)
ブログの更新スピードが上がれば、最終戦直前特集をやりたいとは思っておりますが保証の限りではありません(苦笑)
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by mitsuboshi03 | 2009-02-15 09:38 | 将棋 | Comments(0)

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